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オリキャラで創作してもらうスレ 01  001-171


1 :名無しさん:2011/05/28(土) 23:05:46
自作キャラの設定やSS、イラストなどを投下して、
それを基に他の人にを創作してもらうスレです。

※自作キャラのSSを投下してイラストを書いてもらったり、
 イラストを投下してSSを描いてもらったり、ご自由にどうぞ。

※設定の変更(二次化やコラボなど)OKの場合は、その旨記入の上投下してください。

※創作してもらえなくても泣かない。


2 :名無しさん:2011/05/28(土) 23:07:04
※交流の相談等は、「書き合い・描き合いスレ」へ
 ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/14701/1306562401/
※イラストについては、
 「オリキャラスレ専用 お絵かき掲示板」も利用できます
 ttp://www18.oekakibbs.com/bbs/yaranaika/oekakibbs.cgi


3 :名無しさん:2011/06/07(火) 11:11:16
このスレは、「この姐さんの設定でどなたか描いて!」みたいなのはNGかな?
自分のも描いてもらいたいけど、人様のも描いてもらいたいんだ
すごく好きな設定が沢山投下されてるんだもの、ムラムラする…!


4 :名無しさん:2011/06/07(火) 14:28:33
このスレ住人って、基本謙虚で恥ずかしがりな人が多そうな気がするんだ
だからなかなか自分では書いてって言えない気がするのよ
だからそうやってリクエストするのもアリかなと思う
もうご本人が見てない可能性もあるし
どうやって許可とるかが問題かなあ
管理人さんや住人と話し合ってみるのもいいかも


5 :名無しさん:2011/06/07(火) 18:04:40
自分は描きたがりですので描いて!と言っていただけるとすごくありがたいです。
描く側としては文面や設定から想像して描くのって楽しいし、描くほどに愛も萌えも湧く。
姐さんの想像しているお子さんのイメージにより近づけられたら幸いです。
ちなみに自分は絵板の17、あの絵柄でも良ければ描いてOKの許可お待ちしてます…!

自分は日頃漫画・絵描きですので、いつか此方で人様にSSを書いていただけたら嬉しいです。
でもSSが書きやすいイラストってのがまるで思いつかない…、絵からSSって難しそうだ。


6 :名無しさん:2011/06/07(火) 18:08:01
「自分の設定描いてくれ」っていうのは言いにくいけど、
この人の設定好きだから描いてほしいってのは
作った本人も悪い気はしないと思うけどね


7 :3:2011/06/09(木) 18:17:25
じゃあ人様の設定で描いて!って言ってみようかな…
まとめ676-677姐さんの設定が皆可愛くて惚れました
どなたか描いてみて下さると嬉しい!

》5姐さん、投下した御本人じゃないけど、
駄目元でお願いしておきます…


8 :名無しさん:2011/06/09(木) 19:22:57
》5のレスを読んで新しい絵が投稿されたのかー、と今さっき絵板見て来たんだが
舞川とか四人兄弟とかどっかで見たことあるなーと思ったらうちの子だったでござる
まさか人様に描いてもらえるとは考えてもなかったから余計に嬉しい…!》5姐さんありがとう!ほんとありがとう!!!
うちの子があんな美形揃いだなんて知らなかったよww


自分は字書きなので、もし二次おkという方がいたら文章書かせて頂きたいです
ただ文体にも好き嫌いや相性があると思うので、そのうち見本がてら創作物スレに何か投下してみます


9 :名無しさん:2011/06/11(土) 13:18:19
おお!
交流が始まってくれていて嬉しい!

自分もSS書きなのですが、書くペースが早いとはいえないもんで、SS書いて投下し
ようと思ってたら、完全に乗り遅れてたw

自分は、本スレ558で541様のRPGゲームキャラをお借りしてSSを書いた奴ですが、
絵一枚からでも余裕で妄想可能ですw

キャラの名前と一人称が分かると更に書きやすいのですが、それも当方で決めても良
いよーということであれば、何もなくても書いちゃいます。

ので、SSに仕立てられても良いかなーと思われていて、ちょっと気長に待ってやるw

と思ってくださる絵描きさんがいたら、ぜひぜひ、イラストを投下してくださいませ。

待ってるよー
さて、とりあえずは、自分もSSを投下できるように、創作活動に励むよ


10 :5:2011/06/12(日) 22:06:07
》7
絵板の方にうpさせていただきました!
いつか姐さんの子も描かせていただきたいです!

》8
レスがついてらっしゃると思ったら御本人さんだったでござる。
此方こそありがとうございます! 萌えのままに描けて楽しかったですw
全身全霊で二次おkですのでいつかお願いさせていただきたいです…!

》9
》558の姐さんですか! 本スレ558のSS何度も読ませていただきました。
絵一枚からおkとの言葉、心強すぎる…! イラストが描けましたら
是非お願いさせていただきたいです!


11 :名無しさん:2011/06/14(火) 01:46:21
》10
こちらこそ、嬉しくなっちゃうレスをありがとう!
おまけに、またまた素敵なイラストが投下されていて、更に嬉しくなって
しまいました!

676-677姐さんのキャラ二人の会話が聞こえてきそうなイラストを拝見していて、
なんだかますますイラストからのSS書き起こしがしたくなりましたw

本当に一枚絵からでも大丈夫なので、そのうちで構わないので、ぜひぜひ、
姐さんのイラストからSSを書き起こさせてやってくださいw

自分の場合だと、今、SS書けるのが週末のみなので、イラストの投下から、
概ね2週間位を目安にお待ちいただければ、書けるかな? という感じです。

最近は、
1週間目でほぼ形になる位には仕上げる → 2週目で推敲 → 投下
(この流れでどこか遅れると3週目になっちゃうこともあるんですが…)

という流れで書くことが多いので、まあ、その程度は、待っても良いかな
と思われたら、ぜひ! よろしくお願いしますw

ジャンルも割と何でもいけると思うので、ご心配なさらずにどうぞw
取り急ぎ御礼まで!


12 :7:2011/06/14(火) 18:53:50
》10
ぐはーありがとうー!
リクしてみて本当に良かった…2人とも可愛い…!
元々煮えてた萌えがお陰様で一層煮えたぎったよw
》11の姐さんにも超期待!

みんなー見てるかーリクしてみたら幸せになれたよー!
創作してもらえなくても泣かない覚悟決めてリクして行こうぜ!
自分もしがない絵描き兼字書きながら、こっそり誰かのリクに答えてみたいぜ…


13 :-DUO-存在の証 2-:2011/06/19(日) 17:39:27
本スレ710です。
遅くなりましたが、祝!wiki開設ってことで、SSを投下
・青年×少年で、サイキックファンタジー風味
・一応、710の続き?な感じ
・エロあり、当て馬注意
・SSにしてはストーリが長いよ!
という感じですが、よろしかったらどうぞ
創作物投下スレとこちらと、どちらに投下するか迷ったんですが、
どなたかに創作していただけると良いかなと思い、こちらに投下することにしました
SSでもイラストでも何でもOKですので、よろしければ、適当にいじってやってください


14 :-DUO-存在の証 2- 1:2011/06/19(日) 17:42:48
「ぅ……あ、あぁっ!」

先程から執拗に責め続けられている所為で、もう、言葉など、ろくに出てこないというのに、こんな風に
言葉にもならない、この声が止められない。
少年は、監禁されてから、もう数週間が経過しているであろう、この部屋のベッドの上で、自分自身が
見上げた視線の先に映る、いつもの見覚えのある姿の青年に、組み敷かれたその体勢のまま、途切
れていきそうな意識の中で、そう思った。
それでも、ここで、この声さえも押し殺してしまえば、今、相手から受けているこの行為は増々長引くこ
とになるだろう。だから、これで良いんだ。

「……うっ、あ! ……い……っ、あぁぁ!!」

少年は、そう思いながら、無意識のうちに、まるで小さな子供がするように、嫌々と小さく首を左右に
振って、短く整えられた空色の髪を振り乱しながら、再び艶めいた声をあげた。


15 :-DUO-存在の証 2- 2:2011/06/19(日) 17:46:17
「エル……いや、EL-SION- TYPE-α1、また感じているね。
 ……ほら、君のココは、もう、充分に俺の指を締め付けてるよ」
「……っ、や……う、あぁ!」

エルと呼ばれた少年は、ほんの少しだけ、仰け反るようにして、自分の身体の最奥のあの場所で、青
年の指、数本が容赦なく抜き差しを繰り返すことによって、再び与えられはじめる、身体の中心が融
けていくような、熱く疼く、痛烈な感覚に耐える。

先程から、もう、ずっと、同じような行為を繰り返されることによって、一番感じやすくなっている内壁の
その部分を複数の指で丁寧に何度も擦り上げられ、その都度、それだけで、意識が飛びそうになる。
それでも、そんな状況に至っても、今の自分には、まだ、意識を無くすことなど、許されてはいない。

「エル……そんなに気持ち良いのか?」
「う、ぁあっ!! ……β2、β2!!」

その最奥の場所へと侵入する指の本数を更に増やされ、掻き廻されるようにして、かつ、先程よりも
早いペースで突き上げられた瞬間、エルは、目の前の青年の名を呼びながら、その背中にしがみ付く
ようにして、自らの腕を伸ばした。
その声に呼応するように、β2と呼ばれたその青年は、自らの空いていたもう片方の腕で、エルの少
年らしさを残すしなやかな身体を抱き起こすようにしながら、エルの耳元に囁きかける。


16 :-DUO-存在の証 2- 3:2011/06/19(日) 17:54:07
「俺はβ2じゃないよ、エル、ほら……
 俺のことを、AL-SION -TYPE-β1との、あの時と同じように、シオンと呼ぶんだ」
「……嫌だ! アンタは違う!! ……アイツじゃない、だから、嫌……う、あぁあっ!!」

余計に酷くされると解っているのに、エルの口から、途切れそうな声で、そう告げられた瞬間に、青年
の指が、エル自身が耳を覆いたくなるような、卑猥な水音をたてながら、未だに狭い、エルその場所の
更に最奥を無理矢理かつ、性急に押し広げるような動きを伴って、強く突き立てられる。
それと同時に、青年は、エルの柔らかな首筋に強く、強く、痕が残るように口付けた。

「あぁあぁ!! ……いっ……痛……君は、違う! ……β2……うっ、あぁあぁっ!!」

エルは、彼を抱き起こしたシオンと同じ容姿を持つ青年-自らが、β2と呼んだその青年の肩へと自
らの両腕を廻しながら、再びβ2の言葉を否定した。

そうなのだ、今、エルの目の前に居るこの青年は、エル自身が最も大切に想う存在として、想いを寄
せていた、シオン、その人ではない。
目の前のその青年は、シオンと同じく、青銀の瞳と流れるようなプラチナブロンドを持つその容姿を備
えており、ほんの少しの点を除けば、シオンと違うところなど、何一つ、見当たらないのだが。


17 :-DUO-存在の証 2- 4:2011/06/19(日) 17:56:49
彼がシオンと異なる点と言えば、シオン自身が目立つからと言って、短く切りそろえたプラチナブロンド
が背中まで届く程に長い、彼が研究所に居た当時、そのままの容姿を留めていることと、その彫像の
ような裸身の左側の腰に、β2の文字が小さく刻印されていることだけだ。

しかし、彼、β2には、その見た目がシオンとほぼ、等しいにもかかわらず、大きく異なる点があった。
それは、β2の意識が、その創造主によって、彼、β2自身が、シオンを超えた、または、シオンに代わ
る存在となることを目的とするように、それをあらゆる行動基軸の1つとして判断するよう、彼の意識
への定義が後付けで、追加されている点にあった。

だからこそ、彼、β2は、エルのことを殺しはしなかった。
β2は、エルを捉えて厳重な警備網を引いたこの部屋へと監禁してから、もうずっと、エル自身の口か
ら、自らが望む返答がなされることを求めて、この場所へと訪れる機会が得られた、その度ごとに、エ
ルに対して、こうした行為を求めるようになっていた。

「……β2……も……やだ……止め……」

β2は、シオンではない。
β2の想いを否定すれば、否定する程に、彼から受けるこの行為は、熱を帯びる。
そんなことは、エル自身も、もう、十分に解っていたが、他の事を全て受け入れたとしても、この事実だ
けは、曲げたく無かった。


18 :-DUO-存在の証 2- 5:2011/06/19(日) 17:59:01
それに、エル自身の方も、本来ならば、例え、この場所から逃げ出せなかったとしても、自らの命を絶
つか、β2を殺す程度なら、機会を窺った上で実行に移すなど、造作も無かった。
それでも、エルがそうしなかったのは、β2のことを、自分自身と同じ立場である、人工生命体の1人と
して、認めていたからだ。

後付けで彼の意識に無理矢理にも近しい形で、新たな思考パターンの定義が加えられていることを
考えれば、β2の置かれている状況は、自分よりも相当に酷いものだ。
それ思うと、エルは、β2に与えられているこの定義の一部を除き、どうしても覆してやりたかった。

シオンと切磋琢磨するという意味で、競い合うならともかく、シオンに成り替わる事など、決して、出来
はしないし、なにより、β2そのものが、シオンとは異なる、たった1つの個性を持った、有機生命体とし
ての個体なのだということを彼自身に認識してほしいと思っていた。

「……んっ、あぁ……んっ、や! ……β2、もう、嫌……だ!」

先程から、もう、ずっと、自分自身の身体の奥へと繋がるあの場所で、β2の指が緩急を付けて抜き
差しをされる、その行為から受けている感覚の所為で、エルはもう殆ど、自分の意識が保てなくなりつ
つあったが、それでも、目の前の相手へと自ら想いを込めて訴える。


19 :-DUO-存在の証 2- 6:2011/06/19(日) 18:06:44
「本当に嫌なのか、君の身体に聞こうか?」
「……っ、あぁっ!」

β2は、そう言って、自らのしなやかな指をエルの最奥へと繋がる場所から引き抜き、エルの身体を静
かにベッドへと横たえた。
エルは、指が引き抜かれたというだけなのに、こんなにも敏感に反応を返す自分自身の身体の状況
を改めて思い知らされた気がして、涙を零しそうになった。

「……っあ!」
「ほら、エル、君の身体は正直だよ。こんなにも、俺を求めている」

指を引きぬかれた代わりに、今度は、自分自身の身体の中心に在る最も敏感なあの部分に、軽く手
を添えられ、掌で包み込むようにして、触れられたエルは、ただ、それだけで、息を詰めた。
β2は、未だにしっかりとした熱を帯びて勃ち上がったままのエルの其処を自らの掌で、ゆっくりと扱く
ように擦り始める。

「……っ、は、あぁっ! ……ん! ……も、止め……ろ!」

先程よりも更に直情的な熱を帯びる、その感覚を受けても、なお、涙を零すまいとしながら、切なげな
表情で喘ぐエルを見つめ、満足したように微笑んだ。
そして、既に先程からエル自身の中心から少しずつ湧き上がってきている暖かな液体を絡めながら、
その先端をゆっくりと、焦らすように、なぞる。


20 :-DUO-存在の証 2- 7:2011/06/19(日) 18:08:09
「……っは、い……やだぁっ! あぁあぁ!!」
「俺が、欲しいだろう? エル、俺のことを、シオンと呼ぶんだ」

エルは自らの中心から背中へと這い上がっていく、熱い感覚を受けて、ベッドに敷かれたシーツを強く
握りしめながら、自身の背中を大きく仰け反らせた。
それと同時に、鋭敏すぎる反応を示したエル自身の様子を微笑みながら見つめていた、β2自身の
視線からも逃れようと、大きく首を振って、顔を叛けた。

こんなにも熱く激しい感覚の中に身を委ねていても、最後まで達することなど、エルには当然、許され
てはいない。
β2が先程からエルの身体に対して、緩急を付けながら上手く施してきたその行為によって、エルの
身体の敏感なその中心部分は、未だに張りつめた状態を維持したまま、半ば無理矢理にその状況
を保たされている。

そんな状況の中で、エルは、今、目の前で相対する、この相手にさえ、一体、何処にそんな気力が残
っていたのかと、思わず、そんな印象さえ抱かせるような、強い意志をたたえた、鋭い視線をβ2の方
へと向けると同時に、声を振り絞るようにして、相手に対して、その言葉を告げる。


21 :-DUO-存在の証 2- 8:2011/06/19(日) 18:12:19
「……俺が、俺が今、欲しいのは、アンタなんだ! β2!」
「相変わらず、強情だな……」

β2は、驚いたような表情で、そう言うと、泣きそうな表情になり、それを堪えるために、強く結ばれてい
た、エルの口元へと、優しく口付けた。

「……っあ、あ……β2……」

エルはβ2からの口付けを受けながら、今まで封じていた、感情の全てが抑えきれなくなったかとでも
いうように、不意に、その澄んだ空色の瞳から涙を零した。
β2が欲しいと言った、自身の言葉とその気持ちに偽りなど無いが、それは、自分が今まで、一番大
切にしてきた、いや、その筈である、シオンへの想いに対する、最大の裏切りのような気がした。

今現在に至っても、自分は、シオンのことが、アイツが大好で、一番大切な存在だと思っているのに。
この気持ちが変わる要因など、在りはしないのに、それなのに、俺は、今、β2に対して、何を言ってい
るんだ!
今まで、ずっと、これは、身体だけの反応だと、自分に言い聞かせてきた、これは、嘘なんじゃないか!
俺は、β2の事も、アイツと、シオンのことと同じように、好きで、愛してるんだ!!

そう再び思い返すと、エルは自らの瞳から溢れるように零れる涙をますます止めることが出来なくなっ
ていた。その所為で、エルは、自らの両手で顔を覆うようにして、そのまま泣いていた。


22 :-DUO-存在の証 2- 9:2011/06/19(日) 18:13:40
その様子を黙って見つめていたβ2は、自らのもう片方の手を、エルが顔を覆っていた一方の手に添
え、その手の甲にそっと口付けると、エル自らが顔を覆っているその手を片方ずつ外していく。
それから、涙に濡れて潤む、エルの空色の瞳の目元へと口付けていった。

そして、β2の目元への口付けによって、エルが一度、瞳を閉じ、それを再び開けた瞬間、β2は、エ
ルだけが一番良く知るあの人の表情を思い出させるような、真摯な面もちで、エルを見つめていた。
それから、ほんの少し間を開けた後で、β2は、小さな声でエルに声をかけた。

「エル、もう、いい……今は、もう、何も考えなくて良いから」
「……っ、う、β2……」

エルは、再び、目の前の青年-β2の名を呼びながら、その肩に自らの手を添えると、相手からの求
めに応じて、それに逆らう事なく、深い口付けを交わしていく。

こんな風に、ここまで深く、シオンと口付けを交わした事など、無い。
だから、今、自分の目の前に居るのは、β2だ。
そんなのは、解りきっていることだ。

そんな風に常に自分に言い聞かせていないと、不本意にも、大切なもう片方の相手の名前を呼びそ
うになる自分が、本当に情けなくて、エルは、再び泣きそうになった。

β2と深く交わしていた、その口付けが外されたその瞬間にも、エルの意識は朦朧としていて、何処か
焦点が合っていなかったのだろう。


23 :-DUO-存在の証 2- 10:2011/06/19(日) 18:14:57
「エル、入れるよ」
「……えっ」

だから、そう言われた瞬間、その言葉の意味をエルは捉えることができなかった。
いつの間にか大きく開かされていた自らの脚の間に、β2の身体が割入れられると同時に、それは、
エルの身体の内側の更に最奥へと向かって一気に貫くようにして、押し入れられた。

「……っは、っ、あ!! ……あぁあぁっ!!」

この部屋に収監されてから、もう、何度もβ2のそれを受け入れたかさえ、解らないが、エルの身体の
その部分は、指などとは、比べ物にならない圧迫感と熱量を伴い、挿入されるそれに馴れることは、
一向に無かった。
エルは、先程と同じように、自らの背中を大きくのけ反らせながら、相手の熱い塊を一気に受け入れ
ていく。

それに伴って、自らの下肢の附根からじんわりと拡がってくる痺れにも似た痛みと、β2のそれを一気
に差しい入れられ、相手の熱を受けて、更に潤むあの場所を一杯に満たしていく、内壁に感じる熱
く、疼くような感覚が、エルの心が感じている全ての出来事を塗りつぶしていった。

そして、今、エルは、自分自身が、それを感じるだけで、精一杯になっていく。
他のことなど、何も考えられない。
それでもエルは、ただ、その痛みと、与えられる快楽の全てに、自らの意識を傾けていたかった。
他のことは、もう何も、考えたくは無かった。


24 :-DUO-存在の証 2- 11:2011/06/19(日) 18:16:27
「……っは、あっ、あぁ!! ……β2、い、や……だ!」
「……っ、俺の……何が、嫌なんだ……」

先程とは異なり、自らのものを苦しげな表情で受け入れたエルのことを気遣い、β2は、一旦、自らの
動きを止めた。エルの身体を不用意に傷つけるのは、彼の本意では無いからだ。
それでも、動きを止めているにもかかわらず、エルの其処は、更に温かく心地良く潤むような熱をもっ
て、β2のそれを無意識に締め付けていた。

「……くっ、あぁっ、エル? ……どうして……」
「……動いて……いいから……もっと、アンタを感じたいから……」
「君の望みどおりに」

エルのその言葉を聞くと、β2はエルの額へと軽く口付けた。
それから、開かせていたエル脚を自らの胸元に抱え込むようにすると、自分自身を先程よりも深く、エ
ルの最奥へと打ち込んでいった。


25 :名無しさん:2011/06/19(日) 18:17:17
》13
リク以外にss載せるのは構わないが、
何個も何個もレス使ってやるなら創作物投稿スレでやれ
あくまでここは作ってもらうことをリク、あるいは応えたのを報告するスレだ
自分の投稿作品で「全部読む」を押さないとリクが見えなくなるようにレスを潰すのは
問題外です


