からから。

「内容は依頼文の通りだ。作戦目標は敵の排除だ」

からからから。

「都市に損害が出た場合は君の報酬から差し引く形になる。そのつもりで……」

からからからから。

「あ、くっついちゃってる。どおりで出ないわけですね」
「……貴様! 聞いているのかッ!」

バンガードのイルシャロムの警備主任の怒声が響く。
傭兵が依頼の範疇で何をしようが勝手であるが、彼女のコックピット内で何かしている音は実に耳障りであった。
通信機を開いてからずっとあのからからという妙な音が響いていたのだ。

「はいはい、聞いてますよ。敵は速やかに排除、都市損害はお給料から引かれると。あってますよね?」

相手の顔は見えないはずだが、妙にしたり顔の女が思い浮かんだ。顔も知らない相手にも関わらず。さらに女は続ける。

「首都の警備主任ともあろうお方が随分と間抜けな事です。足元の小石に躓いてるようじゃお先は真っ暗ですねぇ」
「貴様……ッ!」
「まぁ貴方の進退にはさして興味はないですが。で、侵入機は航空ユニットと戦車のみと」
「……そうだ。手短に頼むぞ。この程度で手こずるなどという事はあるまいな」
「無論ですよ、警備主任殿」

くすくす、と女は笑った後、機体を前進させる。
単眼の頭部が周囲を一瞥した後、敵部隊を探すように跳躍した。











「ふむ……」

リコンを展開。
戦力としてはなんということはないが、いかんせん敵以上に気を遣うものが多い。
相変わらず無駄に繁栄してますね、この街。
毒づきながら、下を見下ろす。戦車三両に向けてライフルを発射。

「まぁこの街がいくら傷つこうが知った事じゃないですけど」

そのままホバリングを継続し、索敵をする。地上にへばりついていれば安全だが、いかんせん敵弾で都市を壊されては意味がない。
見敵必殺をするにしても、ヤケクソで撃ちまくられるなら空に向けて撃ってくれた方が得というものだ。
敵が見当たらない事を確認し、一時着地。再び跳躍。

航空ユニット4と戦車3。航空ユニットにライフル。戦車にバトルライフルを向ける。

ライフルの弾丸が航空ユニットをバラバラにしていき、バトルライフルの弾丸が戦車に大穴を開けていく。
リコンに感あり。後方、戦車2。

振り向かずに跳躍。ビル側面に近寄り、壁を蹴り、そのまま一気に後退。
ライフルとバトルライフルと戦車2機に向け、発射。

リコンに感なし。状況終了。










「……ご苦労。口だけでなくてよかったよ」
「それはどうも」
「……ビルを蹴り砕いた分は差し引かせてもらうから、そのつもりで」
「わかってますよ」

通信機を切った後でチッ、と舌打ちしながら、中尉は警備主任降格しろと呟きながら、ヘリに吊るされる。
ドロップ缶の蓋を開け、改めてドロップを口に放り込むと、ガレージに戻るまでの間、じっくりとドロップの味を楽しんだ。






(投稿者:ナグツァート)


最終更新:2013年11月27日 04:30