あらすじ
ハキムとソネを倒したパワポケたちは、当初の予定通り、
パワポケ、カイダ、
イーベル、サラ、
メモリーそしてリンの六人で、更に奥へ進むことになる。
ようやくシアンのいる場所にたどり着いた彼らの前にイワタ「美食家(グルメ)」が立ちふさがり...!!
イーベルがイワタの首をはねた時、イワタの体の中からノースの頭が出てきた!!
そう、イワタはノースを食った途端にすでにノースに体と精神を乗っ取られていたのだ。
ノースの残虐非道な発言に怒った
イーベルは不死身であるノースにどう立ち向かうのか?
パワポケ「ここがマナラインの中心...くそ、ピリピリした空気が漏れてきているぞ...」
リン「この場所を、飛行城の時と一緒にしないほうがいいわ。
普通の人間は魔王城に入った時点ですぐにあの世行きよ。」
シアン「ごほっ、ごほっ!」
パワポケ「シアン!」
シアン「.........。やっと来たか、パワポケ。(ソネ、ではなかったか。)
カイダ「...なんだか、戦う前からボロボロでやんすねえ。もう弱点もわかってるでやんす!
お前の正体は虫の大群だから、火で囲んでしまえばいいんでやんす!
なんなら結婚式の服でもかぶせてやるでやんす!」
メモリー「カイダ、なにをいってるんだワン! シアンとたたかうなんて。」
カイダ「え? いや、あの。思いっきりアレは敵でやんすけど。」
シアン「その子も連れてきたのか? ふふ、どうも調子がくるうな。
...ところで、お前たちはコドクの儀式を知っているか?」
パワポケ「コドク?」
シアン「東洋の呪術だよ。大量の虫をせまい場所に閉じ込めておたがいに共食いをさせる。
最後に残った一匹には、死んだすべての虫の怨念と魔力が結集する。」
カイダ「何を言ってるんでやんす?」
パワポケ「まさか...?」
シアン「私の体を構成する万匹の虫でコドクの儀式をとりおこなった。
今の私は虫の群れではない! ...最強最大の一匹のみ、だ。
だが...その前にまずは、これを試してもらおう。イワタ!」
イワタ「はい!」
(シュタッ!)
サラ「グルメ...!」
パワポケ「こいつが...!?」
シアン「イワタを倒せたら、娘はキミたちに返そう。」
パワポケ「何!?」
マルチナ「なんだって!?」
シアン「悪い条件じゃないだろう? 本来なら彼女を盾にしてキミたちの動きを封じることもできるんだ。」
カイ「(上手い...あえて心理的に動きを抑えるとは...
下手に人質に刃を向けて相手を刺激させるよりも行動が読みやすくなる。)」
イーベル「信用するなパワポケ。スキを見て、
マルチナを取り返す。話になるふりを。」
パワポケ「(安心したぜ、
イーベルはやっぱり冷静だな。)」
イワタ「
メモリーちゃん、頭ん中
マルチナ助けることでいっぱいじゃん。
でも、妙なマネしたら、シアンさんの気が変わっちゃうかもしれないぜ?」
メモリー「......」
イワタ「オレ倒したら返すって言ってんだからさぁ。
それから、
イーベルって人? リエーシュ滅ぼしたのそんなに悔しいかい?」
イーベル「くっ...!」
イワタ「ほんとはさぁ、ハラワタ煮えくり返ってるでしょ?」
パワポケ「野郎...次から次へなんでだ...まるで相手の心を読んでるみたいに... !! まさか...!!」
イワタ「ピンポーン。正解。アンヌってヤツのタッピングは俺が食っちまった。」
回想
イワタがアンヌに路上の奥に詰め寄り...
イワタ「へへへ...あーん。」
アンヌ「うわっ、うわああぁぁぁーーーーーーーっ!!!」
(ゴクン...!)