26 :-DUO-存在の証 2- 12:2011/06/19(日) 18:18:12
先程よりも強い、その動作に合わせて、β2の熱いそれが自分自身の内側の最も敏感な部分へと、
繰り返し突き当てられ、エル自身の身体が揺すぶられてゆく。
そして、エルの其処は、更なる熱を帯びながら、内側に差し入れられるβ2の熱い楔の先走りを受け、
先程よりもより一層、熱く潤みながら、濡れた音を立てて、抜き差しされる度に、それをより強く締め付
けていく。

「あっ、あぁぁ!! ……も……いっ、あぁっ!! 」
「……く……あっ! まだだよ、エル、君は、今、誰に抱かれている?」

β2は、エルの身体が絶頂に近づきつつあることを理解していたが、だからこそ、彼にもう一度、その
問いを投げかけた。
その問いの返事を聞くために、β2は、エルの腰を支えていた片方の手を外すと、シーツを強く掴んで
いたエルの華奢にも思える一方の手首の方ヘと滑らせた。
そして、自らの手でエルの手首を掴んだままの彼の頭上へと上げさせると、そのまま、ベッドの上に、
押しとどめるように、自らの腕力をもって、エルの手首を固定する。

「あっ、や! ……β2、もう……だ、め……!!」
「エル、君の答えが欲しい」

エルは、耳元で囁かれたその言葉と、彼の腰の奥から伝わってくる、その熱を帯びた感覚に意識を飛
ばしそうになり、しどけない様子をβ2へと晒しながら、首を左右に小さく振った。
その度に、短く整えられたエルの空色の髪が乱れ、揺れた。


27 :-DUO-存在の証 2- 13:2011/06/19(日) 18:20:39
「……っや、あぁっ!!」

空色の潤んだ瞳に涙を一杯に溜めながら、エルは、β2の背中へとしがみ付くように廻した反対側の
腕に込める力を一層強くしていた。
もう、自分のこの想いさえも、容易くは言葉にならない。

俺は、こんな風に激しく、シオンに抱かれた事など、一度も無い。
俺と、シオンは、こんな風に最後までしたことなど、無かった。
シオンは、いつか君がその気になってからで良いよと、微笑みながら待っていてくれたのだから。

だから、これは、β2だ、俺には、解っている。
俺の想いをこんな風に受け止めて、この激しい想いを共有して、
俺の全てを奪い尽くすように抱いてくれるのは、β2、アンタしか居ないから。

「っあ! ……いや……だよ、β2、俺は、今、アンタに、アンタに抱かれているんだ!!」

エルは、涙と艶めいた吐息を零しながら、やっとの想いで、その言葉をβ2へと告げた。
その言葉を聞いたβ2は、自らの両腕で、エルの身体を手繰り寄せ、その華奢な腰を再びベッドから
少し浮かせるようにして、強く抱き締めた。


28 :-DUO-存在の証 2- 14:2011/06/19(日) 18:22:15
「ならいい。今は、俺が、俺が君を抱いているんだよ。エル……好きだ、愛している」

そして、β2は、エルの肩越しで、囁くようにして、そう言うと同時に、エルの最奥へと自らの腰を突き
入れる。
それに呼応するように、エルの身体が、その最初の衝撃に僅かに跳ねた。
それから、エル自身の内側がβ2のそれを受け入れ、再び熱い感覚に満たされていくと同時に、内側
の最も敏感な部分へと幾度か突き付き当てられると、その度に、エルは、しなやかな背中を仰け反ら
せながら、先程よりも更に敏感な反応を返してゆく。

「……β2、やっ、あぁっ!! ……も……い、ふ、あぁあぁ!!」
「……エル!!……っ、くぅ、う……っ!! 」

エルは、片方の腕をβ2の背中へと廻したまま、自らの背中を反らせながら、今まで抑えてきた自らの
中心に籠る熱を解き放った。
そうして、エルが果てたことを見届けたβ2は、自らの熱い迸りをエルの奥深くへと、叩きつけるように
放つ。
それが、自らの内側の奥深くへと放たれた瞬間、エルは、身体を震わせるようにして、小さく喘ぐと、そ
の意識を手放した。


29 :-DUO-存在の証 2- 15:2011/06/19(日) 18:23:58
β2は、意識を失ったエルの身体から自らの萎えたものを引き抜くと、エルの額へと軽く口付けてか
ら、自らの身体をベッドから起こした。
それから、ベッド縁へと腰掛けて、意識を失ったままでいるエルの身体へと、手近にあったタオルケット
をかけてから、彼の頬を軽く叩いて呼びかける。

「エル、大丈夫か? 大丈夫なら、シャワールームに連れて行くけど?」
「……あ……うん……β2、頼む……」

普段よりも幾分激しかった行為の所為で、意識が未だにしっかりとは覚醒していないからか、エルの
返事の切り返しは、いつもよりも若干遅れてなされた気がした。
それでも、エルは、いつも、この行為の最中も、そしてその事後も、もう一人の最愛の存在-自分と容
姿が全く同じ青年-AL-SION -TYPE-β1、シオンの名を呼ぶことは、決して無かった。

あれ程に、エル自身が焦がれる程に愛している、その存在と同じ容姿をした自分のことを無意識のう
ちに呼び間違えることなど、この状況下にあれば、起こしそうだとも思うが、エル自身は、決してそれを
することが無かった。
だからこそ、β2自身にとっても、エルは、特別な存在となっていったのだろうとも思う。


30 :-DUO-存在の証 2- 16:2011/06/19(日) 18:26:07
β2は、いつものようにエルの身体を先程かけたタオルケットに包んだまま、抱きかかえ、ベッドの上か
ら運びあげた。
そうして、エルをシャワールームへと運ぶのは、エル自身が、この行為の終わった後に、そのままの状
態で眠るのをとても嫌がるからで、これもいつしか、彼の役目になっていた。

思い起こせば、始めのうちは、エルは頑なに意地を張って、ふらつきながらも自身で、シャワールーム
へと向かい、自分の身を清めていたのだが、それをいつしかβ2に預けるようになっていった頃から、
二人の関係性が変わってきたようにも思う。

だから、どんなに、彼の意識が保ちそうにないと思っても、β2は、必ず、彼の意向を聞くようにしてい
たし、彼のそうした意識をできるだけ尊重してやりたいと思った。
β2は、そうして、いつものように未だに、歩くことなどできる状況には無い、エルの身体をシャワー室
へと抱えていった。

願わくば、エルが自らの傍に居てくれる、この日々が少しでも長く続いてくれるようにと祈りながら。


【END】


31 :-DUO-存在の証 2-:2011/06/19(日) 18:36:34
投下終了-

エロはやっぱ難しいですね
相変わらず、描き馴れてなくて、ごめん

》23
ご指摘をいただくことになってしまい、すみませんでした

自分は、こっちのスレにも作品ごと投下しちゃって良いものかと解釈しまいましたよ……orz

始めにどなたかに聞けばよかったかなー
以降、気を付けたいと思います
本当に申し訳なかったです


32 :25:2011/06/19(日) 18:43:10
指摘したものだけど、上見たらいいのかもしれない…
ごめんなさい
自分の解釈も間違ってたorz


33 :31:2011/06/19(日) 18:56:02
いや、こちらこそ、申し訳ない
一気に投下するには長いSSだったので、
25さんからのご指摘のとおり、告知して創作物スレに投下
すれば良かったかなぁ……と、反省しております。

投下内容にあわせて使い分けるのが大事だと思っているので、
以後、気を付けたいです。
今後ともどうぞよろしくお願いしますー


34 :名無しさん:2011/06/19(日) 23:13:48
長編乙!
切ない…萌えましたありがとうありがとう
自分絵も文も駄目なんで形にできないのがもどかしいorz

1を見るとSS投下OKって感じだね
人様の子を借りるならここ、自キャラで作品書くなら創作物スレって感じなのかな?
まだ始まったばかりのwikiだから多少間違いがあるのも仕方が無いさ
作品投下は貴重だし萎縮せずにまた投下してください
待ってるよー


35 :34:2011/06/19(日) 23:16:19
いや違うね

>自作キャラのSSを投下してイラストを書いてもらったり、
>イラストを投下してSSを描いてもらったり、ご自由にどうぞ。

自分も間違ってるわ…スレ汚しごめん


36 :名無しさん:2011/06/19(日) 23:43:05
当て馬いいよ!萌えた、エロもいい。最後たまらんよ!

例えば挿し絵がほしいSSはこっちでたぎる思いをぶちまけたい時はあっちかな~と思ってるけどどうだろう?


37 :名無しさん:2011/06/20(月) 12:24:46
》1では投下OKになってるけど、作品の投下先は固定した方が良いと思うなー
んで、作品を元に人様に創作してもらいたい!ってのは前口上や後書きで述べておくとか、
創作物投下スレで投下した後にコチラに依頼しとくとか。
依頼・報告用と、投下先と分けた方が、見る側も投下する側も分かりやすいと思うんだな


》31
投下乙!イイネイイネ!


38 :名無しさん:2011/06/21(火) 01:12:45
うーん、創作物の投下先は、まとまっていた方が良いような気もするが、
せっかくスレが2つあるし、これはこれで良いんじゃないかなとも思うな

ライトなSSとか、1枚絵とかを元に気軽に書き合い・描き合いするなら
告知板と切り分けていない、この創作してもらうスレのスタイルが良いと思うし、

シリーズものとか、長編とか、好みが分かれるSSとかイラストは、創作物スレ
の方が投下先に向いてそうだよね

なので、ちょっとゆるい感じにはなるけど、なとんなく各板の用途別の切り分け
を踏まえていただきつつ、各自のスタイルに合わせてどちらも自由に使ってもらう
っていう感じの運用で良いのではないかな-と思うよ

もう少し投下が進むにつれて、徐々にそれぞれのスレのルールができてくる気がするので、
とりあえずは、あまり気兼ねせずに気軽に投下していただけると良いかなーと

長文、失礼しました
とにかく皆様のお子達の作品が見たいです!
投下をお待ちしてますー


39 :31-1/3:2011/06/22(水) 22:23:10
レスありがとうございます!
ここで良いのかまたも迷ったんだけど、
》31の追加キャラクター設定とかを投下していきます
よろしかったらどうぞ

【キャラクター】
β2(AL- SION- TYPE-β2)……18歳(見た目年齢です。多分)
身長、体重及び見た目等は、シオン(AL-SION -TYPE-β1)と同じ
能力も基本的に同じ筈だが、シオンよりも若干使い方が上手い
シオンと異なるのは、
髪が長いこと、左側の腰にβ2の文字が小さく刻印されていること、
シオンに代わる存在となるように意識付け(洗脳?)されていることのみ
なので、その意識の定義付けからも、そもそもエルの方にも関心が向きやすい
それでも、自身のことを一人の人格として認めてくれるエルに次第に魅かれていく


40 :31-2/3:2011/06/22(水) 22:34:10
【服装とか】
服装については、いつもあまり書けてませんが、本当は、こんな感じ

エル(EL-SION- TYPE-α1)……
 モッズコートにラフなジャケット、Tシャツ、細身のカーゴパンツにエンジニアブーツといった格好が普
 段着。手袋が割と好きで、夏場でも着用していることあり。
 髪の色が目立つので、特に昼間出歩く時には、帽子が手放せない。
 髪を染めるとかは、色々と面倒で好きではないので、基本そのまま。
 研究所にいた際は、白い詰襟の軍服みたいな服装がデフォルト一時期、どこかの資産家の家で、
 子供の養育係等を任されていた時の服装も、研究所に居た時の服装をベースにもっと豪奢にした
 感じのものを着用(もちろん、養育係のほかにも、子供には色々と言えない役目も任されました)。

シオン(AL- SION- TYPE-β1)……
 研究所を抜けてからは、白シャツにジーンズにトラッドで、きれいめな感じの革靴(またはスニーカ
 ー)といった感じのいかにもどこかの大学生風といった感じ。
 エルに代わって、外に出歩くことも多いので、至って普通といった格好を心がけている。
 目の色味が、普通の人と若干異なるので、場合によっては、それをごまかすために眼鏡をかける。
 研究所に居た際は、黒ベースの軍服を着用。
 髪が長かったので、研究所内でも結構目立っていたかも。
 彼はプロトタイプなので、その性能(力量)の確認ができれば良かったからか、容姿の方は、目立つ
 とか、目立たないとかの問題を度外視して、開発者好みに創り上げられているる。
 なので、開発者に色々と関係を強いられて苦悩してきたという感じ。
 彼と同じ容姿で創られたのは、β2までで、それ以降は、量産型として、黒髪、黒目に浅黒い肌の
 AL- SION- TYPE-01が創られた。


41 :31-3/3:2011/06/22(水) 22:57:10
以上、御目汚し失礼しました

今回は、エルとβ2の話を書きましたが、彼らの今後も、β2ルート、シオンルート、エル単独ルート、
3人共存ルートとか、どのルートを採るのかとか、ストーリの大筋も決まってないし、
彼らの置かれた状況とか世界観も漠然としたままで、未だに何も決まってないといった感じです

でも! またSSが書けたら懲りずに投下しにきますので、これからもどうぞよろしくお願いしますー


42 :名無しさん:2011/06/23(木) 23:38:52
》41
投下乙です-!
設定って、読んでると、SSとはまた違う形で、
妄想が広がるよねw
お互いに相手には打ち明けられないエピソード
を抱えてるっぽい感じが良いなー
今後も期待してますw


43 :君の未来:2011/06/26(日) 04:55:34
本スレ858です。
ということで、妄想をSSにしてみたので、投下します。
先に投下されている姐さんに倣って、属性とかも告知していきますので、
ダメな方はスルーでお願いします。
・ファンタジー
・少年×青年
・AエリアとかBエリアなんて、途中で出てくる地名が超適当
・エロは無いけど思わせ振り
こんなんでも、どなたかイラスト付けてくれると嬉しいな-ということで、
こちらに投下させていただきます。
あ、SSでのコラボなんかにしていただいてもOKです!


44 :君の未来 1/6:2011/06/26(日) 04:58:09
「ジェイ、危険な真似はするなと言った筈だ。
君に何かあったら、僕は、シリウスに申し訳が立たない。
 それにね、勇気があるということと、
自分の力を推し量らずに挑むということは、全く別のものだよ」

僕の目の前のその人は、たった今、僕一人の力では、持て余す程の強力な力を持った魔物
-虚落の欠片と呼ばれるそれを易々と片付けてから、いつもと変わらぬ着いた様子でそう
言った。
いや、目つきは、いつもより少し鋭かったし、溜息もついていたから、若干怒っていたか
もしれない。

「でもね、ルーク、俺は少しでも貴方の役に立ちたいんだ!
貴方は、もう、ここ数年、ずっと一人で、ほかの人の倍のエリアを統括してるんだよ!
いくら貴方も、もう、これ以上は無理だ!」

強い口調でそう言った俺のことを彼は少し驚いたような様子で見つめた後で、いつものよ
うに、大丈夫だよと言いたげに、にっこりと微笑んだ。

だって、もう、これ以上は、無理だよ、ルーク、あんた、もう、4年もこの状況で過ごし
てて、一体いつ、休息を取っているっていうんだ!

そう言いたかった、だけど、俺の思いは、言葉にはならなかった。
その前に、彼が、いつものように、俺の頭をぽんぽんと撫でたからだ。
少し涙目になりながら、黙って彼の顔を見上げていた俺に、彼はもう、何も言わなかった。


45 :君の未来 2/6:2011/06/26(日) 04:59:52
ルークは、俺より7つ年上の20歳の青年聖騎士だ。
彼は、俺なんかよりも何倍も強くて、彼が16歳の頃には、もう、このAエリアの隣側に
位置するBエリアの首領を務めるようになっていた。

それに、その華奢な身体つきと、白銀の髪にスカイブルーの瞳が、印象的な美青年といっ
た風貌の彼は、いざ、戦となると、その冷静な剣さばきと、圧倒的な力量で応じるのだ。
だから、仲間との模擬戦にも、魔物との実践でも、負けた試しなど無いし、俺みたいに、
予定外の形で、他人の手を借りることになるような事なんかも無かった。

ただ、ルークは、俺と彼が敬愛して止まない、Aエリアの首領であった、シリウスが、魔
物のせいで、ずっと眠りから目覚めなくなったあの日から、もう、ずっと、AとBの2つ
のエリアの首領を務め、なおかつ、眠りに就いたシリウスの身体の状態を常に保つために、
常時、自身の魔力を傾けている。
おまけに、シリウス直下の準聖騎士候補生だった、俺達の面倒まで見ているのだ。
もう、4年近くも、そんなことをやっていて、倒れるなと言う方が無理だ。


46 :君の未来 3/6:2011/06/26(日) 05:03:43
「焦らなくて良いよ。大丈夫、君はさ、ちゃんと強くなる。
 だから今は、毎日の修練を怠らずに、しっかりこなすのが大事なんだ。
 決して、無理なんかしちゃ駄目だ」

ルークは、ちょっと涙目になっていた、俺の表情を気に留めると、再び微笑んで、俺の黒
髪をくしゃくしゃと撫でながら、そう言った。

「でも……俺は、今すぐにでも、貴方の役に立ちたいんだ!」
「そんな風に気負わなくても、大丈夫だよ。
 今は、君が、こうやって、僕の傍に居てくれるだけで、十分なんだ」

俺の黒い瞳へと視線を合わせるようにしながら、ルークは、そう、言葉を続けてくれた。
ルークが、そう言ってくれるのは、本当に嬉しいし、ヘマをやらかした俺のことさえも、
受けて止めて、ちゃんと応じてくれるのは、本当に有難いと思うけど、それでも、俺は、
できる限り早く、シリウスの代わりが務められるようになりたかった。

「ルーク、俺もいつか……シリウスみたいに、貴方を抱けるようになるかな」
「……えっ! あ! 何言って……」

俺が、何の気なしにそう言った言葉に、ルークは、急に顔を真っ赤にして、自分の口元に
片手を充てた。
正直、俺は、「抱く」という言葉の意味が、彼が表情をこんなにも変えさせる程のものだと
は、思っていなかったのだ。

俺は、きっと、少しぽかんとした表情で、ルークを見ていたんじゃないかと思う。
でも、同時に、あの時のシリウスとルークのことを思い出したんだ。
そう、俺が、偶然にも、ただ一度だけ見た、あの時の二人を。


47 :君の未来 4/6:2011/06/26(日) 05:05:40
あの時も、ルークは、今と同じように、頬を紅く染めてシリウスを見つめていた。
それからすぐに、シリウスがルークを更に強く抱きしめるようにすると、彼は相手を見つ
めていたアイスブルーの瞳を閉じた。
そうして、それを合図にするようにして、二人は、互いにいつもより深く、口付けを交わ
していた。
その姿があまりに綺麗で、でも、俺がその場で、思わず声を上げたから、二人が俺の方へ
と振り返ってしまい、あっという間にいつもの二人に戻ってしまったのだけれど。

その時のルークがあまりに綺麗だったから、後で、シリウスにあれは、何してるところだ
ったのかって、聞いたら、『あれはね、「好きな人を抱く」って、行為をしているところだ
だったんだよ』と、そう、俺は聞いたのだ。
「俺は、ルークのことがとても好きだから、抱きしめてたんだよ」と、シリウスは笑顔で、
俺に、そう言っていた。

だから俺は、「抱く」ってことが、好きな人同士だけが、互いに交わす挨拶みたいなものだ
と思っていたのだが、何かが違っていたのだろうか?
今のルークの反応を見ると、何か少し、意味が違っているようにも思えた。


48 :君の未来 5/6:2011/06/26(日) 05:06:50
俺のそんな風な表情を改めて認識したルークは、ほんの少しだけだが、声を上げて笑って
いた。
彼がそんな風に笑う原因は、俺には、解らなかったが、ルークのそんな表情を見たのは久
しぶりで、俺まで、なんだか少し嬉しくなった。

「ごめん、ジェイ、君、そういうの、馴れていないんだっけね」
「馴れてないって……何が?」
「もう良いよ、僕が悪かった。
多分、君もシリウスと同じ位の年になったら、僕を抱けるようになるかも知れないね」

ルークは、未だに込み上げている笑いを思いっきり堪えているような表情のままで、そう
う言うと、俺の額へと軽くキスをして、俺をふわりと抱きしめてくれた。
何か、当初の予定とちょっと違う気もするけど、ルークからそんな風にされるのは、初
めてだったので、俺自身も何だか、少し変だけど、嬉しい気持ちになった。
 そして、ルークの温かい腕の中で、早く彼を護れるようになるんだと、改めて誓った。

【END】


49 :君の未来 6/6:2011/06/26(日) 05:08:26
-投下終了-

うん、ライトな年下攻めが書きたかった筈なんだ。
あとは、マイキャラのうちでも、こいつ、結構総受けじゃね?
相手が年下でも、やっぱ直接的には拒まないだろうなぁ……
という妄想がきっかけです。
いつものとおり、設定-もとい、年齢差を3回位見直しましたよw


50 :名無しさん:2011/06/26(日) 07:05:52
》49
投下乙~
未熟な年下×優秀な年上オイシイです
数年後、二人肩を並べるようになったり、年下が年上を追い抜いたり…ってとこまで妄想が広がったよw
ファンタジーものは、設定の盛り込み方難しそうだけど、良い感じでした!


