その日、全ての戦隊の歴史は終わった。 突如現れた厄災が巨人たちを打ち倒し、あらゆる世界、あらゆるユニバースは破滅を迎えるかのように思われた…… しかし、巨人たちは最後の力で闇を祓い、眠りに就いた…… ロボの墓場。最後の巨人テガソードはそこで待っている。救世主の到来を…… |
遠野吠と堤なつめがコンビニでバイトしていた。
吠「あざした……」
女子高生1「酷くない?」
女子高生2「なんかひどいよね……」
堤「ちょっと遠野さん、もっと愛想良くしないと…… 次、クレーム入ったらクビなんですよね? ほら、笑顔、笑顔……」
吠は笑みを浮かべるが。
吠「こうか?」
堤「ひっ!」
強盗「オラァ‼︎ 命が惜しかったら金を出せ! 動くんじゃねぇ‼︎」
強盗がナイフを持って店員を脅す。
店長「わかった。用意するから……」
強盗「いい心がけじゃねぇか。あちっ!」
強盗は焼きたてのフランクフルトを食べようとするが、熱さで手放してしまう。
吠はそれをキャッチ。
強盗「オラァ! 俺を火傷させる気か‼︎ てめぇ……」
堤が強盗に因縁をつけられると彼の前に吠が立ちふさがる。
吠「このジャンボフランクが俺にとってどれだけ贅沢なものか、テメェにはわからねぇようだな! お前は俺の獲物だ‼︎」
強盗「おりゃあ‼︎」
強盗がナイフでフランクフルトを切ると肉汁がその顔面にかかる。
吠「やれるもんならやってみやがれ……」
強盗「テメェ、命が惜しくねぇのかよ?」
吠「惜しくねぇ。だがお前には渡さねぇ!」
吠は強盗を一掃する。
吠「店長、特別手当はこれでいいっすよ」
店長「君はクビ‼︎」
吠「はぁっ?」
堤「なんなんだ? あいつ……」
外にあるあらゆるものが歪む。
声「ナンバーワン……」
吠は自宅で新しいバイト先の履歴書を書いてから店に降りてくる。
喫茶「半世紀」。
佐織「お待たせしました……」
碧「あっ、吠だ……」
吠と佐藤碧はじゃれ合う。
佐織「もしかして、またバイトクビになったの? 何回目ですか。家賃はちゃんと払ってくださいよ!」
吠「心配すんなって……」
碧「頑張れよ」
吠の前に2人のチンピラが立ちふさがる。
兄貴分「よう…… この前はうちの新井くんが世話になったな……」
吠「どけ。俺には面接がある」
弟分「フザケンナよ!」
弟分が殴りかかるが交わされる。
新井「うわああっ!」
兄貴分「調べたぜ、お前ンチ。大人しくしてねぇとあそこの管理人とガキ、ぶっ飛ばすぞ?」
チンピラたちは吠を一方的に殴りまくっていた。
兄貴分「おい、行くぞ」
チンピラたちが去ると堤がやってくる。
堤「遠野さん、大丈夫ですか?」
吠「堤…… なんで?」
堤「遠野さんを探して…… それより、一体何が?」
吠「ただの喧嘩だ……」
堤「そんな…… こんなの流行りませんって。遠野さんが怪我したら悲しむ人だっているでしょう?」
吠「……いねぇな。俺は所詮この世のはぐれもの…… 俺の命なんて安いものだ」
堤「えっ?」
ブライダン城。
ファイヤキャンドルがキングキャンデラーに乗り込む。
モニターにブーケが映り込む。
ブーケ「ファイヤキャンドルさん、テガソードが目覚める前に必ず例の指輪を奪取してきてください……」
ファイヤキャンドル「わかってるって、ブーケ嬢。破滅の神様とやらも眠ってれば大したことねぇよ……」
ブーケ「それから無意味な乱暴はやめてくださいね? あなたはいつも派手にやりすぎです」
ファイヤキャンドル「きゃっきゃっきゃ! キングキャンデラー、出るぜ!」
キングキャンデラーが発進。
吠はハンバーガーを食べていた。
吠「悪りぃな、ハンバーガー代。絶対返すから、250円……」
堤「今日はお礼を言いに来たんです」
吠「礼?」
堤「あの時、俺を守ってくれたでしょう? だから、ありがとうございます!」
吠「別に、あの強盗が気に入らなかった。それだけだ……」
堤「そもそもなんで遠野さんはあそこでバイトを?」
吠「んなもん食うために決まってんだろう? 」
