風車の弥七
TBSの人気時代劇『水戸黄門』に登場する義賊。赤い風車のついた棒手裏剣が彼のトレードマークである。TBSが運営するサイト「水戸黄門大学」に拠れば、棒手裏剣に付ける風車は、弥七の手作りである。忍びの出身とされ、妻であるお新とともに江戸で田毎庵という蕎麦屋を営む。俳優の故・中谷一郎氏(1930-2004)が第1部(1969年8月4日-1970年3月9日)から第27部(1999年3月22日-10月18日)まで演じた。
うっかり八兵衛に「親分」と慕われている。
弥七は創作上の人物であるが、水戸光圀には、松之草小八兵衛(まつのしたこはちべえ)という盗賊が仕えていたとされ、彼が弥七のモデルとされる。小八兵衛は、常陸国松之草村(現在の茨城県那珂郡緒川村大字松之草)に住んでいたとされる。
小八兵衛については、藤田東胡らの師・石川久徴が著した「桃蹊雑話」なる書物に記述が見出せるという。それに拠れば、光圀は、あるとき、盗賊の首領を捕らえたが、これを放免する。彼は、光圀に感謝し、以来、光圀の隠密として働くようになった。この盗賊の首領が、松之草の者・小八兵衛だった。小八兵衛とその子分の働きにより、光圀は、領内・隣国の変事・動静を居ながらにして知ることができたという。小八兵衛は、一日で30里(120キロ)を往復する超人で、妻はドラマと同じく「お新」である。ただし、お新が江戸で営んでいたのは、蕎麦屋ではなく、うどん屋だったという。
小八兵衛の墓は、現在も松之草にあり、「元禄十一戌寅年/帰真単山崇心墓/五月二日寂入」と読める。その傍らからは、「皈眞梅梢池春禅定尼霊位/元禄四年正月十一日歿」と書かれた墓碑が発掘されており、これがお新の墓ではないかと言われている。なお、劇中の弥七にも、緒川村に、お新とともに墓が作られている。
最終更新:2005年04月07日 03:03