51 :名無しさん:2011/06/26(日) 22:02:55
》43
3~4年後くらいに自分の言葉を思い出してあわあわしながらも実行しようとする年下を妄想した!
ごちそうさまでした……


52 :名無しさん:2011/06/30(木) 00:04:33
31様のエル・シオン・β2のお三方を描いてみました…
素敵なキャラ、SSのイメージ崩しちゃったら申し訳ないです!
http://ux.getuploader.com/orimoe/download/7/31sama.jpg


53 :31:2011/07/01(金) 21:38:21
》52
わー!
素敵なイラストをありがとうございます!
3人ともイメージどおりで、本当にびっくりしましたw

エルのふんわりした髪の毛と、意思の強そうな(生意気そうなw)目つきとか、
シオンとβ2の優しげな視線なんかが、本当に想像していたとおりの感じで、
いや、それ以上にカッコよく描いてくださってありがとう!
52様に描いていただけて、本当に嬉しかったです!!


54 :31:2011/07/01(金) 21:50:00
追伸:
よろしければ、今度、52様のお子でSSを書かせてくださいませ!
それが難しければ、うちの子達にリクエストをいただけるとありがたいです!

シオン×エル、β2×エル、シオン×β2、β2×シオンなどなど…
お好みがあれば、お知らせくださいw
またぽつぽつとSSを書いてきたいと思っていますので、これからもどうぞ
よろしくお願いいたしますw


55 :52:2011/07/02(土) 21:21:56
》53-54
優しいお言葉ありがとうございます…投下してみて良かった…
本当、31さんの切なくも救いのある設定、SSが素敵だったので、
少しでもイメージに沿えていたら何よりです!

自分のオリキャラは、一応本スレ510-511周辺なんですが、
どうしよう、リクしちゃって良いんでしょうか…gkbr
書きにくくなければ、是非どうとでも弄ってやってくださいませませ
でも31様の設定でのSSもまた読みたい…
シオンとエル、β2とエルの関係性が素敵だったので、シオンとβ2の関係性も気になります!
三角関係大好物なのでw
気が向かれれば書いていただければ何よりです…図々しくスミマセンorz


56 :31-1/4:2011/07/03(日) 13:17:20
》55
わー! またまた嬉しすぎるレスをありがとうございます!
52姐さんのキャラで、萌え転げさせていただいた覚えのある自分としては、
本当に嬉しすぎな展開にびっくりですww

うん大丈夫! 52様のキャラをお借りしての二次SSも、うちの子のSSも
書きますよっ! せひ、お任せくださいw
と、いうことで、52様、以下のとおり、もう少しだけご協力くださいませ。


57 :31-2/4:2011/07/03(日) 13:19:14
まず、52様のお子をお貸しいただくにあたり、SSに書き下ろすキャラを
「書き合い・描き合いスレ」にて、ご指定いただければ、と思います。

52様のお子なら、恐らくどの子でも大丈夫だと思いますので、遠慮なく、
ご指定ください。


その後、同スレにて、設定等の詳細をいくつかご質問させていただいた上で、
そのご回答を基に創作(本スレ548様と同じ手法ですね)という方式を採らせ
ていただければと思いますので、どうぞご協力の程、よろしくお願いいたします。


58 :31-3/4:2011/07/03(日) 13:21:17
それから、うちの子達のSSですが、実は、
シオン×エル、β2×エル、β2×シオンというのは、それぞれ出来かけのネタ
があったりするのですが、シオン×β2だけ、しっかりしたネタがない!のです…

シオンの方が力量からするとちょっと劣勢なのと、この人、β2×エルの関係に
一度、ものすごく切れる予定の人なので、β2と、どう折り合いを付けてくれるか、
考え中です…。

あと、β2は、β2で、シオンには、エルに向けているのとは、また別の思い入れ
があったりするので、シオンに対しては、基本、いじめたがりですw

そんな訳で、こちらの方は、少し時間がかかりそうですが、まとまりましたら、
またSSを投下しますので、どうぞよろしくお願いいたします!


59 :31-4/4:2011/07/03(日) 13:23:38
以上、長々と失礼いたしました。
「書き合い・描き合いスレ」にて、52様のレスをお待ちしております!


60 :52:2011/07/03(日) 18:23:44
》56-59
お言葉に甘えまくりで、「書き合い・描き合いスレ」にてレスさせてもらいました
しかし何と言う棚ボタ展開…あなたが神か…!

あ、あとシオンとβ2は、カプに拘らず美味しく頂けますので!
それぞれ×エルを前提に、どういった関係を築くのかなーと気になってます
β2×シオンでも、&の関係でも、31様が書きやすい内容で書いていただけたら嬉しいです…!


61 :-SOLUS-心の在処2:2011/07/10(日) 11:06:41
本スレ710です。
昨日、52様からの設定待ちの間に書き上げた、うちの子のSSを投下します
 ・これだけでも読めるとは思いますが、一応、31からの続きになっています
 ・今回も相変わらず、そんな描写は出てきませんが、一応サイキックファンタジー風味
 ・青年×少年でエロが無いうえに、ストーリーも短め
こんな感じですが、よろしかったらどうぞ


62 :-SOLUS-心の在処2-1/5:2011/07/10(日) 11:10:47
彼は、泣いていた。
自分と過ごしていた夜も、彼が切ない表情を見せることは、あった。
だが、あんなにも切ない表情をしていた事は無かったように思う。
あの姿を見せられた瞬間、自分の体内の血流の全てが、逆流するかのような激しい感情が渦巻いた
のは事実だ。

それでも、彼のあの涙を見た瞬間、それは、全て、どうでも良いことになった。
彼の目の前で、「もう、自分を責めるな」と、ただ、それだけを言ってやりたかった。

ただ、今の自分には、それさえも叶わない。
青年は、明かりひとつ灯いていない暗闇の中で、広大な研究所の一角に在る、この部屋の窓に映る
自らの姿に視線を移しながら、そう思った。
そこには、先程、自らが想いを馳せたその記憶の中で、自分自身の最愛の少年を抱いていた男-β
2-と同じ、流れるようなプラチナブロンドと、青銀の瞳を持つ、その姿の全てを生き移しにしたかのよ
うな、青年自身の姿が映っていた。


63 :-SOLUS-心の在処2-2/5:2011/07/10(日) 11:12:14
青年は自分自身のその姿を複雑な想いと共に眺めながら、その窓硝子へと手を遣った。
数日前に、あの映像を目にしてから、青年自身が想い返すのは、自分にとっても、恐らく、もう一人の
自分にとっても最愛の存在となった、空色の髪と瞳を持つ少年、エルのことだけだった。
そして、たった今、先程も、あの切ない表情の少年を夢にまで見て、こうして夜中に起き上がる破目に
なったばかりだ。

エル、例え君が俺の名を呼んでいなくても、君の想いは、届いている。
だから、もう、自分自身をそんな風に、責めるな。
エル、君に会いたい。いつもそう、思っていたよ。

青年は、ひどく切ない表情で泣いていた少年のことを想うと、今、自分自身が感じている激しい想い
を乗せたまま、彼を抱きしめたいという気持ちと、今までずっと抑え込んできた、衝動的な行動にさえ
打って出たいという気持ちで、一杯になった。

だが、今の青年には、その少年の名前を声に出して呼ぶことさえ、叶わない状況に在った。
それは、青年自身が、その一挙手一投足までも、この研究所内で監視されている状態に在るから
だ。


64 :-SOLUS-心の在処2-3/5:2011/07/10(日) 11:13:55
互いが、互いの為に、何時か再び、再会するために、「今を生きる」という、その選択肢を採った、あの
時から、こうなる事は、解っていた筈だ。
それに、今、自分のこの想いに探りを入れられることなどで、これ以上、互いにとって、有益にならない
状況など、作りたくはない。

今はただ、自分自身がエルのことを激しく焦がれる程に求めるという、ある意味、一方的な感情に流
されそうになっているだけで、だからこそ、何もできないこの状況がもどかしく思えているに過ぎないのだ
から。
青年は、そう思いながら、幾分険しい表情で、その窓から映る眼下の暗闇へと眼を向けた。
そして、自らの製作者から申し渡されたあの言葉を思い返す。


65 :-SOLUS-心の在処2-4/5:2011/07/10(日) 11:15:15
「-シオン-いや、AL-SION- TYPE-β1、君にもチャンスをやろう。
近いうちに、もう一度、EL-SION- TYPE-α1、エルに会う機会を提供してあげよう。
そうして、君がAL-SION- TYPE-β2の感情を煽った方が、観てる方もより楽しめるだろう?
その後、しばらくしたら、君は大勢の観衆が見守る中で、β2と果たし合いをする事になるのだから」

シオンは、彼から述べられたその言葉自体には、さして驚きもしなかった。
自分が此処に呼び戻されたということは、またそうした悪趣味な催し物にも狩り出されるということなの
だろうと思っていたからだ。

それに、エルを護るというハンデが無ければ、様々な状況下での経験をこなしている分、恐らくは、相
手よりも自分の方が強い。
自分は、あの映像に映っていた男-β2-と紛れもなく、同じ性質を有する個体であり、β2は、クロ
ーニング技術によって生み出された、もう一人の自分、なのだから、その推測に誤りはないだろう。

彼と自分との違いといえば、自分だけが勝手に短く切りそろえた、この髪の長さと、腰に刻印された型
番の有無、それに、思考の一部に精神的なコントロールを施されているか、いないか、ということだけ
なのだから、そこから考えれば、ある程度、相手の能力に対する推測も付く。


66 :-SOLUS-心の在処2-5/5:2011/07/10(日) 11:16:35
ただ、きっと、エルは、自分と、β2が殺し合うことなど、望んではいない。
そうして、多分、そんな風に冷徹になりきれていない自分の想いが、きっと相手に隙を与えることにな
るのだろう。

「全て解りきった事なのにね」

シオンは、自分以外には誰も居ないこの部屋で、自らの前髪をかき上げるようにしながら、小さな声で
そう呟くと、自嘲気味に微笑んだ。
それから、このまま朝まで眠りに就けないであろう自身の体力をできる限り温存しようと、先程まで横
になっていたベッドに再び、自分自身の身を投げ出すようにして預けた。

-それでも俺は、エルを再びこの手で抱きしめたい。 ただ、それだけなんだ-

シオンは、ベッドに身を預けたそのままの姿勢で、暫くの間、暗闇の中で、この部屋の天井をただ、見
上げていたが、やがて、自身の想いを確認するように、一度、その瞳を閉じた。

「また、いつか、必ず、会えるよ」

其処には、あの別れ際に、そう言って、自らシオンの唇へと優しい口付けを施してくれたエル笑顔が在
った。

【END】


67 :-SOLUS-心の在処2-:2011/07/10(日) 11:18:07
-投下終了-

よくよく考えたら、エルが数週間に渡って監禁されている間、君は何をしてたんだ!
ということで、書いてみたものです。
彼自身が昏睡状態とか、もっと激しく怒るとか、そんなシナリオも在ったんですが、何故かある意味、
より冷徹で、更に過酷な展開のこちらのシナリオになってしまいました。
彼は感情に突き動かされて行動するということが、とても少ない人なので、どういう選択肢を採るのか
が、未だによく把握できていなくて、書く時にいつも悩みます…
またそのうち、エロを絡めたストーリーも書きたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いします!


68 :-SOLUS-心の在処2-:2011/07/10(日) 11:19:20
追伸:
52様のお子の二次SSのプロットは仕上がりました!
自分の場合、ここからの作業がちょっと長いので、もうしばらくお待ちくださいませ
では、また!


69 :名無しさん:2011/07/11(月) 19:45:34
》61-68
ntrktkr…!!いいなぁいいなぁ、寝取られ萌える…
しかしシオンが大人すぎて優し過ぎて切ない…
もう三人で逃亡して仲良く暮らせばいいよ
でもたまにシオンとβ2でエルの取り合いしてればいいよ…


70 :-PRIME-誓い-:2011/07/17(日) 20:11:00
本スレ710です。
創作してもらうスレ52様のお子様をお借りした二次SSを仕上げましたので投下します。
では、まずは、いつものとおり属性表記から
 ・創作してもらうスレ52様(本スレ510様)の設定からの二次SSです
 ・ダフネ様×ディオス様でエロはありません…
 ・ストーリがちょい長め
 ・何となく主従&騎士萌え?な感じ
 ・設定準拠ではない表記を若干含みます
 ・キャラ&設定が52様の公式設定から外れている可能性あり
なのですが、よろしかったらどうぞ


71 :-PRIME-誓い- 1/14:2011/07/17(日) 20:15:18
「……それでも、私は、貴方様と共に在りたいのです。
                   それは、もう叶わぬ望みなのでしょうか?」

その夢の中で、薄桃色の長い髪と夕暮れ刻の空の色を移したかのような、紅と紫を織り混
ぜた色の瞳を持つ幼い少女は、少し哀しそうな表情をしながら、それでも、目の前で相対
する黒髪と漆黒の瞳が見る者に理知的な印象を与えている、正に美少年といった風貌の少
年を見据えて、しっかりとした口調でそう言った。

「……ぅあ!」

久し振りにその夢を見ていた少年-ダフネ・グリンバーグは、その夢に映る自らの姿を認
識して、飛び起きた。
あれは、あの少女は、まだ幼かった、十二の頃の自分自身だ。
あれから、三年が経った今、十五になった自分自身の姿は、あの頃とは、全く違う。
髪を短く切りそろえた今の自分は、あれから懸命にこなしてきた鍛錬によって、何処の誰
が観ても、凛々しい少年騎士にしか見えない。
そんな風にもう、新たな自分自身を手に入れているというのに、未だにあの時のことを夢
に見るなんて、どうかしている。


72 :-PRIME-誓い- 2/14:2011/07/17(日) 20:18:10
少年は、そう思いながら、自身の額に手を当てて、溜息を付くと、周囲の様子を改めて確
認するために、その視線をこの辺りへと巡らせた。
此処は、自身が先程、眠りに就いたのと同じ、王宮に在る皇太子離宮の一角に在る部屋だ。
自分は、今日、皇子からの特別の厚意を受けて、この部屋に泊ることを許されていたのだ。
そう、自分は、あの男を今日、この手で葬ったのだから。

「これだけの働きをした後であれば、己が館に帰るのも億劫であろう。
 今日は、特別に我が離宮の一角に泊ることを許そう」

ダフネは皇子からのその言葉を思い返しながら、溜息を付くと、自身が横になっていたベ
ッドから起き上がった。
そんな普段と変わらない、ありふれた動作なのに、身体のあちこちが、まだ少し痛む。
今日、自分は、大勢の立会人の目の前で、罪人とはいえ、自身の剣の師範たる者をこの手
で屠ったのだ。
そのことを考えれば、この程度の痛みは仕方ないのかもしれない。


73 :-PRIME-誓い- 3/14:2011/07/17(日) 20:23:13
そう思いながら、ダフネは溜息をつくと、先程から細い月明かりが差し込んでいる、この
部屋の窓際の方へと歩いていった。
それから、ダフネは、窓の傍にある椅子に腰かけながら外の景色へと視線を移した。

外からは柔らかな月明かりが差すのみで、辺りの様子はその暗闇の中でしか窺うことがで
きなかった。
だが、それでも、その窓から見える庭園は、紛れもなく、自分が、十二の頃までを少女と
して、皇子ディオスの許嫁として育てられていた、あの時期によく訪れていた場所だった。

だからこそ、あの時の夢を見たんだろうか?
ダフネは、そう思いながらぼんやりと窓の外の景色を眺めていた。
大体、皇子も皇子だ。
何も、幼少期に許嫁として育てられた際に、自身に与えられていた部屋が今でも、存在し
ているこの離宮に通すことはないだろう。

あの時と同じ部屋ではないにしても、自分にとっては、この離宮に己の身を置いていると
いうだけで、当時のことを思い出すには、十分なのだろう。
ダフネは、そう思いながら、当時のことを思い返した。

そう、自分は、あの時、皇子自身の許嫁であった自分に対して、今では、滅多に見せなく
なっているであろう、あの笑顔と、真摯な眼差しをもって、自身が今でもこれ程に敬愛し
ている、皇子ディオスが言ってくれた、あの言葉が忘れられないのだ。


74 :-PRIME-誓い- 4/14:2011/07/17(日) 20:26:49
「ダフネ、この先、何時の日か、私は世界で唯一、無二の王となるだろう。
 その時は、この世界の全てを私と共に手にしてくれないか。
 そして、それまでの間もずっと、いや、それから先も永遠に、私の傍にいて欲しい」

自分は、生まれてからこの方、その時まで、誰かから、そんな風に真摯な想いを告げられ
たことなど無かった。

だからこそ、自分のそういったことに対する知識の浅はかさから、皇子の目の前で、自ら
の本来の性別が露呈したあの時、そう、今までのように、皇子の傍にいる事が叶わなくな
ったあの日に、「自分が皇子の方腕たる騎士にでもなればまた、傍に居ることを許す」と言
った、皇子のあの言葉を成就させたいと、自分自身が、強く思ったことを改めて思い返し
た。

「ディオス様、必ず、いつか再び、貴方のお傍に」

ダフネは、窓の外の月明かりと照らされた庭園に視線を向けたまま、小さな声で呟いた。
その直後、彼は、自らの部屋の扉が軽く叩かれる音を耳にした。

「何の用だ」

こんな夜更けに、しかも、自分の様な今日、一日限りの客人に対して、何の用があるのか
と思いながら、ダフネは扉の外に居るであろう、小姓に向かって短く切り返した。


75 :-PRIME-誓い- 5/14:2011/07/17(日) 20:30:04
「夜分遅くに失礼いたします。ダフネ様、ディオス様がお呼びにございます。
 貴殿を庭園で待っているとの旨を、お伝えせよとの事にございました」
「今、これからか?」

ダフネは、静かに開けられた扉から、礼節を心得た動作で、この部屋の中へと入り、流れ
るような所作で一礼をした、その姿から見るに自分よりも二、三歳下のように思われる小
姓の少年に対し、少々驚いた表情を向けながら、返事を返した。

「左様にございます」
「相解った。その旨、承知いたしましたと、殿下に伝えてくれ」
「かしこまりました。失礼ながら、
 貴殿の御支度をお手伝いする必要は無いものと心得えてよろしいでしょうか?」
「ああ、こちらは大丈夫だ。だから、もう、下がって良いよ」

ダフネは、そう言って、相手へと笑顔を作りながら、ベッドの傍の椅子の背に掛けたまま
にしていた、黒地に赤い縁取りが施された、自らの騎士服の上着を手にした。
その姿を目に留めた少年は、此処に来た時と同じように、静かな所作で、この部屋の扉を
閉めると、ダフネの部屋を後にしていった。


76 :-PRIME-誓い-6/14:2011/07/17(日) 20:31:45
自分自身もこの国で、一、二を争う名家の子息ではあるので、ただ、普通に、自分が意と
する誰かに会いたいと思っても、ままならない事も多いとは思う。
しかし、それが一国の皇子ともなると、常日頃から更に色々と、面倒なものなのかもしれ
ない。
ダフネは、そんなことを考えながら、騎士服に袖を通し、自身の身支度を整えながら、自
らが対面することになる皇子ディオスへと想いを馳せた。

それから最後に、その鞘にあらかじめ取り付けられていた革のベルトを留め、自らの背丈
からすると、少し大きくも思える自分の剣を、自身の背中に背負うようにして装備し終え
ると、この部屋から出ていった。


77 :-PRIME-誓い-7/14:2011/07/17(日) 20:33:26
「以外に遅おそかったじゃないか」

ダフネが指定のその場所に着いた時、彼のことを待っていた目の前の青年は、あまり大き
く表情を変える事無く、そう言った。
今、ダフネの目の前に居るのは、この国の皇太子にして、第一王位継承者である皇子ディ
オスその人だ。

彼は、先頃、ダフネが久方振りに会った頃から何一つ変わらない、また、小さい頃から知
るその印象から違うことのない、藍色を帯びたしなやかな黒髪と漆黒の瞳を持つ、いかに
も知性的といった雰囲気をたたえた姿のままで、その場所に立っていた。

それに加えて、今は、その自らの容姿を更に引き立てるかのような、それが上質な生地と
上等な仕立てのものであると誰が観ても判る漆黒の騎士服と、精緻な作りが施されている
ことが遠目からでも明らかに見て取れる美しい剣を騎士服の帯の左腰に差し込むようにし
て帯剣している。

彼は、そんな風に、目にした誰もが見惚れるその姿で、今、ダフネの目の前に立っていた
のだ。その姿は、この淡い月光と星の明かりが照らすのみの、この庭園にあって、まるで、
一幅の絵画のような印象さえ与えていた。


78 :-PRIME-誓い-8/14:2011/07/17(日) 20:35:37
「遅くなりましたことお詫び申し上げます」
「いや、この程度なら構わない。
 さて、ダフネ、お前に話したいことある。他の者は、此処から去れ」

ダフネが、自らが主と定めたその人の前で、膝を折って礼を尽くすと、ディオスは、いつ
もの様に皇太子然とした、在るべき形をもって、その場に居た全ての者に命じた。
そうして、その場から、ダフネ以外の全ての者が去ったことを確認すると、ディオスは、
ダフネへと再び言葉をかけた。

「ダフネ、久しいな。
 お前がこんなにも凛々しい騎士になるとは、正直、思っていなかった。少し歩くぞ」
「かしこまりました」

そのダフネの短い返事を受けたディオスは、ダフネの事をあまり還り見ることなく、ダフ
ネの目の前で、月明かりしかない暗がりの中だというのに、その行く先の方向へと、迷う
ことのない歩調で、自らの足を進めていく。

自身の前を歩くディオスの背中を見つめながら、その後ろを歩いていたダフネは、自分の
背丈が、今年、十八になる皇子とそう変わらなくなってきていることに気付いた。
そうして、あの時幼かった頃の自分とは、全く異なってしまった、今の自分自身が置かれ
ている立場を改めに実感しながら、自分の前を歩く、その人の背中を見つめていた。

