「THOMAS & DANGER」
494 名前:オリキャラと名無しさん 投稿日: 2014/05/03(土) 03:03:12
1-091 の奥村さん×古瀬さんのSSと人形写真の詰め合わせをろだにあげました。
以下、注意点等
※奥村(警視)×古瀬(巡査部長)
※エロあり
※食べ物描写あり
※攻めが乳首弄られる描写チラあり
※長文
※誰がなんと言おうと今は2月14日
※どこにも書かれていないけれど年下×年上
※敬語×敬語
※古瀬視点
ラブ度の唐突感と後半の力尽き感が半端ないですが、これを逃したら透さんの幸せなど一生訪れない気がしたのでうp
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「THOMAS & DANGER」
――今夜、うちへいらっしゃいませんか?――
メールの着信時刻は今より6時間前だった。
いろいろと事件が立て込んで、これだから週末は……と嘆息しながらようやく調書がまとまった頃には、
すでに日付が変わろうとしていた。
すっかり冷め切ったカップベンダーのココアを一口含み、気持ちを落ち着かせてから引き出しを開けた。
私用のスマートフォンが着信を知らせているのに気が付いたのはその時だ。
送信者へ慌ててコールしたが、はたして出てくれるかどうか。
規則正しい生活を心がけている相手だ、この時間は通常であれば就寝している。
『……はい、奥村です』
3コール目。
低く穏やかな声色は平常時と変わらなかった。
「あ……古瀬です、夜分にすみません」
通話をしながらロッカーを開ける。
中からコートと、今日――昨日になってしまったが――渡そうと思っていた贈り物を取り出した。
「頂いたメール、今読んでしまって……」
あの内容がまだ有効かどうか、確かめるのを少しだけ躊躇っているのを察してくれたのか、相手が切り出した。
『……忙しいのにすみません。……あがれそうですか?』
「はい、なんとか。
あの……今からお邪魔してもいいですか?」
『もちろんです。……よかった……待ってます』
タクシーに乗り込み、住所を告げる。自宅の場所は知っていた。以前一度だけ訪れたことがある。
と言っても、自分がなぜそこにいたのかまでは記憶に無いのだが。
着衣や身体に情交の跡こそ見られなかったが、ベッドは占領していた。大方、酔いつぶれでもしたのだろう。
普段感情を表に出すことはない彼が、その日ばかりは不機嫌さを隠そうともしなかった。
帰り道を告げる以外、会話も無かった。
ベッドはもちろん自宅にでさえ他人を気安く招待する人ではない。
取分け、自分など、触れた手を払われたこともあった。
そんな関係から、いわゆる恋人同士と呼ばれる関係に発展したのは奇跡に等しい。
相手は自分と正反対で、『真面目』が服を着て歩いているような人だ。
男同士の恋愛など考えたこともなかっただろう。
指先が触れ合うまでひと月、抱き締められるまでにもうひと月、キスをするまでにはさらにふた月を費やした。
その彼が今夜自分を自宅へ招待した。お互い子供ではない。恐らくは身体を重ねる目的で。
初めてのキスからひと月も経っていない。如何ばかりの譲歩を必要としたのか。
それとも愛情ゆえと自惚れていいものか、思い倦ねているうち彼の自宅まで到着してしまった。
「ありがとう、釣りはいいよ」
運転手に少し多めの紙幣を渡すと、足早にエントランスへ向かいインターホンで来訪を告げる。
目的地は最上階だが、地上全5階建てと、決して高層ではない。
エレベーター内で軽く襟を正すに足るだけの、ほんの十数秒。瞼を軽く伏せる。
握り込んだ指先がひどく冷たい。気温のせいだけではないだろう。
何をこんなに落ち着けずにいるのか、浮き立っているのか浮き足立っているのか、その違いすらわからない。
まるで初恋にのぼせ戸惑う少女のようだと、自嘲せざるをえなかった。
到着を知らせる電子音が鳴り、目の前の扉が開かれた。
一歩足を踏み出し、左へ向きを変える。突き当りが彼の部屋だ。
なるべく物音を立てないように、静かに歩いた。こんな時間に下手な振る舞いはできない。
客人の質はそのまま家主の質に繋がる。貶めるわけにはいかない。
ましてや自分との関係など、絶対に誰にも知られてはならない。
人目も憚らずに抱き合って深く口付けを交わしたいという願いは胸の奥にしまい、インターホンを押す。
程なくしてドアが開けられた。
ネクタイを締めたままの堅苦しい服装にエプロンという、ギャルソンのような格好で家主が招き入れる。
