塩野七生「ローマ人の物語7 悪名高き皇帝たち」(1998)


評価

★★☆☆

ひとこと

アウグストゥスの40年の治世の後の皇帝たち。
悪名高い彼らは本当にひどい皇帝たちだったのか?
アウグストゥスの「血への執着」が多くの悲劇、
混迷を生んでしまっているように思えてならない。
例え、“内戦を回避したい”という思いがあったとしても。


分類


目次


第一部 皇帝ティベリウス(紀元一四年~三七年)
  • カプリ島
  • 皇帝即位
  • 軍団蜂起
  • ゲルマニクス
  • 公衆安全
  • 緊縮財政
  • ゲルマニア撤退
  • ライン河防衛体制
  • 東方問題
  • ゲルマニクス、東方へ
  • 総督ピソ
  • ドナウ河防衛体制
  • ゲルマニクスの死
  • ピソ裁判
  • アグリッピーナ
  • 砂漠の民
  • ドゥルイデス教
  • 宗教観
  • 災害対策
  • 息子の死
  • 安全保障
  • 家族との関係
  • 元老院との関係
  • カプリ隠遁
  • セイアヌス
  • アグリッピーナ派の一掃
  • セイアヌス破滅
  • ゴシップ
  • 金融危機
  • 最後の日々
第二部 皇帝カリグラ(紀元三七年一四一年)
  • 若き新皇帝
  • 生立ち
  • 治世のスタート
  • 大病
  • 神に
  • 快楽
  • 金策
  • ガリアへ
  • ローマ人とユダヤ人
  • ギリシア人とユダヤ人
  • ティベリウスとユダヤ人
  • カリグラとユダヤ人
  • 力の対決
  • 反カリグラの動き
  • 殺害
第三部 皇帝クラウディウス(紀元四一年~五四年)
  • 予期せぬ皇位
  • 歴史家皇帝
  • 治世のスタート
  • 信頼の回復
  • 北アフリカ
  • ユダヤ問題
  • ブリタニア遠征
  • 秘書官システム
  • 皇妃メッサリーナ
  • 国勢調査
  • 郵便制度
  • 「クラウディウス港」
  • メッサリーナの破滅
  • 開国路線
  • 奴隷解放規制法
  • アグリッピーナの野望
  • 哲学者セネカ
  • ネロの登場
  • 晩年のクラウディウス
第四部 皇帝ネロ(起源五四年~六八年)
  • ティーンエイジャーの皇帝
  • 強国パルティア
  • コルブロ起用
  • 母への反抗
  • 治世のスタート
  • 経済政策
  • アルメニア戦線
  • 首都攻略
  • 母殺し
  • 「ローマン・オリンピック」
  • ブリタニア問題
  • アルメニア・パルティア問題
  • セネカ退場
  • ローマ軍の降伏
  • その間、ローマでは
  • 外交戦
  • 問題解決
  • 歌手デビュー
  • ローマの大火
  • 再建
  • ドムス・アウレア
  • キリスト教徒・迫害
  • 歌う皇帝
  • ピソの陰謀
  • 青年将校たち
  • ギリシアへの旅
  • 司令官たちの死
  • 凱旋式
  • 憂国
  • 決起
  • 「国家の敵」

時期

AD14(ティベリウス即位)~68(ネロの死)

主要登場人物

  • ティベリウス帝(在位14-37, 病死)
  • アルミニウス
  • 子ドゥルースス
  • ゲルマニクス
  • ルキウス・エリウス・セイアヌス
  • 大アグリッピーナ
  • ヴィテリウス
  • ポンツィオ・ピラト
  • カリグラ帝(在位37-41, 謀殺)
  • ヘロデ大王
  • ヘロデ・アグリッパ
  • フィロン
  • プブリウス・スルピチウス・クィリーヌス
  • コルネリウス・サビヌス
  • カシウス・ケレア
  • クラウディウス帝(在位41-54, 謀殺?)
  • ルキウス・ヴィテリウス
  • 小アグリッピーナ
  • ナルキッソス
  • メッサリーナ
  • ネロ帝(在位54-68, 自殺)
  • コルブロ
  • セネカ
  • ティリダテス
  • ガイウス・カルプルニウス・ピソ
  • ガルバ


気になる表現

人間ならば誰でも、リモート・コントロールされるよりは陣頭指揮されるほうを好むものなのだ。(二,p25)