その次の瞬間、彼の目の前を歩く、ディオスがふいに、自らの歩みを止めて、立ち止った。
ディオスは、そのまま、その場所で後ろへと振り返ると、いつもの皇太子然とした、毅然
とした表情を崩すことなく、ダフネの方へと向き合った。


79 :-PRIME-誓い-9/14:2011/07/17(日) 20:38:21
「ダフネ、この場所を覚えているか?」
「えっ……」

ダフネは、皇子ディオスの強い意思に溢れたその瞳を見つめながら、言葉を詰まらせた。
自分が、この場所を忘れるはずなどない。
今、自分の目の前で、その傍ら在る大きな大木に手をついて佇む、皇子その人から、あの
告白を受けた場所なのだから。
彼と相対していた皇子は、ダフネが見せたその表情から全てを悟ったように微笑むと、ダ
フネへと、改めて言葉をかける。

「さて、ダフネ、お前があの時、私に言ったあの言葉の真意がどれ程のものか、
 改めて私に見せてもらおう。さあ、お前のその剣を抜け」
「そのようなこと……!!」

相手から受けたその言葉に驚き、ダフネは、咄嗟にそう切り返していた。
だが、どうやら、彼と相対している皇子は、本気のようで、その鋭い気迫とともに、自ら
の左腰に差していた剣を鞘から抜き放ち、ダフネの目の前へと、突きつけた。


80 :-PRIME-誓い-10/14:2011/07/17(日) 20:40:35
「失礼ながら、改めてお伺いいたします。
 貴方様のそのお言葉と振る舞いの真意は、誠のものにございますか」

皇子の漆黒の瞳から受けた鋭い視線をものともせず、ダフネは、自身の紫炎の瞳の視線を
険しくすると、そのまま、一歩だけ、後ろへと退がると、強い視線を相手の方へと返した。

それから、ダフネは、その背中に背負うようにして、大剣を留めていた革ベルトを肩から
下ろすと、自身のその目前で、大剣の鞘を掴み、残ったもう片方の手で、大剣の柄を握り
締める。
ダフネは、その姿勢を保ったまま、一歩も動くことなく、ただ、自分の目の前の相手を見
つめていた。

「私がお前を欺いているとでも?」

その様子を鋭い視線をダフネへと向けたまま、眺めていたディオスは、先程と変らず、極
めて冷静な口調で、そう言った。


81 :-PRIME-誓い-11/14:2011/07/17(日) 20:46:46
11
「失礼をいたしました。では、暫し、この私めの、お相手をお願い申し上げます!」

ダフネは、その言葉とともに、自らが手にしていた大剣の鞘を抜き放つと、素早い身のこ
なしで、ほんの一瞬だけ、間合いをあけると、そこから一気に、自らが手にしている大剣
を相手に向けて、なぎ払うようにして振るった。
その次の瞬間、辺りは、互いの剣と剣のぶつかり合う、鋭く激しい音が響く。

だが、ディオスは、ダフネの剣を受け止めたわけではない。
絶妙の力と間合いを見計らって、ただ、単にダフネの大剣を自らの剣で払うようにして、
受け流しただけだ。

ダフネからの一撃を受け流した直後、今度は、ディオスの方から、一気に間合いを詰める
と、ダフネの目の前で、素早い所作をもって、左から右側へと一気に水平な線を描くよう
に自らの剣を振るう。
相手から繰り出された剣先を寸での処で何とかかわしたダフネは、再び少し間合いを取る
と、今度は、自らの大剣をディオスの目前を狙って、上段から一気に振り下ろす。
ただ、それは、ディオスが避けきるのを見越した上でのものだ。

ディオスは、ダフネが予測したとおりに、大剣の太刀筋を見切って避けると、その場で
自らが剣を振るうことを止めた。


82 :-PRIME-誓い-12/14:2011/07/17(日) 20:48:57
そして、改めてダフネの方を見据えてから、ふいに互いの剣による打ち合い止められ、ほ
んの一瞬の間、戸惑っているかのような表情を見せていた、目の前の相手へと、彼には珍
しく、その場で、改めてひどく嬉しそうな様子をもって、大きく表情を変える程に、微笑
みながら言った。

「ダフネ、お前は、これからも、この私との約束を違えることの無きように、
 我が方腕となるべく、一層の精進を重ねるが良い。
 あの時、私と交わした約束をこれからも、いや、一生、忘れるな」

「……えっ、あっ! いや……あ! ありがとう存じます!!」

自らが真に敬愛している相手から、いきなり向けられた、幼きあの時以来、見たことのな
い、皇子が見せた満面の笑みにダフネは驚きながら、その場で、そう返事を返すと同時に、
自らの頭を下げ、騎士の礼を以って、相手に応えた。
ディオスは、そのダフネの様子を見届け、満足したように、自らの剣を再び鞘に納めてか
ら、ダフネに背を向けると、皇太子離宮の在る方角に向かって歩き始めた。


83 :-PRIME-誓い-13/14:2011/07/17(日) 20:51:26
「お待ちください!!」

ダフネは、この場から立ち去ろうとしていた、ディオスの背中に向かって、無意識のうち
にそう、声をかけていた。
きっと、この機会を逃せば、また暫くの間、自分は、皇子に声をかける事さえ、叶わない
立場に置かれるのだ。
そう思った瞬間、ダフネには、今、目の前に在る、自らが敬愛するこの皇太子の背中へと
声をかけることを止めることなど、出来なかった。

「ディオス様、私がこの先、見事、貴方様の方腕となったその際には、
 貴方様から、この私に祝福を施してくださいますか」

自分が投げかけたその言葉に、自らの足を留めたディオスの背中に向かって、ダフネは、
真摯な眼差しを向けて、その場に立ちつくしたまま、相手からの返答を待った。

「お前が我が方腕となり、私の望みを叶えた暁には、その望み叶えよう」

ディオスは、その一度だけ、ダフネの方へと振り向きながら、そう告げてから、皇太子離
宮へと向けて、再び、唯一人で、歩いて行った。
そうして、ディオスの背中を見送ったダフネは、その後も、この場所に、唯一人で残って
いた。


84 :-PRIME-誓い-14/14:2011/07/17(日) 20:53:53
本来なら、未来の主たるディオスの後を追って、自身も皇太子離宮のあの部屋に帰るべき
なのだろうが、今は何故だか、そんな気分にはなれなかった。
それに、皇子の剣の腕前なら、余程の刺客でなければ、その命を獲ることは難しいだろう。
そんな刺客の気配は、この辺りには微塵も感じられない。

ダフネはそう思いながら、先程と変わらず、月の光だけが、差し込む暗闇の中で皇子が手
をついて佇んでいたその大木へと自らの手をあてた。

―いつの日にか、二人で、この世界の全てを手にしようー

その瞬間、あの時、この場所で、たった二人で誓い合った、その言葉今、ふいに、ダフネ
の脳裏へと鮮やかに浮かび上がった。

「ディオス様、必ず、貴方のお傍に」

ダフネは小さな声で、そう呟きながら微笑み、自らの背中の方からそよぐ夜風に促される
ように自らの顔を上げると、傍に聳えるその大木の更に上の方で輝く月をただ、見上げて
いた。

【END】


85 :-PRIME-誓い-:2011/07/17(日) 20:56:12
-投下終了-

52様、細かい質問にも丁寧にお答えいただだき、ありがとうございました!
素敵な萌えを沢山いただいた52様の設定イメージから、大きく外れていないと良いなぁ
と思っています。
ダフネ様とディオス様のお二人の素敵な設定の全て活かしきれなかった気もするのですが、
当初から書きたいなぁと思っていた、ダフネ様の想いとか、二人が剣を交わし合うシーン
なんかが書けて、本当に楽しかったです!!
素敵な機会を本当にありがとうございました!


86 :-PRIME-誓い-:2011/07/17(日) 20:57:40
追伸:
このSSを書いている間によく、うちの子達と掛け合いをしてもらったら、どんな感じに
なるかなぁ…なんて妄想もしていたので、また、そのうち、SSに書き起こしをさせて
いただけると嬉しいですw
それから、52様の手によるイラストも大好きなので、ご自身のご負担にならない範囲で、
またお描き添えいただけると、更に嬉しいです!!
自分のワガママな気持ちばかりお伝えしてしまい、申し訳ないです。
だがしかし! 今後ともどうぞよろしくお願いいたします!


87 :52:2011/07/18(月) 23:59:26
》70-86
投下待ってましたー!
自家発電じゃないマイキャラが感動的で何度も読み返してました
青春って感じの健全な二人に新鮮な萌えがドバッと…
二人とも行動は常軌を逸しても、根はかなり純粋なので、その純粋な部分のイメージにピッタリで驚きつつ嬉しかったです
あ、あと祝福ネタがツボ過ぎました…いつか祝福シーン描いてみたい…
とにかく、ウチので書いて下さって本当にありがとうございました!
また、姐さんの作品を今後もwktkで待機させてもらます…!


88 :31:2011/07/19(火) 21:32:41
》87
嬉しいレスをありがとうざいます-!
52様がお持ちのイメージと重なる部分があったとのことで、とても嬉しくなってしまいました!
祝福を…というシーンの雰囲気は、うちの子にはない、純粋な部分があるのがすごく良いよなぁ…と、
思いながら、書いてた部分ですw
うちの子の場合だと、多分、「なら、今、ここで祝福してやるよ」という感じのリアクションを返して
いると思うので、絶対こんな風には書けないシーンなので、書いてて、すごく楽しかったですw

それと、52様の手による、凛々しい騎士姿のダフネ様とディオス様をぜひ、見たいです-!!
なので、そのうち、いつかまた、お二人のイラストを描いていただけると嬉しいです!

次は、どっちも時間がかかりそうですが、
・52様のお子達と、うちの子のコラボSS
(書きたいシーンがいくつかあるのですが、4人それぞれを動かすのが大変かな…)
・うちの子の続き(この前のSSで、伏線を引いた続き…うん、エロだね、書くの大変だよ…)

を書こうかなと思っているところですが、まだどちらを書くのか決めてませんw
このほかの軽めのSSも含めて、いずれまた投下するかと思いますので、どうぞよろしくお願いします


89 :名無しさん:2011/07/20(水) 02:25:27
月夜の打ち合いは美しいですね……
52さんの敵方サイドは切なくも萌えます

52さん子と31さん子のコラボもβ2×シオンもこっそり楽しみにしてます


90 :-CROSS-想いと軌跡-:2011/08/07(日) 01:50:32
本スレ710です。
創作してもらうスレ52様のお子様とうちの子のスピンオフな二次SSを仕上げましたので投下します。
以下、属性表記です
 ・創作してもらうスレ52様(本スレ510様)の設定とうちの子の元設定を足した
  ファンタジーな世界観での二次SSです
 ・今回もエロはありませんが、ストーリーは割と長め
 ・ダフネ様とエル、ディオス様とシオンでのやり取りがメインです
 ・少年組と青年組の対比と、互いへの理解と独占欲wがテーマな感じ
 ・設定準拠ではない表記を若干含みます
 ・キャラ&設定が52様の公式設定から外れている可能性あり
こんな感じですが、よろしかったらどうぞ


91 :-CROSS-想いと軌跡-1/15:2011/08/07(日) 01:54:55
中庭の方がやけに騒がしいな。
皇子ディオスはそう思いながら、自身の漆黒の瞳の視線をこの回廊の先にある中庭の方へと、
改めて向けた。

先程、あの中庭が見下ろせる自身の私室からこの場所へと出向くまでの間に、それ程長い時間
をかけた訳ではない。
それでも、たった今、この瞬間に中庭の方から響いてきた、その剣と剣を打ち合う音は、ただ、
それだけで、静寂に包まれた朝を迎えることが多い皇太子離宮の雰囲気を普段とは違なるもの
に変えていた。

だが、一方で、それは、響き合う剣の音と、感じる気配から察するに、その先の中庭で誰かが
刺客と斬り合いを繰り広げているという類のものでは無さそうだった。
そういった気配を瞬時に感じ取っていたディオスは、自身の方を心配そうに見上げていた少年
従者の方を振り返ることなく、歩く速度を少し速めながら、中庭へと向かっていった。


92 :-CROSS-想いと軌跡-2/15:2011/08/07(日) 01:59:21
そして、ディオスがこの回廊から中庭を見渡せる場所に着いた瞬間、目にしたその光景は、あ
る程度、予想していたものではあった。

一般的な邸宅と比較すれば、かなりの広さを誇るこの中庭の背後にそびえ立つ邸宅の趣にあわ
せて、趣味良く設えられた噴水を背にしたその風景の中で、ディオスが目にしたのは、薄桃色
の髪と紫炎の瞳を持つ少年、しっかりとした体躯に黒地に紅い縁取りを施した騎士服を纏い、
大剣を手にしているダフネ・グリンバークと、もう一人、相対するダフネと比べると、小柄で、
華奢な印象を受ける少年が互い剣を打ち交わし合っている姿だった。

また、その周りを囲むようには張り廻らされており、なおかつ、幾つかの場所で、邸宅の中へ
と続いていくように設計されている、この回廊において、その場に偶然に居合わせることにな
ったのであろう、女官や衛兵達が、中庭の中央で互いに笑顔さえ浮かべながら、剣を交わし合
う少年二人へと、視線を注いでいた。

そんな風に幾人かの人々が見守る中で、相対する少年と剣の打ち合いをしていたダフネは、回
廊の端に黒色の上質な仕立ての騎士服に身を包んだ、漆黒の髪と瞳を持つ端正な容姿の美青年
といった風貌の自らの主、皇子ディオスの姿を目に留めると、目の前の少年との間合いを一度、
大きくあけると、その相手へと向かって声をかけた。


93 :-CROSS-想いと軌跡-3/15:2011/08/07(日) 02:01:56
「エル! ……いや、エル・シオン様!
 ここで、この手合わせを一度、止めにしては、いただけませんか?」
「ダフネ殿、それが貴殿の主たる御方がこの場に来られた事を気に留めておられた上での
 お言葉なら、今、この場において、手合いを止める必要は無いように思います」

ダフネにエルと呼ばれたその少年は、相手からの求めに応じて、今、正に、目の前の相手に対
して、丁度良い形で振り抜こうとしていた剣の動きを止めてから、笑顔でそう言った。

そのエルの屈託のない笑顔は、淡い空色の髪に、それよりも若干濃い色の瞳と、華奢で流礼な
雰囲気を併せ持つ容姿に、白地に濃紺の縁取りを施した騎士服に身を包んだ姿と相まって、彼
が明らかに高貴な身分の人間であることを周囲に明らかにしていたし、何よりも、ダフネの主
である皇子ディオスが時折、見せる笑顔と同じように、その場に居る人々を魅了する性質を充
分に備えたものだった。

そして、エルはその笑顔のまま、その場に居合わせた皇子ディオスと先程から、この二人の手
合わせの立会人を務める破目になってしまっていた、もう一人の青年の方へと振り向いた。

「シオン!
 いや、アル・シオン・エ・ヴァン・ダイク公! 立会人たる貴公に異論はおありかな?」
「ここにおわす、ディオス殿下のお許しがいただけるのなら、私は続行で構わないよ」

シオンと呼ばれた、その青年は、何か諦めたように小さく溜息をつくと、ほんの少し、困った
ような表情を見せながらそう言った。


94 :-CROSS-想いと軌跡-4/15:2011/08/07(日) 02:04:00
そうして、ディオスは、自身にそう声かけながら振り返った青年の方へと改めて、目を遣った。
流れるようなプラチナブロンドと青銀の瞳に、濃紺の騎士服を纏った、このシオンという青年
が、今この時点では、帯剣こそしていないが、恐らくは、皇子であるディオス自身と同程度に
は、卓越した力量を備えた騎士でもあるのだと、あらかじめ聞いていた。

それに、もう間近に迫っている自身の婚礼の義において祝言を述べる聖霊四公からの使者とし
て、昨日、この二人を皇太子離宮に招き入れることとなった際も、ディオスは、そういったこ
とを聞かされていたし、それまでにも、もう、何度も、聖霊四公には、自分と同じ年齢の公王
がいるのだということを教えられてはいた。

昨日、実際に会うまでは、その公王とやらが、どの程度の実力の持ち主であるのかなど、ディ
オスには確かめようも無かったし、この現世界と幻界の狭間に在り、専ら魔族の調伏と世界の
均衡を保つことを目的とした技を行使することを生業としている特異な領域に存在し、今では、
現世界へ影響力が極めて少なくなっている聖霊領域の事などは、あまり気にもかけていなかっ
たというのが正直なところだった。

ダフネがどういう経緯で、剣の手合いの相手をすることになったのか解らないが、この聖霊四
公のうち、北の領域を統べる公王シオンではないにしても、西の領域を統べる公王の第二皇子
であり、なおかつ、第一王位継承権を持つ、エル・シオン・ディ・ア・ルデ゙ィアと名乗った、
同じ王位継承者としての身の上を持つ、空色の髪と瞳の少年の実力を観たいという気持ちは、
ディオスにもあった。


95 :-CROSS-想いと軌跡-5/15:2011/08/07(日) 02:06:45
「この場に居合わせた皆が、この余興を愉しんでいるようだし、
 今、この場で、すぐに、手合わせを止める必要もないだろう。
 ダフネ、そのまま、エル・シオン殿のお相手を務めて差し上げろ」

先程、ディオスからの許可が、この二人の手合わせの続行の条件であるといった趣旨の言葉を
シオンが述べていた所為で、その場に居合わせた人々からの視線を一瞬にして、一身に受ける
ことになっていたディオスは、先程のエルの笑顔と、シオンからのこの言葉に乗せられている
という気もしないではなかったが、ひとまず、この手合いの続行をダフネに命じた。

「ディオス殿、ありがとう存じます!
 では、ダフネ殿、いや、ダフネ、再び手合わせを始めようか!」

エルは、ディオスから投げかけられたその言葉に、満面の笑みを浮かべながらそう言うと同時
に、左手で握っていたままの自身の片刃の長剣をダフネの方へ間合いを詰めることを敢えてし
ないままに、斜めに斬り上げるようにして一気に振るった。
それまで、この手合いの成り行きを言葉なく見守っていた周囲の女官や衛兵達からも、その瞬
間、再び感嘆の声があがった。

「……っ、承知いたしました! ……って、エル! 本当に容赦ないですね!」

エルが繰り出した一撃は、自身が振るった太刀筋が生み出す、斬り裂くような剣風を相手へと
叩きつける事を目途としたもので、そこから、自らの手合いの相手であるダフネの体勢をほん
の少し、崩すことを狙ったものだ。


96 :-CROSS-想いと軌跡-6/15:2011/08/07(日) 02:10:02
ダフネは、エルが思っていた通りにそれをかわすと、一度、崩しかけたその体勢のまま、こち
らも、相手に向けて容赦なく自身の大剣を振るう。
それを受けて、エルは自身の剣にかかってくる圧力を加減するために、その間合いを上手く計
りつつ、相手の剣を受け止めた。
それから、相手の剣を押し返すように力をかけると、目の前に対峙するダフネの紫炎の瞳へと
自身の空色の瞳の視線をあわせて、ダフネを見つめながら、小声で言葉をかけつつ、微笑んだ。

「当然だろう。これから対等な立場での友人となる僕等なのだから。
 お互いに、本気でいこうじゃないか。
 こんなに力量が拮抗する相手となんか、滅多に手合わせ出来ないだろう?」

エルは、そう言い終えると同時に、相手の剣を弾くようにして、互いに剣を交わし合うことで
均衡を保っていたその体勢を崩しながら、間合いをあけた。
そのエルの動きに合わせて、次の攻撃する機会を見逃すことなく、ダフネは目の前の相手へと、
素早い動作で一撃を繰り出していく。

予想していたタイミングよりも、少し早い時点で繰り出された相手の反撃を寸前のところで避
けたエルは、その場で相手からの更なる攻撃を受け止めるために、息を整えながら、自身の構
えを立て直すと、相対するダフネの方へと一度、鋭い視線を送りながらも微笑んだ。

「ダフネ、君、本当にやるなぁ……こんなに楽しいのは久し振りだ!」
「そんな風に誉めていただけるとは、光栄ですね」

二人は、そう短く言葉を交わし合うと、先程よりも一層激しく、互いの剣を打ち込んでいく。
それは、この場に偶然居合わせた、女官や衛兵といった、普段の二人の穏やかな様子からすれ
ば、こんな風に激しくぶつかり合うこと想像することが難しかった人達からすれば、周囲を圧
倒させる程の雰囲気を持つものとなっていた。


97 :-CROSS-想いと軌跡-7/15:2011/08/07(日) 02:12:25
また、それは、相対するこの二人が、まるで真剣な果たし合いをしているかのようさえ、見え
たかもしれない。
そして、その光景は、それぞれが、対照的な印象を持つこの二人だからこそ、今、この場で立
ち合っている全ての人々の目の前で行われている、世間一般でも行われている、ただの剣技の
手合わせでしかない筈のものに、何かこの世ならざる光景であるかのような錯覚さえ、与えて
いく。

ダフネが持つ、紅と黒の色合いと、屈強な少年騎士としての印象と、エルの蒼と白の色い合い
と、その年頃の少年のみが持ち合せている、幾分華奢で流礼な雰囲気とは、全く相対する性質
ものだ。

互いの得物に至っても、どちらも、彼ら自身の身の丈からすると、若干不釣り合いなものを使
用している点では、同じだが、エルがその左手に持つ、相手を斬り殺すことという、その目的
を達成するための機能のみを残したまま、お極限まで重量を削ぎ落された剣と、ダフネが右手
に構えている強靭をも限界まで兼ね備えることを目途とした大剣といい、其処から生み出され
る剣技の型を含めて全く異なる。

