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「バトンタッチ」 2話 - (2008/02/10 (日) 15:06:58) のソース

30分後、脱衣所。 
「ふぃ~暖まった~ありがとうかがみ♪」 
「お礼ならつかさにいいなさいよね、あんたの為にお風呂掃除からしてくれてたんだから」 
「そだね、後でお礼言っとくね。つかさもかがみと一緒で優しくて嬉しかったよ」 
「わ、私はただ風邪をうつされたくなかっただけだからね!」 
「おっと、早速ツンツンモードに戻っちゃったか~ 
 さっきは私の事が心配だって散々言ってたのにね~♪」 
ポカポカに温まってすっかりいつもの調子に戻ったこなたは私の頬っぺたをツンツンしてくる。 
「風邪うつされたくないんなら何でさっきは自分の体で暖めてくれたのかな~?♪」 
「う、うるさいわね!ちょっとしたはずみよ」 
(はあ・・何でさっきみたいな時しか素直になれないのよ私・・) 
こなたがいつもの調子に戻った途端、私自身もいつも通りの 
意地っ張りに戻っちゃった事に軽い自己嫌悪を感じてしまう。 

「それじゃお礼言ってくるね~」 
先に体を拭き終わったこなたは、幸い濡れずに済んでた下着だけを身に付けると 
そそくさと脱衣所を後にした。 
「ちょっと!いくら今温かくて家には私達だけだからって、ちゃんと服着ないとダメで・・(ハッ)」 
そこまで言い掛けて初めて気づいた。 
(そ、そうだ、こなたの着替えどうしようか) 
お風呂に入る時はこなたとつかさ相手に激しくも恥ずかしい攻防をしていたせいで 
今まで気づかなかった。 
(元々こなたが着てた服は当分乾きそうにないし・・私かつかさの服はこなたにはサイズが 
ブカブカかもしれないけど・・それで我慢してもらうしかないかな・・) 

そう思いながら何か小さめの服はあったっけか?って考えてたけど、私自身の服もここには用意してないのに 
気づいて、止む終えなく下着姿で自分の部屋に向かった。 
(やれやれ、こなたに注意しておきながら結局私も同じ事をするハメになる訳ね・・)

「おーい、かがみーん」 
部屋でとりあえず自分の着替えを適当に選んでたらこなたがやってくる。 
「あ、こなた、ちょうど良かったついでにあんたも何か着れそうな服を・・ってオイ!!」 
どういう訳かこなたはお父さんのワイシャツをボタンを閉めてない状態で羽織ってる。 
「あ・・あんた何でそんな格好してるのよ!」 
「ふっふっふ~誰かの家でお風呂あがりとくれば、これは絶対に外せないシチュなのさ」 
私にですら大きすぎるお父さんのワイシャツはこなたの体格にはとてもじゃないけど合っていなくて 
裾の部分は膝より下まで垂れ下がってて地面にも付きそうだ。 
「訳分からん、それに勝手にお父さんのを着るんじゃないわよ」 
「一応つかさにお願いして許可もらったよ」 
「全くあの子は・・」 
(こいつは甘やかすとすぐ調子に乗るんだから・・つかさにもあとで注意しとかないと) 
そう思いながらもまずは自分の着替えを済ませようと服を着ようよすると・・ 
「着替えてる所のかがみん萌え(=ω=.)」 
「は、恥ずかしいからジロジロ見るな!」 
いつもの調子で怒鳴っては見たものの、それでこなたが素直に止めてくれそうにないのは 
今までの経験から明らかだ。 
(はぁ・・なんか今日の私は色々と怒ってばっかだ・・) 

気を取り直してとりあえず早いとこ着替えを終わらせようとスカートを腰まで上げてたら 
膝辺りまで上げた所でこなたにいきなり奪われた。 
「ちょっとこなた、邪魔しないで・・」 
「かがみ、さっき脱がせちゃったから今度は着るの手伝ってあげるね」 
そう言ってスカートを丁寧に腰まで上げて脇のファスナーを上げられる。 
「ちょっと・・小さい子じゃあるまいし一人で出来るわよ(///)」 
「照れながらも露骨に嫌がらないかがみん萌え♪」 
「だ、黙れ!」 
そればかりか今度はブラウスを着ようとすると羽織った所でこなたが正面に回り込んできて 
ボタンを留めてくる。 
「だからやめなさ・・「ほらかがみ、じっとしてくれないと留めれないよ」・・むぅ・・」 
着替えを手伝って貰うなんて幼稚園の時位までで高校生にもなってされるのは 
恥ずかしいだけなはずなんだけど・・ 
(何だろう・・このくすぐったい変な気持ちは・・) 

