あらすじ
パワポケたちの活躍で黄泉津大神は倒され、善のイザナミのもとへ戻った。
だがスパイダーズの呪いはまだ解かれていない。謎の男・才葉秀人によって桜空の負の感情から
生まれ、移植された暗黒の種が、子供たちの中で芽を出そうとしていたのだ。
失踪事件から一転して天才ぶりを発揮しはじめた子供たちの様子を手放しで喜ぶ親たち。
だがパワポケたちだけは知っていた。それが移植された暗黒の種の影響であることを...
パライソタウンの樹齢千年の惨状を見たパワポケとるりか。
そのころブラックパワポケは才葉秀人の前に現れていた...
強大な暗黒の力がどこかに落下した!
水木「オレが持っていたある友人の写真だがな...」
水木が持っていた写真に才葉秀人が載っていた。
夏海「こいつか、才葉秀人という男は?」
水木「ああ...」
パワポケ「これ、持っていっていいでしょうか?」
古沢「ああ、いいぜ。だが、無茶だけはするなよ。」
パワポケ「はい。」
ブラックレディ「開きました。」
秀人「ふっふっふっふっ...」
(ということは、集団幻覚と?)
(ええ、でないと現段階では説明がつかないでしょう。)
(なーに言ってんだ? ビルや道路は実際に壊れてんだぞ。)
(建造物の破壊まで幻覚と言ってるわけじゃない。実際に何が起こったのは事実ですが、
それを怪獣だと見間違えたのが集団幻覚だと言っている)
(話になんねぇよあんた!)
ブラックレディ「ふふふ...特番まで組んで何をやっているのか。
そのうち、集団無意識とか言い出しそうですね。」
秀人「あいつらにとっちゃあ、モンスターもUFOも同じだ。ようするに、信じたくないのさ。
それより、今からこんなに大騒ぎして暗黒の種が芽生えた時にはどうなるんだろうなぁ? くっくっくっ...」
「できたよ!」
「できたって...冬休みの宿題全部済ませたのか?」
「うん!」
「すごいわ! たかしちゃん!」
「すごいというか...すごすぎだよ。だって、誘拐騒動から帰ってきた時、なんか変だぞ。」
「たかしちゃん、ほんとは頭がよかったのよ!」
「そういや、ハイハイするのも他の子よりも早かったな。」
「ねえ? たかしちゃんもマスコミに騒がれるのかしら?」
「俺たち、天才少年の親だぞ。」
パライソタウン マンション
パワポケの母「あっ、そうそう! この人。」
パワポケ「やっぱり!」
パワポケの父「よく見つけたな。」
パワポケ「水木さんの友人なんだ。って、父さん、母さん時間がないんじゃ?」
パワポケの母「あっ、いけない。その話は帰ってから。みんなはゆっくりしててね。」
みんな「はい。」
パワポケの母「あっ、そうだ。これ。」
(バタン)
パワポケ「昨日の事件を調べるんだって。」
白瀬「パワポケの母さんは他の親御さんと昨日の事件を調べるらしいわね。」
パワポケたちは母からもらった紙を見る。
それは誘拐された子供たちの名前と住所が書かれていた。
るりか「桜空ちゃん。」
桜空「絶対にみんなを助けなきゃ。」
白瀬「もちろんよ。」
桜空「私が味わった心の苦しみをみんなに与えちゃいけない。」
パワポケ「そのためにも、みんな、がんばろう!」
みんな「おぉっ!」
夏海「ところで、具体的にはどう動くんだ?」
みんな「......」
ナオ「それはみんなで手分けして、子供たち一人一人を会ってみましょう!
えーと...まず、羽柴さんと夏海さんは...」
パライソタウン(西)
羽柴「もうそろそろ塾から帰ってくるころだな。」
夏海「ああ。」
(にゃ~)
羽柴「あの子...」
子供が足にほっぺをすりすりしている猫を蹴っ飛ばしてしまった!
夏海「蹴った!」
羽柴「ひでぇことしやがるぜ...!」
夏海「話してもムダかもしれないなこりゃ...もう暗黒の種が芽生えた後かも...」
羽柴「とりあえず、話だけでも!」
夏海「もし、子供たちと戦うことになったらどうすりゃいいんだ...」
パライソタウン(東)
「いいかげん帰ってよ!」
パワポケ「お願いです! 最後まで話をさせて!」
(バタン!)
