サキダダウ(Sakidadau)


台湾の先住民パイワン族の伝説に登場する体に棘のある人。漢字表記は沙基達達烏。
ある時、女性たちが屋根の上で粟を搗いていた。その時は天が大変低くて、太陽が大変熱かったという。そこで女性たちは話し合って、女性の内の1人が「なぜ太陽が大変熱いのだろう。我々が杵で突いたらどうであろう」と言って、本当に杵で太陽を突いてみた。すると、1つの太陽は盲になった。それが現在でいうところの月である。すると天がごろごろと鳴って上に上った。そして暗くなったので、サキダダウという体に棘のある人が鳴いた。恐れた女性は粟倉へと逃げた。しかしサキダダウはそれを追いかけて行って、捕らえて外に出してしまった。そしてサキダダウが「砥石に腰を掛けよ、私が汝を担いでやろう」と言う。すると彼女は「いやだ、私は汝の刺が恐ろしい」と言った。そうして拒否されたにもかかわらず、サキダダウは彼女を抱えて腰を掛けさせ、自分の家まで担いで行って、彼女を妻にしてしまった。それからしばらく後のこと。彼女が洗濯に行くと、魚を沢山見つけた。彼女が魚を捕まえて持って帰り、お菜にして食べると、急に腹が痛くなった。なので彼女はサキダダウに「私は大便する、恐いから連れていってくれ」と言った。サキダダウが連れて行ってあげると彼女はまた「私は大便する、恐いから連れていってくれ」と言った。何度も言うのでサキダダウはイヤになって「私は行くのは御免被ろう」と言った。それで彼女は1人で大便に行くことになった。大便を済ますと、彼女は自分の大便に向って「もしサキダダウが呼んだら、アーと言え」と言った。そして彼女はそのまま家へと逃げて帰ってしまった。そしてサキダダウが叫ぶと、大便が「アー」と言う。また叫ぶと、大便が「アー」と言う。またもう一度叫ぶと、大便がまた「アー」と言った。サキダダウは不思議に思って「あの人はどうしたのだろう。大変久しくなったのに、なぜ出てこないのだろう」と言って、様子を見に行った。するとそこにあったのは大便ばかりで、彼女はいなくなっていた。そこでサキダダウが怒って、自分の物を勃起させて石を突くと、石が発火したという。

参考文献

 台北帝国大学言語学研究室『原語による台湾高砂族伝説集』164頁

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最終更新:2023年06月24日 13:59