長い歳月をかけて熟考した末の野望ならば、こうも簡単にあきらめるはずはない。
言ってみれば偶然に手中にしたような地位だから、手離すにも潔くなれたのではないか。
しかし、死さえも覚悟していたのならば、彼のために闘った将兵たちの今後の保証を
明確にした後で、死ぬべきではなかったか(上、p111)
かわいそうなオレ、神になりつつあるようだよ(中、p168, 死にゆくヴェスパシアヌスの言)
ローマ史とはリレー競走に似ている、という想いである。
既成の指導者階級の機能が衰えてくると、必ず新しい人材が、ライン上でバトンタッチを待っているという感じだ。<中略>
ローマの歴史がリレー競走に似ているのは、現に権力をもっている者が、自分に代わりうる者を積極的に登用し育成したところにある。(下、p194)