堤「ええっ? つまんないな…… ちなみに俺はライブの資金のためにバイトしてて……」
吠「ライブ?」
堤「俺の曲を届けたい人がいるんです…… そのために俺はバンド界ナンバーワンを目指すんだ!」
吠「ナンバーワンか……」
堤「あっ、バカにしました? いや、大切でしょ? 夢とか願いとか…… そういうのがあるから人は生きていけるんですよ。で、遠野さんは? 目指してるものとか夢とか願いとか……」
吠「願い……」
(声『吠!』)
吠「俺に願いはない……」
堤「えっ?」
するとキングキャンデラーが異空間から出てくる。
ファイヤキャンドル「これが、俺たちを生成した世界か……」
キングキャンデラーの猛攻が街を破壊していく。
ファイヤキャンドル「きゃっきゃっきゃ。綺麗なキャンプファイヤー囲んで1杯やろうぜ、テメェら!」
戦闘員のアーイーが出てきて人々に襲いかかる。
堤「なんだ?」
男性「悪魔だ。悪魔が現れた!」
ファイヤキャンドル「誰が悪魔だ! 俺はこのくだらねえ世界をオールライトにするためにやってきた…… その、なんだっけ? あっ、救世主。救世主ナンバーワンだ‼︎」
ファイヤキャンドルの攻撃が吠を巻き込む。
すると堤はバッグからセンタイリングを取り出す。
堤「この指輪を使うときがきたのか…… エンゲージ!」
『センタイリング』『キングオージャー』
堤がテガソードにキングオージャーリングをセット。
クワガタオージャーとなる。
クワガタ「クワガタオージャー!」
吠「クワガタ?」
クワガタオージャーがアーイーに挑む。
『キングオージャーフィニッシュ』
吠「強ぇ……なんだあれ? 右手?」
ファイヤキャンドル「よくも可愛い部下たちを。人間全部俺のファイヤーで丸焼きだ‼︎」
ファイヤキャンドルがクワガタオージャーを襲う。
吠「うおーっ‼︎」
クワガタ「無茶だ」
ファイヤキャンドル「弱ぇ、弱ぇ!」
吠「うわぁ!」
吠が次元の穴に入ってロボの墓場にたどり着く。
声「ナンバーワン、ナンバーワン!」
吠「誰だ? どこなんだ、ここは?」
吠の脳裏に浮かんだのはユニバース大戦の光景だった。
吠「なんだ? 今のは……」
そこへアーイーとカシオス・ベアーがやってくる。
カシオス「おお、これが……」
カシオスは指輪を抜く。
しかし、指輪の力で穴に吸い込まれてしまう。
指輪が吠の足元に転がる。
ブーケ「離れなさい、アーイーたち。その指輪は破滅の神、テガソードの核と言われる破滅の指輪…… あなた方には使える代物ではありません…… はじめまして、私はノーマンワールド・ブライダンのテクニカル隊長、慈愛のブーケです2つの世界を守るため、どうかそれをお渡しください……」
現実世界の映像が映し出される。
吠「これを使えば、力が手に入るんだよな?」
ブーケ「やめなさい! 死にますよ?」
吠「上等だ。世界も破滅もどうでもいい…… だがな、俺はまだあいつに250円返してねぇんだ! うわあーっ!」
吠が指輪をはめると姿が消える。
声「遠野吠…… 契約だ」
吠「その声、俺を呼んでいたのはお前か……」
テガソードが姿をあらわす。
テガソード「我が名はテガソード。全ての指輪を集めた者の願いを叶える…… それが指輪の契約。お前の願いを言え……」
吠「願い…… 俺の願いは、何度も打ち砕かれた……」
(母親『吠、願いを持ってはダメ。心を殺して! これ以上、傷つかないために……』)
吠「もう俺に願いは、もう何も……」
テガソード「それはお前の真の姿ではない…… 今のお前は雑草にまみれ、世界の大きさを図りきれないだけ。ならば、ナンバーワンになれ!」
吠「ナンバーワン?」
テガソード「指輪がもたらすあらゆる戦いで頂点を目指せ! さすれば世界は開かれ、真の願いは自ずと見える!」
(堤『夢とか願いとか、そういうのがあるから人は生きていけるんですよ……』)
テガソード「お前はもう1度生きるのだ!」
テガソードがガントレット形態と2つの指輪を置いて消える。
