わたしが自由にした人々が再びわたしに剣を向けることになるとしても、
そのようなことには心をわずらわせたくない。
何ものにもましてわたしが自分自身に課しているのは、
自らの考えに忠実に生きることである。
だから、他の人々も、そうあって当然と思っている。(上p104, カエサルの言葉)
このような状態になった場合、人は二種に分れる。
第一は、失敗に帰した事態の改善に努めることで不利を挽回しようとする人であり、
第二は、それはそのままでひとまずは置いておき、
別のことを成功させることによって、情勢の一挙挽回を図る人である。
カエサルは、後者の代表格といってもよかった。(上p123)
しかし、この時点での最優先事項は、敗北を喫した軍の再建であって、
カエサル個人の潔さをまっとうすることではない。
人間は気落ちしているときにお前の責任ではないと言われると、
ついほっとして、そうなんだ、おれの責任ではなかったのだ、
と思ってしまうものである。
こう思ってしまうと、再起に必要なエネルギーを自己生産することが困難になる。(上p194)