イワタ「へへっ...」
回想終了
パワポケ「貴様...アンヌを!」
イーベル「...手を出すな。こいつは...私がやる。」
パワポケ「
イーベル...」
イワタ「? 心の声が途絶えた...?」
魔力のムチでイワタの口を締め付けた。
イワタ「......!」
(ズバッ!!)
(バタッ!)
パワポケ「......!!」
サラ「......!!」
メモリー「......!!」
マルチナ「......!!」
シアン「......!!」
イワタの腕がピクリとも動かなくなった。
メモリー「なにをしたのかワン...? いっしゅんでわからなかったワン...」
パワポケ「(無心でイワタをやりやがった...
イーベルが、完全に冷酷に徹した...!!)」
イーベル「見え透いた芝居はやめろ。立て、ノース!」
パワポケ「なにっ!?」
シアン「ふん...」
イーベル「もはやそいつの体からノース、貴様のニオイしかしない!」
ノース「けけけけけけけけ...! いひひゃはははははははははは!!」
なんと、イワタの体の中からノースの頭が出てきた!!
パワポケ「げえっ!?」
ノース「よくぞ見破った。前以上にハナがきくようになったんじゃないのか?
いひひひひひ...いひゃはははははははははは!!」
パワポケ「イワタの体の中に!?」
サラ「それじゃあ、イワタの意識は!?」
ノース「その通り...ヤツのテリトリー、グルメごとオレが取り込んだ。」
サラ「な、なんてこと...!」
ノース「話せば長くなるがなぁ...」
回想
ノース「お前らが余計な事をしたせいで異空間に引きずり込まれたオレは地獄のような日々を送って頭だけとなり、
さまよいながら少しずつ再生した...その間に待ってたのはお前らへの復讐のことだけさ、
くくくくくくひゃははははははは...何年でも待つつもりだった...
そこで、オレは特別な波長の芯棒を送り続け、強さと悪さを兼ね備えた者だけがキャッチできる芯棒さ。
以外にもそいつはすぐに現れた...それがシアン・シンジョーネさんなんだ。」
回想終了
シアン「Aランクの魔物ハンター パワポケの活躍を彼から聞いた時には奇妙な因縁を感じたよ。
そしてそれは確信に変わった。今こそ計画を実行するときだとな。皆殺し!」
シアンの想像する地獄絵図
「うわあああああああ!!」
「キャーーーーーー」
シアンの想像する地獄絵図終了
ノース「そしてシアンさんが集めた能力者の一人にこいつがいた。
こいつの能力も結構えぐいぜえ。なんたって...オレは食われちまったんだからなあ! ひゃははははははは!」
回想
ノース「ただ...こいつにとって予想外だったのは......」
イワタ「うっ!? ううううううっ...」
ノース「ゴキブリ以上にしぶてえってことだな。自分が乗っ取られていくことに気づいてから、
こいつとの共同生活は楽しかったぜえひゃーはっはっはっはっはーっ!! イワタの恐怖が手に取るようにわかるのさ!」
イワタの手からノースの顔が露出した!
イワタ「うわああああ!!」
ノース「いひぃひゃははははははは!!!」
イワタは左手で壁を何度も殴りつけて血を出した。
イワタ「うわああああ!!」
ノース「快感なんだあぁっ!!!」
回想終了
イーベル「ケリを、つけてやるよ。ゲス...」
ノース「ケリをつけるだとぉ! いぃひゃはははははははは!! おもしれえぇ!
イーベル! かつてのオレと一緒にするなよ! オレは復活直後に不老不死となり、
何度でも再生し、どんな能力も吸収できるようになった! オレは無敵だ! ひゃーはっはっはーっ!!」
パワポケ「(そうだ...奴は不老不死によって何度でも再生し、
どんな能力でも吸収できるようになった...どうやって奴を倒すつもりなんだ...)」
ノース「てめえのチンケな能力もよお、いただいてやるぜえぇぇっ!!!」
ノース「ぐおおおおおおおっ!!」
イーベルは両手を下に下げて交差に組み、魔力の霧を作り出した!
