電脳野球編 ハッピースタジアム

ホンキ度を選んでください。
さらにホンキ度を上げたり、2.0以下に下げるにはパワポケポイントが必要です。
ホンキ度を上げた時にゲームオーバーになったり、リセットすると0.5下がります。

ホンキ度 名称 必要パワポケポイント
0.0~0.9 ほぼ無敵 20~38
1.0~1.9 楽勝 2~18
2.0~2.9 標準 0~18
3.0~3.9 強め 20~38
4.0~4.9 挑戦的 40~58
5.0~5.9 激アツ 60~78
6.0~6.9 地獄級 80~98
7.0~7.9 昇天必至! 100~118
8.0~8.9 最大最強!! 120~138
9.0 空前絶後!!! 140

主人公の名前:パワポケ
守備位置:ピッチャー
投打:左投左打
投法:オーバースロー1
変化球:ストレート
野球:アクション野球
ロックオン:しない
かけごえ:しない
守備:マニュアル
走塁:マニュアル
ホンキ度:9.0 空前絶後!!!

オープニング BGM:お~ぷんニング

俺は小学生のころから野球ばかりやってきた。
しかし今年の春、大学を卒業してごく普通の会社に就職。
これからは野球とは関係のない生活を送るんだと思っていた。
しかし......

パワポケ「ええーっ、俺の会社がなくなったってー?!」

なんと、卒業直前に内定していた会社が倒産。
いきなり俺は社会に身ひとつで放り出されてしまった。

先輩「...景気が悪いからな。まあ、気を落とすな。お前が悪かったわけじゃない。」
パワポケ「...はい、先輩...」
先輩「そうだ。最近、面白いゲームを見つけたんだ。ちょっと待っていてくれ。」

自宅

パワポケ「あのー、先輩? なかなか戻ってこないけど、なにをやっているんです?
...あれ、どこにもいないぞ。おかしいなあ。
パソコンとかつけっぱなしでどこに行っちゃったんだろう?」

BGM:なにか..いる...

パワポケ「...ハッピースタジアム? パソコン用の野球ゲームかな。」

これが、その野球ゲームと俺との出会いだった...

BGM:電脳始めました。

(マンションの自分の部屋)

「それで朝まで待ってたけど、先輩は帰ってこなかったでやんすか?」
パワポケ「うん、そうなんだ。」

(彼は開田 具知(かいだ ぐち)。大学で一緒に野球をやっていた親友で、
2人でマンションの一室を借りている。いわゆる、ルームシェアだ。)

開田「中山先輩にも困ったもんでやんすね。誰かから電話で呼び出されて
パワポケ君に何も言わずに出かけたってところじゃないでやんすか?」
パワポケ「うん...まあ、それぐらいしかないよな。
カギは開けっ放しで帰ってきたけどあれでよかったのかなあ。」
開田「そんなことより、就職でやんす! オイラたちは、雇ってくれる会社が見つからないと、
故郷に帰らないといけない境遇なんでやんすからね。」

(さっきは説明し忘れたが、開田も会社が倒産して、今は無職の身だ。)

パワポケ「そうなんだよなあ。」
開田「たしか、パワポケ君の実家は漁師さんだったでやんすよね。」
パワポケ「うん。内定していた会社が倒産してからは毎週のように電話してきて
帰って来いって言ってる。でも、俺はこっちで就職したいんだけどな。」
開田「...もうひとつ、切実な問題があるでやんす。」
パワポケ「なんだい?」
開田「生活費と、ここの部屋代でやんす。今週末にでも、管理人さんが集めに来るでやんすよ!」
パワポケ「ああ、なるべく考えないようにしていたのに。」
開田「とりあえず、アルバイトでやんす。仕事をして、お金をかせぐでやんす! ファ、ファイトでやんすー!」
パワポケ「お、おー!」

(ヒント! とりあえず、アルバイトをしてお金をかせぎましょう。あとあと役に立ちます)

パワポケと開田はお金を稼ぐためにアルバイトに出かけたのだった...

アルバイトの後...

開田「ああ、仕事で疲れたでやんす。しかも、作業中にケガしちゃったでやんす。」
パワポケ「体力がないときは、どうしても不注意になるからな。」

(ヒント! 体力の少ないときには無理をせずに回復コマンドを選び、体力を戻しておきましょう!)

