ポケモン生態調査書類管理局@ ウィキ

フライゴン

フライゴン

英名:Flygon 学名:Decipio carmen
標準体高:2.0m 標準重量:82.0kg 特性:浮遊
進化過程: ナックラービブラーバ フライゴン
主な生息地:砂漠地帯

立派な羽で砂漠の砂を巻き上げながら飛んでゆく。ビブラーバと同じく羽のはばたきによって振動と音を紡ぎだすが、フライゴンのそれは耳に柔らかで歌声のように美しい。
しかし砂漠を飛んでいる野生のフライゴンは巻き上げた砂で姿を見ることができず、美しい歌声だけが聞こえてくるため、その正体は近年まで神秘と謎に包まれていた。

トレーナーのもとで育てられたフライゴンは、他の肉食のポケモンと比べると比較的穏やかで情深く、扱いやすい。仲間内で争うことを好まず、他の個体を気遣って和を保とうとする。
とくに成熟したメスのフライゴンは、幼いポケモンや小さく力の弱いポケモンと共に食事をさせると、そのポケモンが十分に満足するまで自分の餌に手をつけることはない。この行動は、子育てを行っていた野生本能の名残と考えられる。
しかし仲間と認識していないポケモンにたいしてはこの限りではなく、「よそ者」の気配に関して非常に敏感である。

古代の文献、および壁画などの資料にフライゴンの記述は見られない。「砂漠の精霊」と呼ばれる美しい歌声をもつ精霊の口伝が、細々と現代に伝わるのみである。こんにちでこそ、フライゴンはビブラーバの進化系であることが周知の事実であるが、当時滅多に人前に現れなかったフライゴンは文字通り幻のような存在であった。
口伝の内容は地域により様々で、砂漠に迷う旅人をオアシスに導くも、出会った者は惑わされて二度と生きては帰れないとも言われている。


フライゴンの確認個体数が少なかった頃、ある調査隊の一行が野生個体の調査を行った。
ホウエン地方の比較的目撃情報が多い砂漠地帯へ調査に入った彼らの人数は、記録によると5人。しかし調査を終えて戻ってきたのは、この記録を書き残したササキ調査員のみである。

以下、ササキ調査員による記録からの抜粋。
<砂漠へ入って10日目。我々はナックラーの巣穴跡の探索をするうち、明らかにビブラーバより大型のポケモンが近くにいた形跡を確認した。ナックラーの現在の巣穴付近を調査するため場所を変更。穏やかな天候のなか、目星をつけていた巣穴付近へ向けて移動を開始。
しかし交易路を外れていくに従い、時折突風が吹いて天候が荒れるようになった。
やがて視界もままならぬ砂嵐が襲ったかと思うと、どこからともなく高く響く歌声のような羽ばたきが聞こえてきた。それは悠然を我々の前を通り過ぎたかと思うと、まるで我々を惑わすかのように中空に留まり、砂嵐の向こうから不思議な羽ばたきを投げかけてくる。
ついに接触したと喜び勇んだ我々は、耳を頼りに歌声のする方へ必死にジープを動かした。
フライゴンは逃げるでもなく、まるで道を教えるかのように一定の距離を保って飛んでゆく。

どのくらい歌声を追っていただろうか。ふいに私は不安を感じ、この先へ行くことを躊躇った。
しかし隊長に意見を述べようとしたその時、いきなりジープが大きく傾いたかと思うと、みるみるうちにすり鉢状の穴の中へ、車ごと巻き込まれていってしまったのだ。
私はとっさに車を捨てて逃げるべきだと叫んだが、砂嵐のなか混乱状態で他人の話を聞けるほど余裕のある者はおらず、結局逃げ出せたのは私一人だった。
砂嵐が収まると嘘のように空が晴れ、中空に潜んでいたフライゴンの姿をさらけ出した。
彼が私に危害を加えることはなかったが、地中深くで何者かが蠢き、つい先ほどまで乗っていたジープが破壊される音を、私はただ呆然と聞いていた。まさに、九死に一生を得たのだ。
この体験を、私は生涯忘れることはできないだろう。>


ササキ調査員一行ののち、いくつかのプロジェクトがフライゴンの野生個体の調査に赴いたが幸か不幸か野生のフライゴンに遭遇できたチームはいない。よってこの記録はフライゴンの生態を知るための貴重な資料と言っていいだろう。
調査隊の冥福を祈るとともに、この記録が生かされ、さらなる報告と生態の調査が実現することを願う。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2009年08月05日 15:47