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愛する人と(登校編) - (2009/06/29 (月) 14:29:33) の1つ前との変更点
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「……み。起きてかがみ」
あ、れ……こなたの声がする。
昨日は普通に家に帰ったから気のせいよね……
「かがみ~?起きないとキスしちゃうよ?」
うん。どうせ夢ならそのほうがいいわよね。
ほら、あんたのキスで私を起こして――
ジリリリリッ!
ふぁ~あ。なによ、いいところだったのに。
気の利かない目覚ましめ。ちょっと欠けてるし、もう不要だわ。
そうだ。確か声を入れれるやつがあったわよね。こなたに頼もうかしら。
「かがみ、起きて」
まだ完全に覚醒していない脳に甘い声が響く。
「朝ごはん冷めちゃうよ。早く起きてね」
そう言ってこなたは出て行ってしまう。
もう、ちゃんと起こしてくれてもいいのに。
その、キスとかで……
ちょっと残念がりながら起きる私。
食卓に顔を出せばこなたの手料理が並んで、私を待ちわびたこなたが微笑んでくれる。
「おはよう」そう笑いかけて、本日最初のキス。
「……っはぁ」
時間をかけてたっぷり味わったあと、ゆっくりと唇を離す。
いつものことなのに、頬を染めて浅い呼吸を繰り返すこなた。
そのあまりにも色欲をそそる光景に、テーブルに並ぶ愛情のこもった料理ではなくこの愛しい人をどういただこうか悩まされる私。
ダメだ、朝から鼻血出そう……
はぁ、ここにこなたがいたらなぁ……と思いつつ柊家の食卓につく。
そうなると柊家は五人娘ってことになるわね。
ただでさえ先行き危うい二人の姉がいるのに、これ以上増えたらお父さん大丈夫かしら。
「おはようかがみ」
「おはようお父さん」
我が家で一番肩身の狭い大黒柱に敬意を表しつつ、パンをひとかじり。
あ、こなたが朝ごはん作ってくれるなら当然和食よね。
長年作り続けてきた泉家の味がしみこんだ朝食。
お味噌汁をすすりながら、新聞と妻の顔とを視線を行ったり来たり。
いい。これぞ日本の朝。柊夫婦の一日の始まり。
「ごちそうさま」
ダッシャー、と叫ぶ代わりにいただいた命(麦だけど)に感謝する。
ちょうどつかさが起きてきた。
全く、こなたに会う時間が遅れるから早く起きるよう言ってるのに。
寝癖のひどい妹に呆れながら学校に行く用意。
つかさが準備できるまでの間やはりこなたと一緒に家を出る云々を妄想したが、長くなりそうなのと近い将来叶うのでまたの機会とする。
「行って来ます」
元気にそう告げた。
今日も朝からこなたフィルターは絶好調。
良い一日になりそうだ。
「こなたのやつ遅いわね」
私の内臓時計がこなたがいつもより15秒遅れていることを告げていた。
「あっ、来たみたいだよ」
人混みからひょっこり飛び出した青いそれをつかさが指差す。
つかさもだいぶわかってきたみたいね。
ゆらゆら揺れるそれがだんだんと近づいてくる。
それとともに高まる胸の鼓動。
「おっすこなた」
待ちきれず黒い集団から半分ほど見えた時点で私はそう言った。
ワンテンポ遅れてつかさも続く。
「……おはよぅ、二人とも」
それから数歩近づいてようやく私たちの前に立ったこなたは、弱々しい声で返してくれた。
「どうしたのよ?」
また徹夜でもしたのか、と考えながらこなたを足元からあほ毛のてっぺんまで視姦(観察)する。
いつもより目の下のくまが数ミリ広がっていて、あほ毛も20度ほど下を向いていた。