ノース「な、なに?」
(ぶしゅぅぅぅぅ...)
パワポケ「なんだ、この煙は?」
リン「魔力の粉末を使った煙幕よ。」
パワポケ「み、見えない!」
サラ「二人とも包まれてしまった...」
ノース「
イーベル、ムダなことだ...イワタから食ったタッピングに対して、
お前の冷静さは逆に命取りになる...さっきお前は怒りに我を忘れかけ、
一瞬 心の声が途切れた...だが! 今の計算高いお前の声がはっきりと聞こえるぜ...!」
イーベル「(煙で姿を隠し、奴のニオイを頼りに距離を取る。
捕まれば、体ごと奴の体内に取り込まれてしまう...!)」
ノース「後ろ...約5メートル...くくくくく、わかるぞ! お前の行動が!!
ひょぉぉぉぉぉぉぉっ!! はあぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
ノースの5本の指が伸び、
イーベルの心臓を刺しかかる!
(グサッ!!)
ノース「ぴぎょおおおおおおおおおっ!!!」
イーベルの腹を刺したところから血が出るところをノースが嘲笑う!
ノース「致命傷だあぁっ!!!」
イーベル「今、何かしたか?」
ノース「な、何っ!?」
イーベル「ふっ...」
ノース「!! 強がるな、ボケが! これで、どうだ!! このっ!!」
(グサッ!! グサッ!! グサッ!! グサッ!!)
ノース「なんだとぉ!? 死にやがれええええええ!!! この! このっ!! このっ!! このおぉっ!!」
パワポケ「おい、いったい何が起こってるんだ? ノースの声しか聞こえてこないぞ!」
ノース「のぉぉぉぉっいぃひゃははははははは!! ほっ!! はっ!! ほわぁっ!!」
マルチナ「......?」
パワポケ「くそ...
イーベルには悪いが行くぞ!」
リン「待って。あれを見なさい。」
ノースの叫び声が聞こえる中、霧の中から
イーベルが出てきた。
イーベル「もう終わった。」
パワポケ「終わった!? じゃあ、奴はいったい誰と戦ってるんだ?」
シアンは何かに感づいてるかに殺気立った。
ノース「このおぉぉっ!! ぐあああああああっ!!」
なんと、ノースは邪念樹に浸食されている!
実は、
イーベルはその体内に邪念樹という魔界植物の種を自分の魔力で植え付けていたのだ。
パワポケ「...!」
サラ・
メモリー「...!」
マルチナ「...!」
シアン「むっ!?」
ノース「なぜ死ねねぇんだこのヤロォーっッ!!」
イーベル「これが邪念樹。」
パワポケ「邪念樹?」
イーベル「幻覚を見せ、エサをおびき寄せ、そして寄生する。」
パワポケ「幻覚...!? じゃあ、奴はあの邪念樹を
イーベルだと錯覚してるのか。しかし、いつの間に...」
イーベル「始めにイワタの首をはねた時、種を植えこんだ。」
リン「煙幕は目を暗ますためじゃない。邪念樹の炎核物質を外に漏れないためのシールドだったというわけね。」
イーベル「そういうことだ。」
シアン「ふっ、確かに器が違う...」
カイ「(あの人間と魔族のハーフの目...計り知れない慈愛と修羅の声...
アンヌのタッピング程度ではその心の底を読み切れなくて当たり前ですか。)」
イーベル「邪念樹は、エサが死ぬまで離さない。だが、再生を続けるノースは死ぬことさえできない。」
ノース「うあっ、うあっ!!」
イーベル「永遠に、私の幻影と戦い続けるがいい。お前は、死にすら値しない...」
イーベルの怒りが、復讐心に燃えるノースに勝った。だが、魔王城の浮上まであとわずかだ。
ノース「うぉっあああああああぁぁぁぁぁーーーーーーーーーっ!!!!」
続く
最終更新:2023年05月11日 00:07