248: 名前:刹那☆12/04(金) 22:10:21
「うぉぉぉぉ!!」
透の消え薄る声と共に。
赤い液体が噴出すと共に。
終わった。
そう、終わったのよ。
何もかも――――……。
「フフッ」
教室はどうなってるかしら?
249: 名前:刹那☆12/04(金) 22:17:14
大丈夫。
まだ泣ける。
私は次の準備を整えていた。
教室に戻る前に。
みんなにはとても私が殺したとは言えない。
だからこうやって準備を……ね。
教室のドアを開けた。
みんなが私に注目する。
そして一人の女子が悲鳴をあげた。
「きゃああ!」
女子の視線は……私。
私を指差している。
何で……。
まさか……分かっちゃったとでも?
252: 名前:刹那☆12/06(日) 21:26:07
「血……!血!!」
血……?
私はよく自分の体を見てみる。
そしたら制服に少量の血が付着していた。
絶対……透のだ……!
いや~ッ!
私は制服についた血をこすって落とそうとする。
でも時間がたったんだろうか、全然落ちない。
汚らわしい……。
253: 名前:刹那☆12/08(火) 21:21:18
そんな事を考えていたら、自然と涙が出てきた。
あと、一気に笑い出したい気分と一緒に。
でも、ここは泣いた方がいいわね。
何とかみんなの気を紛らわせないと……。
「香織……何があったの?」
「この血は何?」
「透はどこなんだよ」
次々を私に問いかけてくる。
「透くん……死んじゃった……自殺しちゃったよぉ!」
みんなの前では猫をかぶる私。
でも今すぐにでも顔がにやけてしまいそうだった。
254: 名前:刹那☆12/09(水) 20:56:04
そんな気持ちを抑える。
笑い出さないように口をおさえた。
「香織……?大丈夫!?」
みんなには、吐くのをとめているように見えているみたい。
背中をさすってくれる者もいた。
あらあら、みんな優しいね。
こんな私の為に……?
「おい花咲、透は……どうしたんだ?」
「だから……死んじゃったの!」
255: 名前:刹那☆12/09(水) 21:02:51
「死んだ……?」
「透君……責任感じてたんだよ……ッ?」
私は震える声で言う。
もちろん演技だけどね。
「沙菜ちゃんや、エミリー先生が死んじゃったのも……全部……俺があんな指示を出したからだって……!全部、俺のせいなんだって……!!」
作り話……。
「透……冗談だろ……?」
信じ込んでしまうみんなはバカね。
「透……透透透透~~~~ッッ!!」
は……?
バカでしょ、あんた本当に。
急に叫びだしちゃって。
256: 名前:刹那☆12/09(水) 21:12:57
確かこいつは……思い出した。
高橋達哉……。
えっと……透とは違ってクラスの落ちこぼれ。
成績はサイアク。
でも正義感は人一倍。
う~ん……ジャ○アンみたいな存在かしら?
こいつ……達哉は透に憧れてたんだ。
ちょっと荒っぽいけど、強い透に。
ほんと……似たものどうしね?
「俺が……透の意思をついでやる……!」
達哉が言った。
259: 名前:刹那☆12/10(木) 21:09:44
「つぐ……?」
「落ちこぼれのお前がどうやってつぐんだよ!」
達哉君は落ちこぼれと言われたら、本来「うるせぇッ!」……って怒るハズ。
でも今はそれどころじゃないみたいね。
「透は悠を殺した犯人を見つけるって言ってただろ?」
達哉君は得意げに話す。
「それが何だよ」
男子の一人が機嫌悪く言う。
「だから俺も犯人を捜すんだよ!」
人差し指を突き立てて言った。
「さすが俺……」
と、つぶやいて前髪をかきあげた。
「何それ!」
「あ~……さすがクラス1の落ちこぼれは違うなぁ!?」
いかにも喧嘩を売ってますよ~的な言い方だ。
「んだとゴルァ!もっかい言ってみろぉ!!」
うわ……。
始まったよ。
あんなことするから……。
260: 名前:刹那☆12/14(月) 21:09:05
「ま…まぁまぁまぁ!」
私は2人の間に入ってとめる。
「おいッ…何すんだよ花咲!」
「そうだッ、こんなこと言われて黙ってられるかよ!」
あら、意見は合うんだ。
「本当のことを言ったんじゃねぇか!このマヌケ!!」
「ん…だとぉ……!?」
また喧嘩を始める。
「ちょっと待ってってば!」
何回言えば分かるの?