私は弱々しいこなたも好きよ。心の中で呟いておく。
「ネトゲしてたらたまたまレアアイテムゲットして、ギルメン呼んで騒いでたらもう……」
やっぱり、と呆れつつも予想通りの返答に内心ガッツポーズ。
だってこなたのことだから。何でも理解していたいじゃない、趣味の話は置いとくとして。
いっそ心も読めるようになって素直じゃないこなたの愛の囁きが聞きたいなぁ、なんて。
確実に理性が崩壊するけど。
「全く、受験生にもなってゲームで徹夜ってどうなのよ」
当然のごとく呆れた声を出す。
するとこなたは「だって……」と言い訳し始めた。
まぁいつものことで、理解不能の言葉を並べるこなたを遠い目で見つめる。
これには二つ理由があって、一つは会話が自分の及ばない範囲で進むことへの嫌悪。
もう一つは言い訳しながらちまちま動くこなたがかわいすぎてまじまじと見つめると理性が危ないから。
「お姉ちゃん、こなちゃん、早く行こうよ」
危うく二人だけの世界に入り込む手前でつかさが引き戻してくれた。
「ほら行くわよ」
いつものようにこなたの小さな手を握ってバス停へ向かう。
何も言わず握り返してくれたこなたを思わず抱きしめそうになったが、さすがに十数回も繰り返してればちゃんと自制心も働く。
そして計ったように来たバスに乗り込むと、これまた謀ったように二名席しか空いてなかった。
となると自然と私たちは窓側、つかさが通路側に座る。
え?私たちってどういうことかって?
そりゃもちろん私の膝の上にこなたが座るってことよ。
膝の上だと少し危ないからこなたのお腹に両手を回してシートベルト代わり。
つい手を制服の中にいれたり、上下に動かしてしまうのは仕方のないことよね。
「ふっ……かがみ、くすぐった、んっ……ぁっ」
バスの音に掻き消されそうなくらい小さな声でこなたが非難してくる。
たぶんこなたは自分の声を他人に聞かせたくないんだと思う。
確かにたまに漏れる色っぽい声は私以外の誰にも聞かせたくないわね。
私はもっと聞きたいから手の動きをやめないけど。
隣に座るつかさはいつものことながら眠っていてホントに助かる。
「だから、ダメだ……んぁ、って」
必死にストップをかけつつも、直接手の動きを抑えないこなたはとても可愛い。
そういえばこなたって結構Mっ気あるのかしら?
「かがみ様」って呼んでくるのもそういうことだったりして……
「それもいいかも」
「なにが?」
おっと声に出ていたようだ。
何でもない、と言ったがどうやらこなたは気になるらしく、わざわざ私に顔を向けて聞いてきた。
まだ動かしてる私の手に小さく反応しながら、潤んだ目で問いかけてくるこなたはヤバイくらい可愛い。
だから、うるさいから、という名目でこなたの唇をふさいだ。もちろん私の唇で。
「んんっ……っはぁ……かが、みっ……!?」
思いっきり吸ってやる。
それからいったん離して、私の名前を最後まで言い終えたか終えないくらいでまた重ねる。
柔らかいそれは私の欲を満たし、それでもどんどん欲を膨らませ離さない。
「ぷはっ……はぁはぁ」
どれくらい経っただろうか。
ずっと触れていたかったが、唐突につかさに肩を叩かれてやめた。
「つかさ……?」
邪魔しないでよ、と思いながら問いかけると、つかさは赤い顔のまま言った。
「もう着いたよ。降りないと」
どうやらお楽しみの時間はこれまでのようだ。
名残惜しみながらこなたを見る。
頬を真っ赤に染めて浅い呼吸を繰り返しながら、やはり潤んだ目で私を見ていた。
ちょっ、そんな顔して……誘ってるんですよね?
