北国のおばけ(Hokkoku no Obake)
江戸時代の寄せ絵『北国乃おばけ』に描かれた遊女のお化け。
北国というのは吉原のこと。当時は遊女に溺れる男性もいたため、この絵は男性を騙すお化けとして遊女を風刺したものとされる。
芸者・幇間・裸女・禿・客といった遊郭に関する人々や三味線箱・三味線・楊枝・煙管・手紙・酒盃・銚子・櫛・扇といった遊郭に関するもので構成された巨大な遊女の姿をした集合体のお化け。
このお化けはオイランダまたはアリンスの国の泥中に潜んでおり、毎夜のようにしばしば泥水から現れ、男性を見つけると「見たような人だ、もしへもしへ」と呼びかけてくるという。
原文では「おいらんだ、またハありんすのくににいて、夜な夜な時々どろ水のなかからあらわれ、男を見ると見たよふなひとだ、もしへもしへとよぶ」と記されている。
参考文献
福田繁雄/稲垣進一『江戸の遊び絵』31頁
最終更新:2023年10月16日 22:41