スキートロー(Skeeteroo)


アメリカで語られた巨大な蚊の怪物。
ある時、先住民の古老クワシンが友人であるガイドに会うためにキャンプまでやってきた。そして、ガイドは一緒にいたテンダーフット(新米)にこの赤肌の訪問者クワシンを紹介した。
ガイドは「ところで」と言ってテンダーフットに話しかけた。
「クワシンの腕と首に大きな傷跡があるのが見えるか? あれは口の尖った蚊の仕業だ。何があったのか話してやれ、クワシン」
クワシンは静かにぶつぶつと呟いた。
「スキートローを見たのはいつぶりか」
ガイドも話を続ける。
「だが何年か前までこの地には奴らが跋扈してた。大きさは鶏ぐらい、口吻はだいたい6〜8インチで鉄みたいに硬いんだ。奴らは川岸に二つの小さい回転砥石を用意しててな、それで針を研いでるからいつも鋭く尖ってる。クワシン、奴らの群れに襲われた時の対処法を教えてやれ」
すると、クワシンは厳粛にこう頼んだ。
「いや、お前が話してくれ」
そこで、ガイドはスキートローから身を守るためにクワシンがやった対処法を話し始めた。
「ええと、クワシンがカヌーでフィッシュクリークを下っていた時、奴らの群れが向かってきたんだ。だからクワシンは急いで川岸までカヌーを引き上げ、ひっくり返したカヌーの下に潜り込んだ。そしたらスキートローは鋭い口吻でカヌーの船底を穴だらけにした。それでクワシンは身を守るために拾った石で奴らの口吻を打ち曲げた。すると突然、スキートローはカヌーを付けたまま飛び去って行った。そうだろう、クワシン」

参考文献

 アート・チャイルズ『Yarns of the Big Woods』
 朝里樹『世界現代怪異事典』80頁

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最終更新:2024年03月18日 12:24