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プロローグ

2100年代前半にロス物理学が完成し、人類はエネルギー問題に勝利した。
しかし、それは社会を豊かにするどころか、エネルギー競争の勝利者たちに富が集中する結果となり、人々の貧富の差は加速し、貧しきものは富めるものに搾取される時代が訪れた。
2100年代後半になると、アメリカ大陸のMASE、中国大陸のレンダという二大勢力が確立。地球の覇権を争い、それぞれの人々を食いつぶすように果てなき競争の道を歩み続けた。
2180年代に入り東西各国が「ウィグル」を実用化すると、この人々を活用した宇宙開拓が促進。彼らが操縦する宇宙向けロボット「モビルスーツ」が、時代を徐々に変えていった。

MASE(メイス)

Military Aeronautics and Space Engineering = 軍事航空宇宙工業の略で、アメリカ大陸最大のコングロマリット。
2100年代のロス物理学完成でミスリルの需要が高まり、その生産加工販売を中心に大きな利益を上げた。更にミスリルの軍事的価値をいち早く見出したことから連邦軍を凌駕する軍事力を得ている。
莫大な政治献金によって事実上政府をも傀儡としており、西側諸国を実効支配する組織といわれる。

連邦政府

アメリカ大陸本来の政府。
現在は事実上MASEの傀儡政権で、正規軍であったはずの連邦軍はお飾りと化している。

レンダ

中国大陸を牛耳る超大国「人民政府」の通称。アメリカ大陸をMASEが支配しているのとは対象的に、国家がその強権でもって圧政を敷いている。
メイスの発達と同時期にアダマントの地上量産に成功し、その富を用いて富国強兵政策を推し進めた。
強権的な政府であるがゆえに非人道的な選択も平然と取ることができる点でMASEに対して強みを持つ一方で、国家としての豊かさでは西側諸国には及ばないといわれる。

アノニマス

匿名のプログラマーたちが運営する国際SNS。
特定の企業が提供する同種のサービスが国家の弾圧・統制を受けるようになったことに反発して、匿名プログラマーたちがクラウドコンピュータ上で分散して管理運営している。そのため大国といえどもそこでの情報発信自体を追跡あるいは弾圧することは容易でなく、結果として多くのレジスタンスも利用する一大サービスとなっている。
アジャンの幻獣演説やアレスの幻獣軍参画表明などはアノニマスを通して行われた。

2200年問題と宇宙開発競争

ミスリルやアダマントの合成には地球では希少な資源であるレアアースが必要である。もとより多量に生産するものではなかったのだが、アダマントの地上生産技術とミスリルコアの需要の急増によりレアアースが大量に消費され、2200年に入るころにはほとんど枯渇すると見られるようになった。
一方で2130年代に大量に生産されたアダマント製品やミスリルコアの寿命が2200年頃に到達すると予想されており、2200年までにレアアースの安定供給を実現しなければ人類は再びエネルギー問題に直面するとの警戒感が広がり、東西二大国を中心に世界は競って宇宙にレアアースを求めた。

2155年に月探査によってレアアースの存在が確認され、このころから二大国は自国民を顧みず月の資源開発を目指すようになった(これにより社会の疲弊が進行したが、疲弊した人々から生まれた子どもたちがウィグルとして覚醒したとも、疲弊しなかった富裕層の子供がウィグルとしての力を手に入れたともいわれる)。しかし、長らく設備構築などの細かく大掛かりな作業を無重力空間で行う技術が発達しなかったため、地球と宇宙を往復する輸送艦の技術ばかりが発達していく状態であった。
この膠着状態を打破したのが、偶然にも両国で同時に発生した「ミスリルネットワーク」とそれによるモビルスーツ操縦技術である。これによりウィグルをパイロットに据えれば宇宙空間でもかなり細かい作業が可能となり、それまでに発達していた輸送艦の技術と合わせて、宇宙開発が急速に進んだ。開発の立役者となったのは実験動物扱いを受けていたファーストウィグルおよびセカンドウィグルの生き残りたちで、彼らは現在各国軍の中心戦力となっている。
宇宙開発が加速したのは2180年代半ばからであったが、先んじたのはイオンエンジンの技術に優れるMASEで、2188~2189年までにラグランジュポイントL1に中継ステーション郡を建造して月へのアクセスを実現し、安定して資源回収をできるようになった。これに遅れて化石燃料によるロケット技術に優れたレンダは月との直行往復便を運行するという大胆な策略により、資源回収を試みる様になった。往復便が初めて運行されたのが2190年のことだった。

東西戦争

その翌2191年、L1付近で事故により航行不能に陥ったレンダの輸送艦が中継ステーションの一つに衝突するという悲惨な事故が発生。これを軍事的攻撃とみなしたMASEは「リメンバー・パールハーバー」を合言葉に一部世論の反対を振り切りレンダの輸送部隊を攻撃。レンダが反撃したことをきっかけに東西戦争が勃発する。
防空兵器の発達によりミサイルや航空機が役に立たなくなった現代、機動性に優れたモビルスーツが次世代の兵器になることは明らかで、東西両国ともモビルスーツ用の手持ち兵器の開発を進めていた。そのためモビルスーツ同士による戦闘はすぐに本格化した。
一方、完全に民意を無視した戦争には人々からの批判が強く、東西両国に属さない各地のレジスタンスが抵抗活動を続けていた。そのような一つとして2194年カイザーの反乱があったがすぐに鎮圧され、それ以外のレジスタンスも大きな流れは覆せずにいた。
そのような中、2200年に突如出現した「流星」によって、世界は大きく動かされることになる。

砂漠の月

主にレンダの支配に抵抗していた中東のレジスタンスで、アジャンが最初に戦闘に介入したレジスタンス。中東のキング・ハリドを本拠地とする。
発祥としては諸説があり、中東でくすぶっていたジェームズ・ケリーオリバー・ベトルーガが誘って設立したとも、ケリーが設立していたものにベトルーガが参加して勢力拡大に貢献したとも言われる。幻獣軍に編入後は中東を中心に軍の中核となった。

ヨーロッパ解放戦線

レンダとMASEの最も激しい戦闘の舞台となったヨーロッパで、両軍に抵抗しているレジスタンス。

SLU

Space Labor Union=宇宙労働組合。月やL1の作業に従事していた労働者たちが国家の枠を超えて団結したもの。
最終更新:2024年01月03日 16:04