それでも、そんな相対する印象を持つ二人だからこそ、その場に居合わせた全ての人々に、こ
の二人が打ち合う剣技の組み合わせによって、まるで、ひとつの神聖な領域を創りだしている
かのような強い印象を与えていた。


98 :-CROSS-想いと軌跡-8/15:2011/08/07(日) 02:14:24
ディオスは、互いに笑顔を見せながらも、真摯に剣の打ち合いに没頭していく二人の様子を大
きく表情を変えることなく、ただ、その場で眺めていたが、それを眺めているうちに、自身の
心の内に、小さな痛みを伴うような感情が芽生えていたことに気付くと、そのことに、ほんの
少だけ驚きながら、表情を変えた。

だが、その場で、それに気付いたのは、ディオス自身のほかには、シオンただ一人だけのよう
だった。
それは、あまり誉められた類の感情ではないが、大切にしたい誰か特別な存在を自身の心の内
に持つ者なら、誰にでも、身に覚えのある感情だったからだ。

今この場で繰り広げられているこの手合わせは、ディオスやシオンのように自身も高い剣技を
習得している者からすれば、互いの剣技を以って、全身全霊を賭けて打ち合っていくことで、
相対する者同士がその心の内を隠し事など何も無く明かしあい、なおかつ、互いの心を通わせ
ていく儀式を行っているようさえ、見えたのだ。
そして、そんな複雑な胸中と、その痛みにも似た感覚を共有することが出来たのは、恐らく、
この場においては、シオンとディオスのただ、二人だけだった。

シオンは、だからこそ、そんな表情を見せていたディオスの方に、一度、振り向いて、僅かに
微笑むと、今、自身の目の前で、繰り広げられていくこの打ち合いを、強く揺るぎない視線を
もって、言葉無く、ただ、見つめていた。
そのシオンの様子を目に留めたディオスも、その場でただ、黙したまま、この二人手合わせの
行く末を見守っていた。


99 :-CROSS-想いと軌跡-9/15:2011/08/07(日) 02:18:10
一方、激しく互いの剣の打ち合いを重ねていた当事者のうちの一人であるエルの方は、自身の
体力の限界の方が、今、対峙しているこの相手、ダフネよりも早く訪れることなどに思案を巡
らせ始めていた。

そうなのだ。
相対する相手とは、剣技そのものは、拮抗しているが、絶対的な体力と持久力ともなれば、ど
う考えても自分の方が不利だ。
この手合いは、長引けば長引く程、全くもって自分には不利なのだ。

そろそろ、潮時かな……互いの力がほぼ、拮抗しているから、本気でやれば、勝機はあるかも
しれないけど。
今回は、相手方の祝事の客人として、招かれているんだし、ここで勝っちゃう訳には、絶対い
かないし、でも無様には退けないし……さて、どうやって引き退がるかな……。

「エル、甘いですよ! 何を考えてるのかは、知りませんが、思いっきり、隙が出来てますよ」

そんな風に、今、目の前で対峙しているダフネ以外の事に気を取られていたエルの隙を、自身
と同じように拮抗する力を持つダフネが見逃す筈もなく、その言葉とともに、より鋭さを増し
た一撃が、ダフネから繰り出された。
エルの方も、そうなる事はある程度、見越していたようで、その一撃を際どいところで避ける
と、無意識のうちに、もう一歩だけ、後ろへと退き下がった。


100 :-CROSS-想いと軌跡-10/15:2011/08/07(日) 02:19:57
「って、うゎ、後ろっ!!」

その次の瞬間、エルは、自身のこの足場が、この中庭に設えられた噴水の淵にあった事に気が
つくと同時に、自身の体勢を大きく崩し、背後に在る噴水へと背中を向けたその体勢のままで、
派手な水音を立てながら落ちた。

残されたダフネと、その場をずっと見守ってきた青年二人が、エルのその様子にそれぞれの反
応を見せた後、それから僅かに遅れて、其処に居合わせた女官や衛兵達からも、声が上がった。
そして、そのまま、その場の誰もが、いや、正確には、シオン一人を残し、噴水の水場へと落
ちていったエルの身を案じて、言葉を無くしていた。
ただ、シオンも驚きと、ある種の諦めに似た気持ちから言葉を無くしていたという意味では、
その場に居た誰一人、言葉を発する者は、無く、一瞬の静寂が、辺りを包んだ。

「……ぅ、ダフネ殿、ごめん……」

エルは、皆の視線を一身に集める中で、比較的水位の浅かった噴水の水場から自身の上半身を
ゆっくりと起こした。
その瞬間に、周囲の人々からも、一斉に、ほっとしたような安堵の声があがる。

自身の手元には、先程まで、使用していた剣はもう無い。
それは、そもそもエルが自身の魔導力を以って、この場に呼び出していた物であったので、自
身の気が逸れた瞬間に、その姿を消したのだろう。


101 :-CROSS-想いと軌跡-11/15:2011/08/07(日) 02:21:43
そうして、エルは、その水場に座った姿勢のまま、一度、自身の額に右手をあてると、身体の
調子を確認するように、自身の瞳をほんの少しの間だけ、閉じた。
その後で、エルは改めて、ダフネの方へと向き直ると、その周りに居合わせた全ての人々に向
けるかのようにして、一際、華やかな表情で微笑みながら、周囲の者に、この手合いの勝者が
誰であるのかを知らせるために宣言する言葉を述べる。

「ダフネ殿、本当に済まなかった。とりあえず、これで勝負あったね。
 勝者はダフネ殿だ。ダフネ殿、いや、ダフネ、お手合わせありがとう」

そのエルの宣言と同時に何処からともなく、周囲から歓声と拍手があがった。
どうやら、周囲には、エルが当初想定していたよりも、多くの観客が集まっていたようで、エ
ルは、相変わらず水場に座ったままの状態で、自身の顔の辺りにまで片手を上げると、再び微
笑みながら、その拍手と歓声に応えた。

ダフネは、エルのその立ち振舞いと、未だに自分達二人に視線を留めているままの周囲の人々
の様子などにも気を配りながら、噴水の淵へと片膝をつくと、自身の片方の手をエルの方へと
差し出しながら、目の前の相手へと騎士としての礼を踏まえた所作を以って、声をかける。


102 :-CROSS-想いと軌跡-12/15:2011/08/07(日) 02:24:40
「エル、本当に申し訳ありませんでした。どうぞ、手をお貸しします」
「いや、こちらこそすまない。
 大丈夫だよ、それには及ばない……って、大丈夫……じゃないか」

手を差し伸べてくれたダフネの衣服を水に濡らすことなどせずに、出来れば、自身の力だけで
立ちあがるべきだと思ったエルは、ダフネのその申し出を断わりながら、自ら立ち上がろうと、
再び身体を起こしかけた瞬間、軽い眩暈を覚えた。

「シオン! 済まないが、手を貸してくれないか」

自身の目の前に差し伸べられていたダフネの手を取って、自身の身体を引き上げてもらう程度
では、自分が上手く起き上がることが難しい可能性があると判断したエルは、ダフネの更に後
ろの方で、先程から自身の立ち位置を変えることなく、事の成り行きを見守っていた、その青
年の方に向かって、声をかけた。

「判った」

エルにそう呼ばれたシオンは、まるで、そうなることを予測していたかのように、表情を大き
く変えることもなく、短く返事を返すと、そのまま、エルのいる噴水の方へと歩いていき、自
身の足元を濡らすことにも構わず、水場へと入っていく。
そうして、シオンは、上半身を起こしたその姿勢のまま、シオンの方を見上げるようにしてい
たエルの傍へと片膝をつき、自らの腕で、幾分華奢でしなやかな線を描く、エルの身体を引き
寄せた。


103 :-CROSS-想いと軌跡-13/15:2011/08/07(日) 02:27:35
「エル、大丈夫か?」
「う……済まないね。シオン……ありがとう」

優しく囁くような声で、自身の耳元で、そう声をかけられたエルは、その言葉の意図に従うよ
うにして、自身の両腕をシオンの首筋へと添わせるようにして置きながら、相手の肩に?まっ
た。
それと同時に、シオンは、エルの身体を慣れた所作で抱きかかえながら、その場から立ちあが
った。

そのシオンの一連の所作があまりにも自然に行われた所為で、本来、エルを補佐するその役割
は、彼の一番近くにいた自分が引き受けるべきなのだということを、再度、申し出る機会がな
いまま、その場で立って、事の成り行きを見守ることになってしまっていた、ダフネを前に、
シオンは改めて軽く微笑みながら言葉をかけた。

「ダフネ殿、私の友人が幾分礼を欠いた真似をして済まなかった。
 いつかまた、この私自身を含めて、本当の友人として付き合ってもらえるかな?」

そのシオンの言葉に対して、先程と変らずその腕の中で抱きか抱えられたままでいたエルは、
敢えて口を挟むことをせず、シオンと同じように穏やかかつ、真摯な眼差しをもって、ダフネ
の方を見つめていた。
多分、彼自身にも言いたいことは、あったのだろうが、今、ここで自分が割って入れば、かえ
って面倒になると判断したのだろう。


104 :-CROSS-想いと軌跡-14/15:2011/08/07(日) 02:30:39
「こちらこそ失礼をいたしました。
 お気持ち、有難く頂戴いたします。いつの日にか、また、友人としてお付き合いを」

ダフネは、目の前で相対するシオンとエルの気持ちを汲んで、騎士としての礼をもって応えた。
それを目に留めたシオンは、その場で立ち止ったまま、この場所から更に奥の方に位置する所
で、それまでの三人の遣り取りを言葉なく、見守っていたディオスの方へと視線を移した。
そうして、そのまま、ディオスに対しても、改めて詫びる言葉を述べた。

「ディオス殿にも、心よりのお詫びを申し上げる。
 我が友人の礼を欠いた振舞いをご容赦願いたい」

「いや、大事ない、貴殿が気になさる程の事は何も無い。
 それよりも、我が臣下の為に、このような機会を与えてくださったことに、御礼申し上げる。
 また、貴殿のご友人も、ご自身の体調をご自愛召されよ。
 後程の式典にて、またお会いできることを楽しみにしております」

ディオスは、シオンが発した、その短い言葉の意図するところから、エルに対する彼の心の内
を想うと、自身にも多少は身に覚えのある、その感情を思い起こしていた。
それでも、ディオスは、表面上は普段と変わらない、当たり障りのない笑顔で、シオンに対し
て、儀礼的な返事を返した。

一方、シオンの腕で、抱きかかえられたままのエルは、シオンの肩へと廻していた自身の掌に、
一層、強く力込めた後で、シオンの腕の中で、ただ黙ってそのまま、身動きひとつすることも
なく、敢えてその場で発言をせずに、その遣り取りが終わるのを待っていた。


105 :-CROSS-想いと軌跡-15/15:2011/08/07(日) 02:33:16
「その御心づかいに心からの感謝を。では、また後程」 

シオンは、ディオスからの返事を受けて、自身の意図するところが伝わっていたことを確信す
ると、先程よりも大きく微笑みを返した。
それから、その場に居合わせた、ほかの誰が見ても、その一瞬だけは、シオン自身にとって、
唯一人の愛しい存在を抱きしめているのだということが、わざと解るような所作を以って、エ
ルを強くかき抱くようにして、抱き抱え直すと、その場から立ち去っていった。

ディオスも立ち去る二人の様子を目にして軽く微笑むと、それ以上は何も言わずにその場から
背を向けて立ち去っていく。
そして、ダフネもディオスと同じよう、二人が去っていく様を見届けると、ディオスに付き従
うようにして、その場を離れた。

その後には、つい先程まで、ある意味では、緊張感に満ちていた遣り取りまでも含めて、見守
ることになってしまった女官や衛兵達だけがとり残された。
ただ、中庭の噴水だけは、もう既に、普段と変わらぬ水音による涼しさと、静寂のみをこの場
所へと届けるようになっていた。

【END】


106 :-CROSS-想いと軌跡-:2011/08/07(日) 02:34:38
-投下終了-

お付き合いいだだき、ありがとうございました。
結局、あんまり予定どおりにいかなったという気もするのですが、
硬派な二人と以外と軟派な二人のそれぞれの対比と、
お互いがお互いの良い所を取り入れつつ、やり取りを繰り広げて欲しいな-
という目論みの基で書きました。
SSには書ききれなかったのですが、
このエピソード後の各ペアでのやり取りなんかも想像していただければ幸いですw


107 :名無しさん:2011/08/07(日) 11:56:39
》107
投下乙です!
姐さん方の設定によるクロスSSが投下されるなんて、すごく嬉しい!
ダフネ様、ディオス様のしっかり者組と、
エル様、シオン様の雰囲気が少し違う感じが良いですね
おまけに、確かにこの後のそれぞれの掛け合いが気になりますw

あと、710様のお子達のファンタジーでの設定がすごく気になりますw
またぜひ、投下してくださいませ-


108 :創作してもらうスレ52:2011/08/07(日) 19:29:13
》107
ウボァー拝読致しました!素敵です!乙でございます!
エル様の素直良い子な感じと、シオン様の大人ちょい腹黒?wな感じが堪らんです!
しかしうちの子も姐さんの手に掛かれば、真面目で優しい子たちになって嬉しいw

あ、あの、もしご許可頂けるなら、SSエピソード後のうちの子ペアのやり取りを、
SSにしてみたいんですが…よろしいでしょうか?
読み終わって想像してみて、凄く創作意欲刺激されちゃいまして…
素敵イメージを崩してしまう恐れがありますので(かなりの高確率で…orz)
駄目でしたらご遠慮なくおっしゃってくださいませね~


109 :本スレ710:2011/08/07(日) 21:24:27
お二人とも、嬉しくなっちゃうレスをありがとうございます!!

》107様
うちの子達の元設定にも関心をもってくださってありがとう!
この後、元設定の概要も晒していきますので、よろしかったらどうぞw

》108様
嬉しくなっちゃうお申し出をありがとうございます-!!
52様のSSをぜひぜひ、拝読したいです!
自分で言うのも何ですが、今回のSSで真っ先に浮かんできたのは、エルと
ダフネ様の剣の打ち合いだったのでした。

で、その後で、それを見守る青年組の心情も気になってきたので、シオンの
方は、それとなく書きこんでみましたw うん、シオンは意外と腹黒いですw

私もダフネ様とヂィオス様のその後の掛け合いがぜひ、読みたいです!!
どうぞよろしくお願いします-!!


110 :本スレ710-元設定 1/2:2011/08/07(日) 21:39:04
引き続き、うちの子達の元設定の概要を晒していきます-
よろしかったらどうぞ

【概要】
異世界ファンタジー 王位継承権を持つ皇子×他国の若き王 

【キャラクター】
エル・シオン・ディ・ア・ルデ゙ィア……15歳
淡い水色の柔らかい質感の髪の毛とそれより若干濃い目の色の瞳の持ち主
普段は封印されているが、その背中には、妖精のような4枚羽根がある
聖霊領域西公の第二皇子であり、なおかつ第一王位継承者
父王の方針で、幼少の一時期を従者とともに、一般の市街地で育てられていた
また、折にふれて、母の悲しむ姿を見て育ってきているので、父王のように複数
の妻を娶る気は無い
王位を継ぐには、それまでの自身の身の純潔と選ばれた純血者との婚姻が条件と
なることは解っているが、婚姻なんてしてなくてもいずれは、自身が王位を継い
でやろうなどと、多少、野心的なことは考えている
シオンのことは、心許せる数少ない親友のひとりだと思っている

アル・シオン・エ・ヴァン・ダイク……18歳
銀色に近い、流れるような質感のプラチナブロンドと青銀の瞳の持ち主
聖霊領域の北の公王
前王の崩御に伴い、若くして王位を継いだ
エルの兄とも友人で、エルにも、臣下などとではなく、対等な立場で気兼ねなく
付き合える友人が必要だろうとの配慮から、自身が王位継承候補者だった頃に、
この兄を通して紹介されて以来、エルとも親交を重ねてきた
また、婚約者の女性がいるが、婚姻までする気になれず、長いこと待たせたまま
にしている


111 :本スレ710-元設定 2/2:2011/08/07(日) 21:42:48
【世界観など】
専ら魔族の調伏と世界の均衡を保つ力を行使することを生業とした聖霊領域と呼
ばれる世界があり、4つの氏族が東西南北のそれぞれに分けて統治している

西領域……4枚羽根を持つ氏族が治める領域
     他族と交雑すると、その背中の羽根は失われるので、純粋なる血
     統と王位継承までの純潔が重んじられる
     人々の感情の根源に起因する力の均衡を司る
北領域……風と水の力の均衡を司る氏族が治める領域
     その背中に羽根は持ち合せていない
     公王は、その能力の多寡により、前王からの指名により選ばれる
東領域……背中に純白の天使のような羽根を持つ氏族が治める領域
     他族と交雑して、背中の羽根が失われる確率は、1/3程度
     西公と同じく、血統制で王位が継がれ、人々の生命の根源に係る
     力の均衡を司っている
南領域……炎と大地の力の均衡を司る氏族が治める領域
     その背中に羽根は持ち合せていない
     公王は、その能力の多寡により、前王からの指名により選ばれる
     北領域とは、その身に持ち合せた能力の性質の違いによって、住
     み分けがなされている


112 :本スレ710-元設定:2011/08/07(日) 21:52:25
-投下終了-

以上、うちの子達の元設定でした!
うん、元設定の方では、当初、BLではなかったんですw
この設定でのほかの子達も、そのうちお披露目できると良いなぁ…


113 :創作してもらうスレ52:2011/08/08(月) 22:16:39
》109
ありがとうございますー
それでは、ありがたくゴソゴソ書かせていただきますw

追加の元設定、まさしく正統派ファンタジーって感じで良いですねー
姐さんのオリキャラは2人とも透明感があるというか、綺麗な印象がして大好きです!
また他の子のお披露目もお待ちしております~


114 :名無しさん:2011/08/09(火) 23:43:16
》113
早速のレスありがとうございます-!
また、うちの子達への素敵なお言葉もいただき、ありがとうございます!

自分は逆に、
姐さんのお子達の意識の高さというか、
叶えたい望みにしっかりと向き合い、実現していく芯の強さのような、
心意気が見え隠れする硬派な雰囲気にすごく惹かれてます

52姐さんのお子達の遣り取りを楽しみにSSをwktkでお待ちしておりますw


115 :915:2011/08/10(水) 18:23:48
本スレ915兼966です
本スレで夢の内容(創作していただける)を話した所
正夢にしていただけるというありがたいお言葉を頂けたので
こちらに設定とかがわかるような会話文を載せますので
そちらを参考に素敵なssやイラストを頂けると嬉しいです
もちろん二次創作も大歓迎です
よろしくお願いします

ちなみに会話の配役は
大=大神
遼=遼陀
蚕=童子
御=御社
遊=遊行


116 :悠遊閑適:2011/08/10(水) 18:25:02
悠遊閑適~教えて☆インタビュー~

蚕「しゃぁ、今回は、みんなにぼくたちのこと知ってもやうため、
  いんたびう?をちたいと思いましゅ。はくしゅ~」
大・遼・御「いぇーい。(パチパチ)」
蚕「といあえじゅ~、自分の種族?にちゅいて教えて!」
大「ん、まず俺からな。俺は真神。狼(ニホンオオカミ)が信仰によって神になったものだ。
  元々農耕が盛んなこの国では猪や鹿といった作物を食うオオカミは大事にされてたらしい。
  オオカミの由来も大神だしな。」
蚕「そうなんだ。次は遼陀~!!」
遼「まぁ名乗ってはいるのですが…山本五郎左衛門です一応魔王に属する妖怪です。
  芸州(今は広島)の稲生物怪録に出てきます。三目の烏天狗の見た目ですが、天狗や狐狸の類ではありません。」
蚕「烏天狗だったやぼくたべやえちゃうもんね(烏天狗の元と言われるガルダは竜を食べる)」
御「やめて下さいよ!!童子を食べちゃうなんて!!ズルいっ!!!」
大「違うっつってんだろーが。食わねぇよ。あとお前、今何考えた!?」
遼「…続けますね。その稲生物怪録では神野悪五郎(しんのあくごろう)と対決するのですが負けてしまいます。
  その敗因になった稲生平太郎に魔王の槌というのをさずけます。
  後にその槌は四国の隠神刑部(いぬがみぎょうぶ)という狸妖怪を倒すらしいです」


117 :悠遊閑適:2011/08/10(水) 18:25:45
大「今一瞬びっくりした。狸か。犬神とか同類かと思ったじゃねーか。」
蚕「次ぼく~。竜でしゅ。普通の竜とはちがうのは角かな?いっぱい生えてゆと偉いんだって。ちなみにぼく4本!!
  頭の上の部分と~耳の後にあゆの~v」
大「成長の過程で大抵増えるけど生まれつきで4本もあるってのは珍しいんだっけ?」
遼「そうなんですか」
蚕「でね、森で一番たくしゃんいゆのは竜なんだって…じゃぁ次御社~」
御「私はミシャグジです。モノの姿をしてたり白い蛇の姿をしてたり色々ですが私は一応蛇の方です。」
大「モノだったらそのインパクトにドン引きするわ!!」
御「安産の神や病気の神といった面もあれば祟り神の面もあります。あと女に宿らず男に宿ります」
大・遼(ピクッ!!)
御「それ故に小さな子供に神主として依代として翌年には贄として捧げられました。」
大「喰ったのか?その子」
御「やだなぁ、食べてませんよ。さわりっこはしましたけど」
大「おま、自重しろよ!!つーか意味ちげーし!!」
御「(聞いてない)まぁどの子も可愛かったけど、今は愛しの童子がいますからね(キリッ!!)」
大「(下ネタのドサクサに紛れて告白しやがった!!)」
遼「(童子は今の聞いてどうするんでしょうか?)」
蚕「そ。じゃぁ、しょよしょよ次の質問にいこ~!!」


