木暮太一「『わかりやすい説明』のルール」(2011)

評価

★★★☆

ひとこと

「分かりやすい説明」とはどんなものなのか、について書かれた本。大人向け。
最終試験では、一般企業人向け・高校生向け・小学生向けの説明試験があって秀逸。
欲をいえば、この部分のボリュームが多いとよかったのにな。
分かりやすさ向上のためのトレーニングに主眼をおいた池上彰「わかりやすさの勉強法」、読解方法に主眼を置いた西林克彦「わかったつもり」などとあわせて読むとよい。


分類

目次

第1章 あなたの説明を分かりづらくする3つの原因
  • 「分かりにくい」典型例
  • なぜ分かりづらいのか?
  • 分かりやすい説明に必要な3つの要素
  • 2種類の「分からない」
  • 説明とは何か
第2章 こんなアドバイスはいらない!
    1. できた気にさせるだけのアドバイス
      • ×比喩を使って説明しなさい
      • ×話し言葉で説明しなさい
      • ×「です・ます調」で説明しなさい
      • ×文字色を使い分けて説明しなさい
      • ×図表を使って説明しなさい
      • ×ゆっくりハッキリと説明しなさい
      • ×ジェスチャーを交えて説明しなさい
      • ×聞き手に「理解できているかどうか」を質問しなさい
    2. 行動改善につながらないアドバイス
      • ×もう少し分かりやすく説明しなさい
      • ×もう少し噛み砕いて説明しなさい
      • ×客観的に自分の説明を振り返りなさい
      • ×第三者にチェックしてもらいなさい
      • ×説明漏れを防ぎなさい
      • ×相手の前提知識を考慮しなさい/相手のレベルに合わせなさい
第3章 勘違いをなくそう!
  • ×一度説明すれば理解できる
  • ×きっちり正確に表現しなければいけない
  • ×分かりやすく説明したら教育によくない
  • ×授業は説明の場ではない
第4章 意識と表現はこう変えよう!
  • 「分かりやすいかどうか」は誰が決める_
  • 意識と表現
  • 「分かりやすく説明できない人」の根本的な問題
  • 前提となるのは「意識」
  • 分かりやすさの本質は「相手に合わせた表現」
  • 意識を変えるためには
  • 「お客さん」の責任にはできない
  • 同じことを別の言葉で表現する練習
第5章 表現の練習をしよう!
  • ×寄り道が多い
  • ×一文が長い
  • ×思いつきを並べる
  • ×主語と述語が遠い
  • ×修飾語が多い
  • ×知的な表現
  • ×複数の意味にとれる
  • ×接続助詞の「が」、テーマ出しの「は」
  • ×二重否定
  • ×主格の「の」
  • ×英語
  • ×カタカナ語
  • ×具体的な動作を表さない動詞
  • ×無生物主語
第6章 説明力をさらにアップさせよう!
  • 説明の目的
  • 抽象と具体
  • 難しい説明をしている時
  • 「想定外」の内容
  • 「納得しづらい」内容
  • 説明を終えた後は
  • 「長い説明」の場合
第7章 聞き手の世界観を体感しよう!
  • 聞き手の世界観
  • 推測するだけでは不十分
  • 女子高生にプリクラを説明するとしたら…
  • 「この場では何を伝えるべきか」
  • 相手の世界観を体感する方法(基礎編)
  • 相手の世界観を体感する方法(完成編)
  • 原稿を執筆する時
  • 感情移入
第8章 「頭の柔軟体操」をしよう!
  • 私の頭をやわらかくしてくれた予備校の授業
  • カタカナ語の言い換えトレーニング
  • 「動きを表す名詞」の交換トレーニング
  • 「無生物主語」の変換トレーニング
  • 「熟語が重なった言葉」の変換トレーニング
第9章 最終試験

気になる表現




メモ

  • 分かりにくさの原因
    1. テーマが分からなければ、説明も分からない
    2. 「言葉の意味」が分からなければ、説明はわからない
    3. 論理が分からなければ、説明は分からない
    4. 「分からない」には「知らない」と「理解できない」がある
    5. 却ってわかりづらくなることもあるもの
      • 比喩:分かった気がするだけのことも多い(具体例は分かりやすくなるが、比喩は分かりやすくなることは殆どない)
      • 図表:図やグラフでは「論理の途中経過」を見せられない
      • 話し言葉:却って省略語などを使って分かりにくくさせる可能性もある
    6. 使っても、モトモト分からないものは分からない(理解促進の補助でしかない)
      • ビジュアル的に見やすくする
      • ジェスチャーを交える
    7. 説明以前の問題
      • ゆっくり、ハッキリしゃべる
    8. 質問がなくても、理解されているとは限らない
      • 全体的に分からない、漠然と分からない場合は質問すらできない
    9. もう少し分かりやすく、噛み砕いてと言われても、どうしてよいか分からない
    10. 技術が必要
      • 客観的に振りかえる
      • 相手のレベルにあわせる
    11. 自分ではできない
      • 説明漏れ防ぐ

  • テーマの説明は抽象的になりがち。具体的な内容と交互に話すとよい。
  • 聞き手にとって「想定外」の内容は懇切丁寧に話す。

  • 頭を柔らかくするトレーニング
    • カタカナ語の言い替え
    • 動きを表す名詞の言い替え(ex.依存、黒字化、確実視)
    • 無生物主語の言い替え(1.受動態、2.××によって自発に~する)
    • 熟語が重なった場合の言い替え


参考文献



参照している文献

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最終更新:2011年11月06日 17:03