チブル(Chiburu)


沖永良部島に伝わる歌い骸骨の類話。
山中で通行人を殺害して金を奪った泥棒がその翌年の三月頃に同じ山道を通ると、草原にチブル(出典では骸骨と記されているがおそらく頭蓋骨)が転がっていた。
そのチブルはションガ節を面白く歌っていたので、泥棒は「お前は如何にも面白くションガ節を歌ふが、一つ天下(殿様)の前で歌ってくれぬか」と話しかけると、チブルは「歌ひませう」と言ってその頼みを引き受けた。
泥棒がチブルを携えて天下様の所へ行き「天下様天下様、骸骨がションガ節を歌ひます」と言ったが、天下様はチブルが歌うものかと承知しなかった。
泥棒は「では歌ふか歌はないか賭をしませう、歌ったら天下は私の物、歌はなかったら私の首は立所に差上げます」と言ってチブルを取り出し「サ今歌へ」と言ったが、チブルは一向に歌わなかった。
だが、泥棒が斬首されるとチブルは「天下様天下様、去年実は斯々」と自分がその泥棒に殺された話をして、今その仇を討ったのですと語り、ションガ節を面白く歌った。
その後、天下様はチブルを床の前に飾って拝み、時々ションガ節を歌わせたという。

参考文献

 岩倉市郎『沖永良部島昔話』214頁

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最終更新:2023年11月23日 12:58