118 :悠遊閑適:2011/08/10(水) 18:26:15
大「(スルーしやがった!!)」
遼「(流石童子!!)」
蚕「え~っと!次はタロちゃんと遼陀の馴れ初めを教えて!!だって」
大「何だよ、その質問!!」
遼「まぁ、100年争ってた訳ですが…」
大「お前も何始めてんだよ」
蚕「いいのいいのvこういう話好きな人多いんだかや」
遼「正直言って本気で殺しあってました」
大「そういえば腹の探りあいとか隙を見つけたりしてたなぁ」
遼「で、そんな争いもやめた後、一応この森に住めるようになったんですが…正直嫌われてたんですよ、私
  まぁ、この森を襲ったのは事実ですし、住めることを幸と思うほかないと思ってました」
大「そこで声かけたのが俺。まぁ一人な遼陀はなんかほっとけなかったし、酒誘ってみたら
  案外面白い奴でさぁ。俺の知らないことたくさん知ってたし」
蚕「おお~」
大「で、殺し合いしてた時は相手の欠点だと思ってた物ってむしろ長所なんじゃないかと思えてきてなぁ…」
遼「そうしてたらいつのまにか付き合ってました」
大「ホントなんかいつのまにかって感じだったなぁ」


119 :悠遊閑適:2011/08/10(水) 18:26:52
蚕「一緒に住んでゆちね。ケンカはしゅゆの?」
大「全くしない」
遼「まぁどうせやったって決着つかないでしょう」
大「でもいつかはつけたいとは思うけどなぁ」
遼「それは多少思いますね」
蚕「なんかしゅごいねvよくわかんなかったけど」
大「わかんねぇのかよ」
遼「まぁこの頃ならわかってた方が良くないでしょう。色々と」
大「そうだな、どこかの変態邪神が入れ知恵しないよう見張らないとな」
蚕「しょういえば御社は?」
(ちょっと遠い所に移動してた)
御「やっと終わったんですか?正直貴方大神さんと遼陀さんのノロケなんて聞きたくなかったですよ」
大「ムカツクなぁ」
蚕「じゃぁ何なやいいの?」
御「それはやはり、童子の魅力や可愛い所でしょう!!」
大「おい、やめろ!変態邪神!!」
御「変態邪神じゃありません、恋愛蛇神(じゃしん)ですよ」
大「上手くねぇよ!むしろ寒いわ!!」


120 :悠遊閑適:2011/08/10(水) 18:27:26
御「やはり童子の魅力といったら広くて可愛いおデコですよ。チューしろと言わんばかりに晒されていて
  罪深い。次はなんといってもちっちゃなお手々(ry」
大「(どんだけ子供に危ないこと考えてんの!?コイツ…)」
遼「(ところどころ幼児語なのが更に変態臭い…)」
蚕「なんかもう疲えた~」
大「もうあいつほっといて御開きにしねぇ」
遼「そうですね。ほっときましょう」
       ~お開き~
蚕「誰か忘えてゆような~。気のしぇいかなぁ」

~その頃の遊行~
遊「…童子に今日は何かあるから帰ってくるよう文があったから急いでるのに…ここはどこだ?」
迷ってた


121 :悠遊閑適:2011/08/10(水) 18:27:57
一応の口調の設定です
大神 一人称:俺、呼ばれ方:遼陀からは太郎か太郎右衛(たろうえ)。童子からはタロちゃん。御社・遊行からは大神さん。
   基本口調は粗暴?な感じ、男らしい感じです。
遼陀 一人称:私、呼ばれ方:御社からは遼陀さん。それ以外は遼陀。
   基本口調は誰にでも敬語
童子 一人称:ぼく、呼ばれ方:全員が童子 基本口調:子供っぽい、サ行はしゃちしゅしぇしょ、「つ」も「ちゅ」
   ラ行はヤ行になる(「い」や「え」も「yi」や「ye」といった感じ)
   まぁ大変なんで表記は普通でもそうイメージしていただければいいです
御社 一人称:私、呼ばれ方:遼陀以外が御社、遼陀は御社殿。たまに変態とか変態邪神 
   基本口調は丁寧語(でもどこかなめてるのが遼陀との違い)童子にはタメ語
遊行 一人称:おれ、呼ばれ方:大神・童子は遊行、遼陀は遊行殿、御社は辻ケ先さん(皮肉っぽく)
   基本口調はゆるダル。
あとイラストの場合の身長差(参考程度にしてください)
童子(120cm台)<<<(大人と子供の差)<遼陀<御社(この二人は175~185)<<大神≦遊行(185~190cm台


122 :追記:2011/08/10(水) 18:31:44
長っ!!あんまり長いのもどうかと思ったんだけど…
しかも童子のが読みにくい…
あと会話文初めてやったけどバランス悪い(一部キャラの空気化が目立った…遊行じゃないよ)
まぁうちの子はこんな感じですw
ちなみにタイトルの「悠遊閑適」はこのシリーズ名です。
悠々自適と同義の悠々閑適をもじったものです。
悠久の時を遊びつつ、閑しつつ、適当に暮らす…まさにこいつらと思ったので


123 :名無しさん:2011/08/10(水) 22:18:03
皆さま投下乙です&
一部亀レスですみませんが、レスさせてくださいませ-

》109様
元設定の投下乙です!  
世界観を含めた元設定を拝見できて嬉しいw
姐さんのお子達は、どちらの世界観の設定で書かれていても、二人の
関係性が美味しくて、大好きですw

52様の手によるダフネ様とディオス様のお子様のその後エピソードも
楽しみにお待ちしています!

》115
投下乙です-!
自分のオリキャラには、こういう明るい感じが全くないもので、
可愛い設定やキャラの話し方に癒されましたよ-w

コラボはもちろんだけど、姐さん自身か描かれる彼らの今後にも
期待してますw


124 :名無しさん:2011/08/11(木) 20:37:36
》115
皆仲良しだなーw
かわええ…そしてオチ要員と化した遊行さんにワロタw


125 :名無しさん:2011/08/11(木) 20:39:38
当スレ》108(本スレ510)の者です。
》90-106様の作品のその後エピソードうちの子ver(ディオスとダフネ)を
妄想して書かせて頂きましたので、投下させてもらいますー
》90-106様、萌えインスピレーションを授けてくださり本当に感謝です!

えっと、属性表記しておきます
・当スレ》90-106様の作品設定をお借りした派生二次(三次?)SSです
・西洋風ファンタジーっぽいです
・》90-106様作品後、エル様シオン様に感化された、物騒なうちの子ペアがダベってるだけ
 リア充羨ましくなんてないんだから!本当なんだから!がテーマです(キリッ
・エロ無しシリアス、受け攻めすら確定できてません
・》90-106様の素敵設定から外れてる可能性ありあり

宜しければ読んでやってくださると嬉しい!です


126 :1/14:2011/08/11(木) 20:40:45
夜が更ける。
賓客を迎えた晩餐の後、一通りの儀礼的な遣り取りを終えたディオスは、自室で1人になると、
正装の上着を椅子にかけて伸びをし、無意識の内に凝り固まっていた身体をほぐす。
そして、一つ息を吐く。
このような社交には慣れ親しんでいたが、どうも、今回の客人はいつもとは勝手が違っていた。
それは昼間に行われていた彼らの片割れとダフネによる試合の際にも感じた事であるが、一つには、恐らく文化が違うのだろう。
住まう世界が違うなら、それも当然であろう事ではあるのだが。
(…外交、という概念も違うのだろうか)
2人の客人の様子を思い浮かべながら、ディオスは考える。


127 :2/14:2011/08/11(木) 20:41:51
一国の王と、他国の王位継承者という関係にありながら、2人はまるで兄弟のように親しげだった。
そして片や弟を見守る兄のように控えめな反面隙が無く、片や兄を誇りに思う弟のようにどこか幼い甘えが滲んでいる。
2者それぞれを立てる事なら如際無くこなせると自負するディオスも、彼らのように利害を超えて寄り添い合うような関係に見える2者に対し、
どのように接遇するのが良いのか、いまいち要領を得ることが出来なかったと顧みて思う。
それに、彼らの国々と自国では、相互不干渉が常態化している。
というのも、およそ考え得る利害関係が存在しないのだ。
これも、この世界の摂理であれば考えにくい事であった。
その為、今回の訪問にどういった思惑があるのか、和気藹々とした晩餐の最中で一人、ディオスはさりげなく目を見張らせていたのだが、
ようやく彼らが純粋に、知ったる他国の慶事を祝いに来ているのだと確信する至り、己のまるで見当外れであった懸念に疲労感を覚えずにはいられなかった。


128 :3/14:2011/08/11(木) 20:42:48
己もまだまだ未熟だと、自嘲の笑みを口元に刻みながら、ディオスは自室に備え付けられた戸棚に向かうと、
そこに並べてある酒瓶の中から目に付いた1本と、グラスを2つ取り、ベッドサイドの丸テーブルに置いた。
椅子に腰掛け、襟元を緩めながら片手で酒を2つ共のグラスに注ぎ、一方を自分に対する椅子の前に置く。
そして手にしたもう片方、ランプの薄明かりに煌く琥珀色を一息に呷る。
ディオスにとって、自室で口にする酒は酔えさえすれば良かった。
元々は耐性を付ける為に始めた飲酒習慣であったし、瑣末な味の違いに拘りは無い。
よって酒の調達は侍従に任せてあり、時折感想等は尋ねられるままに洩らすものの、銘柄までは把握していなかった。
が、恐らく上等な物なのだろう、濃厚な酒精と、果実の芳醇な香りが、疲れた心身に染み入る心地がした。
多少の好みを言うならば、もう少し甘くない方が良かったが、しかし“彼”にはこのくらいが丁度良いはずである。
対面に置いたグラスを眺める。
そろそろだろうか、と思ってみたところで、ドアを叩く音が響く。
そのタイミングの良さに、ディオスは思わず笑ってしまった。


129 :4/14:2011/08/11(木) 20:43:43
「入れ」

何者か問う必要も感じず、ディオスはドアの前に佇む者に声を投げかけ招き入れる。

「夜分に、失礼致します」
「構わん。待っていた」

特に示し合わせた訳ではなかったが、相手も、自分が待っている事を見越していたのだろう。
恐縮した言葉に反して、ドアが開いた先にあるその顔には、いつも通りの朗らかで人好きのする笑顔が浮かんでいる。
どれだけ年齢を経ても、姿形が違おうとも、その笑い方は変わらない。
何故か、どこか眩しく映るその笑顔。
ダフネ。
思わず目を細めるディオスに、彼は仰々しく騎士の礼を取って見せる。

「殿下におかれましては、今宵もご機嫌麗しく…」
「ダフネ。略せ」
「は。では、無礼をお許しを」

2人だけの間では最早お決まりとなっている遣り取りを終えると、ダフネは慣れた様子で向かいの椅子に腰掛ける。
そして差し出されたグラスにグラスを合わせようとするも、相手のグラスが空である事に気付き、すぐさま傍にあるボトルを取り上げて注いだ。

「おや、」

そのボトルのラベルに目を留めたのか、ダフネの目が意外そうに見開かれる。


130 :5/14:2011/08/11(木) 20:44:38
「果実酒ですね。殿下は、甘い酒はお好みではないと思っておりました」
「ああ…これは、お前向けだな。侍従が気を利かせたのだろう」
「それはそれは。近頃は少々、殿下の私室に入り浸り過ぎましたかな。以後、改めます」
「ふん。大して気にもしていないくせに、心にも無い事を」
「いえいえ、そのような事は。殿下、ご勘弁を」

気心知れた軽口を叩きながら、満たされた杯で改めて互いのグラスを当てる。
キン、と硬質な音色が耳に心地よく響く。
ディオスは先ほど勢い良く呷ったばかりなので、少し舐めるだけに留めたが、今度はダフネが一息にグラスを干した。
そしてグラスを置く。
また注いでやりながら、ディオスはダフネの表情を窺う。
気の重そうな顔をしている。
ダフネは、耐性を付けるまでもなく、生まれながらの酒豪である。
よって、酒精に当てられたせいではないだろう。
ディオスは、仕方が無い、と一つ溜息を吐いて見せ、水を向けてやる。

「昼間の件だな?」

途端、ダフネは眉尻を下げて弱りきった顔を見せた。

「はい。醜態を晒してしまい殿下に申し訳なく」

中庭で繰り広げられていた打ち合いを脳裏に思い浮かべながら、ディオスは腕を組む。


131 :6/14:2011/08/11(木) 20:45:53
「中々面白い見世物だったが…強かったのか?」
「ええ。あの通り、勝ちを譲られる有様で」

ダフネとあの客人は、同じような年頃のはずである。
にも関わらず互角以上の戦いをしてみせる事など、少なくともこの国の内では有り得ない話だった。
ダフネには、12歳まで武芸に関わらなかったハンデはある。
武才それ自体も、極めて優れているということもない。
が、ダフネはそれを血を流し骨肉を削るような尋常でない鍛錬でもって補っている。
そして僅か3年で、達人とまで謳われた者の首を、打ち合いの中で刎ね飛ばすほどの腕前を身につけたのだ。
幼少の頃より徹底的に体技心を磨いてきた己でさえも、経験の有利が無かったなら、今のダフネと互角以上に戦うことは難しかっただろう。
それは決して卑下でも贔屓でも無い、確かな事実だとディオスは認識している。
そしてディオスのその認識を理解しているからこそ、ダフネは殊更勝利に拘り、敗北を恥じる。
ダフネの勝利はディオスの勝利であり、その敗北もまた共有されるものであるからだ。
しかし今回については、ディオスはダフネの腕を問う気にはならなかった。
華を持たせてくれた客人への礼もあるが、それ以上に、二人の打ち合いは賞賛に値する、見事なものだった。


132 :7/14:2011/08/11(木) 20:46:29
「この世は広いものだな」
「全く。この世界だけでも十分に広いというのに、また別の世界など。私などにはサッパリ、訳が分かりませぬ」

聖霊の存在は西方の国では、信仰の対象として尊ばれているようだが、この帝国では伝統的に馴染みの薄い代物である。
それであるから、ディオスは書物から一通りの知識を得て、更に実際に目視した今でも、そこに人が住まうなど何やら不可思議な印象は拭い去れない。
机上の学問を苦手とするダフネならば、尚更の事だろう。

「まぁいずれにせよ、あの者らと敵対する必要が無いのは幸いな事だ」
「左様でございますか」

ダフネはいつもと同じくにこにこと笑っている。
しかし、ふと感じるところあって、ディオスは問いかける。

「不満か」
「いいえ、誓ってそのようなことは。ただ…」
「ただ?」
「賓客と、それを受け入れる側では、真の勝負にはなりません」

相手にとっても、自分にとっても。
それが惜しいとダフネは笑う。


133 :8/14:2011/08/11(木) 20:47:18
一点の曇りもない無邪気な笑顔であるので、知らぬ者からすれば、血気盛んな若者の好奇心、あるいは競争心であると見るだろう。
それを微笑ましくも思うだろう。
が、ディオスは知っている。
以前ダフネはこの顔で笑った後、一人の男と果し合い、殺害した。
つまり、ダフネの言う真の勝負とは、そういうことだ。
しかし笑うダフネに、ディオスも呆れるでもなく笑って見せる。

「だが、勝てぬだろう?」
「はい。今は、相打ちが良いところでしょうな。騎士の作法に則るならば、ですが」
「随分不穏な事を言う。あれほど打ち解けていたのは、今日の日の事ではなかったか?」
「エル殿の事は、好ましく思います。しかし万が一があらば、私は何としても勝たねばなりません故」
「困った奴だ」

言いながら、ディオスはグラスを傾ける。
少なくなった中身に、ダフネが酒を注ぎ足すのを受けながら、
返答は想像に容易いのに、分かっていながら質問を投げかける。


134 :9/14:2011/08/11(木) 20:47:59

「お前は誰彼構わず、敵対する事を想定するのか?」

目を伏せて、グラスを傾げながら、ディオスは問う。
ランプの炎が揺らめきながら、その顔に翳りを落とす。

「ええ。殿下以外の者に対しては、おっしゃる通りでございます。
 私は殿下の剣であり盾でありますからには、不届き者に遅れを取る訳には行きませんでしょう」

ダフネは淀みなく、さも当然の、分かりきった事であるかのように明朗な様子で答える。
それは確かに、ディオスが想像し、そして期待したものであった。
限りなく純度の高い忠誠心と、勇猛さ。
大望を抱く己の片腕に相応しい答え。
満足感が心を満たす。
しかしそれは、思いがけず、どこか薄暗さを帯びた。


135 :10/14:2011/08/11(木) 20:48:40
「…殿下?」

ディオスは思う。
ダフネは、迷うことをしない。
打てば響くように反応する。
それも、己の為に誂えられたような、これ以上無い的確さで。
それが幼い頃からディオスには不思議で、そして堪らなく心地良かった。
自分たちは一緒になる為に生まれたのだろうと、そう考えた事すらあった。
そんな頃も、あった。
様々な事が変わってしまった今になっては、不毛な考えである。
これ以上は求められない。
かつて一度己が諦めた時に、ダフネは諦めなかった。
伴侶とはなれない二人が共に歩む事の出来る唯一の道、帝位を継ぐ者の片腕としての道を見出し、その成就を約束した。
そして約束は果たされようとしている。
最上の結果だ。
これ以上は、無い。
それは分かっている。
しかしそれでも、若気は未だ消え去ってくれてはいないのだろう。
不毛と悟りながら、ただ、忘れられない。
ふと、ディオスは昼間の情景を思い出す。


136 :11/14:2011/08/11(木) 20:49:29
「…彼らには…」
「?」
「…我々は、どう見えていたのだろうな」

他国の王家でありながら、兄弟のように、あるいはそれ以上に仲睦まじく見える二人。
ごく自然な様子で手を差し出し、抱き寄せ、ごく自然な様子で手を取り、身を任せる。
その有様。
まるで見せつけられたような気がした。
揺らがされる己の心を感じた。
それで、良いのだろうか。
不毛ではないのだろうか。
本心を殺す必要は無いのだろうか。
思うままに相手を気遣い、好意を寄せる事。
思うままに相手に執着し、独占する事。
それはどんな心地がするものだろうか。
(…否。私は、知っているな)
目を閉じれば、眼前に美しい自然が広がる。
その中で、暖かな陽光を受けて揺れる、薄桃色の柔らかな髪。
向けられる暁色の瞳。
軽やかな笑い声、その声に呼ばれ、伸ばされた手を取り、二人――


137 :12/14:2011/08/11(木) 20:50:15
「……!」

そっと頬に触れる感触に、ディオスははっと我に返る。
掌が、頬に。
目の前には、あの頃と変わらない色彩がある。
未だあどけなさの残る顔も、あの頃の面影を色濃く残している。
それが悲しいのか腹正しいのか、胸をぎゅっと締め付けられるような心地がした。
しかし国を継ぐ者として鍛え上げた自制心は、その不明瞭な感情を表に出す事を許さない。
意図するまでもなく、不機嫌に相手を咎める表情がその顔に浮かぶ。

「…この手は、何のつもりだ?」
「申し訳ありません。…ダフネは酔ってしまったようございます。
 何となく殿下が、望んでおられる気が致しました」

酔いなど感じさせない真摯な顔つきで、ダフネは言う。
謝罪しながら、手を退こうともしない。
ディオスは半ば呆気に取られながら、少し卑怯だと思った。
そう思ったが、何も言えない。
頬に寄せられたダフネの掌を、ただ感じる。


138 :13/14:2011/08/11(木) 20:51:03
これは、武器を握る者の手だ。
伴侶となる女の手では在り得ない、無骨で乾いた感触。
しかし、とても暖かい。
変わらない、その温もり。

「…ああ。酔っているな」

己も、とは言わず、不機嫌な表情のまま、ディオスも手を重ねる。
そして再び目を閉じて、考える。
あの頃から変わってしまったものとは、何だっただろうか。
変えたのは、誰だ。
不毛とは、何に対しての?
あの二人のような道も、あったのだろうか。
常ならばすぐに思いつくはずの答えも、今は浮かんで来ない。
(…どうしようもなく、酔っているからだ)


139 :14/14:2011/08/11(木) 20:51:35
「甘い酒は、その飲み口に反して酒精が過ぎるな…」
「…ダフネは、甘い酒は好きでございます」
「…悪くは、ない」

遣り取りは次第に立ち消え、沈黙へ成り果てる。
しかしそれすら酔いの中にあって心地良い。
どうせ、望もうと望むまいと、翌朝には酔いは醒める。
だから今、この一時だけだ。
それなら、構うまい。
陶酔に身を任せながら、ディオスは自らに言い聞かせるように思う。
閉じた瞼の奥で、あの頃のままの愛しい気配が幸せそうに微笑んだ気がした。


【END】


140 :名無しさん:2011/08/11(木) 20:52:57
以上、長々と失礼致しましたー

未成年が酒飲んでますが、ファンタジーということで。
酒のせいでーとか若気の至りでーとか、そういう言い訳がましいのが大好きなんです…
ちなみにSSには盛り込めませんでしたが、二人が割りと真面目?なのは、お互い相手に嫌われたくないからで、
そのせいでお互いに素直になり難いというか…両片思いみたいな有様に。
この二人は自分で創って萌えてるくせに、青年期をどうやってラブらせれば良いのか分からなかったのですが、
》90-106様のお陰でラブらせる糸口が掴めた気がしますw
とまぁ、お陰様で大変楽しく書けました、ありがとうございました!


141 :本スレ710:2011/08/11(木) 22:18:46
》140
うぉ-! 投下乙でございます!