パワポケ「ところで、いくらぐらいお金を残しておけばいいのかな。」
開田「毎週の生活費は1万円ぐらいでやんす。月末には、ここの借り賃の6万円が必要でやんすね。」
パワポケ「結構大変だな。」
開田「大丈夫でやんすよ。部屋代は、半分オイラが出すから軽いものでやんす。」
パワポケ「そんなこと言って、先月は俺に全額払わせたじゃないか。」
開田「先月は、限定フィギュアが出たからお金が必要だったのでやんす。」
パワポケ「じゃあ、今月は先月分とあわせて部屋代は全額出してくれよ!」
開田「ええーっ?! 生活費の他に6万円...きびしいけど、わかったでやんす。」
パワポケ「(...大丈夫かな? 一応、お金を持っておいたほうが安心だな。)」

(注意! 週末の支払いができないと、世間評価が下がっていきます。
世間評価が下がりすぎると、実家に連れ戻されて、ゲームオーバーになってしまいます!)

次の朝...

(ピンポーン)

パワポケ「.........。中山先輩、今日も留守なのかな。」
「あれ? あんたこの部屋の人と知り合い?」
パワポケ「え、ええ。」
「カギ開けっ放しで留守だったから管理人さんに頼んでカギかけてもらったんだけどね。
それから帰ってないみたいだよ。」
パワポケ「それって、いつの話です?」
「先週の23日。」
パワポケ「(俺が会ったのが22日...)」
「連絡があったら、隣の部屋のあたしが荷物を預かってるって言っておいてよ?」
パワポケ「は、はい。.........。じゃあ、あれから帰ってないんだ。
ちょっと心配だけど、生活のために俺はアルバイトに行かないと。」

アルバイト後...

開田「おかえりでやんす。」
パワポケ「ただいま。...まさか、今日一日中パソコンに向かっていたのか?」
開田「遊んでたわけじゃないでやんすよ? 就職のための情報収集でやんす。
でも、どこもかしこも苦しいらしく新規採用は今年も減少でやんす。
景気がいいのはツナミグループぐらいのものでやんすかね。」
パワポケ「去年の夏、大きな会社が2つ合併して世界最大の会社になったところだよな。
たしか...オオガミグループとジャジメントグループだっけ?」
開田「オイラもツナミの会社から内定がもらいたかったでやんす。よらば大樹の陰、って本当でやんす。」
パワポケ「俺たちみたいな人間がそうそう簡単に一流企業に入れるもんか。
...ん、その画面は! 開田君、やっぱり今日はパソコンでゲームばっかりしていたな!」
開田「ど、どうしてわかったんでやんすか?」
パワポケ「いや、ひっかけだけだよ。あっさり白状してくれたけどな。」
開田「ぐっ...そういえばアンタは野球の試合でもハッタリだけは得意だったでやんすね。
あくせんしたって、どうせオイラたちは負け犬でやんす! 一日一日が楽しく過ごせればそれでいいんでやんす!」
パワポケ「そんな悲しいこと言うなよ。がんばれば、なんとかなるって。」
開田「...そのハッタリだけはきかないでやんすよ。」

次の朝...

パワポケ「開田君は、またパソコンでゲームか?」
開田「違うでやんす。ツナミネットでやんす。」
パワポケ「だから、ゲームなんだろ?」
開田「いや、そうじゃなくて...説明するのが難しいでやんすね。
パワポケ君もできるようにしてやるでやんすから、やってみれば一発で理解できるでやんす。」

電脳世界 BGM:サクセスでアクセス

パワポケ「.........。これが俺なの?」
開田「そうでやんす。ネットの世界での自分の分身「アバター」ってやつでやんすね。」
パワポケ「ふーん。このキャラを操作して、この世界を歩き回るわけか。で、このゲームの目的はなに?」
開田「目的は、ないのでやんす。」
パワポケ「え?」
開田「この世界を歩き回って好きなことをやるのがツナミネット、いわゆるオンラインワールドでやんす。」
パワポケ「好きなことって...何をやっていいのかわからないよ。」
開田「女の子がそこにいるから、話しかけてみるでやんす。」
「........。」
パワポケ「どうもこんにちは。」
「こんにちは。あ、はじめましてですね。」
パワポケ「俺の名前はパワポケ...」

