コイル
英名 Magnemite 学名 Machina simplex
標準体高 0.3m 標準重量 6.0kg 特性:磁力/頑丈
主な生息地:無人発電所/ニューキンセツ など
「じしゃくポケモン」に分類される典型的な機械型ポケモンである。一見人工的に見えるが、必ずしもそうではない。これについては後に詳述する。
1970年代から都市部を中心に目撃されるようになった。当初は何らかの機械の 暴走と捉えられ、ポケモンと認識されていなかったが、1978年にタマムシ大学の オーキドらのグループが、コイルはポケモンとしての要件をすべて満たすという研究報告(*1)を発表して以来、これを支持する考えが主流となり、現在に至る。
学名のMachina simplex(短縮:M. simplex)はラテン語で「単純な(一つの)機械」というような意味である。属名に機械を意味するMachinaが使われたのは、当時のポケモン研究者の驚きを表すものとして興味深い(*2)。
レアコイル(M. triplex)、ジバコイル(M. discus)に進化する。レアコイルはハードウェアとしてはコイルが3つ連なっただけに見えるが、本質的にはかなり異なると考えられている(*3)。ジバコイルに関する研究はまだ少ない。
また、コイル二匹が結合したM. duplex(仮称)なるポケモンの目撃報告もあるが、これは偶然二匹のコイルが身を寄せ合っていただけではないかと言われている。
起源については殆どが謎である。研究機関が意図的にポケモンとして作ったという説と、何らかの機械がポケモンに変化したという説、また自然発生したという説もある。
第一の説は現在最も確実とされているが、当時の技術でポケモンが作れなかったという指摘や、もし人工ポケモンの作成に成功したのであれば、作成者はそのことを大々的に 発表するであろうという反論がある。第二の説は主としてポケモン因子仮説(*4)の信奉者が 支持している。具体的な証拠としてコイルが当時の発電施設で稼働していたサイコホーン社の 設備保守ロボットGR-6Bにきわめて似ていることが挙げられる。しかしポケモン因子仮説自体がトンデモとみなされているため、主流な研究者からは注目されていない。
第三の説は根拠が 薄弱であることから支持者は少ないが、特に慎重な研究者はその可能性について真剣に議論している。主要な主張としては、イシツブテなどケイ素系ポケモンが機械を模倣したというものがあるが、複雑さの度合いから可能性としては低い。
以上のように諸説あるものの、解剖学的な特徴から人工物あるいはそれを起源としていることは確実であるというのが定説である。
一般的には知られていないが、コイルは発見当初からその姿はほとんど変化しないものの内部の部品は大きく変化している(*5)。
具体的にはメモリやCPUに使われる半導体部品の高集積化、配線の効率化などである。
ただし行動の観察などから、ソフトウェア的には殆ど変化していないと考えられている。
最近になって発見されたレアコイルの進化形態であるジバコイルは、このハードウェアの性能アップにより現れるようになったのではないかとも言われている。
1981年にシルフ社がコイルの「生体解剖」をしているというニュースが取り上げられ(*6)、ポケモン保護団体の過激派が研究所を襲撃するという事件が起こった。
問題の研究はシルフ社の研究所が稼働中のコイルからメモリとプロセッサを取り出すことに成功し、そのプログラムを解析したというものである。研究は論文発表前であり、これが何故
外部に流出したのかは未だに謎であるが、シルフ社内部で研究に反対する人物が意図的にリークしたとの噂がまことしやかに流れている。
この襲撃により研究資料は全て破壊され、シルフ社やライバル会社は以来同様の研究を行っていない。
ただし当時の研究成果は密かに持ち出され、「
ポリゴン」や「
ダンバル」のプログラムに
活用されているという都市伝説は現在でも人気を誇る。
最近では野生のコイルが都市部で自動車やインフラを増殖のための部品として 食い荒らす事件が多発している。このためコイルを狩って数を減らすべきとして 猟友会やポケモントレーナーに駆除を依頼する自治体もあるが、これには反対意見も多く、社会問題となっている(*7)。
(*1) Y. Okido et al. (1978) "The First Mechanical Pokémon: Magnemite" Journal of Field Pokémonology Vol.163 pp.65-66
(*2) ただし、生物学的な学名をつけるのは不適切という意見も根強い。学名がつけられているのは、このポケモンが人為的に発生させられたものでない可能性を考慮してのことである。論文などでは一般名のMagnemiteが使われることが多い。
(*3) I. Matsuura et al. (1980) "The Ethology of Machina simplex and M. triplex" Journal of Field Pokémonology Vol.188 pp.73-78
- *4) ポケモンは、既存の生物や鉱物に、非物質的な「ポケモン因子」なるものが結合して誕生したという説。ドイツのポケモン研究者Thomas J. von Goldbergにより1952年に提唱された。その起源となるのはミュウであるとするのが現在では一般的だが、ミュウが発見されるまではメタモンまたはゴースであると考えられていた。
本文中で述べたように正統のポケモン学者からは「検証不可能な万能のガジェットを想定する点で非科学的である」として異端の説とされているが、大衆的には支持を集めている。
なお、オーキド教授がこの説を支持する発言をしたと思われているが、これはマスコミの歪曲報道によるところが大きい。
ちなみに「正統の」説というのは、ポケモンが既存生物の遺伝子をとり込んで形態を変化させていったというもの。
また、ウイルス進化説の立場から仮説を再編しようという動きもある。
(*5) J. F. Allen (2003) "The Anatomical Difference between Old and New Magnemites" American Journal of Pokémon Science Vol.144 pp.97-102
(*6) 暁光新聞 1981年6月24日
(*7) これについては、杉浦信二著『護られる危機』(ハヤブサ新書)に詳しい。
最終更新:2012年02月05日 17:46