ナンバーワン戦隊ゴジュウジャーの第1話


その日、全ての戦隊の歴史は終わった。
突如現れた厄災が巨人たちを打ち倒し、あらゆる世界、あらゆるユニバースは破滅を迎えるかのように思われた……
しかし、巨人たちは最後の力で闇を祓い、眠りに就いた……
ロボの墓場。最後の巨人テガソードはそこで待っている。救世主の到来を……


第1話
救世主ナンバーワン!

遠野(ほえる)と堤なつめがコンビニでバイトしていた。

吠「あざした……」
女子高生1「酷くない?」
女子高生2「なんかひどいよね……」
堤「ちょっと遠野さん、もっと愛想良くしないと…… 次、クレーム入ったらクビなんですよね? ほら、笑顔、笑顔……」

吠は笑みを浮かべるが。

吠「こうか?」
堤「ひっ!」
強盗「オラァ‼︎ 命が惜しかったら金を出せ! 動くんじゃねぇ‼︎」

強盗がナイフを持って店員を脅す。

店長「わかった。用意するから……」
強盗「いい心がけじゃねぇか。あちっ!」

強盗は焼きたてのフランクフルトを食べようとするが、熱さで手放してしまう。
吠はそれをキャッチ。

強盗「オラァ! 俺を火傷させる気か‼︎ てめぇ……」

堤が強盗に因縁をつけられると彼の前に吠が立ちふさがる。

吠「このジャンボフランクが俺にとってどれだけ贅沢なものか、テメェにはわからねぇようだな! お前は俺の獲物だ‼︎」
強盗「おりゃあ‼︎」

強盗がナイフでフランクフルトを切ると肉汁がその顔面にかかる。

吠「やれるもんならやってみやがれ……」
強盗「テメェ、命が惜しくねぇのかよ?」
吠「惜しくねぇ。だがお前には渡さねぇ!」

吠は強盗を一掃する。

吠「店長、特別手当はこれでいいっすよ」
店長「君はクビ‼︎」
吠「はぁっ?」
堤「なんなんだ? あいつ……」


外にあるあらゆるものが歪む。

声「ナンバーワン……」

吠は自宅で新しいバイト先の履歴書を書いてから店に降りてくる。

喫茶「半世紀」。

佐織「お待たせしました……」
碧「あっ、吠だ……」

吠と佐藤碧はじゃれ合う。

佐織「もしかして、またバイトクビになったの? 何回目ですか。家賃はちゃんと払ってくださいよ!」
吠「心配すんなって……」
碧「頑張れよ」


吠の前に2人のチンピラが立ちふさがる。

兄貴分「よう…… この前はうちの新井くんが世話になったな……」
吠「どけ。俺には面接がある」
弟分「フザケンナよ!」

弟分が殴りかかるが交わされる。

新井「うわああっ!」
兄貴分「調べたぜ、お前ンチ。大人しくしてねぇとあそこの管理人とガキ、ぶっ飛ばすぞ?」


チンピラたちは吠を一方的に殴りまくっていた。

兄貴分「おい、行くぞ」

チンピラたちが去ると堤がやってくる。

堤「遠野さん、大丈夫ですか?」
吠「堤…… なんで?」
堤「遠野さんを探して…… それより、一体何が?」
吠「ただの喧嘩だ……」
堤「そんな…… こんなの流行りませんって。遠野さんが怪我したら悲しむ人だっているでしょう?」
吠「……いねぇな。俺は所詮この世のはぐれもの…… 俺の命なんて安いものだ」
堤「えっ?」


ブライダン城。
ファイヤキャンドルがキングキャンデラーに乗り込む。
モニターにブーケが映り込む。

ブーケ「ファイヤキャンドルさん、テガソードが目覚める前に必ず例の指輪を奪取してきてください……」
ファイヤキャンドル「わかってるって、ブーケ嬢。破滅の神様とやらも眠ってれば大したことねぇよ……」
ブーケ「それから無意味な乱暴はやめてくださいね? あなたはいつも派手にやりすぎです」
ファイヤキャンドル「きゃっきゃっきゃ! キングキャンデラー、出るぜ!」