パワポケ「......ごめん、俺の話し方が悪かったみたいだ。怒らせちゃったな...」
るりか「そんなことありません。パワポケが悪いんじゃ...」
白瀬「るりか...」
るりか「...」
白瀬「みんなわかってる。」
るりか「白瀬さん...」
パワポケ「次に行ってみよう。」
パワポケとるりかと白瀬とリコが帰っていくところを見た子供が冷たい発言を...
「虫けらが...」
パライソタウン(北)
空き家では秀人とキュラスとブラックレディが料理を作っている。
キュラス「仕上げはワインで...」
秀人とキュラスとブラックレディが食事を終えた後...
ブラックレディ「雪です。明日は積もりますかねぇ?」
秀人「積もるかもしれん...今のうちに車にチェーン巻いとけ。」
ブラックレディ「あ、あたしが?」
秀人「お前しかいないだろ。」
ブラックレディ「はい...わかりました。」
ブラックレディは車のタイヤにチェーンを巻いた。
その途中、隕石のようなものが落下してくることに気づくブラックレディ。
ブラックレディ「なにが?」
(ドカーーーーーーーン)
次の朝
ナオ「桜空の前ではちょっと言いづらいんだけど、
あたしたちが暗黒の種を取り除くのは、どう考えたってムリだわ。
でも、だからといって、みんなを見捨てるわけにはいかない。
おそらく取り除けるのは、あの才葉秀人って男だけ。
才葉秀人にしても、種を植え付けてそのままってこともないだろうから、
絶対子供たちと接触してくると思うわ。」
リコ「つまり、子供たちを見張ろうってことだよね。」
ナオ「そうですよ!」
パワポケ「よし、やろう。五十鈴やユイ、紫杏と甲斐さんにも応援を頼もう。」
みんな「賛成!」
ナオ「ごめんね桜空。他に方法が思いつかなくて...」
桜空「私のことなら心配しないでお姉ちゃん。」
ナオ「うん。」
(トゥルルル...)
白瀬「誰から?」
(ピッ)
るりか「紫杏さん?」
パワポケ「よし、さっそく行動開始だ!」
パライソタウン(北)
ブラックパワポケが突如秀人の所に近づいてきた。
秀人「いつまで寝てる! 起きやがれ!」
ブラックレディ「な、何でしょう!?」
秀人「お客さんだ。出迎えてやれ。」
キュラス「お客?」
(ドカーン!)
キュラス「な、何だ!?」
キュラスたちがブラックパワポケに気づく。
ブラックレディ「お、お前は?」
そして...
パワポケたちは五十鈴やユイ、紫杏や甲斐たちの応援を得て、
暗黒の種を植え付けられた子供たちを監視する。
だが、そこにはパワポケとるりかと白瀬はいない。
ナオ「うん、了解。」
パワポケとるりかと白瀬は、樹齢千年にやってきていた。
るりか「樹齢千年がこんなに枯れてきているなんて...」
パワポケ「樹齢千年が死にかけてきているな...」
るりかが緊迫した気配に気づく...
るりか「何でしょう...この胸騒ぎ...」
パワポケ「いやな予感がする...」
白瀬「このドス黒い気配...あいつが帰ってきたんだわ。」
るりか「まさか...ブラックパワポケ...!?」
白瀬「ええ。」
マスタークラウン「お前達が黄泉津大神イザナミの心を浄化するとき、
十束の剣に樹齢千年の力を宿したのであろう?
だが、あの力は本当は地球の善と悪、生者と死者の境界線のバランスを取ることだったのだ。」
るりか「まさか、私たちが黄泉津大神イザナミの心を浄化させるときに、
その力を使ったせいなのでしょうか...?」
パワポケ「なんだか悪いことをしたな...」
マスタークラウン「むっ...? パライソタウンで胸騒ぎがある...」
パワポケ「まさか...!? ブラックパワポケがパライソタウンに?」
白瀬「どうやってあいつと戦うの?」
パワポケ・るりか「......」
パワポケ「ブラックパワポケと戦うことになるが、いいのか、るりか?」
るりか「説得してダメだったら...」
パワポケ「よし、わかった。」
るりか「急ぎましょう!」
パワポケたちは急いでパライソタウンの北へ向かった。
ブラックパワポケ「久しぶりだな。」
キュラス「どっかで消えたと思ったらこんな所にいたのか。」
ブラックパワポケ「かかってくるか?」
キュラス・ブラックレディ「くっ...!」
秀人「お前がブラックパワポケか。わざわざ何の用だ?」
ブラックパワポケ「生みの親の顔が見たくなった。」
秀人「ふっ...」
ブラックレディ「親の顔なら今まで散々見てきてるじゃない。
あたしよ、あたしの邪黒水晶からお前は生まれたのよ。」
ブラックパワポケ「そういうお前の生みの親は誰だ?」
キュラス「お、おい...」
ブラックパワポケ「キュラス、お前の親は?」
キュラス「そ、それは...」
秀人「私だよ。こいつらは私が配合で作った魔物。」
ブラックパワポケ「ということは俺の中にもお前の遺伝子情報があるわけだ。」
秀人「そうなるな。さあ、用事は済んだろう? とっとと帰れ!」
ブラックパワポケ「俺は今日まで彷徨ってきた。俺の存在を価値あるものを認めてくれる世界がないかと...