メモ

  • ティベリウス(AD14-37)
    • 17:ゲルマニア征服を祝う凱旋式&ゲルマニア撤退
    • 18:売上税引き下げ(1%→0.5%)
    • 19:弟ゲルマニクス急死
    • 20:シリア総督ピソ裁判
    • 23:息子ドゥルースス急死。帝国全体の防衛システムの手直し実施
      • 軍団兵の欠員補充、補助兵の定数決定
    • 27:カプリ島に隠遁
    • 29:母リヴィア死去。
    • 30:ゲルマニクス未亡人アグリッピーナ母子流刑。
    • 31:近衛軍団長官セイアヌスがティベリウスと共に執政官に就任
      • 年途中に密かに近衛軍団長官をマクロに任命。国家反逆罪でセイアヌス死刑
    • 33:ローマ一大金融危機発生。「公的資金の投入」等の対策実施
    • 34:パルティアがアルメニア介入。ヴィテリウスを派遣。
    • 36:ローマのアヴェンティーの丘が大火。被害者救済と再建対策を実行
    • 37:ティベリウス死去
  • カリグラ(AD37-41)
    • 37:施政方針演説
      1. 政治上の理由で国外追放されていたものの恩赦
      2. 通称「密告者」と呼ばれていた情報提供要員制度の廃止(これにより、皇帝への情報収集システムまで全廃される)
      3. ローマ中央政府の要職選挙を元老院から市民集会での選出に戻す
      4. 不評な税金は全廃(売上税)
      5. 第一人者は首都ローマに在住し、元老院の会議には必ず出席する
    • 38:新たな水道建設を発表
    • 39:国家財政破綻が明らかに
    • 39:ゲルマニア侵攻を画すも断念
    • 40:ローマに帰還。妹を流刑に処す
    • 40:ユダヤでギリシア人とユダヤ人の対立激化。イエルサレムの大神殿にユピテル神像を建てるよう命じる。
    • 41:近衛軍団大隊長により殺害される
  • クラウディウス(AD41-54)
    • 41:「国家反逆罪法」を理由にしての処罰廃止。カリグラの妹アグリッピーナ、ローマに戻る。売上税を復活、不必要な出費削減(カリグラの25mものオベリスク)
    • 41:ユダヤの統治をヘロデ大王一族のヘロデ・アグリッパに委ねる
    • 42:ローマ外港オスティアに新たな港の建設を決め、着工
    • 43:ブリタニア遠征の総司令官にアウルス・プラウティウスを任命。クラウディウスもブリタニアに渡り、コルチェスターに入場。属州化の基本政策を定める
    • 44:ヘロデ・アグリッパ死去。ユダヤはローマの直轄統治に戻る。
    • 48:国税調査を実施。
      • ローマ市民権所有者数598万人
    • 48:皇妃メッサリーナ、重婚の罪を犯し、秘書官ナルキッソスの命により殺害される
    • 49:姪アグリッピーナ(カリグラの妹。ネロの母)と結婚。アグリッピーナ、セネカをローマに呼び戻す
    • 50:アグリッピーナ、息子ネロをクラウディウスの養子に。
    • 51:アグリッピーナ、ネロに14歳で成人式を挙げさせる
    • 52:カリグラ時代に着工した日本の水道が完成(クラウディウス水道)
    • 54:クラウディウス死去
  • ネロ(AD54-)
    • 54:パルティア、アルメニアに侵攻。ローマはコルブロを総司令官として派遣。
    • 55:クラウディウスの遺子ブリタニクスを殺害
    • 57:元老院属州と皇帝属州をあわせて国庫を一本化
    • 58:間接税全廃を提案するも、元老院の反対にあい、妥協案に落ち着く
    • 59:母アグリッピーナを殺害
    • 60:5年毎に開く協議会「ネロ祭」挙行
    • 62:近衛軍団長官ブルス病死。セネカ隠退。妻オクタヴィアを離婚し、ポッペア・サビーナと結婚。
    • 63:コルブロに最高指揮権を与え、パルティアと講和
    • 64:ドムス・トランジトリア着工。
    • 64:歌手デビュー。
    • 64:ローマ大火事。ネロ、消火活動、被災者救済、火災後の陣頭指揮をとる
    • 64:火災後の再建と都市部の大改造の財源確保を兼ねて、通貨改革を実施
    • 64:ドムス・アウレア建設で人びとの反感を買う。放火罪などでキリスト教徒を逮捕・処刑。
    • 65:2度目の「ネロ祭(5年祭)」
    • 65:ネロ暗殺を謀ったピソの陰謀発覚。加担を疑われたセネカ自死。
    • 66:コルブロの女婿ヴィニチアヌスらがコルブロを帝位につけようとする「べネヴェントの陰謀」発覚
    • 66:ネロ、ギリシャ旅行へ
    • 68:ネロ、ギリシャから帰還。
    • 68:ローマ市民、「食」の保証に対する不備をきっかけに、反ネロで立ち上がる。元老院、ネロを「国家の敵」と宣告。近衛軍団、スペインで決起したガルバを「皇帝」に推挙すると決定。ネロ自死。

参考


本書を引用している文献

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最終更新:2011年11月19日 18:48