決着
「冷凍パンチですチャーレム!」「護るだ」
正面から冷気を纏った左手をぶつけてくる、サーナイトはそれを完全に防ぎきった。
「続いて炎のパンチ!」「何!?」
今度は右手に炎を纏い、脇腹を攻撃してきた、護るによるバリアーは正面のみを防いでいて
脇を攻撃されれば、バリアーの意味を成さなかった。
「僕のチャーレムはパンチ系の技なら、同時に使うことが可能ですよ」
無数のパンチ系を覚え、素早い動きのできるチャーレムだからこそできる技だ。
「まだ行きますよ、雷&冷凍パンチ!」
チャーレムはサーナイトに飛び掛ってくる。サイコキネシスで吹っ飛ばした。
空中で再び体勢を立て直し、サーナイトに二発のパンチを命中させた。
「そんな単発攻撃で、身軽なチャーレムの動きを止められるとでも思いましたか?」
チャーレムは、今度は雷と炎を両手に纏い攻撃してくる。
護るを使おうと思えば使えるが、エネルギーの消費が多い上に防戦では勝機は見えない。
「10万ボルト!」
強力な電撃を放ち、チャーレムの進路を防ぐ。
するとチャーレムは電気を纏っている手を前に出し、10万ボルトの電撃を吸収し始めた。
「パンチ技は応用すれば、こんなことまでできるんですよ……」
威力の上昇した雷パンチなど、まともに受けれたら次は無い。
「全方位に護るのバリアーを貼れ!」
サーナイトは全体にバリアーを貼り、チャーレムの攻撃を防いだ。
しかしこれによりサーナイトのエネルギーは、大きく減ってしまった。
ここまでして作った隙を、逃すことはできない。
「シャドーボールだ」
黒い塊がチャーレムにヒットする、効果抜群……耐久力の低いチャーレムのHPを大きく削った。
「次の攻撃を食らえば確実にこちらの勝利だ……」
「はたしてそうでしょうか?体力的には不利ですが、そちらは随分とエネルギーを消費してますね
それにこちらにはまだ4つ目の技が残っているんですよ……ドレインパンチです!」
チャーレムの拳に、橙色の瘴気が現れる。
サーナイトに攻撃してきた、サイコキネシスをぶつけるものの、ジャンプして回避されてしまう。
そして空中からチャーレムは、ドレインパンチをサーナイトに命中させた。
「この技は相手に与えるダメージは少ないですが、相手の体力とエネルギーを奪える優秀な技です
そしてあなたのサーナイトに今、最も効果的な技なんですよ!」
技の多用で疲労しているサーナイトにとって、この技は最も効果的だ。
唯一、格闘タイプで相性では有利なのが救いか……
「チャーレム、そろそろ終わりにしてあげなさい、三つのパンチを織り交ぜて攻撃です!」
このチャーレム、三つの技を瞬時に入れ替えることまで出来るのか……
シャドーボールを放ったが、炎の拳により消滅してしまった。
そして3発のパンチを、当てられてしまう。
倒れはしなかったものの、サーナイトは麻痺してしまった。
「ククク、頼みの綱であるあなたのサーナイトも麻痺状態になり、辛うじて立っていられる状態とは……」
「………罠に掛かったな、お前のチャーレムを見てみろ」
チャーレムは、地面に跪いていた。
「何をした貴様!?」
『サーナイトの特性はシンクロ、相手に状態異常を移す効果がある
さらにこいつにはラムの実を持たせてある、形勢逆転だな……シャドーボール!』
二発目のシャドーボールをくらい、ついにチャーレムは落ちた。
サーナイトも、これ以上バトルを続けるのは危険だ……サーナイトをボールに戻す。
これでお互い、最後の手持ちとなった。
「こいつをバトルに出すことになるとは……君は予想以上に凄い
ここで殺してしまうのが惜しいくらいに、だけど君には死んでもらうよ」
「まだ死んでなん…てな…い」
腹の痛みがそろそろ限界だ、夏だと言うのに寒気がする。
『それではこれが最後です…ガブリアス!』
『ボスゴドラ!行けぇ』
二体の大型ポケモンが砂浜に現れる、その二体は殺気を放っている。
奴の最後の手持ちはガブリアス、巨大な体に威圧的な眼光……最強のポケモンと言われる一体だ。
こちらのラストはボスゴドラ、鎧の様な体、その見た目どおりの防御力がある。
こいつは凶暴な性格である、俺の方を見て雄叫びを上げた。
俺に、大怪我を負わせた奴が許せないのだろう。頼むぞボスゴドラ……
「接近しろ!すてみタックルだ」
頭を突きたて突進する、"ドシンドシン"という大きな足音が響いている。
「火炎放射です、ガブリアス!」
ガブリアスは口から、強烈な炎を吹いてくる。
ボスゴドラは、それを頭の角で受け止めながら突進する。
「ボスゴドラの耐久力をなめな…いでもらいたいね……」
