「無題8-49」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る

無題8-49 - (2010/03/29 (月) 13:07:45) のソース

皆さん、どうも泉かなたです。 
今日は、そう君が取材旅行でいなくて、ゆたかちゃんもお泊り会。家にはこなた一人だけになると言うので、心配で様子を見に来ちゃいました。 
いくつになっても娘は娘。やっぱりお家に一人だけ、というのは心配になります。 
皆さんも、お子さんを持てば分かるかもしれませんね。 



と、そんな事を言っている間に、懐かしい我が家が見えて来ました。 
まだ、こなたは帰ってきてないのかしら?鍵がかかってるわ。 



「こなた、重いようだったら、私がそっちを持つわよ?」 
「いやいや、コレくらい。いつも買ってるグッズの方が重いぐらいだからね」 
「ああ、そうですか……やれやれ」 



あ、帰ってきたみたい。一緒にいるのは……お友達のかがみちゃんね。 



「ただいま~」 
「おじゃましま~す」 
「……って言っても、今日は誰もいないけどね」 
「まったく、もうちょっと早く言ってくれれば、色々用意したのに」 
「私は、かがみが泊まりに来てくれるだけで嬉しいよ」 
「バッ、バカッ……急に何言ってるのよ」 
「ツンデレ萌え~」 
「……もうっ」 



どうやら、一人になったこなたを心配して、かがみちゃんがお泊りに来てくれてるみたいね。 
良い友達を持ったわね、こなた。 



「で、こんなに材料を買い込んだわけだけど、一体晩御飯に何を作るつもりなのよ?」 
「ん?みんな大好き、チキンカレーだよ」 
「って、二人分にしては量が多くないか?」 
「明日までゆーちゃんもお父さんも帰ってこないからね。カレーを溜めておいて作る手間を省こうと」 
「また、一日で腐らせたりしないでよね……」 



そ、そんなことがあったの……。 





トントントン……。 



包丁で野菜を切る小気味いい音が台所に響いています。 
包丁を握っているのはこなた。親バカと思われるかもしれませんが、随分と手際がいいです。 
やっぱり、私がいなくなって、苦労したのかしら……。 



「あ、かがみ。ちょっと変わってくれる?」 
「へ?どうしたの」 
「いやぁ、そろそろアニメの時間だから、録画してこないと」 
「予約とかはしなかったのね?珍しい」 
「朝ちょっとバタバタしてたからね。後、肉切るだけでいいから」 
「了解」 



バタバタと慌てて駆けていくこなた。そういう所、本当にそう君そっくりね。 
趣味は似ないようにって、あんなにお祈りしたのに……。 



「よしっ、やるか」 
かがみちゃんが包丁を持って、やる気満々です。でも、心なしか手つきが危ないような……。 
「……あれ?、上手く切れない。こうかしら?えいっ!」 
あぁっ、そんな事をすると……。 
「あ、形が崩れちゃった」 
やっぱり。もしかして、お料理、苦手なのかしら? 



「かがみ、そうじゃなくて、こうだよ」 
「こなた……?」 
戻ってきたこなたがかがみちゃんの手を持って、一緒に包丁を動かしてあげています。 



うふふ、なんだか微笑ましいですね。子どもに料理を教えるお母さん、そんな感じです。 
料理を教える……か。 



「……痛っ!」 
「か、かがみ!」 
あっ、刃を滑らせたかがみちゃんが指を切ってしまいました。 
「ちょっと待って……パクッ」 
「な、なななな……あ、わ、私のゆ、指をくわえて、何してるのよっ!」 
「ひょーどく……ぷはぁっ。お父さんもお母さんによくしてあげてたんだって」 



!?!?!?な、ななななななななな、何を言っているんでしょう、この子は!? 
えっと、ち、違うんですよ?あ、いえ、違いませんけど……と、とにかく、このシーンはカットです。 





「うん、いい感じで煮詰まってきたわね。こなたー、お皿出しといてくれる?」 
ちょっと時間が経って、今はかがみちゃんがお鍋の番をしています。焦がさないか不安でしたけど、要らぬ心配でしたね。 
こなたの様子を見に行きましょう。 



「えーっと、お皿お皿っと……うぁっ!あんなに高いところに」 
あ~、ちょっとこなたの身長では届きそうに無いですね。 
私に背は似ませんようにってあんなにお祈りしたのに……。 



「もう、お父さんに片付け頼むとこれだよ。ん~……」 
背伸びして、食器棚に手を伸ばすこなた、ですが、足元がふらついています。 
無理しないでね、こなた……何も出来ないのが歯痒い。 
「んぉ~……あと少しぃ――って、わぁっ!」 
こなたっ!! 