結局これも最後まで抵抗できないままこなたに全部留められしまって 
何故か靴下は「絶対領域がどうのこうの・・」なんて訳の分からない熱弁を奮い出したこなたに 
強制的にオーバーニーにされてしまった。 
まあ、家の中でもスカートだと少し寒いし別にいいんだけどね。

「じゃあ次はこなたの服を何とかしなくちゃね」 
「え・・?」 
とりあえず最低限の服は着たから今度はこなたの服を探そうとしたら 
こなたは何故か意外な顔をした。 

「かがみ、それだけなの?」 
「それだけ?何の事言ってるのよ?」 
こなたが何言ってるのか訳が分からなかったけど、とりあえずタンスの中を探し始めようとすると・・ 
「ていや!」 
何故かこなたがいきなり後ろから何かを被せてきた。 
「うわ! こなた、いきなり何するのよ!」 
「はいかがみ、もう1枚だよ」 
「え?」 
それはタンスの中にあった私のセーターだった。 
「寒いんだしもう1枚は着なきゃダメじゃないのさ。はい、腕出して」 
「ちょっとこなた!それより自分の心配しなさいよ」 
「だってかがみが私のせいで風邪ひいたりしたら嫌だもん。はい、下の襟出すから上向いて」 
「だから恥ずかしいから着せるのやめなさいよ!」 
「そういいながらもちゃんと私の指示通りに体動かしてるかがみん萌え~♪」 
「い、言うな!!!(///)」 
(はあ・・何かこなたの世話をするつもりが世話されてばかりじゃないのよ私~(汗)) 
結果的にスカートとブラウスを初め、ほとんどの服をこなたにテキパキと着せられてしまった事によって 
さっきからの変な気持ちが余計に強くなってしまった。 

「はい、終わりだよかがみ」 
「えっと・・こなた・・」 
「ん?何?」 
「あ・・・あ、ありがとう(///)」 
「いえいえどういたしまして~♪大好きなかがみの為なら・・・へっくちゅんっ!!」 
やっと私の着替えが終わった所で大きいくしゃみをするこなた。

「ちょっとこなた!?、大丈夫!?」 
「うぅ~ちょっと体が冷えてきたかな・・」 
正直迂闊だった。 
この騒ぎのせいで、こなたはお風呂から上がってからずっと隙間だらけの 
ブカブカワイシャツ1枚でいる事に注意がいってなかった。 
お風呂で温まってたとは言ってもその前までずぶ濡れで震えてたんだ。 
その上湯冷めなんかしたらどうなるかなんて分かりきった事で 
普通に考えて私なんかよりこなたを先に温かい格好にすべきだった。 

「ちょっと待ってて!、今こなたでも大丈夫そうな服探すから」 
急いでこなたにもサイズが合いそうな服を探すけど、やっぱり今タンスの中にある服はどれも 
こなたにはぶかぶかになりそうな物ばかりだった。 
「・・かがみ、サイズが変でもとりあえず着れればそれでいいんだしさ、 
 無理して色々探す事は無いよ・・?」 
「うん・・」 
気を使ったこなたがそう言ってくれてるけど、出来れば後回しにしてしまった分 
こなたの服もちゃんとしたかった。 
だけどこうしてる間にもこなたの体は冷えていくだろうし 
あまり探すのに時間かけて、それが原因で風邪をひかれたら元も子もないし・・ 
かがみ(つかさの部屋に探しに行っても無かったなら諦めるしかないか・・)

「てやぁっ!」 
「うわぁっ!ちょっと!」 
そう思っているとこなたがいきなり後ろから、今度はピタッと抱きついて来た。 
「いっそまたかがみに暖めて貰おうかな~♪」 
「もう、そうやって茶化すな!」 
「それにしてもかがみんの服を着るのなら、これってかがみんのコスプレになるのかな~?」 
私のセリフは華麗にスルーされて、いつも通りの訳の分からない話を振ってくるこなた。 
「ただの服を貸すだけでコスプレになるんだったら 
 そこら中コスプレしてる人ばかりになるじゃないのよ」 
「じゃあもし私がかがみんの巫女服を着たらかがみんのコスプレになるのかな? 
それとも巫女さんのコスプレになるのかな?」 
「知らないわよ・・・・・ん?」 
・・・コスプレってアニメキャラとかの格好したり、職服とか学校の制服とかを 
本当は違うのに着たりする事よね・・・・・・学校の制服・・・・ 
「・・・・・・あ、そうだっ」 
その時私の頭の中にある妙案が閃いた。 
「・・・ふっふっふ・・・♪」 
「ど・・どしたのかがみ?」 
「こなたー、そこまでコスプレに興味あるのなら望み通り私のコスプレさせてあげようじゃないの」 
「・・へっ?」 
こなたにはいつも散々からかわれてるお返しをするいい機会だわ。 
それに・・ちょっとあの格好をしたこなたはどんな感じか見てみたい気もするし・・ 

