アイヌ語
北海道、樺太(サハリン)、千島列島(クリル)に居住していたアイヌ民族が使用していた言語の総称。日本語とともにウラル・アルタイ語族に属するとされているが、言語学的な位置づけにおいてはいまだに不明な点が多い。
母音は日本語と同じ5つ、子音は少なく、基本的に濁音は使われない。しかし話者の癖によるところも大きく、特にn音の次に来た言葉は濁って聞こえる傾向がある。また、日本語には無い子音のみの音があり、カナ表記されるときは特徴的な小文字で表記される(k,s,t,h,m,r,p)。
またアイヌ語ではサ行の音とシャ行の音、パ行の音とバ行の音を区別せず、また研究者によってr音の表記を小文字の「ル」に統一して表記してある場合がある。そのため、たとえば英雄詞曲を意味する語、「Sakorpe」は「サコロペ」と表記しても、「シャコルベ」と表記しても差し支えないことになる。が、現在はサ行、パ行の音のみを用い、r音は前の音の母音に引きずられる形で表記が変化させる形式をとることが多い。
アイヌ民族は文字を持たなかったため、表記する際にはカナかローマ字が用いられる。
樺太アイヌ語は、北海道アイヌ語と異なる部分を多く持つが、現在話者は絶えており、音声記録が残るのみである。千島アイヌに至ってはほとんど調査されないまま、強制移住の果てに文化・言語とともに絶滅してしまっている。
北海道アイヌ語は大きく南部方言と北部方言に分けられるが、明治~大正期に旧土人保護法の元に設置され、アイヌの子女が通学を強制された旧土人学校ではアイヌ語の使用が禁じられ、また差別に繋がるとして家庭でもアイヌ語を使うことが少なくなり、話者は減少の一途をたどった。現在はアイヌ語を完全に聞き、理解できる話者は北海道全土でも10人に満たないとされ、いわゆる「危機言語」である。だが、アイヌ文化振興法(1997~)の制定や、民族意識の高まりにより、アイヌ語を学習しようとする者はアイヌ・日本人ともに増えている。北海道各地にアイヌ語教室も設置され、選択科目にアイヌ語がある学校もある。
知っていたほうがよい音韻変換
n音は、s音、y音の前に来るとi音に変化する
例:ポン(小さい)ユク(鹿)→ポイユク、
イワン(六匹の)セタ(犬)→イワイセタ
r音は、t音、c音の前に来るとt音に変化する
例:レタラ(白い)チリ(鳥)→レタッチリ(ハクチョウ)
r音は、n音の前に来るとn音に変化する
例:ヌカラ(見る)ルスイ(欲する)→ヌカンルスイ(見たい)
参考資料
最終更新:2006年06月17日 11:15