現実世界

開田「ちょっと待つでやんす!」
パワポケ「びっくりするじゃないか!」
開田「ああ~、手遅れだったでやんす。こういう場所で、本当の名前は使わない方がいいのでやんすよ。
悪用される可能性があるので、住所とか個人が特定される情報は使っちゃだめなんでやんす。」
パワポケ「あ、でも本名でアバターも登録しちゃったし。」
開田「しかたがないでやんすねえ。本名だってばれないようにごまかしておくのでやんすよ?」

電脳世界

「わたしは、カオルです。よろしくおねがいしますね。」
パワポケ「こんな時間にこんな場所にいて、学校には行かなくていいの?」
カオル「?」

現実世界

開田「...パワポケ君。まさか、この子が本当に小さな女の子だと思っているんじゃないでやんすよね?」
パワポケ「え?」
開田「アバターは、本当の自分の姿とは無関係に作れるのでやんす。
この子は小さい女の子に見えるでやんすけど...
本当は55歳のおっさんかもしれないし、70のジジイかもしれないのでやんす!」
パワポケ「(どっちにせよ年配の男なのか?)」

電脳世界

カオル「大丈夫ですよ。学校にはもう行かなくていいんです。」
パワポケ「そ、そうなのか。(じゃあ、大人の人なのかな)」
カオル「じゃあね、バイバイ。」
パワポケ「あ、バイバイ...」

現実世界 BGM:電脳始めました。

パワポケ「つまり、こんな風に正体を隠していろんな人と話すゲームなのか?」
開田「まあ、そういうことでやんすかね。他にもいろんなことができるでやんす。ケンカとか野球とか...」
パワポケ「えっ、野球?」
開田「スポーツエリアって所に行くと、アバターたちが集まっていろんなスポーツができるのでやんす。」
パワポケ「へえ~。」
開田「最初はヘタクソでやんすけどね。ほら、こうするとパワポケ君のアバターの能力が表示されるでやんす。」
パワポケ「ふーん、野球の能力が低いなぁ。これってどうやって上げるんだい?」
開田「そりゃあ、この世界の中でちゃんと野球の練習をするんでやんす。」
パワポケ「な、なんだって!? どうしてそんな面倒くさいこと...
それなら現実の世界で野球をした方が簡単じゃないか!」
開田「わかってないでやんすねえ。この世界でなら、現実では無理なことができるんでやんすよ!」
パワポケ「どういう意味なんだ?」
開田「ま、気が向いたなら、いつでもこのパソコンを使ってツナミネットで遊んでみるでやんす。」
パワポケ「(俺には向いてそうにないからたぶんやらないだろうなあ...)」

そして、次の朝...

(ピンポーン)

パワポケ「.........。先輩はやっぱり留守か。」
「あら? この前の人じゃないの。」
パワポケ「あ、どうも。」
「どうもじゃないわよ! この前、警察の人がうちに来て中山さんを最後に見たのはいつですかなんて聞かれたのよ。」
パワポケ「えっ!?」
「もう気味が悪いし、面倒くさいことはやだから、ウチが預かってる荷物、あんたが持っていってよ。」

(そして...)

開田「それで、荷物を押し付けられたのでやんすか?」
パワポケ「うん、これだけど...」
(バリッ!)
パワポケ「おい、開田君! いきなり勝手に開けるなよ。」
開田「もしかしたら、このお届け物で先輩がいなくなった理由がわかるかもしれないでやんす!」
パワポケ「でも、プライバシーが...」
開田「差出人は...武内ミーナ? 芸能人みたいな名前でやんすね。中身はコピー資料にビデオテープ?
いまどきこんなもの、ネットで送信すればいいのでやんすのに。」
パワポケ「そうしなきゃならない理由でもあったのかな?」
開田「まあ、内容はオイラが調べておくでやんすから、
あんたはとっととアルバイトにいくなり遊びにいくなり好きにするといいでやんす。」
パワポケ「えっ...? そんなこと言って...今日も仕事をサボる気だな?」
開田「じゃあ、これを調べるのは夜まで待つでやんすか?
...その結果、中山先輩の身になにかあっても全責任はパワポケ君でやんすからね。」
パワポケ「ど、どうしてそうなるんだよ。」
開田「とにかく、これはオイラに任せてアンタは仕事しろでやんす!」

次の朝...