吠「バイトもクビになって暇してたんだ。退屈しのぎにはなりそうだ…… 契約する。この指輪、俺がもらう!」
テガソードと指輪が変化する。
吠はそれらを手にすると現実世界に戻ってくる。
そして咆哮をあげる。
そこに巨大なテガソードが飛来する。
ファイヤキャンドル「まさか…… 人間ごときが…… あの指輪を……」
吠「おいテメェ、さっき救世主ナンバーワンとか言ってたな。ちょうどいい…… 勝った方が本当のナンバーワンだ!」
『アウェイキング』
テガソードが人型に変形。
テガソードレッドとなる。
吠「リングイン!」
吠が中に乗り込み、テガソードをセット。
吠「獣神一体!」
『掴め、切り裂け、レッド。テガソードレッド!』
吠「テガソードレッド!」
吠とファイヤキャンドルがリングに移動。
吠「対決のリングってわけか。いいじゃねぇか……」
ファイヤキャンドル「戦い方を教えてやる。人間……」
声「レッツゴー、ナンバーワン!」
ファイヤキャンドル「負けも知らねぇ、容赦もねぇ。ブライドン特攻隊長、不敗のファイヤキャンドル。俺の炎で浄化してやる……」
吠「クビになることを幾星霜、見つけてみせるぜ、バイトと願い…… はぐれ1匹遠野吠。なってやるよ、ナンバーワン!」
『ナンバーワンバトル、レディーゴー‼︎』
テガソードがキングキャンデラーに挑む。
キングキャンデラーは炎の剣を振るう。
吠「パームクラッシュ!」
テガソードによってファイヤキャンドルが押される。
ファイヤキャンドル「燃えろ‼︎」
吠「ソウルブースター!」
テガソードがジャンプして攻撃をかわす。
吠「お返しだ!」
さらに今度は体当たり。
ファイヤキャンドル「この俺が膝をつかされただと? ありえねぇ…… この世で1番強ぇのは俺なんだよ‼︎」
吠「テガソード・合斗狼ブレイカー‼︎」
ファイヤキャンドル「うおーっ‼︎」
『ウルフソードフィニッシュ』
テガソードの必殺技が炸裂。
ファイヤキャンドル「この俺が負けた? 嘘だろーっ‼︎」
ファイヤキャンドルが脱出。
キングキャンデラーは大爆発してしまう。
しかし、地上ではアーイーの襲撃が続いていた。
吠「これじゃ攻撃できねぇ…… こっちか? エンゲージ!」
吠はテガソードにゴジュウウルフリングを装填。
『クラップユアハンズ』『ゴジュウウルフ』
吠はエンゲージを遂げてゴジュウウルフとなる。
雄叫びをあげると残り4つのリングも共鳴する。
ゴジュウウルフがアーイーに挑む。
ウルフ「効かねぇな……」
カシオス「災いを呼ぶ破滅の指輪…… 渡してもらうぞ」
カシオスがゴジュウウルフを鐘に閉じ込める。
ウルフ「うおーっ‼︎」
ゴジュウウルフは砲撃をかわしながら鐘を破壊する。
ウルフ「破滅の指輪? ちげぇな。今からこいつは救世主の指輪だ! はぁーっ‼︎」
『フィニッシュフィンガーウルフ』
ゴジュウウルフの必殺技が炸裂。
カシオスが大爆発。
ウルフ「俺こそが、救世主ナンバーワン!」
『winner ゴジュウウルフ!』
一河角乃と猛原禽次郎は指輪を見つめていた。
角乃「指輪の契約。私はあの子を必ず取り戻す……」
禽次郎「夢の始まり、人生の終わり……」
堤は演奏をしていた。
そこへ吠が戻ってくる。
堤「遠野さん……」
吠「色々聞きてぇことはあるけどよ、とりあえずこれ……」
吠はハンバーガー代の250円を堤に渡す。
貯金箱から出したのだ。
吠「借りは返したぜ……」
堤「手にしてしまったんですね。その指輪……」
吠「願いはまだねぇけどな…… だが決めた。俺はナンバーワンになる! その先に見つけられる気がするんだ」
堤「願いもないくせに…… そんな奴に指輪を持つ資格はない!」
『キングオージャー』『ゴジュウウルフ』
堤はクワガタオージャーとなってゴジュウウルフに挑む。
ウルフ「なんのつもりだ? 堤!」
暴神竜儀と百夜陸王が建物から2人の戦いを見上げていた。
最終更新:2025年05月26日 08:15