273: 名前:刹那☆12/24(木) 21:29:37
番外編 inクリスマス
.。.:*・゚+.。.:*・゚+.。.:*・゚+.。.:*・゚+.。.:*・゚+.。.:*・゚+
香織SIDE☆
「もうクリスマスかぁ……」
私は窓の外を見た。
しんしんと雪が降り、あたり一面真っ白だった。
そして冬ならではの寒さに包まれる。
ベットから出たくない気分。
……悠が生きてたら、今日は悠と一緒に過ごしてたのかな。
そう思いながらも、私は着替え始める。
いざ外に出てみるとやっぱり寒い。
気分転換に、出かけようかな?
私は部屋に戻り、かばんをつかんだ。
「いってきま~す」
一応、声をかけて私は歩み始めた。
街はカップルや家族でにぎわっていた。
私はふと小さい頃を思い出す。
274: 名前:刹那☆12/24(木) 21:42:03
「なぁ、香織。勉強教えてくれよ」
「え~…何で?」
「俺バカだしさ!大きくなったら賢くなって、香織を迎えに行くから!」
「へ?迎えにくるって……」
「俺、引っ越すんだ。でも必ず帰ってきて、香織を迎えに行く!」
「やだ…やだよぉ。行かないで~……」
「なッ…泣くなよ~」
「絶対…絶対だよ?忘れてたら……」
「忘れるわけないだろ?」
「じゃあ…指きり」
「「ゆ~びき~りげ~んま~ん……」」
何年前だろう……ちょうどクリスマスの日。
あの後、男の子は雪でだるまをつくってくれた。
幼い頃のクリスマスプレゼント。
3日で消えちゃったけどね。
もう、顔も覚えていない男の子。
約束……守ってくれてるのかな……。
279: 名前:刹那☆12/25(金) 21:16:29
もう…買い物する気なくしたかも。
やっぱり、家に戻ろう……。
何て複雑な気分なの?
なんだか心がもやもやしている。
「はぁ……」
深いため息が漏れた。
重い足を一歩ずつ前へと進める。
「……あれ?」
一人の男の人が、家の前でうろついている。
ここ…確かに私の家だよね?
表札を確かめてみる。
ちゃんと「花咲」としるされている。
とりあえず声をかけてみることにした。
「あの~……」
280: 名前:刹那☆12/25(金) 21:21:37
「ぅわッッ!!」
男の人は体を弾ませた。
失礼な……。
「あ…あれ?達哉…君?」
目の前にいるのは、明らかに達哉だった。
「よ…よう!」
そう片手をあげてこっちにむかってきた。
「どうしてこんな所に…?やだッ、鼻真っ赤だし!トナカイ?」
な~んて冷やかしてみる。
「これ……忘れもん」
と、達哉君が私の手に白い紙を渡す。
紙には「冬休み提出物一覧」とかかれていた。
「……サイアクなクリスマスプレゼントね……」
私は苦笑いした。
つられて達哉君も。
「もっといいプレゼントが良かったか?」
達哉君がふいに問いかけてきた。
283: 名前:刹那☆12/25(金) 21:26:23
「へ?」
「ほら!これやるよ」
達哉君はそう行って白い雪をかき集め出した。
出来上がったのは、手のひらサイズの雪だるま。
私はふと小さいころを思い出した。
「これ……」
「いいだろ~ッッ、俺特製の雪だるまだぜ?」
そういって達哉君は鼻をかいた。
「じゃあ、サンタさんからプレゼントしなきゃね」
私は達哉君の耳に唇を近づけた。
285: 名前:刹那☆12/25(金) 21:30:50
「ば~か。誰がキスなんかするかっつ~の!プレゼントもしないしッ」
と、ささやいておいた。
達哉君は驚いてるみたいだけど。
「ありがとう」
お礼は言わなきゃね。
「おう。じゃあな」
達哉君は帰っていった。
白い雪の上に達哉君の影だけが残っていた。
番外編END1
286: 名前:刹那☆12/25(金) 21:35:33 HOST:so5-1.cty-net.ne.jp
もらった雪だるま。
白くてきれい。
形はデコボコでサイアクだけどね。
私は絵の具を用意して、赤いのを一つ。
雪だるまの上に落としてみた。
じわぁッっとひろがって……
まるで頭から「血」がでてるみたいよね。
私はしばらくその状況を楽しんだ。
まぁ、この雪だるまも3日で消えちゃったけどね!
番外編END2
最終更新:2010年07月25日 21:11