キングキャンデラーが発進。


吠はハンバーガーを食べていた。

吠「悪りぃな、ハンバーガー代。絶対返すから、250円……」
堤「今日はお礼を言いに来たんです」
吠「礼?」
堤「あの時、俺を守ってくれたでしょう? だから、ありがとうございます!」
吠「別に、あの強盗が気に入らなかった。それだけだ……」
堤「そもそもなんで遠野さんはあそこでバイトを?」
吠「んなもん食うために決まってんだろう? 」
堤「ええっ? つまんないな…… ちなみに俺はライブの資金のためにバイトしてて……」
吠「ライブ?」
堤「俺の曲を届けたい人がいるんです…… そのために俺はバンド界ナンバーワンを目指すんだ!」
吠「ナンバーワンか……」
堤「あっ、バカにしました? いや、大切でしょ? 夢とか願いとか…… そういうのがあるから人は生きていけるんですよ。で、遠野さんは? 目指してるものとか夢とか願いとか……」
吠「願い……」

(声『吠!』)

吠「俺に願いはない……」
堤「えっ?」

するとキングキャンデラーが異空間から出てくる。

ファイヤキャンドル「これが、俺たちを生成した世界か……」

キングキャンデラーの猛攻が街を破壊していく。

ファイヤキャンドル「きゃっきゃっきゃ。綺麗なキャンプファイヤー囲んで1杯やろうぜ、テメェら!」

戦闘員のアーイーが出てきて人々に襲いかかる。

堤「なんだ?」
男性「悪魔だ。悪魔が現れた!」
ファイヤキャンドル「誰が悪魔だ! 俺はこのくだらねえ世界をオールライトにするためにやってきた…… その、なんだっけ? あっ、救世主。救世主ナンバーワンだ‼︎」

ファイヤキャンドルの攻撃が吠を巻き込む。
すると堤はバッグからセンタイリングを取り出す。

堤「この指輪を使うときがきたのか…… エンゲージ!」

『センタイリング』『キングオージャー』

堤がテガソードにキングオージャーリングをセット。
クワガタオージャーとなる。

クワガタ「クワガタオージャー!」
吠「クワガタ?」

クワガタオージャーがアーイーに挑む。

『キングオージャーフィニッシュ』

吠「強ぇ……なんだあれ? 右手?」
ファイヤキャンドル「よくも可愛い部下たちを。人間全部俺のファイヤーで丸焼きだ‼︎」

ファイヤキャンドルがクワガタオージャーを襲う。

吠「うおーっ‼︎」
クワガタ「無茶だ」
ファイヤキャンドル「弱ぇ、弱ぇ!」
吠「うわぁ!」

吠が次元の穴に入ってロボの墓場にたどり着く。

声「ナンバーワン、ナンバーワン!」
吠「誰だ? どこなんだ、ここは?」

吠の脳裏に浮かんだのはユニバース大戦の光景だった。

吠「なんだ? 今のは……」

そこへアーイーとカシオス・ベアーがやってくる。

カシオス「おお、これが……」

カシオスは指輪を抜く。
しかし、指輪の力で穴に吸い込まれてしまう。
指輪が吠の足元に転がる。

ブーケ「離れなさい、アーイーたち。その指輪は破滅の神、テガソードの核と言われる破滅の指輪…… あなた方には使える代物ではありません…… はじめまして、私はノーマンワールド・ブライダンのテクニカル隊長、慈愛のブーケです2つの世界を守るため、どうかそれをお渡しください……」

現実世界の映像が映し出される。

吠「これを使えば、力が手に入るんだよな?」
ブーケ「やめなさい! 死にますよ?」
吠「上等だ。世界も破滅もどうでもいい…… だがな、俺はまだあいつに250円返してねぇんだ! うわあーっ!」

吠が指輪をはめると姿が消える。

声「遠野吠…… 契約だ」
吠「その声、俺を呼んでいたのはお前か……」

テガソードが姿をあらわす。

テガソード「我が名はテガソード。全ての指輪を集めた者の願いを叶える…… それが指輪の契約。お前の願いを言え……」
吠「願い…… 俺の願いは、何度も打ち砕かれた……」

(母親『吠、願いを持ってはダメ。心を殺して! これ以上、傷つかないために……』)

吠「もう俺に願いは、もう何も……」
テガソード「それはお前の真の姿ではない…… 今のお前は雑草にまみれ、世界の大きさを図りきれないだけ。ならば、ナンバーワンになれ!」
吠「ナンバーワン?」
テガソード「指輪がもたらすあらゆる戦いで頂点を目指せ! さすれば世界は開かれ、真の願いは自ずと見える!」

(堤『夢とか願いとか、そういうのがあるから人は生きていけるんですよ……』)

