塩野七生「ローマ人の物語15 ローマ世界の終焉」(2006)


評価

★★★☆

ひとこと

テオドシウス帝の死後、完全に東西分離してしまったローマ帝国。
ローマ人が真にローマ人でなくなったのは、いつのまにか訪れていた西ローマ帝国の滅亡ではなく
東ローマ帝国により「パクス・バルバリカ」が終わった時としています。

分類


目次

第一部 最後のローマ人
  • 東西分離
  • ローマ人と蛮族
  • 将軍スティリコ
  • 後見人
  • “現場証人”
  • 西ゴート族
  • アラリック
  • 地中海が「内海」であった時代
  • アフリカ、反乱
  • 農民から農奴へ
  • 生産しない人々の増加
  • 公共心の衰退
  • 侵攻再開
  • イタリアへ
  • 対決
  • ガリアを捨てる
  • 凱旋式
  • ラヴェンナ遷都
  • 襲い来る大波
  • 迎撃
  • ローマ帝国の実戦力
  • フィエゾレの戦闘
  • ガリアの現実
  • 毒をもって毒を制す
  • 孤立
  • 謀略
  • 譲れない一線
  • 空白
  • 恐喝・その一
  • 恐喝・その二
  • 「ローマ劫掠」
  • ローマから去る人々
第二部 ローマ帝国の滅亡
  • 覇権国の責務
  • 進む蛮族化
  • 「三分の一システム」
  • 東ローマ帝国
  • 女と権力
  • 「軍司令官」たち
  • 「軍司令官」ボニファティウス
  • ヴァンダル族
  • 聖アウグスティヌス
  • 「軍総司令官」アエティウス
  • 瓦解
  • フン族
  • アッティラ
  • シャンパーニュの会戦
  • ヴェネツィア誕生
  • 自壊
  • 再度の「ローマ劫掠」
  • 最後の二十年
  • 東西最後の共闘
  • ローマ帝国滅亡
第三部 「帝国以後」
  • オドアケル
  • 共生路線
  • ブリタニア・「帝国以後」
  • ガリア・「帝国以後」
  • ヒスパニア・「帝国以後」
  • 北アフリカ・「帝国以後」
  • 「パクス・バルバリカ」(蛮族による平和)
  • 棲み分け
  • テオドリック
  • イタリア進攻
  • 東ゴート王国
  • 敗者の活用
  • 忠臣カシオドロス
  • 「東」の長い手
  • 「パクス・バルバリカ」の終わり
  • 学園
  • 修道院
  • ユスティニアヌス大帝
  • 『ローマ法大全』
  • 聖戦思想
  • 将軍ベリサリウス
  • アフリカ進攻
  • ヴァンダル王国壊滅
  • イタリア進攻
  • ゴート戦役
  • ローマ攻防
  • 将軍ナルセス
  • ラヴェンナ落城
  • 戦役再開
  • 終戦
  • イタリアの死
  • ベリサリウスの死
  • ユスティニアヌスの死


時期

  • AD395(テオドシウス帝の死)-

主要登場人物

  • アルカディウス
  • ホノリウス
  • スティリコ
  • アラリック
  • ルフィヌス
  • ジルド
  • マルキアヌス
  • ボニファティウス
  • アエティウス
  • 聖アウグスティヌス
  • アッティラ
  • テオドシウス二世
  • オドアケル
  • アタウルフ
  • コンスタンティウス三世
  • ヴァレンティアヌス三世
  • ゲンセリック
  • カシオドロス
  • ユスティニアヌス
  • ベリサリウス
  • ナルセス
  • トティラ


気になる表現

人材は、興隆期にだけ現われるのではない。衰退期にも現われる。
しかもその人材の質は、興隆期には優れ衰退期には劣るわけではないのだ。
興隆期と衰退期の人材面での唯一のちがいは、興隆期には活用されたのに
衰退期に入ると活用されない、ということだけである。
ゆえに亡国の悲劇とは、活用されずに死ぬしかなかった多くの人材の悲劇、
と言ってもよいと思う。(上)

メモ

  • 最後のローマ人:将軍スティリコ(父がヴァンダル族)
  • 毒を持って毒を制す
    • スティリコ:西ゴート族(西ローマ帝国防衛という目的を果たすための手段。使いやすいことが大事)
    • アエティウス:フン族(個人的な親近感による)
  • フン族の強さの要因
    1. 目的なし、目的地なし→臨機応変な戦法
    2. 家を持つことに関心なし
    3. 法律なし→上の者の命令が絶対
    4. 家族の守り神を持たない→人質が通じない
    5. 明日の食を確保する考えがない→まずは奪うことを考える

  • ブリタニア
    • ゲルマン族とアングロ族に占領される
    • ケルト系ブリタニア人はガリア北西部(ブルターニュ)に移住

  • ガリア
    • 勝者フランク族がカトリックに改宗
    • 行政は従来どおりガリア人が従事

  • 北アフリカ
    • ヴァンダル族による支配

参考

  • 塩野七生「海の都の物語」

本書を引用している文献

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最終更新:2011年11月22日 00:37