「フン……粋がっていられるのもあと少しですよ、ドラゴンクロー」
「メタルクローで応戦しろ!」
瘴気を纏った爪で切裂いてくるガブリアスに対し、ボスゴドラは硬化した爪で対応する。
この状況では防御が高く、ドラゴンタイプに抵抗のあるボスゴドラが押していた。
「こちらの方が素早さは数段上です!スピードで翻弄しなさい」
ガブリアスは肉弾戦から離脱した、ボスゴドラのスピードでは追いつくことは出来ない。
「火炎放射で足元を狙いなさい」
ボスゴドラの足元が燃え盛る、これで足止めをする気だ。
「冷凍ビームで、火を消し去れ!」
冷凍ビームで足元の炎を消化する、それにより水蒸気があたりを包む。
「気を抜くなよボスゴドラ……」
ボスゴドラはその場から一切動かない、最初からこの状況にすることが狙いか……
すると突然、ボスゴドラの居た砂地が崩れた。
「砂地獄です……この場所が砂浜だったおかげで、効果は倍増ですよ
これであなたのボスゴドラは動けなくなりました……」
超重量級のボスゴドラは、砂地獄から抜け出すことが出来ない。
しかしそれなら遠距離でも攻撃できる技を使うまで、
冷凍ビームはガブリアスに対し、最も有効な技の一つだ。
「冷凍…ビームだ…ウッ……」
まずい、もう限界だ……俺の周囲一体が、赤黒く染まっている。
目が霞む……汗で体が冷えて、頭痛までする始末だ。
『これで最後です…ギガインパクト!!』
ボスゴドラが発射した冷凍ビームも、バランスが崩れているせいで狙いが定まらない。ここまでか……
ガブリアスが砂に捕らえられている、ボスゴドラへと最後の一撃を食らわした。
ガブリアスのギガインパクトを、モロに受けてしまった。
いくらタイプ相性がよく、防御力が高いボスゴドラでも致命傷となる。
HPこそまだ残っているものの、次の攻撃を食らえばそこで終わりだ。
『グォォォォォオオオオオ』
ボスゴドラが、雄叫びを上げる。
突然ボスゴドラの体が、輝き始めた。
そしてその光は、ガブリアスを襲った。
「な、なんだこれは!?」
丁寧口調のフィレンテも驚きのあまりに、口調が変化している。
この技は……"メタルバースト"
最後に受けたダメージを、さらに大きくして相手に返す技だ。
ボスゴドラは、最後の最後に新しい技を覚えてくれた。
この光で体勢を持ち直したボスゴドラは砂浜から脱出することができた
「………クッ、クハハハハハハハハハハハハハハ、この僕とここまで対等に渡り合えるとは……
本当に残念だよ!もっと違う形で君に会えていたらよかったのに、アッハハハハハハハ」
卑屈な笑い声が聞こえる……ついにここまで来たか
「残念だが、お前なんかとどんな形で会ったって、いい関係になんかなれやしな…い」
『………死にかけが僕に指図するとは……僕も落ちたものだ
とどめだ……君の死はフルーラに、最高の絶望を与えてくれる!!』
これが最後の決戦だ。ここで負けたら……いや、絶対に負けるわけにはいかない!!
『ガブリアス、ギガインパクト!!』『すてみタックルだ、ボスゴドラ!!』
二体のポケモンがぶつかり合う、それぞれのトレーナーの意思を貫くために。
―――決着はついた
ガブリアスは押し負け、フィレンテの方へと吹っ飛ばされた。
"ドザーン"という大きな音が砂浜に響き、ガブリアスは、フィレンテの上で気絶していた。
ガブリアスは戦闘不能になった……つまりこの勝負……俺の勝ちだ。
「馬鹿な……馬鹿なぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
100キロ近い体重のガブリアスが、上から落ちてきて、フィレンテも頭から出血している。
『僕はヘッドリーダーなんだ、僕はこの島…いやこのオレンジ諸島最強のトレーナーなんだ
なのに……なのにどうして、お前はどうしてここまでの力が出せる…なぜだぁぁぁ!?』
『……大切な人を護るためだ……お前とは懸けているものの大きさが違う!!』
ダメだ……ここまで来て目が霞む…激痛でもう意識を保つことが出来ない
「クククク……アハハハハハハハハハ、僕はポケモンバトルでは負けたが、本来の目的"君を殺す"
これは果たせたよ。さらばだ、いい勝負だった。お礼にこの氷の宝玉は返すよ、もう必要ないからね」
フィレンテは、俺の前に青く輝く宝玉を投げ捨てていった。
「待……て…」
ボスゴドラも動けない……ダメージや疲労のせいだ。
「君の死はフルーラに最高の絶望を与えてくれる……アッハハハハハハハハハハハハハ」
最後にフィレンテの絶望の言葉を聞き、俺は目を閉じた。
最終更新:2007年03月30日 02:26