自分の子を人様に書いていただけるって、こういうことなのね!
ということで、なんかもう、色々と滾りまくりです!!
と、いうことで、感想は、また改めてさせていただきたいと思っているのですが、
取り急ぎ、御礼まで~

52姐さん、本当にありがとうございます-!


142 :名無しさん:2011/08/12(金) 20:11:17
115兼本1スレ目915です
》123,124
可愛いですと!!ありがとうございます
》123
私のですか!!こんなBLはどこ?ってなりそうな作品なのに…
個人的にエログロやシリアスも美味しいんですが、
他の書き手さんに及びそうも無いし、
日常っぽくバカっぽいのとか好きなんです
》124
本当はもっと長かったんですけど、あんまり長くてもあれなんで
遊行にオチになってもらいました
ゴメンね遊行…


143 :本スレ710 - 1/3:2011/08/13(土) 03:09:32
》125-140
続編の投下、本当にありがとうございました!
姐さんのお子達の絆の深さと思慮深さに当てられまくりで、こんなに萌えたのは久しぶり!
という位、萌えました-!!

えーと、まず、最初からお願いで恐縮なのですが、自分も、うちの子の続きを書いちゃっても
良いでしょうか?

あのSSを書き終えた後、クロスって以外と難しくて、これの続きはもう書けないかな-
なんて思っていたのですが、姐さんのSSを拝読して、私も自分の子の続きがすごく書きたく
なってしまいましたw
ぜひ、続きを書くことをお許しいただけるとありがたいです! 

また、続きを書くにあたって、
何か不都合等ありましたら、遠慮なくお知らせくださいませ-


144 :本スレ710 - 2/3:2011/08/13(土) 03:12:25
以下、
お書きいただきましたSS》125-140の感想兼、当初SS》90-106のシナリオ設定の補足?です
少し長くて申し訳ないのですが、よろしかったらどうぞ

・ダフネ様、ディオス様のこと
 今回、二人の絆の強さが本当に素敵で、また惚れ直してしまいましたw
 私のSSの中では、お二人には、エルとシオンにないものを持つ二人としての役回りに
 立っていただいています。
 
 実は、エルとシオンは、その立場上、お二人程、共に過ごす機会はないので、互いに
 強く導き合い、自分達が望む関係性と、その立場を確固たるものにしつつあるお二人
 のことを羨ましく思い、ある意味、眩しい存在として認識してたりします。

 が、そのために、自分達よりも、かなり多くの犠牲を払っていることも理解している
 ので、(政略結婚とか、自分の想いを立場上、殆ど表すことさえも叶わないとか…)
 彼らもまた、ダフネ様、ディオス様に複雑な想いを感じている…というのが行動の
 ベースです。

・エルのこと
 ここで白状しちゃうと、彼は表面上、素直な良い子に見えますが、少々複雑な背景の
 ある子で、ダフネ様と同じく、必要があれば笑顔のまま、平気で人を殺せる子です

 おまけに、皇太子として常に人に視られるということを意識しているので、作り笑顔
 なんかも、無意識かつ、ごく自然に近い形で平気でやってのけてます

 なので、彼は、実は、公の場では、ある程度、自身の元々の容姿の特性が持つ印象も
 意識した上で、常にその場の状況に合わせて最も効果的に映る笑顔とか、表情を作っ
 てたりします

 周りから愛されて育っているので、根は素直ですが、結構、腹黒いw
 という感じの一面を持つ子なので、

 ダフネ様にも、ディオス様にも、ある意味、すごく親近感を持っているし、
 自身の想いに冷酷かつ忠実に対峙していくという姿勢は、彼自身も同じなので、
 お二人のことを物騒な思想を持っている類の人だとかは、全く思っていないです
 うん、むしろ、同じような立場に在る方として、敬意を払うべき相手だと思っている
 かな…という感じの思考の基に行動してます


145 :本スレ710 - 3/3:2011/08/13(土) 03:15:41
・シオンのこと
 彼もまた、エルとは生い立ちが違いますが、割と平気で人も殺しますし、色々思考を
 重ねて行動するタイプなので、腹黒い部分も多分にある人ですw
 彼には、エルのように、愛されて育った人が持つ素直さみたいなものは無いんですが、
 心根の優しさみたいな部分が芯にあるので、そこにエルが惹かれてたりします

 エルと違うのは、ダフネ様、ディオス様の硬派で互いに素直になりきれない部分が、
 微笑ましいと感じていて、二人とも、もう少し素直になったら良いんじゃないの?
 という思いと、それ故に、お二人を少々煽りたいという意識が行動の軸になってます

 あと、お二人の硬い絆を目の前にして、お二人とは違う意味も含めて、相手の事を
 想うあまりに、実は、エルに想いを伝えきれていない自分を実感させられていて、
 複雑な気分になってたりもしてます。

うちの子の想いがこんな感じなので、今回、姐さんがSSに書いてくださった
ダフネ様、ディオス様のうちの子への想いが正にビンゴ!!

(この二組、やっぱり、互いに、同じようなことを考えてるよ!!)

という感じで、すごく萌えました!!

おまけに、エルが傍から解る位に、幼さが残るような形でシオンに甘えてるように
見えるんだなぁ…というのが、私にとっては、結構、新鮮で、新たな二人の側面が
垣間見えたような気がしてますw

以上、長々と失礼いたしました
また、52姐さん、素敵なSSを投下してくださって、本当にありがとうございました!


146 :140:2011/08/13(土) 09:51:42
》143-145
感想と補足、ありがとうございますー
投下したSSでは、酔っ払いが「羨ましくなんか無いもん!」な感じでブツクサしてるので、
隣の芝生は青く見える状態、実際のエル様&シオン様のご苦労は置いてけぼりにしてて、
何だか申し訳なかったです…反省。

しかし腹黒い子、物騒な子が大好きなので、姐さんのお子さん方がお二人ともそうだと分かって嬉しいw
エル様とシオン様ペアのその後の話、勿論書いて下さって構いません
というか、是非書いていただきたいですw
お待ちしてますねー楽しみ!


147 :本スレ710:2011/08/13(土) 20:40:14
》146
うれしいレスをありがとうございます! では、早速とりかかりますw
ですが、できるだけ設定矛盾しないように、少し整理しながら書きたいな-
と思っていて、ちょっと時間がかかるかも…という感じなので、気長にお待ちいただけるとうれしいです

姐さんが、うちの腹黒い子達を好きだと言ってくださって、嬉しいw
うん、心根は綺麗だけど、腹黒いというのが、大好物なんですw

あと、うちの子達の方が、
まあ、少しは、思惑どおりに煽れたかもね……って、あれ?
……俺の方が、彼らを羨ましいと思ってる……!? ……そんな訳ない……筈……なんだけど……
みたいな言い訳がましいことを、沢山考えていると思いますので、正にお互い様といった感じだと思いますw

うちの子達も意外とめんどくさいwので、どの辺をエピソードの中心にしようか、悩み中ですw
ということで、少しのんびりとした気持ちで、お待ちくださいませ-


148 :-CROSS 3-願いの往先-:2011/08/27(土) 18:22:22
本スレ710です。
創作してもらうスレ52様のお子様とうちの子のスピンオフな二次SSの続きを仕上げましたので投下します。
以下、属性表記です
 ・創作してもらうスレ52様が書いてくださったSS(》125-140)の続きな感じの
  ファンタジーな世界観での二次(三次?)SSです
 ・ストーリーはけっこう長めで、後半、ほんの少しだけエロあり
 ・シオン×エルでのやり取りがメインです
 ・ディオス様、ダフネ様からの想いへの対比と、もう一歩、前にwというのがテーマな感じ
 ・設定準拠ではない表記を若干含みます
 ・キャラ&設定が52様の公式設定から外れている可能性あり
こんな感じですが、よろしかったらどうぞ


149 :-CROSS 3-願いの往先-1/18:2011/08/27(土) 18:25:40
風が。闇の中、穏やかに吹き抜けていく風が心地良い。

エルはそう思いながら、この部屋の大きな窓を開けたまま、自身の周りを吹き抜けていく風の
少し冷たい感触を肌に感じつつ、瞳を閉じた。

彼の空色の髪が、穏やかな夜風にあわせて揺れる。
その風を受けながら、エルは先程から自身が気にかけていた、相手の気配を手繰り始めた。
気配を手繰るといっても、今、彼が訪れているこの現世界において、エル自身が本来持ってい
る魔導力を充分に行使することなど、出来はしない。
本来、彼が属する聖霊領域と、こちら側の現世界では、彼自身が魔導力を行使するという点に
おいては、自身の能力が及ぶ範囲や、その力の性質など、何からなにまでもが、大きく異なる
からだ。

それ故、こちら側の世界でエル自身が出来る事といえば、ごく、簡単な魔導を実行することの
みに限られていた。
また、殊に、この人の気配を手繰るということにおいては、自身の魔導力を多少乗せたとして
も、少し離れた場所に居る相手の喜怒哀楽といった感情の性質をごく短い時間、感じ取ること
ができる位だ。

……まあ、あまり誉められたことじゃないけど、少し気になるからね。

エルは、そう思いながら、その相手方の気配へと自らの気を向けることに集中していく。
そして、それからあまり時間が経たないうちに、それは、エル自身の許へと、彼自身が心の内
側で何かの感覚として感じることが出来るような形式をもって、届けられる。

……ああ、先程、お会いした時のものとは、少し違う気配があるから……
彼の思惑は、ある程度、効を奏したということかな……。

先程から気にかけていた、その気配の性質を見極めたエルは、少しほっとしたように、小さく
息をついてから、自身の空色の瞳をゆっくりと開くと、窓の外の景色へと目を遣った。


150 :-CROSS 3-願いの往先-2/18:2011/08/27(土) 18:28:04
その場所には、昼間のあの時と同じように、涼しげな水の流れる音を辺りへと運び続ける噴水
が映っていた。
そこから、自身の頭上の更に上の方を仰ぎ見るようにして、視線を移していけば、澄み渡った
夜空には、蒼く淡い光を放つ月が浮かんでいる。

「今日は一日、色々なことが、ありすぎたな」

エルは、その月を眺めながら、軽く微笑み、そう呟いてから、大きく開け放っていた目の前の
窓をそっと閉めた。
そうして、差し込む月明かりのみで、彼以外には、誰一人、人の居ない、この部屋のベッドの
方へと歩いていくと、正装を着たその姿のまま、自身の身体をベッドへと投げ出すようにして
横になった。

……住まう世界は違っていても、王宮なんて何処も同じだ。堅苦しくて息が詰まる。

そんなことを考えながら、エルは、再び溜息をつくと、自身の正装の襟元を緩めた。
彼は、自身が属する聖霊公領の定めに従い、慶事での祝辞を述べる使者として、この地を訪れ
ていたのだ。
そして、それに伴い、皇太子ディオスが主催する晩餐会に出席した後、自身が招かれ、今夜一
晩を過ごすことになっている、王太子離宮のこの部屋に戻ってきたばかりだ。

この帝国は、その長い歴史と伝統を重んじる傾向にあるようで、それ故に、自身が普段暮らす、
聖霊領域よりも、更に格式のある、堅苦しい立ち振舞いを求められることが多かった。

まあ、それでも、こんな風に、何か新鮮な気持ちで、一日を過ごせたというのは、本当に久し
振りだ。
昼間のダフネ殿との剣の打ち合いにしても、あんな風に、下手な遠慮をせずに、互いに打ち合
えることなんて、自身が本来、属する聖霊領域では、滅多にない。


151 :-CROSS 3-願いの往先-3/18:2011/08/27(土) 18:29:44
それに、こんなに長い時間、シオンと一緒に過ごしたのだって、久し振りのことだ。
現世界の東に位置する大国である、この帝国の慶事の席にて祝辞を述べる者の身分が、聖霊領
域西公の皇太子である自分だけでは、釣り合わないなどと、適当な理由を付けて、あらかじめ
調整をした甲斐があったというものだ。

そんなことを考えていると、エルには、明日の朝には、もう、此処を発つのだということが、
ほんの少し、惜しくも感じられていた。

「楽しかったな」

エルは先程と変わらず、ベッドに身を預けたまま、この部屋の天井を眺めるようにして、視線
を上げると、小さな声でそう言った。
そうでもしないと、この先、色々と考えても仕方ないことが、自分自身の脳裏をよぎっていく
ことになるのが、解っていたからだ。

それから程無くして、エルは、この部屋へと向かってくる僅かな足音と、自身が良く知る人物
の気配に気付くと、ベッドから上半身を起こした。
この部屋の入り口の方にエルが視線を合わせた後、それから、ほんの少し遅れるようにして、
扉を軽く叩く音が響く。

「エル、入るよ」

流れるようなプラチナブロンドと青銀の瞳に、先程の晩餐会に出席した際に着用していた濃紺
の式典用の正装を身に纏ったままの、その青年、アル・シオン・エ・ヴァン・ダイク公は、ご
くあたり前といった自然な所作で、この部屋の中へと入って来ると、入口の扉を閉めた。


152 :-CROSS 3-願いの往先-4/18:2011/08/27(土) 18:31:54
……全く、この人は、
  俺がこの部屋に入れることを断わるとか、そういうことは、考えてないのかな。

そんなことを考えながら、エルは、ベッドの上に座ったまま、自身の前髪をかき上げるように
すると、少し不機嫌そうな顔つきで、シオンの方へと改めて視線を向けた。
シオンは、月明かりのほかには差し込む光のないこの部屋であっても、エルのその不機嫌そう
な表情を目に留めていたが、殊更、気にかけることをせずに、ベッドの前までやって来きて、
エルの傍へと腰掛けた。

「何? まだ怒ってるんだ?」
「別に」

エルはシオンのいつもどおりの口調に、少しほっとしながら、それでも、未だに不機嫌そうな
表情を崩さずに、短く返事を返した。

この二人の間では、ごく親しい間柄の人々を交えた場合までには限られてはいたが、格式張っ
た形式を除いた、世間一般と同じ様な、ごく普通の口調でのやり取りが、いつも平然となされ
ていた。
だからこそ、今、この場でのシオンの口調は、この帝国を訪れてから、その言葉使いにそれな
りに気を遣っていた、エルにとって、彼の元々の優しく若干低めの声質と相まって、どこか心
地良く聞こえていた。

それに、正直なところ、エルは、あの昼間の出来事に関しては、シオンに対して、何か言うつ
もりは、もう、全く無かった。
そもそも、あの皇太子ディオスの従者であり、恐らく、方腕とも目される少年、ダフネ・グリ
ンバーグとの剣での手合い後に、この部屋まで抱えて来られた挙句、極めて冷静な視点から自
分自身の浅慮が基となった行動と失態の数々について、ことごとく指摘を受けていたからだ。

ただ、エルは、その時のことを思い出すと、まだ何処か素直になりきれない、自身の気持ちに
正直に従って、シオンへと返事を返しただけだ。


153 :-CROSS 3-願いの往先-5/18:2011/08/27(土) 18:34:13
あの時、シオンからは、自分自身で幕引きが出来ない程、高い技量を持つダフネ殿に対して、
思い付きで手合いを申し込むなとか、あの場で、君を抱きあげる以外の方法をどうやって採れ
というのか、ダフネ殿と同じように手を差し伸べたら、俺が馬鹿みたいだろうとか、少し強め
に君を抱き上げたのは、相手の二人をほんの少し煽りたかったからで、それ以外の意図は特に
無い、とか、切り返される全てにおいて、概ね尤もな返答が返ってきたが、エルにとっては、
その一つひとつが、逆に癇に障った。

おまけに、最後に、エルの方から、「君が傍に居てくれなければ、こんなことはしない。君の意
図も概ね把握していたつもりだから、あの場であえて反論はしなかっただろう?」と返せば、
「君はね、普段から俺を頼りすぎ。もう少し考えた方がいい」などと、思い切り、とどめを刺
されていたものを、今更、もう一度、再認識したいなどとは、とても思えなかった。

だからこそ、エルは正直なところ、今、何故、シオンが自分の部屋を訪れたのかということに
ついては、その真意を諮りかねていた。

「そっちこそ、どうしたんだよ」

エルは、先程からの少し不機嫌そうな表情を残したまま、隣に座っていたシオンへと、会話を
振った。
そんなエルの様子を目に留めたシオンは、いつもと変わらない表情で微笑むと、彼もまた、昼
間の遣り取りには触れる事なく、目の前の少年にとっても、特に当たり障りがないと思われる
言葉で応じる。

「いや、別に、まだ寝てないんじゃないかと思って、ただ、顔を見に来ただけ」
「なんだよ、それ」
「別になんでもないよ」

相手の笑顔と言葉につられるようにして、エル自身も、少し軽口をたたきながら、微笑むと、
シオンもまた、それに応じるように、笑顔を返していた。


154 :-CROSS 3-願いの往先-6/18:2011/08/27(土) 18:36:47
そうして、エルの表情に笑顔が戻ってきたこと目に留めたシオンは、改めて昼間の件を詫びる
言葉を口にした。

「……その、昼間は済まなかった」
「別に良いよ。
 それに、多分、ああいう風にしか出来なかっただろう? こちらこそ、済まなかった。
 ダフネ殿は、俺と似た雰囲気をお持ちの方だから……
 この祝事にかけての手合いでなければ、全く異なる状況になっていたかもしれないし。
 君の言い分は、もっともだろう」

エルは、シオンの言葉に対して、もう、それ程、気にはしていないのだ、という態度で応じた。
それに、非があるのは、自分自身の方だ。
そう、言葉を続けようかと思ったが、隣に座るシオンの表情がいつもと違なり、未だに憂いを
帯びているような様子にあることを目にすると、そんな言葉は意味の無いものだと悟った。

だから、それ以上、あえて言葉をかけることをせずに、その場で、黙したまま、シオンからの
次の言葉を待っていた。
それこそ、いつも情けないと思うが、この人がこんな表情をしている時に自分が出来ることと
言えば、ただ、傍で静かに待つこと位だと、良く判っていたからだ。

一方のシオンの方も、自分自身の採った行動に誤りはなかったとは思うが、その後で、エルか
ら投げかけられた言葉に対して、普段よりも、きつい言葉と態度を返していたことを自覚して
いた。

だからこそ、そのことをエルに改めて、詫びておきたいと思っていた筈なのに、未だに様々な
想いを振り切れていない自分自身に、少々遣り切れない気持ちを抱えたまま、ほんの暫らくの
間、声も無く、その場に座ったままでいた。


155 :-CROSS 3-願いの往先-7/18:2011/08/27(土) 18:40:00
あの時、シオンは、当初、目の前の二人を少し煽ってやろう位にしか思っていなかった自身の
感情の中に、それとは異なる想いが在ると気付いた瞬間、それと同時に、ある種の苛立ちにも
似た気持ちを抑えきれていない、自分自身にも気付いていた。

それは、今思い返しても、あまり良いものだと言える感情ではないし、いつまでも、それに捉
われていたい類のものはない。
それにもかかわらず、未だに完全には、その感情を振りきれていない自分が、心底情けなく思
えた。

また、あの時、自分自身が目の前で相対していた二人は、互いが互いの心の内を言葉にして明
かすことなど無くとも、もう既に、それすらも必要としない程に、強固な絆が結ばれているの
だ。そこに、あんな風な形で水を差すというのも、それこそ野暮というものだろう。

加えて、彼ら二人の関係性を思えば思う程に、今の自分自身は、様々なものを守りたいと思い
過ぎるが故に、自身の王としての立場や、自身が大切にしたいと願う存在との関係性を含めて、
正直なところ確実なものは何一つ、手にしては、いないのだということを改めて思い知らされ
た気がする。

そうなのだ。
自分には、欲しいものを手にするためには、他の全てを犠牲にすることまでも、厭わないとい
う、あの二人のように、真摯で激しい気持ちが、圧倒的に欠けている気がしたのだ。

自分が欲しいと思う存在は、今、目の前に在るのに。
それは、きっと、このままでは、完全な形で手に入ることは、永遠にない。
この想いは、ある意味、形こそ異なるが、
あの二人の想いと同じように、完全な形では、永遠に叶わない。

そう思うと、シオンはあの場で、衝動的な行動に突き動かされそうになる自分自身の感情を抑
えるのに精一杯で、普段のように相手のことを想い遣る余裕など、全く無かった。


156 :-CROSS 3-願いの往先-8/18:2011/08/27(土) 18:42:47
自身の行動を振り返ってみるに、だからこそ、あの場で、苛立つ気持ちを乗せたまま、エルと
自身の距離をあえて少し離すような言動をしていたのだろう。
更に、そもそも、あの二人に対して、自身が採った行動の稚拙さを考えると、シオンは、自身
の行動の非の多さに改めて、溜息をつきたくなった。

それに、自身が相手に対して抱いている、この気持ちを想うと、未だに少し胸が痛む。
その気持ちを押し隠すようにして、シオンはエルに改めて声をかけた。

「で、もう、大丈夫なのか?」
「うん、さっき、ほんの少し気配を手繰らせてもらった限りでは。ただ……」

いや、俺が聞きたかったのは、君の体調の方なんだけど。
シオンは、エルの言葉を遮るようにして、相手にかけようとしていた、その言葉を止めた。
エルがほんの一瞬だけ見せた、その表情から、彼が伝えたい事の本意は、全く別の処に在るこ
とを理解したからだ。

「エル、言わなくても良いよ」

シオンは、先程の言葉の代わりに、改めてそう声をかけた。
そうして、シオンはエルの幾分華奢にも見える手首を自らの身体の方へと引き寄せるようにし
て、そのままエルの身体を優しく抱きしめた。

