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☆今日の占い☆
蠍座:突然のハプニングに注意! 自分から行動するのが吉。
   ラッキーカラーは黒 ラッキーポケモンは水タイプ

 オカルトマニアのモカの脳裏に浮かんだのは今朝の占いに出ていた自分の運勢。
ハプニング、確かにそうだろう。殺し合いの場に拉致されるなんて最上級に不幸なハプニングだ。
ラッキーカラーの黒のゴシックドレスに身を包んだ彼女と退治しているのはくたびれたグレーのコートに片目を隠す程の長髪をした、いかにも不健康そうな肌の色をした男。
 彼女が咄嗟に呼び出したポケモン、オーダイルに対抗する様に、男が繰り出したポケモンはオーロット。
 タイプ相性はいたって不利。
 浮かばない打開策を考える思考のループ、せわしなくモカの視点が宙を彷徨う。
 モカはいじめられっ子だった。
 暗く、引っ込み思案で占いというオカルトが趣味だった彼女は少年少女の残酷な排斥の標的とされるのに充分過ぎる素養があった。
 モカがいじめという理不尽に対して行なったのは逃避だった。
 耳を塞ぎ、目を閉じ、ただ自分の趣味に没頭するだけの日々だった。
 だが、今目の前に立ちはだかる理不尽に対して、逃避という唯一の選択肢が取れない。
 男の、睨めつけるような三白眼の左目が少女を無感情に見据えている。
 蛇に睨まれたカエルの様に身動きも出来ず、ただ目元に涙を浮かべて怯えるモカを苛むようなその視線に耐えきれず、目を瞑る。
 それは、ポケモンバトルにおいてはやっていけない、致命的なミス。

「……戻れ、オーロット」

 だからこそ、モカはその瞬間に聞こえた男の発言に己が耳を疑った。
 驚き、目を開いたモカの視界には、オーダイルと手に持っていたモンスターボールをしまう男の姿があった。

「え、あ、なんで……」

 惚けた様に呟くモカに対して、再び男の暗い眼差しが向けられる。
 ビクリと恐怖にモカの体が震えるのを見ると、男は面倒くさそうな表情を浮かべてため息を一つ吐いた。

「急にポケモンを出して来たからやる気の奴かと思って臨戦態勢だけはとっただけだ。その気はないみたいだし心配して損したよ」

 心底どうでもよさそうな男の発言が、モカの中にあるいじめられた記憶を微かに刺激する。
 そして、男の発言から自身の行為が相手に警戒をさせたという事実に思い至ったモカは慌ててオーダイルをモンスターボールへと戻す。

「ご、ごごごごめんなさい!私……」
「謝罪はいいさ。ただ、そんなんじゃ君、この殺し合いに生き残れないぜ?」

 男から発せられた不穏当な発言がモカの心を凍り付かせる。
 “殺し合い”その単語がいやでも現実を認識させる。

「あ、あなた、もしかして……」
「……君だってむざむざ黙って殺される訳にはいかないだろ? 僕はそうだ」

 口元を歪める男を見て、モカは一歩後ずさる。

「首輪を外して自由になる? 首輪を外せるような奴をむざむざ殺し合いの場に呼ぶと思うかい?
ポケモンにしろ会場にしろとんでもないコストだ。なのにこの殺し合い自体が破綻するような穴があると思うかい?
生憎と僕はそれなりに現実ってものを弁えているつもりだ。いつ来るかも不明な正義の味方を待つくらいなら、優勝を目指すさ」
「で、でも殺し合いを望んでいない人だっています! その人達と力を合わせれば……!」
「根本的な解決になっていないよ。まあ百歩譲ってだ、殺し合いに乗っている人間がいないという前提で、全員が集まったとして一つの問題が生じる」

 一息区切り、男は続ける。
 不穏な空気を感じつつもモカは聞きいる事しかできない。

「一定時間に脱落者がいない場合、全員が死ぬ。それ自体を回避するには誰かが犠牲にならなければならない。
そこで、君に質問だ。こんな時に真っ先に犠牲にされる人物。それがどんなものか、君にはわかるかい?」

 凍り付くような視線がモカを捉える。
 いじめの記憶が脳裏を過り、男の言わんとした事を理解したモカの顔が青ざめる。

「理解できていても言葉にはできないかな。そう、そんな時に犠牲にされるのはいなくても変わらない奴だ。
協調性のない奴や役立たずなんかは危ない、特にポケモンバトルで相手に気圧されて目を瞑ってるような足手まといなんかは……」
「やめてッ!!」