「――はい、大丈夫か?」 
「あ、かがみ……?」 
「もう、届かないんだったら、無理しないの。後は私がやるから、こなたはお鍋見てきて」 



ホッ……こなたが倒れる寸前、後ろからかがみちゃんが支えてくれました。ありがとう、かがみちゃん。 
それにしても、この二人、結構身長差があるんですね。こなたはかがみちゃんにスッポリ包まれてる状態です。 



「あ、ありがとね。かがみ」 
「いいっていいって。じゃ、お鍋頼んだわよ」 
「……うん」 



こなたはそう言ってお鍋の前に立ちましたけど、なんでしょう?顔が赤いです。湯気のせいかしら。 



「……かがみ、温かかった」 





「いただきまぁす」 
「いただきます」 



なんとか無事にチキンカレーも完成して、二人は今、食卓を囲んでいます。 
私も、昔はよくそう君に作ってあげましたっけ、チキンカレー。ふふっ、懐かしいです。 



あら?どうしたんでしょう。かがみちゃん、さっきから全然お箸(スプーン)が進んでいませんね。チキンカレー、嫌いなのかしら? 
「むぐむぐ……かがみ、どったの?」 
「へ?い、いや……別に」 
「はっは~ん、さてはまたダイエットですな?」 
「ち、違うわよっ!ただ、おいしく出来たかなって」 
「な~んだ、そんなこと?おいしいに決まってるじゃん。私と、かがみで作ったんだからさ」 
「……そんな事言うなんて、ずるいわよ」 



今度は、かがみちゃんが真っ赤です。照れ屋さんなのかしら。俯いちゃって、肩も小刻みに震えています。 
「むふふ~?照れたな」 
「う、うるさい! ……でも」 
「?」 
「ありがとね、こなた」 



そう言って顔を上げたかがみちゃん。上気した頬に浮かんでいるのは、笑顔。 
よっぽどこなたにおいしいって言ってもらえたのが嬉しかったのね。見ているこっちがハッとするような笑顔。 



「……」 
あら?またこなたの顔が赤くなってますね。外は寒いし、風邪かしら?心配です。 



あ、こなたの手から、スプーンが―― 



「こなた?スプーン、落としたわよ?」 
「え?あ、あぁっ!」 
「どうしたのよ、突然ボーっとして、風邪?熱測るから、動かないで」 



そう言って、かがみちゃんはこなたの額に自分の額をくっつけました。 
「!!!」 
また、こなたの顔が赤くなって……本当に大丈夫かしら?


「曖昧3センチ~♪」 
「お風呂で鼻歌って、どんだけよ……」 



更に時間が経って、今、二人は一緒にお風呂に入っています。 
我が家のお風呂は、そんなに大きくないのに。こなたの方からかがみちゃんを誘ったみたい。 
よっぽど、かがみちゃんと一緒にいたいのね。 



「それにしても、あんたってホント髪長いわね」 
「え~っ?かがみだって長いじゃん」 
「私はあんた程じゃないわよ。洗うの大変じゃない?」 
「う~ん、まぁ、少しね」 
「良かったら、私が洗ってあげるわよ」 
「えぇっ!?べ、べつにいいよ……」 
「遠慮しなくていいから」 



こなた、折角のご好意なんだから、甘えてみたらどうかしら?ここまでしてくれる子は中々いないわよ。 



「う~……かがみがそこまで言うなら」 
「はい決まり。じゃ、後ろ向いて」 



こなたの髪を洗うかがみちゃん、なんだか手慣れてます。 
こうやって、誰かの髪を洗ってあげることがあるのかしら?妹さんとか。 



「へぇ、意外ときちんと手入れしてあるじゃない」 
「そ、そう……?」 



こなたの顔がまた赤いですね。風邪ではないみたいだけれど、本当にどうしたのかしら? 
なんだか、モジモジしているし。 



「後ろ終わり。じゃ、前も洗うから、こっち向いて」 
「! ま、前はいいよ、自分でやるから……」 
「何よ、今更照れたりするような仲じゃないでしょ。海ではみんなでお風呂は入ったんだから」 
「い、いいってば!」 




こ、こなた、そんなに暴れるとかがみちゃんが……あ! 



