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――バイト帰り。すでに午後九時を回って、辺りは真っ暗。 私は、暗い夜道を歩いている。 少し肌寒くなってきたこの頃、キンモクセイのほのかな甘いにおいが心地良い。 ……今日はバイト遅くなっちゃったな~。かがみん、きっと お腹を空かせて待ってるんだろうな。早く帰らなきゃ。 ――そんな事を考えると、ついつい歩く速度を上げるのは 世の常、人の常ってやつだと思う。 妙に冷たい風が、私の体温を奪っていく。 ……寒っ。 襟元を閉めて、また歩き出す。 ――そんなこんなで自宅に到着。 正直言ってボロイけど、今となっては特に気にしてない。 玄関を「カチリ」と開けると、かがみんがソコに立っていた。 ……なんで玄関先に立ってんの? 外から見られてたんだろうか? 「トリック オア トリート!!」 ――「どったのかがみん?」と質問をするより早く、妙な言葉を かがみんが発した。 ……だけど、その意味はすぐに理解できた。 …「オカシをくれなきゃイタズラしちゃうぞ?」 デジャヴってやつだ。ゆ~ちゃんが前にやってたのを思い出した。 「え?…えと、あいにくお菓子は持ってないな~」 ――ようやく言葉をひねり出す。 ……大体今日が十月三十一日であることも、さっき思い出したばっかりなのに オカシとか、そんなもん持ってないよ。 「へ~? んじゃあ、解かってるよなぁ~」 ――イタズラ。 かがみんが不敵な笑みを浮かべ始める。 「い、一体何のはなs…うわぁ!」 ――会話が終わる前に、肩を捕まえられて 玄関に背中を叩きつけられた。 逃げ場がない。 私の顔がどんどん紅潮しているのが、熱を帯びて来ていることで 容易にわかる。 「は~い、良い子だからおとなしくしてろ~?」 言いながら、かがみんの顔が吐息を感じれるくらい近づいてきた。 ――キンモクセイよりも甘い、ミントとルージュの香り。 そして―。 fin **コメントフォーム #comment(below,size=50,nsize=20,vsize=3) - GJ! -- 名無しさん (2022-12-19 19:38:36) - ハロウィン最高ですな・・・どんな悪戯をされたのやら(2828) -- 名無し (2010-03-30 00:17:44)
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