だが、そんな場所はどこにもなかった。しかしお前の話を聞いてその理由がわかった。
俺もそこにいるキュラスと黒雷仙女と魔蝕虫、黄泉の世界から出てきた者だからだ。
そしてブラックレディ。本来、人間界にいてはならない存在!」
秀人「哲学ならどっかよそで...」
ブラックパワポケ「用事を済ませた。異物は葬らねばならない!」
秀人「ふん、私は異物なんかではないぞ。」
ブラックパワポケ「いや、お前も異物だ。人間界に存在してはならない異物!」
キュラス「何を言うのかと思ったらヤツはすっかり壊れておるな、ボス。ボス?」
秀人「異物だと...? 人間界に存在してはならない異物だとぉ!?」
ブラックレディ「どうしたのです?」
ブラックパワポケ「死ねっ!」
ブラックパワポケは秀人に殴りかかった。
パワポケ「やめろ!」
そこにパワポケたちが駆けつけてきた!
ブラックパワポケ「お前...以前会った...!?」
パワポケ「もう一度話したい。」
ブラックパワポケ「話すことはない!」
ブラックパワポケは秀人を狙う。
パワポケ「あっ、危ない!」
(バキッ!)
キュラス「こないだの時といい、助かるな。」
白瀬「るりか、才葉秀人を追うわよ!」
るりか「はい!」
(タタタタタッ...)
パワポケ「どわっ!」
ブラックパワポケ「なんであんなヤツをかばった!?」
パワポケ「人間の子供たちに植え付けられた暗黒の種を取り除けるのは、
あいつしかいないんだ。だから殺させない!」
ブラックパワポケ「だったら腕づくで止めるんだな!」
るりかと白瀬は灰原学園秘書の紫杏の車に乗り込んだ。紫杏は車で秀人の車を追う。
ブラックレディ「来たわ!」
キュラス「よし!」
キュラスは車の後ろのフタを投げつけた。
紫杏の車は投げつけてきた車の後ろのフタをかわす。
白瀬「るりか、リコとナオたちに応援を!」
るりか「はい!」
(ピー)
ナオ「るりか!」
るりか「応援をお願い!」
ナオ「桜空、リコ! 行きましょう!」
パワポケ「よせ。お前に話したこと、覚えてるか? 俺たちは仲間になれる!」
ブラックパワポケ「なれない!」
パワポケ「なぜ?」
ブラックパワポケ「俺にはいらない!」
ブラックパワポケは負の力をまとったパワポケファイナルをパワポケに放った。
パワポケはパワポケファイナルを盾で防いだ。
(ドン!)
ブラックパワポケ「ぐあっ!」
パワポケ「憐れみなんかじゃない! 心から言ってるんだっ!」
ブラックパワポケ「俺には理解できない。なぜそこまで他人のことを思いやれる?!」
ブラックパワポケはパワポケを蹴っ飛ばした!
パワポケ「どわっ!」
ブラックパワポケ「パワポケはこの世に二人いらない! 俺かお前か、どちらか一人でいい!!」
そして...ナオとリコと桜空が白瀬とるりかのもとに駆けつけた!
ナオ「応援に来ましたよ!」
紫杏の車はブレーキをかけた。
白瀬「ありがとう。羽柴さんと夏海さんは?」
ナオ「大丈夫、先回りしてますよ!」
羽柴「ここから先は危険なので通行しないでください。」
夏海「富士山方面に迂回してください。」
六学院「ご迷惑をおかけします。」
夏海「ちょっとまずいな...」
羽柴「えっ、何が?」
夏海「自衛隊の演習場がすぐそばにあるんだ。」
六学院「大丈夫だ。俺が事情を話しておいた。」
秀人「運転は私がやる。お前らはヤツらを始末しろ!」
ブラックレディ「はいっ!」
キュラス「応援に来てくれたか。」
ブラックレディ「命令だよ!」
キュラス「真空波!」
ブラックレディ「ノイズストーム!」
秀人「はっはっは、ざまあみろだ! なにっ!?」
紫杏「逃がさないわ。」
(バン! バン! バン!)