「――きゃあっ」 
「――うわっ!」 



あ~……こなたが暴れたせいでかがみちゃんがバランスを崩して、二人とも倒れちゃいました。 
かがみちゃんが下敷きになって、こなたがその上に跨っている状態。 
こなたの身長の関係で、かがみちゃんの胸の辺りに頭をかぶせちゃってる。 
二人とも、大丈夫かしら? 



「いたた……かがみ、ゴメン。大丈夫だ――」 
「……こなた?」 
「……」 
「こなた?大丈夫?」 
「え?あ、うん」 
「その……くすぐったいんだけど」 
「! ゴ、ゴゴゴゴメン」 
「い、いや、そこまで謝らなくてもいいんだけど」 



かがみちゃんの上から降りるこなた。慌てるとまた転びますよ。 
もう、ちゃんと後で謝っておきなさい。かがみちゃんも、ごめんなさいね。 






ふう、お風呂で一騒動あって、ちょっと大変でしたけれど。 
お風呂から上がった二人は、もう、寝ることにしたみたいですね。 
こなたはネットゲームをやろうとしたみたいですけど、かがみちゃんの、 
「明日も学校なんだから早く寝なさい」 
の一言で、就寝決定です。 



本当にありがとう、かがみちゃん。本来ならこういうことは親の役目なんですけどね。 
そう君だったら、きっとこなたと一緒になって夜更かしをしてたんじゃないかしら。 



そのかがみちゃんは今、こなたの部屋でこなたが来るのを待っています。 
こなたは家の戸締りで、まだ下にいますからね。 
折角ですから、この機会にかがみちゃんをじっくりと観察することにしましょう。 
よく見ると、かなり可愛い顔立ちをしています。 
瞳はちょっと吊り上ってきつい印象を受けますが、よく見ると、瞳の中にある優しさを見ることができます。 
さっきまでの様子からも、かなり面倒見がいいことも分かりますしね。 
こなたも、かがみちゃんの傍だと安心できるんじゃないかしら。 



「かがみお待たせ~」 
あ、こなたが上って来ました。 
「こなた、私の布団が無いんだけど?」 



あら、そう言えば、どこにもかがみちゃんの布団が引いてありませんね。どうするのかしら。 
「……えっと、かがみと一緒に、寝ようと思って」 





「え?」 
え? 



「いや、なんて言うかさ、最近寒いじゃん?だから、一緒のほうが温かいかな……ダメ?」 



こなた……口ではああ言ってますけど、私には、分かります。 
本当は、夜、一人で寂しかったのね、こなた。 



かがみちゃんもそれを分かってるのでしょう。驚いた顔は一瞬で、 
「……分かったわよ」 
そう、答えてくれました。 



「かがみ……」 
「そ、その代わり、寝ぼけて私を蹴ったりしないでよ!」 
「うん!ヤター、かがみと一緒だ!」 
「コ、コラ、はしゃいでないで、もう電気消すわよ」 
「は~い」 



こなたとかがみちゃんは一緒にベッドに入ると、リモコン操作で電気を消しました。世の中、便利になりましたね。 
真っ暗……夜って、ここはこんなに暗かったのね。 



「くふふぅ、かがみ~♪」 
「ちょ、抱きついてくるなって」 
「えぇ~?いいじゃん減るもんじゃないし」 
「あ~、もう!しょうがないわね」 
「かがみ……」 
「……何よ?」 
「……お母さん……」 
「こなた? ……何だ、寝ちゃったのか。まったく、普段が夜更かししすぎなのよ」 



かがみちゃんはこなたの髪を優しく撫でると、抱きしめる腕に力を込めて、ゆっくりと、こなたと呼吸を合わせ始めました。 



こなた……あなたが今、友達の腕の中で幸せなのは分かります。 
母としてしてあげられる事はほとんど無かったけれど、あなたの幸せが続くよう、これからも見守り続けますね。 



おやすみなさい。こなた。そして、かがみちゃん、これからもこなたを、よろしくお願いします。 




**コメントフォーム
#comment(below,size=50,nsize=20,vsize=3)
- 心が和むわぁ〜  -- 名無し  (2010-03-29 13:07:45)
- 温かい…(・ω・)  -- 名無しさん  (2010-01-30 19:27:36)
- かなたさんの語りがとてもいい  -- 名無しさん  (2009-08-25 07:51:10)
- 萌えたWW  -- 名無しさん  (2008-08-13 23:34:01)
- 一緒に料理、お風呂、おねんね…こういうの萌えるわw -- 名無しさん (2007-12-28 20:39:14)
記事メニュー
目安箱バナー