もともと180cmを越えているのだが、姿勢の良さが数字以上に長身に見せている。
「遅くなってすみません」
「いえ、こちらこそ、週末は忙しいのにすみません」
玄関先での挨拶は二言三言で済ませた。
「透さん、夕飯はまだですよね?美味しい野沢菜頂いたんです。たいしたものは作れませんが……」
なるほど、リビング内に出汁の香りが広がっている。雑炊だろうか。抑えていた食欲が刺激される。
一人暮らしをしている期間は割と長いらしく、自炊は手馴れている。
プライベートな会話を繰り返すうち、食に関する嗜好が似ていることがわかった。
まあ、お互い辛いものが好きで苦手なものはなく、意外とスイーツ好き、といった程度だが。
手伝いを申し出たが、疲れているでしょうと、ソファへ座らされた。
ブラウンの色調に統一され、一見シックなデザインだが、アームレストの正面に大きなリボンが付いている。
どう考えても持ち主の趣味ではなさそうだ。恐らくは、前の恋人の趣味だろう。
失礼とは思ったが、興味深く室内の様子を眺めていると、湯気の立った土鍋を手に戻ってきた。
「お待たせしました」
ぐつぐつと煮立った音もまた、食欲をくすぐる。
野沢菜のほか、人参・椎茸・大葉・昆布がバランスよく乗せられている。小皿には山葵や七味など薬味が数種。
「熱いのでお気をつけて。口に合うといいんですけど……」
取り皿やレンゲ、箸は一人分だ。
「警視はもう済んだんですか?」
何の気なしに訊ねると、頷きながら申し訳なさそうに微笑み、隣に腰を下ろした。
深夜なのだから当然だろう。浅薄だった。責めているように聞こえてしまっただろうか。
朝からろくに食事もできていない。まともな食事は、今日はこれだけと言ってもいいだろう。
ほとんど空の胃に、彼の作った雑炊は絶妙に美味かった。それを告げると、嬉しそうに目を細める。
食事の間、彼の実家は長野で、兄妹が一人ずついるということ、二人とも結婚して子沢山であるということ、
そのようなことが話された。
「私が今お付き合いをしているのは男性なので、子供は期待しないで欲しいと話してあります」
聞き間違いでないのなら、そう告げられた。いつか、紹介したいとも。
思わず横を向くと、真っ直ぐに自分を見つめる瞳と目が合う。
こんなことを冗談で言うような人ではない。
瞬きすら忘れ、何も言い返せずにいるとさらに続く。
「私は自由にさせて貰っています。上京して警察官になること選んだときもそうでした。
今回のはさすがに驚いてはいましたが、少なくとも、反対はされていません。気にすることなど何も」
「無いわけないんですよ」
咄嗟にきつい口調になってしまったことを少しだけ後悔した。
「たとえ……たとえ仮にご家族が良くても、あなたの立場上……俺みたいなのと一緒にいても、先がない。
こんなろくでもない、だらしのない男と付き合っていても、醜聞にしかならない。
それに、縁談の話もたくさんあるでしょう。断り続けるにも限度があるし、それこそ出世に響く。
俺は……俺のせいであなたの人生を壊したくなんかない」
このまま、緩やかなままずるずるといつまでも続くとは思っていなかった。
何かとけじめを付けたがる人だというのは、もちろん最初からわかっていた。
ただ、それに応えるだけの度胸が自分には備わっていない。
確かに、負い目や罪悪感が無いわけではない。でもそれは単なる自己弁護だ。
彼の立場を言い訳にして、深まり始める関係性を恐れていた。
本音を隠して取り繕うのは上手い方だと自負していたが、彼の前ではすべてを暴かれる。
こんなにも臆病で弱くなる。
「すみません、口が過ぎました。
ご馳走様でした。美味かったです、とても。俺、片付けますね」
微笑んだつもりだが、頬が強張っていて感覚がない。
その場から逃げるように食器を持って立ち上がる。こんな顔など見せられないと、背を向ける。
盆の上でかちゃかちゃと小さな衝突音がするのは、自分の手が震えているせいだと、下を向いて気づいた。
その手が包まれた。綺麗な形をした、長い指だ。
その指先から熱が伝わり、逃げていった感覚が戻ってくる。
「透さん」
首筋を、吐息が掠った。
「私はあなたを困らせていますか?」
どう応えればいいのかわからない。
首を縦にも横にも振れない。困らせているのはむしろ自分の方だ。
「きっと……いつか、警視はそう言ってくれるだろうと、腹を決めてくれるだろうと、そう思ってました。
責任感強いでしょう?
