塩野七生「ローマ人の物語11 終わりの始まり」(2002)


評価

★★★☆

ひとこと

ローマ帝国の衰退はいつから始まったのか?
それは五賢帝と呼ばれる「アントニウス・ピウス」の無策がきっかけになってしまったのではないか、というアプローチ。


分類


目次

第一部 皇帝マルクス・アウレリウス
  • はじめに
  • 育った時代
  • 生家
  • 子育て
  • 少年時代
  • 成人式
  • 帝王教育
  • ローマ人のフィロゾフィア
  • ローマ帝国の安全保障史
  • 次期皇帝マルクス
  • ローマ人の一日
  • 師・フロント
  • 結婚
  • ある疑問
  • 皇帝マルクス・アウレリウス
  • 二人の皇帝
  • 皇帝ルキウス
  • 飢饉・洪水
  • 東方の戦雲
  • パルティア戦役
  • 皇帝出陣
  • 反攻開始
  • 哲人皇帝の政治
  • ペスト
  • キリスト教徒
  • ゲルマニア戦役
  • ルキウスの死
  • 戦役開始
  • 「防衛線破らる!」
  • ローマ人と蛮族
  • 時代の変化
  • 「マルクス・アウレリウス円柱」
  • ドナウ河戦線
  • 蛮族のドミノ現象
  • 謀叛
  • 将軍カシウス
  • 後始末
  • 世襲確立
  • 「第二次ゲルマニア戦役」
第二部 コモドゥス
  • 映画と歴史
  • 戦役終結
  • 「六十年の平和」
  • 人間コモドゥス
  • 姉・ルチッラ
  • 陰謀
  • 初めの五年間
  • 側近政治
  • 「ローマのヘラクレス」
  • 暗殺
第三部 内乱の時代
  • 軍団の“たたきあげ”
  • 皇帝ぺルティナクス
  • 帝位争奪戦のはじまり
  • ローマ進軍
  • 首都で
  • ライヴァル・アルビヌス
  • もう一人の“たたきあげ”
  • イッソスの平原
第四部
  • 軍人皇帝
  • 思わぬ結果
  • 東征、そしてその結果
  • 故郷に錦
  • ブリタニア


時期

  • AD161(マルクス・アウレリウス即位)-211(セプティミウス・セヴェルス死)

主要登場人物

  • アントニウス・ピウス
  • マルクス・アウレリウス帝(在位161-180, 病死)
  • フロント
  • ルキウス・アウレリウス
  • スタティウス・プリスクス
  • ポンペイアヌス
  • ヴァレリウス・マクシミアヌス
  • アヴィディウス・カシウス
  • コモドゥス帝(在位180-192, 病死)
  • セクストゥス・ディジディウス・ペレンニス
  • プブリウス・ヘルヴィウス・ペルティナクス
  • レトー
  • ディディウス・ユリアヌス
  • セプティミウス・セヴェルス帝(在位193-211, 病死)
  • クロディウス・アルビヌス
  • ペシェンニウス・ニゲル


気になる表現

もしかしたら人類の歴史は、悪意とも言える冷徹さで実行した場合の成功例と、
善意あふれる動機ではじめられたことの失敗例で、おおかた埋っているといってもよいのかもしれない。
善意が有効であるのは、即座に効果の表われる、例えば慈善、のようなことに限るのではないか。(下 p108)


メモ

  • マルクス・アウレリウスの執政と苦難
    • 弟を共同皇帝
    • ききん・洪水
    • パルティア軍のアルメニア侵攻:パルティア戦役での人選ミス、属州・軍事経験のない皇帝
    • ローマ市民権所有者の出生届の義務づけ
    • 地方議員志願者減少に歯止めをかける法律制定
    • ペスト
    • キリスト教徒の市民の義務の不参加
    • ゲルマニア戦役:リメス破られる
    • 蛮族対策
    • 謀叛
    • 息子コモドゥスを後継者に指名:内乱を防ぐため

  • コモドゥスの執政
    • ゲルマニア戦役の早期終了:先帝の意向に反し、早期に講和
    • 近衛長官をはじめとする粛清
    • 解放奴隷による側近政治

  • 内乱期の皇帝たち
    • ペルティナクス:登位の功労者レトーに報いず、反乱を起こされて殺害される
    • ユリアヌス:支持者は近衛軍団。早くに支持を失い、最初に殺害される。
    • ニゲル:カッパドキアをはじめとする8個軍団が支持。セヴェルスに敗れ戦死。
    • アルビヌス:ブリタニアの3個軍団およびライン河防衛線担当の3個軍団が支持。一旦セヴェルスと同盟をするも、最終的にセヴェルスに敗れ自死。
    • セヴェルス:ドナウ河防衛線担当12個軍団が支援。



  • セヴェルスの執政
    • 軍団兵の待遇改善→ローマ社会での軍事関係者の隔離につながった
    • パルティア戦役の決行・勝利→パルティアの弱体化・滅亡を早めた
    • 息子カラカラとゲタの不仲

参考

  • 映画「グラディエーター」
  • 映画「ローマ帝国の滅亡」

本書を引用している文献

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最終更新:2011年11月19日 19:16