「かがみ……ってば、大胆、なんだから」
途切れ途切れにそう言ってきた。
どうかなってしまいそうな理性で体を震わせていると、立ち上がろうとしてるのか、こなたの手が私の膝に乗せられる。
それだけでもヤバいのに、キスが結構こたえたらしいこなたはなかなか立ち上がる様子がない。
「じっとしてて」
もう理性は崩壊してると思われるのに出てきた冷静な声。
理解できなかったからか大人しくなったこなたを抱え直す。
バスの中は結構狭いけどこなたはちっちゃいからなんとかなるだろう、とこなたを横抱きにした。
「えっ?あ、か、かがみっ!?」
「ちょっと、動かないでよ」
なすがままだったこなたが少し抵抗を見せる。
といっても落とされたくはないから私が動きを見せるとぎゅっと抱きついてきた。
胸がキュンてなった。
「鞄持ってて」
完璧に存在を忘れかけていたそれはいつの間にかこなたが抱えていた。
ちなみに他の生徒もすでに降りていて、運転手の人は何も見てませんよ、と呟きながらハンドルに顔を埋めていた。
まさにご都合主義。
と、手早く私たちの降車は終了。
「かがみ、もう歩けるから。下ろしてっ」
羞恥に顔を染めたこなたが必死に懇願してきたので、しぶしぶ私は下ろした。
というかそのままだと保健室に直行しそうだったのと、こなたの表情が私の急所に思いっきり突き刺さったのでどうしようもない。
とりあえず私はこなたの小さな手を握るだけにとどめて学校へと向かう。
「ねぇかがみ、もうちょっと我慢してよ」
たいした運動もしてないのに心底疲れたという声。
もう、私のこなたにそんなひどいことするのは誰?つかさ?
……あれ、つかさがいない。
「つかさなら先に行ったよ。もう見てらんないって」
はぁ、とこなたがため息をついた。
ダメよ、せっかく私が幸せにしてあげてるのに。
ああ、もしかして幸せが足りないからもっとってことかしら?
やっぱりあれくらいじゃこなたも物足りなかったのね。
ほらこなた、遠慮しないで……
「だから我慢してって言ってるんだって」
「……してるじゃない」
「どこが!?」
「どこがって、一からあげると――」
まず会ったときは熱い抱擁とキスしたいのを必死に抑えて、愛してるって言わないように「おっす」ってぶっきらぼうに言うの。
それから手を繋ぐのは我ながらいじらしいことだと思うわ。
できるならこなたを怪我しないように抱えてあげたいんだけど。
でもこなたが嫌がるのと、抱えてしまったら人のいないところへ連れ込んでしまいそうだから我慢してるの。これはさっき下ろしてあげたのと同じ理由ね。
あと、バスの中ではあれでも結構我慢してるんだからね。
もし我慢しないでいいならつかさを壁にしてイチャイチャ――
「……いい。もういいよ!」
まだ言い足りないのに。
例えば学校でのこととか。休み時間だって我慢してるんだからね。
まぁそれはこれからわかることだからいいかしら。
どう?私がどれだけ我慢してるかわかったでしょ?
「わかったよ」
そう言うわりにこなたは納得してなさそうにそっぽ向いた。
なによ、何がいけないって言うのよ。
だって。あんただって……
「こなた、嫌……?」
ちょっと寂しそうに言う。こなたを見つめながら。
「えっ?あ~、うぅ……」
顔を逸らそうとするが両手で頬を包んで逃がさない。
柔らかいそれの感触はひとまず置いといて、こうすればこなたもちゃんと答えてくれるから。
今私は少し涙目をしてると思う。視界が滲んでる。
この表情、この声にこなたが弱いことはわかりきったことだ。
「い、嫌じゃない、よ」
ほら、恥ずかしそうにしながらもちゃんと言ってくれた。
私がこなたを好きなのと同じくらいこなたが私を好きでいてくれてると信じてるから。
だから私は止まれなくなる。
今だって、至近距離の頬を染めたこなたの顔。両手に伝わる柔らかな感触。
静かに燃え上がる何かに気づかないふりをして、私は今日三度目となるキスをした。
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- なんだただの極上こなかがか -- 名無しさん (2009-05-06 23:46:49)
- なんだただの神か -- 紫電 (2009-05-06 12:14:03)
- モニターが死ぬ。ちなみにすでに二台死亡させました。 -- 名無しさん (2009-05-06 05:39:10)
- モニターが死にます。その現場に行きたくなって突撃しそうなので。 -- こなかがは正義っ! (2009-05-05 20:07:10)
- モニターが死にます。主に私の鼻血で。 -- 無垢無垢 (2009-05-05 16:29:56)
- モニターが死ぬ。主に俺の頭突きで。 &br()GJ!!! -- 名無しさん (2009-05-05 01:06:48)
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「……み。起きてかがみ」
あ、れ……こなたの声がする。
昨日は普通に家に帰ったから気のせいよね……
「かがみ~?起きないとキスしちゃうよ?」
うん。どうせ夢ならそのほうがいいわよね。
ほら、あんたのキスで私を起こして――
ジリリリリッ!