だから、そうなる前に……俺の方から、終わりにしようと、そう言うつもりでした。
でも……言い出せなかった」
もう、終わらせるのが怖いと思うほどに、彼に惹かれる感情にどっぷりと深くまで浸かっていた。
この人を離したくない。誰にも渡したくない。そう強く思うほどに愛している。
「透さん」
重なった指先に力が入る。
首筋と背中からも伝わる体温に、思わず涙が込み上げそうになったが、唇を噛み締めて何とか堪えた。
「あなたが私の人生を壊してしまったと、そうあなたがおっしゃるなら、それを私は否定しません。
あなたは、私の価値観を壊して、広げてくれた。あなたと出会えたことには感謝の想いしかない」
静かだが強い口調で、一言一言を刻むように吐き出す。
普段は寡黙で静謐に見せておいて、譲れない部分では敢然たる姿勢を崩さない。
そしてそれはいつでも正しくて。
不器用で正直で駆け引きなんて知らなくて、何事にも真っ向からぶつかって、折れることなく乗り越えて、
この人のそんなところが羨ましくもあり、眩しかった。
「本当に、あなたはろくでもない。
勝手に終局を想像して、傷の浅いうちに逃げ出そうとして、私一人置き去りですか。
まずその鍋を置いてこちらを向いてください」
言われるままに、シンク内に盆ごと鍋や食器を置き、一呼吸置いて振り返る。
「……良かった……」
その呟きと同時に、強い力で抱き締められる。
何度かこうしているうちに、見た目以上に筋肉質でがっしりとした体躯なのだと知った。
衣類越しに感じる鼓動が、いつもよりも早く打つ。
それが愛おしくて、もっと感じられるようにと、両腕を彼の腰に回し引き寄せた。
「……振り向いてすらくれなかったらどうしようかと……」
肩口に頬を摺り寄せてくる仕種が、甘えているように見えた。
堪らなく愛しさが込み上げ、その癖のない真っ直ぐな髪に唇を這わす。
一度手にしてしまった幸せを、諦め手放すことなど、無理だ。
目の奥にじんわりと痛みが広がり、視界がぼやけてくる。
「……本気にならないように、してたのにな……」
泣き顔を見られるのが嫌で、離れないように両腕に力を込め、まぶたを閉じる。
「あなたは大切なものを失い過ぎている。
失って、その時の痛みや苦しみ、哀しみに深く傷付いて、少し、臆病になっているだけです。
切欠はそんなあなたに対する同情だったかもしれない。でも今は違う。はっきりと言えます。
純粋にあなたのことが好きなんです。逆上せているんです。この手で抱き締めたくてしょうがない。
今日だって、朝までずっと共に過ごしたいと、そう願って、お誘いしました。
そう思っていたのは私だけだったんでしょうか?」
そこまで言うと、肩を抱いてくれていた腕が這い上がり、両頬に添えられ、上を向かされた。
思わず目を開けてしまい、溜まっていた涙が零れた。
軌跡を追うように、柔らかな唇が肌をなぞる。お互いの唇の端が触れ合うと、体が熱くなった。
そのまま彼の唇が通り過ぎていったのなら、我慢できただろう。
「ん……」
結果は違った。
見上げる視線と、真っ直ぐに自分を見つめる視線が絡まり、過ぎることなく唇も重なった。
今まで繰り返されたような、遠慮がちに触れ合うだけのキスではなく。
歯列を割り、口腔内を余すところなく味わうように入り込む舌先、時折洩れる甘く熱い吐息。
こうなってしまえば、全身を駆け巡る熱と痺れに逆らわず、もう夢中で求めた。
いつまでもこうしていたいという思いと、早く次の段階へ進みたいという相反する思いがせめぎ合う。
すべてを任せるように彼の首に縋りつき、全身を預けた。
密着した身体は、興奮を告げてくる。
「透さん……」
キスの合間に洩れる、あからさまに欲情したような昂った声。こんな声など聞いたことがない。
そうさせているのが自分だと思うと、それだけで幸せだ。
どちらからともなく互いの衣服を脱がしあい、そのまま床の上になだれ込む。
お互いシャワーも浴びていないだろうが、そんなことはどうでもいい。一度火の点いた欲望には勝てないのだ。
無駄のない、引き締まった身体にしっとりと汗が浮かんで、どこに触れても吸い付いてくる。
直に触れる膚の感触は、熱くて滑らかで、とても気持ちがいい。
同じように、彼の指先も、色々なところをなぞる。触れられるすべての場所が熱を出して蕩けそうだ。