テガソード「お前はもう1度生きるのだ!」

テガソードがガントレット形態と2つの指輪を置いて消える。

吠「バイトもクビになって暇してたんだ。退屈しのぎにはなりそうだ…… 契約する。この指輪、俺がもらう!」

テガソードと指輪が変化する。
吠はそれらを手にすると現実世界に戻ってくる。
そして咆哮をあげる。

そこに巨大なテガソードが飛来する。

ファイヤキャンドル「まさか…… 人間ごときが…… あの指輪を……」
吠「おいテメェ、さっき救世主ナンバーワンとか言ってたな。ちょうどいい…… 勝った方が本当のナンバーワンだ!」

『アウェイキング』

テガソードが人型に変形。
テガソードレッドとなる。

吠「リングイン!」

吠が中に乗り込み、テガソードをセット。

吠「獣神一体!」

『掴め、切り裂け、レッド。テガソードレッド!』

吠「テガソードレッド!」

吠とファイヤキャンドルがリングに移動。

吠「対決のリングってわけか。いいじゃねぇか……」
ファイヤキャンドル「戦い方を教えてやる。人間……」
声「レッツゴー、ナンバーワン!」
ファイヤキャンドル「負けも知らねぇ、容赦もねぇ。ブライドン特攻隊長、不敗のファイヤキャンドル。俺の炎で浄化してやる……」
吠「クビになることを幾星霜、見つけてみせるぜ、バイトと願い…… はぐれ1匹遠野吠。なってやるよ、ナンバーワン!」

『ナンバーワンバトル、レディーゴー‼︎』

テガソードがキングキャンデラーに挑む。
キングキャンデラーは炎の剣を振るう。

吠「パームクラッシュ!」

テガソードによってファイヤキャンドルが押される。

ファイヤキャンドル「燃えろ‼︎」
吠「ソウルブースター!」

テガソードがジャンプして攻撃をかわす。

吠「お返しだ!」

さらに今度は体当たり。

ファイヤキャンドル「この俺が膝をつかされただと? ありえねぇ…… この世で1番強ぇのは俺なんだよ‼︎」
吠「テガソード・合斗狼(アウトロー)ブレイカー‼︎」
ファイヤキャンドル「うおーっ‼︎」

『ウルフソードフィニッシュ』

テガソードの必殺技が炸裂。

ファイヤキャンドル「この俺が負けた? 嘘だろーっ‼︎」

ファイヤキャンドルが脱出。
キングキャンデラーは大爆発してしまう。
しかし、地上ではアーイーの襲撃が続いていた。

吠「これじゃ攻撃できねぇ…… こっちか? エンゲージ!」

吠はテガソードにゴジュウウルフリングを装填。

『クラップユアハンズ』『ゴジュウウルフ』

吠はエンゲージを遂げてゴジュウウルフとなる。
雄叫びをあげると残り4つのリングも共鳴する。
ゴジュウウルフがアーイーに挑む。

ウルフ「効かねぇな……」
カシオス「災いを呼ぶ破滅の指輪…… 渡してもらうぞ」

カシオスがゴジュウウルフを鐘に閉じ込める。

ウルフ「うおーっ‼︎」

ゴジュウウルフは砲撃をかわしながら鐘を破壊する。

ウルフ「破滅の指輪? ちげぇな。今からこいつは救世主の指輪だ! はぁーっ‼︎」

『フィニッシュフィンガーウルフ』

ゴジュウウルフの必殺技が炸裂。
カシオスが大爆発。

ウルフ「俺こそが、救世主ナンバーワン!」

『winner ゴジュウウルフ!』

一河角乃と猛原禽次郎は指輪を見つめていた。

角乃「指輪の契約。私はあの子を必ず取り戻す……」
禽次郎「夢の始まり、人生の終わり……」


堤は演奏をしていた。
そこへ吠が戻ってくる。

堤「遠野さん……」
吠「色々聞きてぇことはあるけどよ、とりあえずこれ……」

吠はハンバーガー代の250円を堤に渡す。
貯金箱から出したのだ。

吠「借りは返したぜ……」
堤「手にしてしまったんですね。その指輪……」
吠「願いはまだねぇけどな…… だが決めた。俺はナンバーワンになる! その先に見つけられる気がするんだ」
堤「願いもないくせに…… そんな奴に指輪を持つ資格はない!」

『キングオージャー』『ゴジュウウルフ』

堤はクワガタオージャーとなってゴジュウウルフに挑む。

ウルフ「なんのつもりだ? 堤!」

暴神竜儀(ばくがみりゅうぎ)百夜陸王(びゃくやりくお)が建物から2人の戦いを見上げていた。



(続く)

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2025年05月26日 08:15