「シオン」
「何?」

シオンの暖かい腕の中で、エルは少し泣きたい気持ちになりながら、相手の名前を呼んだ。
その声を受けて、シオンは、エルを抱きしめたまま、ただ短い返事だけを返す。


157 :-CROSS 3-願いの往先-9/18:2011/08/27(土) 18:45:32
この人はいつだってそうだ。
たとえ、その直前まで、自分に対して何かきついことを言っていたとしても、自分が本当に欲
しいと思うときには、いつも必ず、自身が望む以上の形をもって、応じてくれる。
本来なら、自分には、そんな資格など、ありはしないのに。

エルは、そんなことを想いながら、小さな声で、その言葉を述べる。
恐らく、それは、シオンが予想していた言葉とも違うことはないだろう。

「あの人、俺と同じ気配が在るんだ」
「そう」

シオンは、エルの口から告げられたその言葉に、再び短く返事を返した。
もう、一年以上前の事になるが、エルは、唯、一度だけ、真摯なまなざしを備えた、その美し
い空色の瞳から大粒の涙を零しながら、他に知る人が極めて少ない、自身の身の上をシオンに
打ち明けてくれたことがある。
その時のことをシオンは、思い返していた。

以前のエルは、共に魔族を狩ることを目途とした戦場に赴いていた時などでも、自身の生命さ
え、二の次にしがちな行動が、傍から見ていても目に余る位に、極めて多かった。
あの時も、エルは、シオンのフォローを待つことなく、たった一人で、魔族の群れの中核たる
獲物を、その相手とほぼ、相討ちと言って良い状態で、仕留めていた。
しかし、シオンの到着が、もう、ほんの少しでも遅れていれば、恐らく、エル自身の命さえも
無かった筈だ。

それは、それ以前から、エルの無謀な行動をシオンが咎めてきた上でのものだったので、エル
の身体の傷の応急処置を終えたその直後、二人きりだったこともあって、正直なところ、かな
り辛辣な言葉を投げかけた自分対して、エルは、言ったのだ。


158 :-CROSS 3-願いの往先-10/18:2011/08/27(土) 18:47:34
自分は、元々、破滅と滅びの予言を伴って生れてきたのだと。
自身の父がその能力を以って、その予言の行く先をかなり曲げてはくれているが、
それでも、自分は、恐らく、いや、間違いなく、西公領域の最後の王になるだろうと。

だから、エルが自分自身と同じ気配があると言ったのは、恐らくそういうことだ。
あの漆黒の髪と瞳を持つ皇太子ディオスには、確かに大望を望む志とその望みを叶えるだけの
格があった。
この先、彼は、恐らくその望みをも叶えるのだろう。
そうして、彼は、それに見合うだけの破滅と絶望の気配をも背負い込むことになるのだ。

恐らくエルは、あの手合いが終わった直後、改めて彼を見つめていた瞬間に、自身の直感でそ
れを感じ取っていたのだろう。
思えば、あの時、自身の肩に添えられていたエルの掌に、いつもよりも強く?まるような、そ
んな力を感じたのは、その所為なのだ。

シオンは、エル自身の立場の事を考えると、なんともやり切れない気持ちになっている自分自
身の想いも自覚しながら、彼を抱きしめる腕の力をほんの少し強めるようにして、改めて声を
かけた。

「エル、もう、それ以上、言わなくて良いよ」
「シオン」

目の前の相手の言葉を肯定する代わりに、エルは改めて、今、自分の存在を受け止めてくれて
いる、大切な存在の名を確かめるように呼んだ。
それから、自身の瞳を一度、ゆっくりと閉じつつ、今、シオンが、自分に与えてくれている、
この優しい温もりが、今、自身の傍にあることに心から感謝した。
そうして、自分のことを抱き留めてくれているシオンの腕に、自身の腕をそっと添えながら、
強い意思をたたえた空色の瞳を再び開けると、しっかりとした口調で、想いを述べた。


159 :-CROSS 3-願いの往先-11/18:2011/08/27(土) 18:50:20
「シオン、俺は、違うから。俺は、いずれ、俺自身が望むものの、全てを手に入れるから。
 王位も、愛する人と、その人の気持ちも、領民の支持も。全てだ。
 代償を払うとか、そんなのは無い」

「強気だね」
「そうでないと、やってられない」

そんなエルの様子を目に留めると、シオンは普段と変わらない様子で微笑みながら、ただ一言、
そう、声をかけた。
それにあわせるようにして、エルの方も、いつもの気の強さをも覗かせる表情で微笑んだ。

シオンは、たった今、エルが口にした、愛する人という言葉の意味するところを考えると、何
とも言えない気持ちになったが、その感情を押し殺すようにして、エルを抱きしめる自身の腕
に力を入れた。

その腕の強い力で抱きしめられながら、エルは、かつて、シオンが、今と同じように、自分を
強く抱きしめながら、彼が自身に対して、いつもの普段の彼からは、想像もつかない程の憤り
と、哀しみさえ、たたえた真摯な表情でかけてくれた言葉を思い出していた。
それは、今でも、エルの脳裏には、鮮烈な記憶として、残っているものだ。

誰一人、殺さずに、なおかつ、全ての人を救う治世など、この世界の何処にも在りはしない。
何らかの代償を払わずに叶う望みなど、極めて稀だ。
後々、一国の王になる身なら、誰もが多かれ少なかれ、破滅の気配を身に纏うことだって、
あるだろう。
だけど、君はね、そうやって、いずれ王位を継ぐ身にありながら、自らの命さえ護ることも
出来なくて、自分自身が愛する人々や、逆に、君を愛してくれている人々を哀しませるような
状況を更に自らで、作り出した挙句、一体、どうする気なんだ。
君は、今、君のことを本気で気に掛けている俺の目の前で、何をする気だったんだ!!


160 :-CROSS 3-願いの往先-12/18:2011/08/27(土) 18:53:10
当時のシオンから受けた、そんな言葉を思い返しながら、エルは相手の腕の辺りに添えていた、
自身の掌に、無意識に力を入れた。

「……シオン、俺は」
「エル、君は大丈夫だよ」

シオンはエルの様子を受けて、彼を抱きしめたまま、エルの柔らかい空色の髪の方へと手を遣
ると、その頭を後ろから包み込むようにして、そっと撫でた。
それに合わせるように、エルは、シオンの方へと身を預けるようにして、自身の身体に入って
いた余分な力を抜いた。

「……うん、ただね、俺は、あの二人にも、本当に、幸せになって欲しいと思うんだ。
 彼らの呼びかけには、何時でも応じられるような俺でありたい。また、いつか会えるかな」
「そうだね、いつか、また、きっと、会えるよ」

エルの身体の重みを受け止めながら、シオンは、そう返事を返した。
そうして、再び、しっかりとエルの身体を抱きしめる。

互いに形は、違うが、どちらにしろ、その想いが完全な形を取ることなどは、恐らくは、ない。
だからこそ、ただ、どんな時も己の望みに忠実でありさえすれば、それで良いのかもしれない。
どちらの方が良いとか、悪いとか、そんなものは元から無いのだから。

シオンは、そんなことを思いながら、つい先程、晩餐会での席を共にしていた、黒髪と漆黒の
瞳の皇子と、その青年との強固な絆を作り上げていた薄桃色の髪と茜色の瞳の少年へと想いを
馳せた。


161 :-CROSS 3-願いの往先-13/18:2011/08/27(土) 18:55:50
「シオン」
「何?」

エルから再び自身の名を呼ばれたシオンは、改めてその相手へと改めて視線を移した。
その視線の先には、先程と変らずに、自らが大切に想って止まない少年の姿がある。
そして、エルは、シオンからの視線に応じるように、再び自らの視線を上げて、こちらを見つ
めていた。
自身を見つめるエルの瞳がこちらに対して、何か言いたそうにも思えたので、シオンの方から、
彼に声をかけようかと思った矢先に、その言葉は、エルの方から、突然に、小さな声で告げら
れた。

「あのさ、今日は、このまま、ここに居てくれないか」
「……エル、それ、意味、解って言ってる?」

シオンはエルから告げられた、その言葉に驚いて、ほんの一瞬、間をあけてから、そう言った。
昼間に起こした騒動から察するに、今、此処でそんなことをすれば、実際にどのような行為が
なされたかどうかは別にしても、明日の朝には、ある意味、より芳しくない関係にあるといっ
た誤解と噂を生むことは、容易に予測できる。

ただ、シオンは、そういったことに思考を巡らせるよりも、まず、最初に、自身の望みを正直
に伝えてくれた、この少年のことが、本当に愛しく思えていたが、あまりに素直なその言葉に、
そう返事を返した直後に、思わず吹き出しそうになりながら、微笑んだ。

「あっ!!」

シオンから受けた言葉に、エルもようやくその理由を呑み込めたようで、自身の顔を真っ赤に
しながら、即座にそう声をあげた。
そういうところにまで、思いが至らなかった自分自身には、本当に呆れたくもなったが、それ
でも、エルは、今、この一時だけは、自分自身の傍にシオンの存在を感じていたかった。


162 :-CROSS 3-願いの往先-14/18:2011/08/27(土) 18:59:24
ただ、それだけだ。
自身の想いを正直に伝えた、ただそれだけのことだ。
それに、たかだか明日、この世界から去るまでの間に、他の誰にどう思われようが、そんなの
は、構わない。

エルは、自身のそんな気持ち改めて確認してから、再びシオンの方へと視線を戻した。
それから、シオンの背中へと廻した自身の掌を強く握り締めるようにしながら、先程と同じよ
うに小さな声で、自身の想いを告げる。

「……いいよ、別にどう思われようが、俺は構わない」
「じゃ、俺からもお願いがあるんだけど」

先程から続けて込み上げていた笑いを必死で堪えながら、シオンはエルにそう言った。
本当に、全く、エルには敵わない。
自分も、こんな風に自身の想いに正直になれれば良いのだが。
シオンはそんなことを思いながら、改めて、エルの方へと視線を返した。

自分自身が相手に真剣に意図を伝えたにもかかわらず、その相手が、笑いを堪えているかのよ
うな表情をしているのが、気に食わなかったらしく、エルは少し不機嫌そうな表情で、シオン
の方を見ていた。

「何だよ!」

エルから、そう切り返された直後に、シオンは目の前の少年の瞳を見つめながら、彼を抱きし
めていた両腕の力を緩めて、エルの身体との距離をほんの少しだけ開けた。
それから、シオンは自身の片方の腕を振りほどき、その指先をエルの目の前へと差しだすよう
にして、そのまま、相対するエルの唇へと、自身の人差し指をそっと添えた。
その瞬間、エルは、ほんの少し震えるようにして、僅かに肩を竦めた。


163 :-CROSS 3-願いの往先-15/18:2011/08/27(土) 19:01:37
「……っ!」
「このまま、君に触れても良い?」

つい先程までとは、打って変ったように、真摯な眼差しをもって、目の前の相手からそう言わ
れたエルは、その瞬間、自身の身体が、今までに感じた事など無い、何か違う性質の熱がほん
の少しだけ、帯びていることに気付いた。

シオンは、明らかに今までとは、異なる意味で、自分に触れると言っているのだ。
自分は、そんなことを経験したことなど、今までに一度も無い。

どちらかと言えば、華奢な雰囲気を持つ自分自身の容姿のこともあって、男同士でもそういっ
た行為に及ぶ事があるというのは、知識として教えられているので、知ってはいる。
また、周囲からも、そういった事には、一切関係する事などないようにと、普段から厳に注意
をするようにと、重ねて注進を受けてきたのだから。

正直、エル自身は、自分自身が相手の事を心から愛しいと思えば、相手が男だろうと、女だろ
うと、当然、そういう行為に及ぶ事になるものなのだろうと思っていた。
だから、今、恐らくは、そういう意味をもって、自身に触れたいと言っている、目の前の相手
が男性であるという事についての抵抗感は、それ程、無かった。

ただ、今の自分には、自身が唯一、それを許しても構わないと思った、この目の前の相手に対
しても、全てを委ねることは、叶わない。
自身が王位を継ぐにあたっては、その身の純潔が絶対条件とされているからだ。
面倒なことに、今、現在も、自分の胸元の辺りには、それを後で取り繕うことなど出来ないよ
うに、純潔を証するための魔導印が施されているのだということも認識している。

それなのに、エルは、そんな事とは無関係に、そういった行為に及んだ事さえ全く無いという
のに、目の前の相手の事を想うと、今までに一度も感じたことが無い程の切ない気持ちと、た
だ、それだけで、自身の身体が少しずつ熱を帯びていく有様を自覚すると、それだけで泣きた
い気持ちになった。


164 :-CROSS 3-願いの往先-16/18:2011/08/27(土) 19:03:33
エルは、そんな気持ちを抱えながらも、今、自分自身の目の前で、先程と変らない面ざしをも
って、ただ、そのまま、自身の返答を待っているシオンの方へと改めて、視線を向けた。

君も……俺にそういうことを望むという意味を、解って言っている?

本当は、そう、問いかけても良かったのかもしれない。
ただ、エルは、今、この場において、そんな問いかけなど、無意味なものだと、自身の直感で
感じていた。
だから、シオンに対して、自身の想いに一番近い、その短い言葉だけを口にした。

「……いいよ」
「ありがとう」

エルが発した、その小さな声を聞いたシオンは、自身の片腕で、エルの華奢な身体を強く抱き
しめ直すようにしてから、人差し指をエルの唇から外すと、その代わりに、軽く口付けた。
それと同時に、エルは、自身の空色の瞳をゆっくりと閉じた。
軽く口付けを施されただけなのに、たったそれだけの事なのに、エルの心の内を今までに感じ
たことなど無い、熱い感覚と充足感が満たしていく。

「……んっ、あ……」

エルは自身の内側で急激に熱量を増した、その新たな感覚に戸惑いながら、小さく息をついた。
それに呼応するかのように、シオンから施される口付けは、次第に、互いの吐息さえも交わる
ような、深い情愛を伴った熱を帯びたものへと変っていった。

その深い口付けを受け入れながら、自分自身の内側の心の奥から溢れるように生じる熱い感覚
の波に、軽い眩暈にも似た感覚を覚えたエルは、相手の背中の辺りへと置いていた自身の掌に
再び力を込めていた。


165 :-CROSS 3-願いの往先-17/18:2011/08/27(土) 19:06:22
そうして、自身の背中に、エルの掌の力を感じ取った瞬間、シオンは不意に、その口付けを止めた。

「……っ、どうして……!!」

シオンがその行為を止め、それまで塞がれていた自身の唇が解放された直後に、エルは、そう
声を上げた。
それから、涙と今までに感じたことさえない感情を帯びて潤む、空色の瞳で目の前のシオンの
青銀の瞳を見つめていた。
これまでにも、こんな経験をした事など、一度も無かったエルには、シオンが何故、今、自身
への口付けを止めたのか、その意図を推し諮る余裕など、全く無かった。

ただ、自身の身の上の事を考えると、直感的な不安にも似た感情がエルの胸をよぎる。

そんなエルの表情を目に留めながら、シオンは自身の腕の中に在る大切な存在を改めて意識す
るように強く抱きしめ直してから、その言葉を述べた。

「君が、これ以上は、望んでいない気がしたから」
「……違……っ!! 俺は、そんなこと望んでない!!」

相手からの言葉に、エルは咄嗟にそう切り返しながら、急に真っ赤になって俯いた。
まるで、自分自身がシオンに対して、この行為の続きを直接的に求めているかのような言動を
していることに気付いたからだ。


166 :-CROSS 3-願いの往先-18/18:2011/08/27(土) 19:08:07
「エル、君が好きだよ」

自身の腕の中に留まるエルのそんな姿を目にして、シオンは愛おしげに微笑むと、囁くように
そう言った。
それから、今、目の前に在る、この大切な唯一の存在を愛しむように、再びゆっくりと口付け
ていった。
その口付けを受けながらエルは、先程の言葉への返事を返す代わりに、シオンの肩越しに自ら
の腕を絡めるようにして、相手の身体を抱きしめ返した。
そうして、そのまま、自身の最愛の存在へと、再び自らの身体を委ねていった。

-自身にとって、最も大切な存在と、互いの関係の永続性を望みながら-

【END】


167 :-CROSS 3-願いの往先-:2011/08/27(土) 19:10:38
長いSSにお付き合いいただき、ありがとうございました。
うちの子の初期設定がけっこうな厨設定なのと、結局、書きたかったことをほぼ、全部書き!
にしたので、こんな形に…

ダフネ様、ディオス様への共感と敬意とか、
エルのけっこう甘えたがりな感じとか、初心な感じが出せてると良いのですが…
うちの二人は、この後、きっと、もう少し、際どい事までしてますが、それは、近未来の方と
被っちゃう気がしたのと、あまりに長くて、part.4 として書かないとならないな-ということ
で、カットしてしまいましたw

またそのうち、そういうのも書きたいです。
以上、お目汚し失礼しました。


168 :名無しさん:2011/08/29(月) 21:48:14
》167
長編の投下乙でーす! 読みましたよー!
エル様の素直可愛い感じとか、シオン様の相変わらず腹黒い感じとかが、やっぱ好きだw

姐さん方のコラボは、作風も世界観も違うのに、作者のお二方それぞれが、お子様方の
感情の流れや設定をを上手にまとめて、一つのお話にしてるところが、たまらないですw
これからも、お二人の作品を楽しみにお待ちしてますー


169 :52:2011/09/02(金) 18:34:35
》167
このスレ52です、遅ればせながらSS投下乙です!
わぁいシオン×エル再びに加えて、ウチの子の描写も!嬉しい!
クロスオーバーって難しいのに、その中できっちりラブ萌えを仕込まれる姐さん素敵でござる!
しかし両思いで同意もあるのに純潔保守しなきゃならんとか…
この生殺し感が…堪らんです…
どこまでならセーフなんだろう…ドキムラ
スミマセンちょっとエロスに食い付きすぎましたが、
エル様もシオン様も、一癖二癖ありつつも凄く優しいキャラに感じるので、是非幸せになってほしいです…
同時にもう少し際どいpart4も期待させてもらいますw

あ、あと蛇足ながら、エル様の語るディオスがドンピシャでビックリしましたw
ディオスはウチの作中でも、破滅的な未来を予言される場面を入れてたりする、
死亡フラグ立てまくりのキャラなのでw
まぁウチの2人の場合は、2人とも極悪非道に好き放題した自覚があるので、
笑いながら「楽しかったねーじゃあ来世でまた」って感じなので、懲りてないし悲劇性も薄いw
ので、多分エル様が願ってくれた通りに、2人にとっては幸せな人生送った設定になってます
というかエル様が良い子で可愛くて可愛くて…堪らんですね…!
シオン様にヨシヨシされててほしいw


170 :167(本スレ1-710)-1/2:2011/09/04(日) 01:01:20
》168、》169
レスありがとうございます-!
おまけにこちらこそレスが遅くなってすみません

》168様
うちの子達とか、52様とのコラボでの世界感とか雰囲気を気に入ってくださってありがとう!
今回、シオンに最後の台詞を言わせるのに結構、苦労したので、彼の腹黒さを好きだと言っていただけると、なんか嬉しいですw

→ 書いてるうちに、そういうこと言う前に、止めちゃう流れに自然になってて、それで終わっちゃいそうだったので、一時期、
  どうしてくれようかと結構、悩みました…


171 :167(本スレ1-710)-2/2:2011/09/04(日) 01:03:00
》169様
ディオス様の設定イメージにビンゴだったとのこと、こちらも嬉しくなってしまいましたw
これ、当初、最初のSSに入れようと思ってたんですが、上手い事、書けなかったので、今回、書けて良かったです!

エルの方も、以外と図々しくて、17、8歳頃のエピソードでは、「ろくな死に方しないって事だろ、なら、ある意味、誉め言葉だよ」
とか、言わせてますんで、年齢が重なるにつれて、自分の宿命について、あまり、深くは気にしなくなっていきます 
なんか、宿命を背負うという感じも含めて、姐さんのお子達とは、良い意味で似てる部分があるなぁ…と、改めて思いましたw

しかし、姐さんのお子達が、お二人とも、本当に素敵すぎますw
他の人からどう思われていようとも、お互いに、まあ良い人生だったな…なんて、想いながら、最期を迎えるなんて、格好良すぎですw
そんな姐さんのお子達が大好きだww

また、シオンとエルの最期は、特に決めてないのですが、この二人も、こんな感じなので、まあ、幸せなんじゃないかと思いますw
あと、エルの純潔設定も気にしてくださって、ありがとうございますw

えーと、どこまでなら、大丈夫なんだろうね、っていうのは、
多分、シオンも気にかけてるかと思いますので、この後、何気に軽い言葉攻め的な要素も入った展開になっているんじゃないかと…
(きっと、また、「そんなこと聞くな!」とか、エルが涙目で言ってる気がします…って、シオンが相変わらず、鬼だよ…)

それから、クロスオーバーさせる前の設定では、エルには、大人になるあたって(17、8歳位で?)、発情期みたいのがあって、そこで、
シオンに絡んでもらおうかな-などと、思っていたのです

ただ、この二人、
エルは、愛の無い形では、純潔種のお嬢さんとの結婚は、しないと言い張ってますし、
(結婚しちゃえば、王位も安心して継げるし、違う意味でも自由になれるんだけどね)
シオンは、立場上、有力者の娘でかつ、幼馴染的な立ち位置の婚約者殿との婚約を破棄したりは、今のところ出来ないんで、
当分、こんな感じで、生殺しなんじゃないかと思います…二人ともごめんよ…

今回、一応、エルが、「また会えるかな?」と、伏線を引いてくれましたので、ネタが上がれば、またぜひ、二次とか、クロスオーバー
なんかでも、書かせてくださいませ!

以上、長々とすみませんでした
今回も本当に楽しくクロスオーバーを書かせていただき、ありがとうございました!

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最終更新:2012年09月16日 14:54