唇に未練を残しながらも、もっと他の場所も味わいたいと、耳朶から首筋、鎖骨、胸の尖りに舌を滑らせる。
そこ軽く歯を立て舌で転がすと、濡れた声が洩れた。
「ここ、気持ちいいですか?」
顔をあげると、素直に頷いてくれている。
彼の下腹部はすでに勃ち上がり、物欲しげに首をもたげている。
乳首に吸い付いたまま、左手で性器を扱く。
さらに張り詰めて大きくなっていくそれがたまらなく愛しくなり、唇を移動させた。
間近で見るそれは想像していた以上に立派だった。大きい性器は好きだ。咽頭奥まで満たされる。
先端を咥えたところで、後頭部に添えられた掌が、促すようにやさしく髪をかき上げる。
そんな行為すら、まるで愛撫のように身体に熱を灯す。吐息交じりに名を呼ぶ声も、同じように。
顔を上下させながら、歯を立てないよう慎重に、慎重に舌で擦り上げ、特に感じるところは重点的に責めた。
詰まる呼吸、一瞬力の入る指先でそこを教えてくれる。
夢中でしゃぶっていると、唾液が溢れ、繁みと袋を濡らした。
それを擦りつけながら、揺ら揺らと転がる双球を柔らかく揉んだ。
今まで気に入って触れたことはなかったが、このさわり心地は癖になる。滑らかな肌質のせいだろうか。
「透さん……もう……」
先端からは先走りが滲み出ていたので、射精が間もなくだと言うのはわかった。
喉の奥まで放ってほしくて、強く吸い上げる。
「……っ……」
髪に触れる手に力が加わったのとほぼ同時に、性器が脈打ち精液が吐き出された。
量の多さにも味の濃さにも満足した。飲み込むことができなかった分は、丁寧に舐め取った。
しばらく根元に鼻先を埋め、匂いを堪能するように深呼吸をした。
「……すみません、透さん。自分ばかり……」
彼の両手が顎にかかり、顔を上げさせられた。
恍惚に目を潤ませ、荒い呼吸に胸を大きく上下させている様が、いつも見慣れている姿とはかけ離れていて、
まるで別人のように、官能的だった。
しばらく見惚れていたが、不意に彼の親指が唇を撫でた。見ると、舐め残しの精液が付着している。
その指をつかんで咥えた。もったいない。わざと音を立てて吸い取る。
「じゃあ、次は、俺のことも……好きにしてください」
今すぐ跨りたいところだが、口を濯ぎたい。水道の蛇口を空け、両手で水をすくい、口に含む。
恐らく、自身の精液を飲み込んだ口とキスなど、不快以外の何もないだろう。
キッチンは意外と便利な場所だった。潤滑剤代わりのオイルもすぐそこにある。
「これ、使ってもいいですか?」
一応、確認を取る。返事はイエスだった。
「グレープシードオイルなんて、随分お洒落な物使ってますね。凄いさらさらしてる」
髪の毛や指先のマッサージにも使えると、署の女の子が前に話していたことがあった。
確かにこれは油っぽさが無く、べたつかず気持ちがいい。ここにあったのは正直意外だが。
「……以前、お付き合いさせていただいていた方の勧めで……そのまま使っていました、すみません」
これは――。
「その……無神経だという自覚がまったく無いわけではないのですが……すみません……」
「いや、あの、女の子は気にするかもしれませんが、俺は気にしませんよ?その……元カノの遺品とか……。
別れた後でも大事にして貰えるんだな、て思えるし……」
「すべて捨てます、明日にでも。だから、別れてもいいだなんて、そんなことは……言わないでください」
言えるわけなど無いと言うことは、本人が一番良く知っている。
「……すみません、そんなつもりで、言ったんじゃないんです。すみません。
自分のことしか考えてなくて、反省しているところです。後ろ向きだったことも。
俺も割りと無神経なので、気に障ることがあったなら、言ってください。
あなたに、こんな顔はさせたくない」
誰だ、能面だなんて揶揄っていたのは。些細なことに喜んで、いとも容易く傷つくというのに。
また無性に口付けたくなり、額、鼻先、唇と、順に触れた。
腰を掴んだ手が膝の上へ誘導し、それに従い向き合う形で座った。
オイル塗れの掌を、彼の胸に押し当て、乳首や乳輪を撫でる。粘度は低いが、滑りはいい。
潰したり弾いたりするたび、性器が反応して腿を打つ。
「今日最大の発見は、警視が乳首に弱かったということです」
「それには、自分でも……驚いています」
お互い、口元に笑みを浮かべ、啄むキスを繰り返した。
