【先月、ある月夜の晩】
レン太はギルドの一室で眠っていた
今までは安らかに寝られる時などなかった、常に何かと戦い、何かに苦悩しており眠るという生物にとって当たり前の事すらしていなかったのだ
自分は死ぬ為に数々の人々を苦しめた、許される事ではない......
ふと、レン太は呟いた
「......そもそも、死にたがったのは....死にたがったのは......」
『死にたかったし殺したかった、殺してあげたかったのですよ、彼女の為に』
「......そうだったな......あれ?」
『今の貴方は牙を抜かれた、彼女の事すら忘れてしまった、愚かだ、愚かしいにも程がある』
「.....あ____」
次第に、レンターの意識は薄れていく、そして眠りについていく
『もうここにはいれない、愚かな男の体は不必要だ、愛をこめて伝えなければ、苦痛すら残さず、彼女を_____』
レンターは知らない、自分の中には狡猾な細胞があったこと
レンターは知らない、それは
神の火やインスーシュより確実な『死の方法』を知っていることを
レンターは知らない、その日を堺に彼の体から7つの意志を持つ細胞が抜け出た事を
レンターは知らない、空の上に浮かぶ月、そこには高濃度の魔力と共に月明かりの司書が閉じ込められていることを
レンターも、全ての人間は知らない
その月が、墜ちようとしているコトを
知っているのはただひとつの細胞だけ
最終更新:2016年04月29日 15:56