パワポケ「呪われたゲームの資料だった?」
開田「そのゲームをやって負けると、この世から消えちゃうんだそうでやんす。ネットの野球ゲームらしいでやんすよ。」
パワポケ「...え? 野球の...ゲーム?」

BGM:なにか..いる...

開田「まあ、たわいもない都市伝説でやんすけどね。この武内って人が、中山先輩に
調査の協力を依頼していて、これは追加の資料でやんす。」
パワポケ「...そのゲームって、まさかなんとかスタジアムって名前か?」
開田「ハッピースタジアムでやんす。なにか知ってるんでやんすか?」
パワポケ「実は...中山さんがいなくなったときパソコンで野球ゲームが動いていたんだ。」
開田「うわっ! それってヤバイでやんすよ~
...あ...でもそうなると...残りの話も本当なのかもしれないでやんす。」
パワポケ「...残りの話?」
開田「資料では、その野球ゲームに勝つとどんな願い事でもかなえてくれるそうでやんす。
オイラ、ゲームは得意でやんすからね。」
パワポケ「お、おいおい、やめてくれよ? 開田君まで消えちゃったらシャレにならないよ。」
開田「.........。」

アルバイト後...

パワポケ「はぁ~、ただいま。なかなか就職先は見つからないな。」
開田「いいところに帰ってきたでやんす。例の野球ゲーム、いまからやるところでやんすよ。」
パワポケ「.........はあ!? まさか、呪われた野球ゲームのことか? おい、やめとけよ!」
開田「パワポケ君、いいでやんすか? 中山先輩が消えたのは、おそらくこのゲームのせいでやんす。
だから、このゲームに勝って先輩を取り返すのでやんす。」
パワポケ「いや、もしその話が本当ならものすごく危険だぞ。」
開田「そこで、パワポケ君の出番でやんす。
オイラが試合に負けそうになったらそこの通信ケーブルを引っこ抜いて欲しいのでやんす。」
パワポケ「...へ?」
開田「このゲーム、ネットで誰かと対戦するゲームなんでやんすよ。
だから、中断してしまえばゲームは無効でやんす。」
パワポケ「おい、そんなことで大丈夫なのか? 第一、それはルール違反なんじゃ...」
開田「だから、オイラがやるんじゃないのでやんす。
パワポケ君が勝手に自分の判断でオイラの試合を終わらせるのでやんす。
事故の通信エラーだから仕方がないのでやんす。」
パワポケ「ああ、なるほど...いや待て、やっぱりやめとけよ。そんな言い訳が通用すると思うのか?」
開田「もう遅いでやんす! さあプレイボールでやんすよ!」
パワポケ「ええっ!?」
開田「(クックック...勝ったらとりあえず自分の願いをかなえてもらって、先輩の件は後回しでやんす。
これでオイラも人生の勝利者に仲間入りでやんす!)」

(そして...)

開田「むむむむぅ...でやんす...」
パワポケ「(開田君が1点負けて5回か。)」

パワポケはここでもう少し様子を見た。そして...

開田「..........。」
パワポケ「(やばい! 開田君が2点負けてて、試合はもう8回だ!)」

パワポケはここでもう少し様子を見た。そして...

(カキーン!)

パワポケ「うわ、最後のバッターが打ち上げた! もうだめだ!」

(ブチン!)

開田「か、間一髪だったでやんす...」
パワポケ「ふう、危ないところだったな。」
開田「危ないと思ってたなら、さっさと引き抜けでやんす!」

BGM:なし

(...ゲームマスターより通達。意図的なゲーム中断は、「敗戦」とみなされます。)
パワポケ「え。この声、どこから...い、いや、それよりも...
どうしてパソコンが動いてるんだ?! 電源ケーブルも一緒に抜いたのに!?」

BGM:ギャ~でたぁ~~!!