ふぁ~あ。なによ、いいところだったのに。
気の利かない目覚ましめ。ちょっと欠けてるし、もう不要だわ。
そうだ。確か声を入れれるやつがあったわよね。こなたに頼もうかしら。
「かがみ、起きて」
まだ完全に覚醒していない脳に甘い声が響く。
「朝ごはん冷めちゃうよ。早く起きてね」
そう言ってこなたは出て行ってしまう。
もう、ちゃんと起こしてくれてもいいのに。
その、キスとかで……
ちょっと残念がりながら起きる私。
食卓に顔を出せばこなたの手料理が並んで、私を待ちわびたこなたが微笑んでくれる。
「おはよう」そう笑いかけて、本日最初のキス。
「……っはぁ」
時間をかけてたっぷり味わったあと、ゆっくりと唇を離す。
いつものことなのに、頬を染めて浅い呼吸を繰り返すこなた。
そのあまりにも色欲をそそる光景に、テーブルに並ぶ愛情のこもった料理ではなくこの愛しい人をどういただこうか悩まされる私。
ダメだ、朝から鼻血出そう……
はぁ、ここにこなたがいたらなぁ……と思いつつ柊家の食卓につく。
そうなると柊家は五人娘ってことになるわね。
ただでさえ先行き危うい二人の姉がいるのに、これ以上増えたらお父さん大丈夫かしら。
「おはようかがみ」
「おはようお父さん」
我が家で一番肩身の狭い大黒柱に敬意を表しつつ、パンをひとかじり。
あ、こなたが朝ごはん作ってくれるなら当然和食よね。
長年作り続けてきた泉家の味がしみこんだ朝食。
お味噌汁をすすりながら、新聞と妻の顔とを視線を行ったり来たり。
いい。これぞ日本の朝。柊夫婦の一日の始まり。
「ごちそうさま」
ダッシャー、と叫ぶ代わりにいただいた命(麦だけど)に感謝する。
ちょうどつかさが起きてきた。
全く、こなたに会う時間が遅れるから早く起きるよう言ってるのに。
寝癖のひどい妹に呆れながら学校に行く用意。
つかさが準備できるまでの間やはりこなたと一緒に家を出る云々を妄想したが、長くなりそうなのと近い将来叶うのでまたの機会とする。
「行って来ます」
元気にそう告げた。
今日も朝からこなたフィルターは絶好調。
良い一日になりそうだ。
「こなたのやつ遅いわね」
私の内臓時計がこなたがいつもより15秒遅れていることを告げていた。
「あっ、来たみたいだよ」
人混みからひょっこり飛び出した青いそれをつかさが指差す。
つかさもだいぶわかってきたみたいね。
ゆらゆら揺れるそれがだんだんと近づいてくる。
それとともに高まる胸の鼓動。
「おっすこなた」
待ちきれず黒い集団から半分ほど見えた時点で私はそう言った。
ワンテンポ遅れてつかさも続く。
「……おはよぅ、二人とも」
それから数歩近づいてようやく私たちの前に立ったこなたは、弱々しい声で返してくれた。
「どうしたのよ?」
また徹夜でもしたのか、と考えながらこなたを足元からあほ毛のてっぺんまで視姦(観察)する。
いつもより目の下のくまが数ミリ広がっていて、あほ毛も20度ほど下を向いていた。
私は弱々しいこなたも好きよ。心の中で呟いておく。
「ネトゲしてたらたまたまレアアイテムゲットして、ギルメン呼んで騒いでたらもう……」
やっぱり、と呆れつつも予想通りの返答に内心ガッツポーズ。
だってこなたのことだから。何でも理解していたいじゃない、趣味の話は置いとくとして。