私の様子を見て思わず離れて身構えるこなたをよそに 
私は押入れの奥からある洋服を収納した箱を何年ぶりかに取り出した。

・・5分後 

「あははははは♪こなた可愛すぎぃ~!♪」 
「むーぅ(=ω=.;)」 
私の目の前には制服を着たこなたが立っていた。 
ただし制服は制服でも高校の制服とかじゃなくて小学校の制服だけどね♪ 
「まさか私の小学生の頃の制服のサイズがここまでこなたにピッタリだとは思わなかったわ~ 
 正直かなり似合ってるわよ」 
多分知らない人が今のこなたを見たら絶対に小学生だって思い込むだろう。 
っていうか恥ずかしがりながら頬をプクーって膨らませて剥れてるこなたは 
見ていてかなり萌えるんですけど。 
(・・そうか・・これがこなたがいつも言ってる萌えって奴なんだ・・) 

それにしてもなんて可愛い生き物なんだろう。正直妹にしてあげてもいいかも。 
「ねえ、さっきみたいにまた抱っこしてあげようか?今度は私もちゃんと抱いてあげるから」 
「もう!かがみの意地悪!」 
おぉ、いつもみたいに軽口で返す余裕ないなんて、こなたの奴大分堪えてるじゃないの。 
「いつも散々私のことからかってるお返しよ、少しは私の気持ちが分かったか♪」 

「もうやだ、これ脱ぐ~」 
「あ、ダメよ、寒いんだし」 
慌てて服に手を掛けようとするこなたを制止する。 
「こめんごめん、さすがにからかい過ぎたわ・・でも今こなたにピッタリな服ってこれしか無いの。 
 家のどこかに同じ位の頃の私服とかあるかもしれないけどよく分からないし・・」 
「でもさすがにこれは私でも恥ずかしいよぉ~」 
まだこなたは納得してない様子だったけど、私はそんなこなたの肩をそっと手を掛けて 
出来るだけ優しく諭してみた。 
「こなた・・あんたさっき自分のせいで風邪ひかせくないって私に服着せてくれたでしょ? 
 それと同じで私だって自分のせいでこなたに風邪なんてひいて欲しくないのよ。 
 とりあえずその服で我慢しててくれないかな・・? 
あんただって私がこのセーター脱ぐとか言い出したら嫌でしょ?」 
「うぅ・・そう言われると脱げなくなっちゃうじゃん・・」 

こなたはそれを聞いて渋々承諾してくれたみたいだったけど 
やっぱり恥ずかしいみたいで最初の内は落ち着きが無くてそわそわしていた。

・・だけどしばらくすると・・・ 
高校生になった今ではこんな特殊な状況で無い限りは絶対に着る機会はない、 
『作り物ではない、本物の小学校制服』にコスプレ本能がくすぶられてるのか 
鏡の前で着てる服を物珍しそうに眺めたりし始めて、そのうち色々ポーズまで取り始めた。 
次第にノリノリになっていって、ウキウキしながらあの服で悩殺ポーズを取ってるこなたは 
なんというか・・その・・反則的に可愛い。 
何だかあの服を来たこなたを見てると、友情とは違った変な感情がどんどん大きくなっていく感じがして 
後ろめたさを感じてしまう。 

「ねえかがみ、ちょっとベットに横になってみて」 
「ふぇ!?、な、何でよ?」 
迂闊にも変な想像してしまってた所にいきなり話しかられてちょっと驚いてしまう。 
「いいからいいから♪」 
少し変に思ったけどとりあえず言われたまま私はベットに仰向けになった。 
すると枕元に立ったこなたは私の肩を優しくゆさゆさと揺らして 
本物のちっちゃい子にそっくりな声色で 
「ねえお姉たん、もうお昼だよ、おっきして」 
って言ってきた。 



・・・・それから数分間の事はほとんど覚えてない。 
私はこなたの名を何度も叫びながら何かしていて 
こなたはそんな私に何か必死に呼びかけてた様な気がしたけど 
それ以上の事はサッパリと記憶から抜け落ちてしまってて 
気が付くと私はベットの上で制服の乱れてるこなたを膝抱っこしてほっぺにすりすりしていて、 
こなたは「かがみっ、いい加減正気に戻ってよ~!」って涙目で訴えていた。 