パワポケ・開田「!!」

(しゅるしゅるしゅる)

パソコンから無数の手が伸びてきた!!

開田「うぎゃー! オ、オイラのせいじゃないでやんす!
パワポケ君が、パワポケ君があ! かかか、勝手にケーブルを...ぎゃああああああああ~!!」

(しゅぽん)

パワポケ「モ、モニターの中に吸い込まれた?! うわああああああ!」

(タタタタタッ...)

BGM:電脳始めました。

次の朝...

(翌朝)

パワポケ「...とりあえず、開田君のパソコンはしばりあげたぞ。またあんな変な触手が出てきたらイヤだからな。」

(トゥルルル...トゥルルル...)

パワポケ「な、なんだ、電話か...まったく、おどかすなよ。」

(ピッ!)

「もう、早く出なさいよ!」
パワポケ「...あ、母さん?」
パワポケの母「内定していた会社が倒産して、就職がダメになったんだろ? こっちに帰ってきなさいよ。」
パワポケ「それはもう何回も話しただろ? 俺はこっちで働きたいんだよ。」
パワポケの母「いいかげんあきらめなよ。今は景気が悪いから、そんな簡単に別の会社が見つかったりしないよ。
それに...ここだけの話だけどね。お父さん、体の調子が良くないのよ。」
パワポケ「えっ?」
パワポケの母「一人で漁に出てるだろ? 母さん、ちょっと心配でね。」
パワポケ「でも...」
パワポケの母「とにかく、早いところ見切りをつけてこっちに帰ってきておくれ。」

(ピッ!)

パワポケ「.........。バイトにでも行くか。」

アルバイト後...

大家さん「はーい、集金だよー。」
パワポケ「あ! (開田君が消えちゃったから、毎月ここの借り賃6万円を支払わないとダメなんだ。)」

(ヒント! 月末の支払いは6万円です。支払う日は、毎月最後の木曜日です。よく覚えておきましょう。)

パワポケ「はい、どうぞ。」

パワポケは60000円支払った

大家さん「あれ、開田さんはお留守? そういえば、あたしはここしばらく開田君を見てないね~
てっきり部屋にこもってマイコンでもやってるんだと思ってたよ。」
パワポケ「ま、まいこん?」

(「マイコン」はパソコンの昔の呼び方です。)

大家さん「ほら、今のゲームってすごいんだろ?」
パワポケ「あ...いや、えーと...しばらく出かけていて...」
大家さん「? 実家に帰ってるの?」
パワポケ「い、いや、実は俺も行き先を知らなくて。」
大家さん「なんだい、ひょっとしてケンカでもして追い出したんじゃないだろうね?
とにかく住んでいるのが一人でもしっかりお金はいただくからね!」
パワポケ「(本当のことは言えないしなぁ。)」

そして次の日、アルバイト後...

パワポケ「(しかし、どうしよう。開田君は消えたままだし。こうなったら、実家に帰ろうかな。)」
(....やれやれ......とんでもないヘタレだな、お前。)
パワポケ「な、なんだ? いったい、だれの声だ? どこにいるんだ!
...おかしいな、だれもいないぞ? とうとう変な声まで聞こえだしたか。」
「あの~、もしもし?」
パワポケ「うわっ!」
「おや、驚かせてしまいましたか。いまお帰りでしょうか?」
パワポケ「は、はい。なんでしょう?」
「あなた、パワポケさんですね? ここに開田さんと一緒のお住まいの。」
パワポケ「え、ええ。」
「あ、申し遅れました。私、警察の渦木(うずき)と申します。」
パワポケ「(刑事さん!?)」
渦木「少しお話を聞かせてもらってもよろしいですか?」
パワポケ「ど、どうぞ。」

(そして...)

