塩野七生「ローマ人の物語2 ハンニバル戦記」(1993)


評価

★★★☆

ひとこと

ローマ人からみた「ハンニバル」とは何だったのか?を描いた一作。


分類


目次

第一章 第一次ポエニ戦役(紀元前二六四年~前二四一年)
第二章 第一次ポエニ戦役後(紀元前二四一年~前二一九年)
第三章 第二次ポエニ戦役前期(紀元前二一九年~前二一六年)
第四章 第二次ポエニ戦役中期(紀元前二一五年~前二一一年)
第五章 第二次ポエニ戦役後期(紀元前二一〇年~前二〇六年)
第六章 第二次ポエニ戦役終期(紀元前二〇五年~前二〇一年)
第七章 ポエニ戦役その後(紀元前二〇〇年~前一八三年)
第八章 マケドニア滅亡(紀元前一七九年~前一六七年)
第九章 カルタゴ滅亡(紀元前一四九年~前一四六年)

時期

BC264(第一次ポエニ戦役)~BC146(カルタゴ滅亡)

主要登場人物

  • ヒエロン:シラクサの僭主
  • レグルス:第一次ポエニ戦役時の執政官。リカータ沖海戦の勝将。アフリカ本土で敗将・捕虜。
  • メテルス:第一次ポエニ戦役時の執政官。パレルモ攻防戦の勝将。
  • カトゥルス:第一次ポエニ戦役時の執政官。第一次ポエニ戦役終戦時の勝将。
  • ハミルカル:カルタゴの将軍。
  • アルキメデス
  • シファチェ:ヌミディア王
  • アンティオコス:シリア王
  • プブリウス・コルネリウス・スキピオ:第二次ポエニ戦役時の執政官。スキピオ・アフリカヌスの父
  • ファビウス・マクシムス:第二次ポエニ戦役時の独裁官。持久戦主義者
  • クラウディウス・マルケルス:第二次ポエニ戦役時の執政官。平民。「イタリアの剣」
  • センプローニウス・グラックス:第二次ポエニ戦役時の執政官。平民。奴隷を訓練して戦力化
  • ハンニバル(BC247-BC183):カルタゴ人
  • ハシュドゥルバル(-BC207):カルタゴ人。ハミルカルの女婿。
  • ハシュドゥルバル:カルタゴ人。ハンニバルの次弟。
  • フィリップス五世(-BC179):マケドニア王
  • マルクス・ポルキウス・カトー:通称大カトー。反スキピオ派。平民出身。
  • マシニッサ:ヌミディア王
  • プブリウス・コルネリウス・スキピオ・アフリカヌス:第二次ポエニ戦役時の執政官。
  • スキピオ・エミリアヌス:カルタゴ滅亡時の総司令官


気になる表現




メモ

  • 第一次ポエニ戦役
    • カルタゴのシチリア進攻に対するメッシーナからの救援依頼
    • 海軍創設
      • 三段層軍船→五段層軍船
      • カラス:帆先に桟橋を設け、海上戦から陸上戦に変える
    • ゾウ対策
      • 走らせて非戦力化(投げ槍、落とし穴)

  • 第一次ポエニ戦役後
    • カルタゴ
      • ハミルカル(バルカ一門)はスペインに移住(カルタヘーナ)
    • ローマ
      • ギリシャ文化への傾倒(ギリシャ語圏のシチリア島の統治にも好都合)
      • シチリアの属州化(例外.シラクサ:対等な同盟国、メッシーナ:ソーチ)
      • インフラ整備拡充
      • イリリア海賊退治、ガリア対策
      • 税制・選挙制・軍政改革

  • 第二次ポエニ戦役
    • カルタゴ(ハンニバル)のスペイン東岸サグント進攻に対する救援依頼
    • ティチーノ会戦(○ハンニバル vs コルネリウス):視察中のローマを急襲
    • トレッビア会戦(○ハンニバル vs センプローニウス):包囲作戦
    • トラジメーノ会戦(○ハンニバル vs フラミニウス):夜間の奇襲
    • カンネ会戦(○ハンニバル vs ヴァッロ、セルヴィリウス、エミリウス):包囲作戦
    • 講和交渉決裂(ローマ側が拒否)
    • 南イタリアがカルタゴ勢力下に
    • ローマ、カプア再復
    • ローマ、シラクサ攻略(マルケルス)
    • ハンニバル、ローマへ攻め上がるが不調に
    • ローマのスペイン戦線全滅 (○ハシュドゥルバル・マゴーネ兄弟、マシニッサ vs コルネリウス兄弟)
    • 南イタリア戦線(○ハンニバル vs マルケルス)
    • ローマ、カルタヘーナ攻略(スキピオ・アフリカヌス):奇襲作戦
    • べクラ会戦(ハシュドゥルバル・マゴーネ vs ○スキピオ)
    • ハシュドゥルバル、イタリアへ
    • メタウロ会戦(ハシュドゥルバル vs ○クラウディウス・ネロ)
    • イリパ会戦(ジスコーネ・マゴーネ vs ○スキピオ):早朝に攻戦
    • スキピオ・アフリカヌス、シファチェの陣営を急襲
    • ヌミディア近く(ジスコーネ・シファチェ vs ○スキピオ・マシニッサ)
    • ハンニバル帰還
    • ザマ会戦(ハンニバル vs○ スキピオ):包囲作戦
    • ローマとカルタゴ講和

  • スキピオ・アフリカヌスの戦役中の対策
    • 捕虜の解放(スペイン原住民の取り込み)
    • 兵士の訓練
    • 武器改良(スペイン剣:両刃の短い剣の導入):兵士一人一人の速攻性向上
    • ヌミディア騎兵の取り込み(マシニッサ)
    • シチリア属州民への土地返却(兵の確保、補給基地化)

  • ローマ寡頭政の短所
    • 軍隊の総司令官が任期中に戦果をあげようとしがちな点

  • ローマ支配圏の種類
    • ローマ市民権を持つ者
    • ローマ市民権を持たない者
      • 同盟国:軍務を果たす
      • 属州民
        • 統治全権を与えられた法務官が派遣される(ローマ直轄統治を受ける)
        • 住民は公有地を借りて農牧業を営む(=借地料を支払う)
        • 十分の一税を支払う(軍役は不要)
        • 現地の者に国税徴収人(プブリカヌス)を請け負わせ、手数料を地元に還元
        • 講和交渉を仕掛け、将官・百人隊長を従者に化けさせ敵陣の様子を探る

  • 穏健な帝国主義(スキピオ迄)
    1. 覇権は、ローマが持つ
    2. 他の強国の軍事力は、自衛力の水準に落とされる
    3. ローマによる軍事上の占領ではなく、軍事基地も駐留軍も置かない
    4. 各国の国内の自治を完全に認める
    5. 各国の経済上の反映が平和裡に継続されることを希望する

  • 厳格な帝国主義(スキピオ以後)

参考文献


本書を引用している文献

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最終更新:2011年08月19日 12:21