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あたしは、あの日、全てを吐き出してなんだか軽くなった感じ。
相変わらずのっちはヘタレなままだけど、失敗してもヘヘヘっと笑う顔に、以前のようなオドオドした感じはなくなっていた。
むしろ小さい子供が屈託なく笑う姿に似ていて愛しささえ湧いてくる。


(ああ、のっちも自信がなかったんじゃね……。)
そう思うと優しくしてあげようって気にもなるけど、でもまだ照れ臭くて。

今日はレコーディングで中田さん家に来てる。
今あ〜ちゃんが歌入れしてて、ゆかとのっちはソファーで順番待ちなんだけど………。


K『で?何かなこの手は??』
ソファーに座るあたしの腰に何気なく回されたのっちの手。
N『ん?のっちの手。』
さも当たり前のように、サラっと言ってのける。
K『あんたはアホなん??そうじゃなくて、なんでこんなとこにあるのかって聞いてるのっ。』
N『ゆかちゃんに触ってたいから。』
(なんかこの人、前より図々しくなってない……?!)
N『照れなくてもいいじゃん。』
ニシシッと某青っぱなのトナカイみたいに笑うのっち。
ツンデレと常識的注意を履き違えてない?!)


前言撤回。


なんだろう、この込み上げてくる怒りはっ。

K『場所をわきまえんさいやっ。』
N『Hしてる時は素直で可愛いのに…。』
ポソッと耳元で囁き、得意げな笑みをみせる。

ブチッッッ!!

あたしの中で何かが切れる音がした。
K『もう一生させない。今後、ゆかに触れたら絶交ねっ!』
N『えぇっ!そんなぁ〜。』
Y『はいOK、んじゃ次誰?』
K『は〜い。』
中田さんの声を合図にあたしは立ち上がった。
情けない声を出すのっちを尻目にレコーディングブースに入る。


愛されてる自信がのっちをイタイ子にしてしまうのなら、私は当分ツンツンでいいや。

(のっち、あんたがいけんのよっ。)

ブースの中から突き刺すような視線でのっちを見てみた。
そこにはジェスチャーで、ごめんなさいと手を合わせて謝るのっちがいた。
(仕方ない、ちゃんと教育しなおすか……。)

あたしはため息をつきながら譜面に視線を落とした。

あたし相手だと途端にヘタレのグダグダになるのっち。
それだけあたしに必死なのはわかるけど。

(人選ミスったかな…。)
なんて思ってみても、確かにあたしものっちが大好きで……。


のっちみたいなアホの子相手に出来るのはそうそういないよね。
仕方ないからゆかが引き受けてあげる。

一生離さない。覚悟しといてね、のっち。


−Side A−


あたしはレコーディングを無事に終えのっちの隣に腰をおろす。

(なんか、また空気が変なんですけど……。)
A『何したん?のっち。』
N『えっ?いや、ちょっと…。』

ふと、ゆかちゃんの方に目をやれば、さっきまであたしが入ってたブースからは殺気が漏れ出していた。
考えられる原因はただ一つ…。
A『どうせまた、アホな事仕出かしたんじゃろ。』
N『うっ!……………はい、調子に乗りすぎました。』
反省の色とともに落胆の色も隠せないのっち。

(何でこの子はこんなアホなんじゃろ…。)

A『もう、ちゃんと謝って仲直りしんさいよっ。』
N『はい……、反省してます。』


あの日のPV撮影以来、二人には穏やかで親密な空気が漂っていてあたしは安心してたのに。

A『あんたらに大人の恋愛はムリじゃね。むしろ、のっちにはムリ。』
N『ううっ。』
A『そんなんじゃ、あ〜ちゃんにゆかちゃん盗られても知らんけぇ。』
N『ええっ!あ〜ちゃん?!』

のっちをいじるのはおもしろい。
だからいつもからかいすぎてしまう。
こっちを見たゆかちゃんと目が合いあたしは手を振った。
クラッと来てしまうほどの笑顔であたしを見るゆかちゃん。
微笑み合うあたし達を交互に見てはオロオロしてるのっち。
一生あたし達二人の尻にひかれたままなんだろうね、きっと。
(ま、頑張って大人の女になりんさいや。ね、のっち。)
ゆかちゃんから視線を外しふと隣を見ると、手を合わせて謝るのっちがそこにいた。



(完)






最終更新:2008年10月13日 07:47