ニッカリ青江(にっかりあおえ)
化け物を斬ったという刀。
備中青江貞次作。讃岐丸亀藩(現・香川県丸亀市)京極家の家宝で、現在は同市立資料館蔵。
近江蒲生郡のとある領主・中島修理大夫(しゅりだゆう)は、領内に物の怪が出ると聞き退治することにした。
その夜分、子を抱いた女が現れた。
女は子を下ろし、ニッカリと笑いながら「殿様に抱いてもらえ」と言うと、その子が修理太夫に向かってきた。気味の悪さを感じた修理太夫は、にわかに首を刎ねた。
すると女も「私も抱いて」と迫ってきたので、これも首を刎ねた。翌朝、その場所に行くと、石塔が斬られて落ちていた。
また、別の話では、旅を急ぐ某が夜道に女と出会った。こんな夜更けに、こんな所で何をしているのだろう、と不審に思うと、女はニッカリ笑った。ただならぬ気配を敏感に感じ取った某は、女の首を刎ねた。
帰り道、その場所には首の無い地蔵があったという。
いずれにせよ、名の由来は斬った化け物の笑い方らしい。
また、慶長7年(1602)、完成した讃岐丸亀城において、築城を担当した大工が些細なことで死罪となった。その後、大工の祟りで、この地を領する大名・生駒家は減封の上、僻地に飛ばされ、代わりに入ってきた山崎家も断絶した。そしてやって来た京極家は家宝「ニッカリ青江」のお陰で祟りに遭わず、明治維新まで続いたという。
最終更新:2006年05月04日 09:00