「・・あ、あれ?こなた?」 
「ああ、かがみ!正気に戻ったんだ~良かったぁ~」 
私の胸の中でホッした様子で脱力していくこなた。 
「いやぁ~今までのかがみ凄かったよぉ~」 
「えっと・・ちょっと記憶があやふやになっちゃってるみたいなんだけど 
 ・・・凄かったって私一体どんな事してたの・・?」 
よく覚えててないけどこなたに何かとんでもない事してた様な・・ 
「よく思い出させないなら無理に思い出さない方がいいと思うよ、かがみの名誉のためにもね・・。 
 ・・・私も恥ずかしいし・・この事は胸にしまっとくから・・(///)」 
少し頬を赤く染めながら言うこなたの意味ありげなセリフにかえって不安を煽られてしまう。 

「それにしてもかがみって暴走するとかなり危ないな・・これからは注意しないと」 
「あ、あの・・こなた、何やってしまったのか分からないんだけど・・ごめんね」 
「もういいよ。恥ずかしくて少しだけ怖かったけどかがみんの意外な一面みれたから。 
 ・・・それよりもそろそろいい加減下ろしてくれないかな・・?」 
「え?・・・あっ」 
そう言われて初めて、正気に戻ってからもずっとこなたを膝抱っこしたままなのに気づいた。 
「うぁっ・・ご、ごめんね」 
「デレデレかがみんの構いたいがり屋~♪」 
「う、うっさい!」

・・その時っ!! 
「お姉ちゃん、こなちゃん、着替え済ん・・・・・マタデスカ!!」 
様子を見に来たつかさにいきなりドアを開けられて私達は固まった。 
小学生の制服を着たこなたとそれを抱き上げてる私を目の当たりにして目を見開いてるつかさ。 
そして少ししたら顔を真下に向けるとそのまま動かなくなってしまった。 
「・・・・・・・」 
「あ、あの・・つかさ?」 
とりあえず恥ずかしそうにしてるこなたを下ろした私はつかさの顔を覗き込もうとしてみたけど 
かなり深く俯いてて表情はよく分からない。 
「アチャー、また恥ずかしい所見られちゃったなぁ・・」 
「・・・・・・・・・」 
「えっと、つかさ、これはね・・」 
「・・・・こ・・」 
とりあえずこの状況を何とか上手く説明しようと言葉を探していると 
俯いたまま先に何かを口にするつかさ。 
『こ?』 
「こ・・・・こ・・・こなちゃんお持ち帰りぃぃぃぃいい!!(>▽<)」 

つかさはニパー(>▽<)とゆるゆるに緩みきってる顔を上げると有無を言わず 
こなたに突撃して抱き上げてしまった。 
そしてぽっぺ同士をスリスリしている。 
「はぅはぅ~こなちゃん可愛すぎぃ~♪お姉ちゃんだけずるいよ~♪」 
「ちょっ!・・つかさまでかがみと同じ様な事を~!、お持ち帰りってここはもうつかさの家じゃん!」 
「こ~~なちゃん♪つかさお姉ちゃんだよ~♪」 
こなたの叫びはつかさには全く届いて無いみたいで 
前にこなたに貸してもらったゲームに出てくる鉈女みたいな口調で何か色々叫びながら 
今までの私と同じ様にベットの上でこなたを膝抱っこすると 
後ろからしっかりと抱きしめてこなたの髪や首筋をクンクンしたり 
頬っぺたに唇を押し当てて「チュッ、チュッ」っと軽いキスをしだす。 
私はその異様な光景を呆気にとられて見ているだけだった。 
「つ、つかさ~!正気に戻って~!かがみも見てないで助けてよ~!!」 
「・・・・(ハッ)ちょっとつかさ!こなたが嫌がってるじゃないの!」 
こなたの声に我に返った私は慌ててこなたをつかさから引き離そうとしたけど 
こなたはしっかりとつかさに抱き込められてて簡単には離れそうになかった。 
「おーいっ、つかさーーー!もどってこーい!」 
「バルサミコス~♪」 
しかたなく今度はつかさの肩を強く揺すってみたけどつかさは相変わらず意味不明なセリフを 
発するだけで行為をやめる様子は無かった。 
「ううう・・・、まあこれでもさっきまでのかがみよりはまだマシなんだけどね・・」 
「ちょっ!!それマジですか!!?」 
「どこかのアニメ化する時に年齢を変えられてた苺達のお姉ちゃんみたいに『この子私のー!』 
 とか言って変な所を・・ひゃんっ!!ちょっとつかさ!、かがみみたいな事までしないでっ!」 
記憶が飛んでた時の私は一体何をしてしまってたんだろう・・? 
気にはなるけど知らない方が幸せだと私の本能が告げていた。 


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