渦木「いやあ、行方がまったくわからないので私どもも困ってるんですよ。」
パワポケ「開田君なら、よくあることです。」
渦木「えっ? 開田さんもいなくなったんですか?」
パワポケ「え。(あっ、まさか? 先輩のことを聞きに来ていたのか!)」
渦木「ふうむ。中山さんに続いて開田さんも。立て続けに2人もねえ...あなたの周りで。」
パワポケ「(ぎく) ぐ、偶然ですよ!」
渦木「...偶然? どうして強調するんです?」
パワポケ「そりゃあ...ええと。」
渦木「...まあ、いいでしょう。ところで、4月22日の夜にあなたは中山さんのお宅におじゃましていますよね。」
パワポケ「はい。」
渦木「そのとき、何か気が付いたことは?」
パワポケ「野球のゲームです!」
渦木「はい?」
パワポケ「いや、野球のゲーム...だからあの...なんでもありません。」
渦木「ふうーん。」
パワポケ「も、もういいでしょう! 2人の行方は知りません。忙しいので帰ってください。」
渦木「はい、わかりました。では、今日はこれで失礼します。」

(バタン)

パワポケ「.........ふう。」

(がちゃ)

渦木「ああ、そうそう...ひとつだけ気になったんですけど。あそこにあるアレ。アレは一体、何なんです?」
パワポケ「え? (あ!) か、開田君のパソコンです。」
渦木「どうしてしばってあるんです? それも、こんなに厳重に。」
パワポケ「さ、さあ?」
渦木「ふうん...」
パワポケ「あっ、触らないで!」
渦木「どうして?」
パワポケ「どうしてって...その、開田君のパソコンですからほ、本人の許可がないとだめです。」
渦木「ああ、なるほど。それもそうですねえ...それじゃあ、またよろしく。」

(バタン!)

パワポケ「明らかに、俺を疑ってるよな。...このままじゃまずいぞ。
本当のことを言っても絶対に信じてもらえないだろうし。」
(ケケケ...この際だから逃げ出しちまえよ。)
パワポケ「い、いや...それはさすがに後味が悪すぎるよ。...って、俺は誰に返事してるんだ?」

パワポケはあたりをキョロキョロした。

パワポケ「やっぱり、気のせいか。それより、なんとかして俺があの二人を助け出すしかないのか?
...まずは、あのゲームについて調べてみないとな。」

(ヒント! これから街をうろつけるようになります。街で情報を集めましょう!)

次の朝...

パワポケ「...だめだ。先輩の家に送られてきた資料がどうしても見つからない。
開田君はどこに隠したんだろう? あの資料が見つからないとなると...うーん...
パソコンのゲームなんだからネットの中で話を聞かないとやっぱりダメかなあ。」
(チラ)
パワポケ「いきなり、触手とか出てきたらやだなぁ...」
(まあ、やめとけって。どうせ何やったってムダさ。)
パワポケ「わっ、またあの変な声だ! どうなってるんだ、いったい。
これじゃあ、なにか行動してないと頭がおかしくなりそうだ。」

電脳世界 BGM:サクセスでアクセス

パワポケ「よし、ちゃんとツナミネットに入ることが出来たぞ。」
カオル「あら? また会っちゃいましたねー。...ええっと?」
パワポケ「パワポケだよ。そういうキミは...カオル。」
カオル「ええ、そうですよ。それだけは覚えているから...」
パワポケ「? あ、そうだ! 野球ができる場所を知らないかな?」
カオル「野球、ですか?」

(そして...)

カオル「ここがスポーツエリアですよー。」
パワポケ「すごいな。球場やグラウンドがありえないぐらい密集してる。でも、ちょっと小さくない?」
カオル「うふふ、中に入ると本物みたいに広いんです。...野球がお好きなんですか?」
パワポケ「えっ? うん、まあね。」
カオル「そうですかー! 自分も野球は大好きです。でも、見るばっかりでやったことはないんですよー。」
パワポケ「どうして?」
カオル「運動神経がありませんし、病気で、あまり激しい運動をしちゃいけないから...」
パワポケ「それは現実の話だろ? この世界でなら平気じゃないか。」
カオル「あっ! そういえばそうですね。どうして気づかなかったんだろう。」

(そして...)

パワポケ「いくよ。それっ!」

(ぴゅっ!)
(ばしっ!)
(ぴゅっ!)
(ばしっ!)

カオル「キャッチボール、やったの初めて!」
パワポケ「...「現実では無理なことができるようになる」か。開田君の言ってたことが少しわかってきた気がするな。」

続く

最終更新:2020年08月13日 01:46