ナオたちは車から降りた。
ナオ「桜空はるりかとフッキーと一緒に甲斐さんの車に乗り込んで才葉秀人を!
ブラックパワポケはあたしたちにまかせて!」
桜空「わかりました! お姉ちゃん!」
リコ「行こう、ナオ!」
(ピカーーー)
リコとナオの純真の王冠の光が輝き、ナオとリコは純真の飛翔を身につけた!
街中
一般人たち「うわあぁーーーー」
(ドン!)
パワポケは吹っ飛ばされた反動で壁にぶつかった。
ブラックパワポケ「とどめだ!」
リコ・ナオ「ちょっと待ったーーーーーっ!!」
純真の飛翔をつけたリコとナオがブラックパワポケをつかみ、人や町を巻き込まないところへ連れて行った!
ブラックパワポケ「うっ!? 何をする!?」
リコ・ナオ「ここじゃまずいでしょ!」
埋立地
リコ「ここで4人みんなで戦おうよ! ここなら人や町などを巻き込まずに思いっきり戦えるよ!」
ブラックパワポケ「いいだろう。パワポケファイナル!!」
パワポケ「パワポケファイナル!!」
リコ・ナオ「ダブルエレメンタルショット!!」
(ドーーーーーーーーーン!!)
紫杏と白瀬と甲斐の射撃により秀人の車が煙を上げた。
秀人「車を捨てて逃げるぞ!」
ブラックレディ「はいっ!」
一般人たち「うわあぁーーーー」
るりか「みんな避けてください!」
キュラス「ええい、しつこい人間どもだ!」
白瀬「ダメ! 人が多くて技を出せない。」
キュラス「はあぁっ!」
るりか・白瀬・桜空「きゃあっ!!」
るりか「うっ、うう...」
白瀬「才葉秀人たちは...?」
桜空「見失ってしまいました。もう少しだったのに...それより私たちも逃げましょう。」
その頃、パワポケ・ブラックパワポケ・リコ・ナオは...
ブラックパワポケ「3対1とは、俺を負かすものがいたとはな...
せっかくならとどめをさしてもらいたかったものだ...俺という存在を打ち消してくれたらどんなに...」
リコ「かっこつけないでよ...! それって死にたいって意味!?
あんたが強い敵を探していたのは倒したいからじゃなく、倒されたいから?
死ねば悩むこともなく、楽になれるから!?」
ブラックパワポケ「...!?」
リコ「だけど、楽にはさせてあげない...! もっと悩んでよ。もっと苦しんでよ。
だって、生きるってそういうことだもん! 何でもうまくいくとは限らない...
みっともない...もうみんなの前に顔を出せないと思ったって、それでも我慢して生きていかなきゃならないんだよ!」
パワポケ「つらいこと色々あった...でもそれと同じくらい楽しいこともあった...
お前は言ったんだよな。自分が自分である理由って何かって。俺にはわからない。でもこれだけは言える。
そうやって色々経験してきたから...プロ野球選手になる夢をかなえることができたから今の俺がある。
俺がしてきたことのすべてが、俺が生きてきた何よりの証拠だって。」
ナオ「だから楽しいんですよ! みんなと一緒にいて楽しいんですよ!
桜空と一緒にいるから楽しい。だからって手を抜いて生きているわけじゃないの。
何事も全力でやる。だから楽しい。だから毎日が充実しているんですよ!」
リコ「生きていく目的を知りたいのならがむしゃらに生きてみなきゃ。石ころにつまずいて、ひざまずいて。」
ブラックパワポケ「そんな生き方は無様だ。」
リコ「何ですって!?」
パワポケ「どこへ行くんだ?」
ブラックパワポケ「俺も、無様な生き方をしてみるか...」
ナオ「それ...」
ブラックパワポケ「感謝する。」
ナオ・リコ「え...」
ブラックパワポケ「お前たちと話せて良かった。さすがは、俺を打ち負かしただけのことはある...」
ブラックパワポケはどこかへ去っていった...
次回予告
流れる時の中、流れる過去、少年の頃の夢、苦悩する才葉秀人。
だが、不気味な影が再び覆い、暗黒の種はついに花開く。
自らの運命に決着をつけるため、漆黒の勇者が大空を駆け巡る!
次回
ブラックパワポケの封印 今、冒険のゲートが開く。
続く
最終更新:2023年06月01日 16:45