牙無しの黒(Kibanashi no Kuro)


インターネット上で語られた話。
明治から大正時代、熊本県阿蘇市と大分県九重町に跨がる場所に位置する山々には牙折れあるいは牙無しの黒と呼ばれる両牙が折れた真っ黒な牡猪が現れた。
この猪は人間に出会っても突進したりはせずに大きな歯軋りの音での威嚇のみをしてくるが、その音を聞いてしまうと病に罹ったり毒蛇に咬まれたりといった災難に見舞われるため人々に恐れられていた。
この猪が災難をもたらす原理としては運気や厄のような不可視の急所を不可視の牙で噛むからとされ、この猪を荒神として祀っている小さな祠に牙の形をした石の御神体を納めて形のある牙を供えればこの猪は不可視の急所に触れることができなくなるという。

参考文献

 朝里樹『山の怪異大事典』356頁

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最終更新:2023年10月04日 04:59