 男の声をモカの叫びが遮る。
 今にも泣き出しそうな顔を俯かせ、モカはだだをこねる様に頭を左右に振る。

「……まあ、僕だって性格は悪いからね、条件としてそう大差ないさ。
ただ、これだけは忘れない事だ。僕も君も切り捨てられる側の人間だ。仲良しごっこに入れてもらったところで、その後の結果なんてわかりきっているんだよ」

 男の発言はモカの心を充分すぎる程に抉っていた。
 ずっと逃げ続けていたモカに、非常な現実を受け止めきる事など、できる訳がなかった。
 だからこそ、次に男の口から告げられた言葉は彼女にとって望外だっただろう。

「そこで、君が生き残る為の提案が一つある。……僕と組まないか?」
「……え?」

 モカは理解ができなかった。
 それも当然だろう。先程まで役立たず、生き残れないと散々に彼女を否定して来た男が彼女をチームに誘ったのだから。

「正直なところ、僕はポケモンの腕だってそこまで立つ訳じゃないし、正攻法で勝ち残るのは無理がある。
ならどうするか、無害な参加者を装ってせせこましく立ち回るしかない訳だ。
そんな時に無力ば同行者がいれば説得力も増すだろ?」
「で、でも、私は人を殺すなんて……」
「そこまで強要する程鬼じゃないさ、必要がなければ手を汚すのは僕の仕事、それくらいは譲歩しよう。まあ、断るんならそれは仕方ない」

 瞬間、男が一つのモンスターボールを投げつけ、モカの眼前に一体のポケモンが降り立つ。
 モカの目の間に突きつけられたのは鋭い鎌。
 堅い甲殻を身に纏った化石ポケモン、カブトプスが鋭い眼差しを向けていた。

「ただし、それならここまで説明した相手を生かしておく道理はないよね。
つまり、君の選択は”生か死か”という事になる」

 残虐な笑みを浮かべる男に対して、モカの取れる選択肢は決まっていた。
 恐怖で表情筋を引きつらせながら無言の首肯をすると、満足そうに頷いてカブトプスをモンスターボールに戻す。

「話を受けてくれて助かるよ。そうそう、名前をまだ名乗っていなかったね。
僕はエイジ、かいじゅうマニアのエイジだ。君は?」
「……モ、モカ。オ、オカルトマニアって言われてます」
「モカ、モカか。長い付き合いになるだろうし、よろしくモカ。
しかし、オカルトマニアか。なら君はオーロットの扱い方なんかもわかるかい?」
「えっと、その、交換してくれる人いなかったから、使った事ないけどボクレーならいたし、話自体は聞いてたから、多分大丈夫、です」
「充分だ。生憎と僕は怪獣グループのポケモン以外は疎くてね。君さえよければ君のオーダイルと交換して欲しいんだ。
ああ、これは強制じゃないよ。ただお互いに使いやすいポケモンを使った方がいいかなっていう提案さ」
「そ、それならいいです。私もゴーストタイプの方が使いやすいと思うから」
「うん、なら交渉成立だ。改めてこれからよろしく、モカ」

 そう言って、エイジはモカへと右手を差し出す。握手のつもりだろう。
 モカは逡巡する。この手を取ればモカも人殺しを許容する事になる。
 だが、なによりもモカは自分が死ぬのが怖かった。
 自分が誰かを殺す恐怖と、殺される恐怖。
 モカはおずおずとエイジの差し出して右手を取っていた。
 数年振りにした握手は、彼女の心を晴れやかにする事などなかった。

【B-3/森/一日目/日中】

【オカルトマニアのモカ 生存確認】
[ステータス]:精神疲労(中)
[バッグ]:基本支給品一式、ランダム支給品×3
[行動方針]:死にたくない
1:エイジの指示に従う
※交換でエイジにオーダイルを渡しました

▽手持ちポケモン
◆【オーロット/Lv50】
とくせい:???
もちもの:???
能力値:???
《もっているわざ》
???
???
???
???

【かいじゅうマニアのエイジ 生存確認】
[ステータス]:良好
[バッグ]:基本支給品一式、ランダム支給品×3
[行動方針]:優勝する
1:無害な参加者を装いながら殺せそうな奴を殺していく
2:モカは一応守る。殺害も自身が主に行なって行く
3:できれば卵グループが怪獣のポケモンで手持ちを固めたい
※交換でモカにオーロットを渡しました

▽手持ちポケモン
◆【オーダイル/Lv50】
とくせい:???
もちもの:???
能力値:???
《もっているわざ》
???
???
???
???

◆【カブトプス/Lv50】
とくせい:???
もちもの:???
能力値:???
《もっているわざ》
???
???
???
???

第20話 空手部・ポケモンの裏技 第21話 マニアック×マニアック 第22話 おまじない

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最終更新:2014年11月21日 16:29