「いいんじゃない?つぐの」
私は達哉君に言った。
だが隣の男子も黙っていなかった。
261: 名前:刹那☆12/14(月) 21:12:11
「ちょ…花咲!こいつの肩持つ気かよ!」
「いいじゃない?おもしろそうだし」
「何だよそれ……!」
周りのみんなは黙ってみてるだけ。
時々「どうする?」って声もちらほら聞こえてくるけど。
「それに……悠の犯人が見つかるんでしょ?」
私は言った。
ま、見つかるわけないけど。
落ちこぼれの君ならなおさらね。
262: 名前:刹那☆12/14(月) 21:20:35
「まぁ…達哉君の学習能力も上がるわけだし…一石二鳥じゃない」
「な……花咲まで俺をバカにするのか!?」
今度は達哉君が言った。
何もう…めんどくさい…。
「そんなこと言ってない。賢くなれるよ?」
「そ…れは本当か?よっしゃ、やるぜぃ!」
以外と……単純よね。
「ね?みんないいでしょ~?」
私はみんなに呼びかける。
「いいんじゃな~い?」
「良かったね~達哉君。賢くなれるよ~…ある意味」
みんなからも賛成の声が出る。
達哉君はその声に答えるように手をあげている。
「ど~もど~も!」
ある意味の意味も知らずに……。
263: 名前:刹那☆12/17(木) 22:38:48
探したければ勝手に探せばいい。
どうせ見つかるはずないんだから。
もうこんな所には付き合ってられない。
私は授業……と思われるものを休むことにした。
世間で言えばいわゆる「ボイコット」や「サボり」というものだ。
くだらない……。
私は屋上に足を運ぶことにした。
途中であの男子に
「そうカッカしないでよ。だってあの達哉君だもんね?」
と、つぶやいておいた。
男子はびっくりした顔をして、私を見送った。
後ろからはまだ達哉の騒ぐ声が聞こえていた。
264: 名前:刹那☆12/19(土) 22:43:43
☆達哉SIDE☆
「おっしゃ!そうと決まれば行動あるのみだ!」
まず透の意志を次ぐには…
「おいおまえら!学校内、外!全部見回りしろ!んで何か見つけたら俺に伝えろ!」
俺はみんなにそう言った。
そしたらみんなから反論の声が返ってきた。
「なんで俺らがしなきゃなんないんだよ!」
「透クンとやってること同じじゃない!」
……どこがいけなかったんだ?
腕を組んで、頭をいっぱい使って考えてみる。
思い当たる節がない。
265: 名前:刹那☆12/20(日) 22:26:36
☆香織SIDE☆
私は屋上へと続く階段を上っていた。
そしてドアを開ける。
「ギィィッ……」と重い音がした。
同時に光が飛び出す。
私はコンクリートに体を授ける。
多少汚れるがそんなことはどうでもいい。
そしてこれからのことを考えてみた。
つまらなくなってきそう……。
今日の空はこんなに青かったかしら…。
しばらく空を見つめてみる。
清らかな青色。
この青を赤に変えてみたらどうだろう……。
「そうだ!」
266: 名前:刹那☆12/20(日) 22:30:05
泣き喚く子供。
かばう大人。
呆気にとられる者。
ただ立っているだけの者。
赤い液体。
甲高い悲鳴。
そして……ナイフを持った私……。
まさにパラダイスね。
みんなにとっては地獄かしら……?
完璧ね。全部。
267: 名前:刹那☆12/20(日) 22:33:11
私は屋上を後にした。
雨が降り出し、雲が一つ流れてきた。
今まで止まっていたものが、再び動き出した。
最初から考えればよかったことなのに。
鼓動が早まってゆく。
同時に私の足も動き出した。
そして、時が……動き出した。
最終更新:2010年07月25日 21:09