すうぃーとでい - (2008/01/22 (火) 01:19:34) の編集履歴(バックアップ)
「あっち!」
左手の人差し指が熱い。まったく何でこんなに必死なんだろ、私。
「お姉ちゃん大丈夫?」
「・・・不器用って損よね。つかさが羨ましいわ。で、次はどうするの?」
「次はね・・・」
「・・・不器用って損よね。つかさが羨ましいわ。で、次はどうするの?」
「次はね・・・」
私は闘う。自分の不器用さを武器に、溶かされたチョコと。
つかさとみゆき、そしてあいつの為に、魔王よりも強い敵と激戦をくり広げる。
完成まであとちょっと。あいつは、喜ぶかな?・・・もしかしたら、あいつも、私にくれるかな?
つかさとみゆき、そしてあいつの為に、魔王よりも強い敵と激戦をくり広げる。
完成まであとちょっと。あいつは、喜ぶかな?・・・もしかしたら、あいつも、私にくれるかな?
「ハッピーバレンタイン、こなちゃん。今年はちょっと奮発してみたよー!」
「おぉ!さすがはつかさ。いつもありがとね。・・・で、お姉様の方は?」
「き、期待した目で見るな!」
「おぉ!さすがはつかさ。いつもありがとね。・・・で、お姉様の方は?」
「き、期待した目で見るな!」
バレンタインデー。由来は詳しく分からない。日本ではチョコのやり取りをする行事として定着してる。
普通は女のコから男のコにあげるイベント。
なのに、こいつは、泉こなたは、期待しているように、エメラルドの目を輝かせている。
普通は女のコから男のコにあげるイベント。
なのに、こいつは、泉こなたは、期待しているように、エメラルドの目を輝かせている。
「・・・はい。つかさみたいに、綺麗じゃないけど・・・」
「さっすがかがみん。ふふふ。こりゃフラグたったね。かがみ攻略ももう・・・」
「うるさいっ!恥ずかしい事を言うな!」
「さっすがかがみん。ふふふ。こりゃフラグたったね。かがみ攻略ももう・・・」
「うるさいっ!恥ずかしい事を言うな!」
作った本人から見ても、お世辞でも整った形とは言えない。自分の不器用さを呪いたくなる。
でも。
でも。
「かがみんや。」
「なによ?いらないなら私が食べるから返しなさいよ・・・」
「不器用を必死で隠そうとして逆にバレバレだけど、愛情をたっぷりいれて作っているのを連想させるかがみ萌え。」
「なっ!いいから、早くそのチョコをしまえ!」
「なによ?いらないなら私が食べるから返しなさいよ・・・」
「不器用を必死で隠そうとして逆にバレバレだけど、愛情をたっぷりいれて作っているのを連想させるかがみ萌え。」
「なっ!いいから、早くそのチョコをしまえ!」
嬉しい。こなたが喜んでくれたから。こなたが笑ってくれたから。不思議な気分だ。火傷の痛みがたちまち引いていく。
でも、気になる事が1つだけ。
でも、気になる事が1つだけ。
「あんたは誰かにチョコ渡すの?」
「あー、今年も作り忘れてたよ。だから、なしだね。」
「あー、今年も作り忘れてたよ。だから、なしだね。」
そりゃ、だいたい予想していた。でも、チクっとする痛み。
「そっか。」
自分だけ、だったのかな?こなたの喜ぶ顔が見たくて、こなたに食べて欲しくて、こなたを想って。そんな疑問。そんな痛み。
今日は真冬日らしい。肌にささる寒さが、一層強く感じた。
今日は真冬日らしい。肌にささる寒さが、一層強く感じた。
‐‐‐‐
「一人で帰るの、久しぶりだな・・・」
委員会で先生に呼ばれたため、私は一人学校に取り残された。いつも一緒にいるあいつも、今はいない。
人気のない廊下。漫画のように静寂がしん、という音のように聞こえる。
人気のない廊下。漫画のように静寂がしん、という音のように聞こえる。
「・・・こなたのバカ。」
よく考えれば、こなたは悪くない。勝手に私が期待しただけ。分かっているのに、胸の痛みは治まらない。
暗い闇で一人歩く淋しさと共に強くなる痛み。私の足音が哀しくこだまする。
暗い闇で一人歩く淋しさと共に強くなる痛み。私の足音が哀しくこだまする。
「・・・今日はさっさと帰って寝よ。」
そう呟き、靴箱から靴を出そうとする。するとヒラヒラと舞落ちる1枚の紙。拾い上げて見ると、そこには見慣れた字。
『私の嫁へ
直接渡すのはなんとなく恥ずかしかったのでこれで許してネ。
それに、こういうシチュエーションも萌えるしさ。
食べたら太らないように、運動したまへ。
喜んでくれたら嬉しいな。ハッピーバレンタイン。かがみ。
直接渡すのはなんとなく恥ずかしかったのでこれで許してネ。
それに、こういうシチュエーションも萌えるしさ。
食べたら太らないように、運動したまへ。
喜んでくれたら嬉しいな。ハッピーバレンタイン。かがみ。
By かがみの愛しいこなたより。』
汚い字。突っ込み所満載の文章。こなたらしい、こなた独特の詞。
手紙と共に靴箱に入っていたのは、白いチョコ。きっと手作り。チョコと奮闘するこなたが簡単に想像できる。
洗われる。流される。癒される。こなたへの想いで冷えた心が、どんどん温まっていくのが分かる。
手紙と共に靴箱に入っていたのは、白いチョコ。きっと手作り。チョコと奮闘するこなたが簡単に想像できる。
洗われる。流される。癒される。こなたへの想いで冷えた心が、どんどん温まっていくのが分かる。
「・・こなたのバーカ。」
今日は真冬日らしい。肌に刺さるような空気。息は白く具現化される。
それでも口に広がる優しい甘さ。体に広がる想い。寒さなんて関係ない。
それでも口に広がる優しい甘さ。体に広がる想い。寒さなんて関係ない。
「おいし。」
私は一人夜道を歩く。白い月を見ながら味覚でこなたを感じる。私の頬はゆるみっぱなし。
きっと太っちゃう。こなため。罰として、今日は夜通し電話してゲームの邪魔をしてやる。
きっと太っちゃう。こなため。罰として、今日は夜通し電話してゲームの邪魔をしてやる。
「待ってなさいよ、私の婿め。」
熱く火照った頬を冷やしながら私は走りだす。満天の夜空の下を駆ける。
そんな2月14日。
そんな2月14日。
‐‐‐‐