一度達したからか、性急さはなく、和いだ吐息が洩れている。
「これ、捨てるのはもったいないので、全部使いきっちゃいましょう」
量的にもちょうど良さそうだ。
「ああ……それはいいですね。生産的だ」
蓋をあけ、残りを直接下腹部に垂らし、陰毛や性器に擦り付ける。軽いしゃばしゃばした感触が新鮮だった。
上下に扱いて勃起させていると、自分にも寄越せというように掌を差し出すので、そこにも流す。
それで瓶が空になる。
すると、両手が尻を左右に開き、ぬめらせた指で谷間の穴に触れてきた。
「ちょ、どこ触ってるんですか」
驚いて思わず腰を浮かせた。
尻から伝うオイルが内腿を濡らしていく。その感触に快感が走る。
「……繋がるところ、です。その……ほ……解す、必要が……」
「や、自分でやります、そんなとこ……」
目を合わせると、照れているのか興奮しているのか、どちらともつかない上気した顔で、こちらを見ている。
いや、どちらの感情もこもっているのか。
「……好きにしてもいいと、あなたは言いました。……あなたの内部に……触れたい」
どんなときでもそうだが、決して視線を逸らさずに、容赦なく射抜いてくる。
まあ、誰に対してもそうではあるが。でも今は、今だけは自分だけのものだ。
そう主張するように首を掻き抱き、膝を進め、身体を密着させた。
それに呼応して、鎖骨に歯が当たる。甘く噛み、唇はきつく吸い上げ、舌が骨のラインをなぞってくる。
こんなことをしてくるとは思わなかった。もっと、淡白なセックスを好むと思っていた。
自分の勝手な思い込みを責めた。この人はこんなにも熱情的なのだ。
興奮が伝わり、自分の呼吸が浅くなっていく。
ずっと入り口を伺うように撫でていた彼の長い指――恐らく、中指――がその動きを止め、入ってくる。
一本ずつ、ゆっくりと根元まで埋め込み、広げるように中を掻き回してくる。
時々感じるところが擦られ、腰が泳いでしまう。
目敏くそこを見つけては、指で押してくる。息が乱れ、喘ぐような声が出てしまう。
そうでなくても、触れられるすべての場所が、悦びに震えているというのに。
「もう……入れて、ください」
もっと、奥まで満たされたい。深いところで感じたい。繋がって溶け合いたい。
身体はもう十分に煽られて、思考と乖離していくようだった。こんな意識も飛ばしたい。
「まだ、きついです……」
「我慢できない、もう、入れて……あなたの形に刻んで、覚えさせて、ください」
ねだるように、首に回した腕に力を込めた。
諦めたのか、指が抜かれていく。一瞬の寂しさを覚えるが、次に入れられるものに対する期待が勝つ。
肛門に硬くなった先端が当てられ、肉を掻き分けながら押し入ってくる。
久しぶりに迎え入れた男根は、熱くて身を焼きそうだった。
この人に出会って、惹かれて、恋をするまでは、自分でも呆れるくらい何本も咥え込んできた。
ここ数ヶ月は自分で弄ることすらしていない。さんざん遊んでおいていまさら禊ぎでもないが。
もしかして飢えていたのかもしれない。
甘えたような甲高い声が溢れるのを止められなかった。女みたいな嬌声に自分でも驚いた。
しかし、声を抑えるすべなど知らない。
手で塞げばいいのだろうが、そうすれば支えを無くしてしまう。ならばと、自分の腕に噛み付いた。
しばらくそうしたまま身体を揺すっていたが、不意に顎が掴まれた。
「透さん、腕、痛くないですか」
「だって……声、我慢、できませ……」
「なぜ、我慢する必要が、あるんですか」
「俺、声でかい……から……」
「防音は完璧です。窓を開けない限り、ここにいる私にしか、聞こえません。
でも、それも嫌なら……」
口で塞げばいい。そう言うように、唇が重なった。
「私は、聞きたい、ですけど……」
微笑むような溜息が頬をくすぐるのが心地いい。
「……うんざり、します……よ?」
「それは、聞いてから、判断します」
それから先は、結局、大声で喘いだ。口が塞がれていても、塞がれたまま喘いだ。むしろ叫んだ。
それくらい、気持ちが良かった。よすぎて涙が噴き出た。涙の訳を伝えるのは簡単ではなかったが。
情のこもったセックスがこれほどまでに気持ちいいものとは知らなかった。
自分だけではなく、この人も気持ちよくなってくれていたのがさらに嬉しかった。
今のこの思いを伝えたいのに、まともに声が出ない。呼吸もできない。思考も働かない。