いっそ心も読めるようになって素直じゃないこなたの愛の囁きが聞きたいなぁ、なんて。
確実に理性が崩壊するけど。
「全く、受験生にもなってゲームで徹夜ってどうなのよ」
当然のごとく呆れた声を出す。
するとこなたは「だって……」と言い訳し始めた。
まぁいつものことで、理解不能の言葉を並べるこなたを遠い目で見つめる。
これには二つ理由があって、一つは会話が自分の及ばない範囲で進むことへの嫌悪。
もう一つは言い訳しながらちまちま動くこなたがかわいすぎてまじまじと見つめると理性が危ないから。
「お姉ちゃん、こなちゃん、早く行こうよ」
危うく二人だけの世界に入り込む手前でつかさが引き戻してくれた。
「ほら行くわよ」
いつものようにこなたの小さな手を握ってバス停へ向かう。
何も言わず握り返してくれたこなたを思わず抱きしめそうになったが、さすがに十数回も繰り返してればちゃんと自制心も働く。
そして計ったように来たバスに乗り込むと、これまた謀ったように二名席しか空いてなかった。
となると自然と私たちは窓側、つかさが通路側に座る。
え?私たちってどういうことかって?
そりゃもちろん私の膝の上にこなたが座るってことよ。
膝の上だと少し危ないからこなたのお腹に両手を回してシートベルト代わり。
つい手を制服の中にいれたり、上下に動かしてしまうのは仕方のないことよね。
「ふっ……かがみ、くすぐった、んっ……ぁっ」
バスの音に掻き消されそうなくらい小さな声でこなたが非難してくる。
たぶんこなたは自分の声を他人に聞かせたくないんだと思う。
確かにたまに漏れる色っぽい声は私以外の誰にも聞かせたくないわね。
私はもっと聞きたいから手の動きをやめないけど。
隣に座るつかさはいつものことながら眠っていてホントに助かる。
「だから、ダメだ……んぁ、って」
必死にストップをかけつつも、直接手の動きを抑えないこなたはとても可愛い。
そういえばこなたって結構Mっ気あるのかしら?
「かがみ様」って呼んでくるのもそういうことだったりして……
「それもいいかも」
「なにが?」
おっと声に出ていたようだ。
何でもない、と言ったがどうやらこなたは気になるらしく、わざわざ私に顔を向けて聞いてきた。
まだ動かしてる私の手に小さく反応しながら、潤んだ目で問いかけてくるこなたはヤバイくらい可愛い。
だから、うるさいから、という名目でこなたの唇をふさいだ。もちろん私の唇で。
「んんっ……っはぁ……かが、みっ……!?」
思いっきり吸ってやる。
それからいったん離して、私の名前を最後まで言い終えたか終えないくらいでまた重ねる。
柔らかいそれは私の欲を満たし、それでもどんどん欲を膨らませ離さない。
「ぷはっ……はぁはぁ」
どれくらい経っただろうか。
ずっと触れていたかったが、唐突につかさに肩を叩かれてやめた。
「つかさ……?」
邪魔しないでよ、と思いながら問いかけると、つかさは赤い顔のまま言った。
「もう着いたよ。降りないと」
どうやらお楽しみの時間はこれまでのようだ。
名残惜しみながらこなたを見る。
頬を真っ赤に染めて浅い呼吸を繰り返しながら、やはり潤んだ目で私を見ていた。
ちょっ、そんな顔して……誘ってるんですよね?
