ミツ(Mitsu)


インターネット上で語られた怪談に登場するもの。
ミツというのはおそらく三本足の獣の姿をした何かと推測される。
三本足の生物である三足烏や青蛙神は神聖な存在だが、このミツは穢れた存在である。

とある山奥の小さな村はミツが現れたことが原因で廃村となってしまった。
その村では多くの人々が狩人として生計を立てていたが、なぜか獣を独自の呼び名で呼ぶという風習があった。具体的には、四足歩行の鹿や兎などをヨツ、二足歩行することがある猿をフタツ、別格の存在である猪のことはクジラと呼び、鳥にはこれといった呼び名が存在せず単純に鳥としか呼ばなかった。
ある日の早朝、この地にミツが現れてしまうという深刻な事態らしいことが起き、村中の狩人が集まって打ち合わせをしてから山へ狩りに行った。そして夕方、狩人たちが村に帰ってきた。狩りは成功したらしいが、狩人たちはなぜか獲物を持ち帰ってこなかった。帰ってきた狩人たちは塩を撒いてお清めをし、人々は村を離れていき廃村となったのだという。
これはその村の出身者であったとある少年がミツのことを全く聞かされないまま大人になり、やがてこの出来事を学生の我が子に語り、その学生が学校の後輩に語り、それを聞いた後輩がインターネット上に書き込んだ又聞きの話である。
ミツが危険な存在ならその姿や詳細を後世の人々にも語り伝えると思われるが、どんな姿をしていたのかについては一切語られていない。憶測だが、もしかしたらミツの詳細を語るのは禁忌とされていて、なので名前を聞いただけで姿が想像できるようにミツと呼んでいたのかもしれない。だがミツが三本足の何かであるとは一言も語られていない。

参考文献

 朝里樹『続・日本現代怪異事典』361頁

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最終更新:2023年08月21日 14:44