気持ちいい、嬉しい、しか出てこない。
「お風呂、入りますか?これじゃ服も着られない」
この申し出には素直に応じた。
もう少しこのままでいたいところだが、いつまでもべたついた身体で引っ付いているわけにもいかない。
立ち上がる際肩を借りてしまったせいか、浴室まで腰を抱かれたまま連れられた。
身体を気遣ってくれているのだろうが、妙に気恥ずかしい。が、拒むこともできずにそのまま甘えた。
「あまり辛いようでしたら、ご一緒しましょうか?」
本気とも冗談とも取れるような表情で、微笑む。
断るつもりだったが、首は意に反して縦に振られた。
浴室に入ると、髪の先から爪の先まで、それはもう丁寧に扱われた。
触れてくる指先は性的な含みは一切持たず、ただひたすらに優しかった。
自分はもう少し湯舟に浸かっていたかったので、彼には先に上がってもらった。
しかし、ここでもまさかのロクシタン。石鹸はもちろんバスジェルにシャンプーにシェービングまで。
メンズシリーズはプレゼントだろう。ほとんど使われていないピオニーの石鹸は元カノ用か。
これらもすべて、明日捨てるものリスト行きだろうか。使い心地はとてもいいのに、もったいない。
いや、万が一……ということも……無いな。
そんなことを考えていると、脱衣所から声がかかる。
「透さん、タオルと寝巻き、用意しました。使ってください。あと、歯ブラシも」
「あ……ありがとうございます」
最後に、湯中りしないようにと言い置き、気配が遠ざかった。
風呂はいい。疲弊した身体がリセットされて、冷静さを取り戻せる。
浴槽に張った湯を何度も顔に浴び、今日彼が発した言葉の数々を反芻する。
嫁入り前の娘を孕ませてしまった男の心境がよくわかった。もう、二人で前に進むしかないのだ。
そう思うと途端に照れてきた。これ以上浸かっていると、本当に逆上せそうだ。
浴室を出ると、言ったとおりにタオルやら寝巻きやらが揃えられていた。
それらをありがたく拝借し、リビングへ出る。
てっきりソファへ腰掛けていると思っていたがそこにはいなかった。
探していると、浴室の向かいの襖が開き、姿を現した。
「あ、お風呂ありがとうございました」
「いいえ。こちらに、上着とお荷物置いておきました」
ああ、そうだ、荷物。プレゼントを持ってきていたのだった。忘れていた。
「ありがとうございます。ちょっと、待ってて貰えますか?」
入れ替わるようにその部屋へ入り、目当てのものを取り出した。
日にちは変わってしまったが、早めに渡してしまいたかった。
「すみません、寝る前に渡すものでもないんですけど……」
突然手渡された包み紙に目を大きく見開きながら、丁寧にリボンを解いていく。
出て来たのは、この人の大好きな機関車のキャラクターの入れ物に入ったチョコレート。
「そのハンドルを回すと、中のマーブルチョコが落ちてくる仕組みみたいです。
明日、一緒に……」
食べましょう、と言いかけたところで、思い切り抱き締められ言葉が続かなかった。
終わり。
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← 人形注意:- at a later time - |
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← 補充( 設定補足説明など ) |
補充( 設定補足説明など )
※手を繋ぐと言う行為について
奥村さん:手を繋いだら恋人同士
透さん:手を繋ぐのはセックスよりもよっぽどハードルが高い
※夜中だと言うのになぜシャワーを浴びてなかったのか
奥村さん:シャワー浴びてるときに電話かかってきたら出られないじゃないですかー
透さん:勤務中
※透さんの喉
焼き鳥とか団子とかの串ものは縦に飲み込める
胃カメラも楽勝
※乳首
乳首が性感帯じゃない男は乳首取ってしまえばいいんです。
※能面
奥村さんのあだ名(非公認)
※ロクシタン
透さんがわりと詳しいのは署の女の子たちからの情報と本人の趣味
※透さんのコンタクトレンズ
いつのまにか外していつのまにか装着済みです
※ノーパン
了承済み
※DANGER
出番無し
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最終更新:2014年05月03日 18:04