「かがみ……ってば、大胆、なんだから」
途切れ途切れにそう言ってきた。
どうかなってしまいそうな理性で体を震わせていると、立ち上がろうとしてるのか、こなたの手が私の膝に乗せられる。
それだけでもヤバいのに、キスが結構こたえたらしいこなたはなかなか立ち上がる様子がない。
「じっとしてて」
もう理性は崩壊してると思われるのに出てきた冷静な声。
理解できなかったからか大人しくなったこなたを抱え直す。
バスの中は結構狭いけどこなたはちっちゃいからなんとかなるだろう、とこなたを横抱きにした。
「えっ?あ、か、かがみっ!?」
「ちょっと、動かないでよ」
なすがままだったこなたが少し抵抗を見せる。
といっても落とされたくはないから私が動きを見せるとぎゅっと抱きついてきた。
胸がキュンてなった。
「鞄持ってて」
完璧に存在を忘れかけていたそれはいつの間にかこなたが抱えていた。
ちなみに他の生徒もすでに降りていて、運転手の人は何も見てませんよ、と呟きながらハンドルに顔を埋めていた。
まさにご都合主義。
と、手早く私たちの降車は終了。
「かがみ、もう歩けるから。下ろしてっ」
羞恥に顔を染めたこなたが必死に懇願してきたので、しぶしぶ私は下ろした。
というかそのままだと保健室に直行しそうだったのと、こなたの表情が私の急所に思いっきり突き刺さったのでどうしようもない。
とりあえず私はこなたの小さな手を握るだけにとどめて学校へと向かう。
「ねぇかがみ、もうちょっと我慢してよ」
たいした運動もしてないのに心底疲れたという声。
もう、私のこなたにそんなひどいことするのは誰?つかさ?
……あれ、つかさがいない。
「つかさなら先に行ったよ。もう見てらんないって」
はぁ、とこなたがため息をついた。
ダメよ、せっかく私が幸せにしてあげてるのに。
ああ、もしかして幸せが足りないからもっとってことかしら?
やっぱりあれくらいじゃこなたも物足りなかったのね。
ほらこなた、遠慮しないで……
「だから我慢してって言ってるんだって」
「……してるじゃない」
「どこが!?」
「どこがって、一からあげると――」
まず会ったときは熱い抱擁とキスしたいのを必死に抑えて、愛してるって言わないように「おっす」ってぶっきらぼうに言うの。
それから手を繋ぐのは我ながらいじらしいことだと思うわ。
できるならこなたを怪我しないように抱えてあげたいんだけど。
でもこなたが嫌がるのと、抱えてしまったら人のいないところへ連れ込んでしまいそうだから我慢してるの。これはさっき下ろしてあげたのと同じ理由ね。
あと、バスの中ではあれでも結構我慢してるんだからね。
もし我慢しないでいいならつかさを壁にしてイチャイチャ――
「……いい。もういいよ!」
まだ言い足りないのに。
例えば学校でのこととか。休み時間だって我慢してるんだからね。
まぁそれはこれからわかることだからいいかしら。
どう?私がどれだけ我慢してるかわかったでしょ?
「わかったよ」
そう言うわりにこなたは納得してなさそうにそっぽ向いた。
なによ、何がいけないって言うのよ。
だって。あんただって……
「こなた、嫌……?」
ちょっと寂しそうに言う。こなたを見つめながら。
「えっ?あ~、うぅ……」
顔を逸らそうとするが両手で頬を包んで逃がさない。
柔らかいそれの感触はひとまず置いといて、こうすればこなたもちゃんと答えてくれるから。
今私は少し涙目をしてると思う。視界が滲んでる。
この表情、この声にこなたが弱いことはわかりきったことだ。
「い、嫌じゃない、よ」
ほら、恥ずかしそうにしながらもちゃんと言ってくれた。
私がこなたを好きなのと同じくらいこなたが私を好きでいてくれてると信じてるから。
だから私は止まれなくなる。
今だって、至近距離の頬を染めたこなたの顔。両手に伝わる柔らかな感触。
静かに燃え上がる何かに気づかないふりをして、私は今日三度目となるキスをした。
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- なんだただの極上こなかがか -- 名無しさん (2009-05-06 23:46:49)
- なんだただの神か -- 紫電 (2009-05-06 12:14:03)
- モニターが死ぬ。ちなみにすでに二台死亡させました。 -- 名無しさん (2009-05-06 05:39:10)
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