291: 名前:刹那☆12/27(日) 21:40:28
「…といいつつも」
さっきからノートとにらめっこばっかじゃない。
いい案が浮かんでこない。
この後の惨劇は思い浮かんでくるのに。
「……」
ノートに一行目に「奈々」と書いてみる。
その後に「彼氏を奪う」と続けた。
とりあえずここまで葬ってきた人の名前を書いてみた。
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悠 浮気
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愛 暴言
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沙菜 何でだろう…
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エミリー チクり
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透 あの日のコト
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その他 私をなめる
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…出来上がった。
292: 名前:刹那☆12/29(火) 21:33:43
「香織~、ご飯が出来たわよ~!」
お母さんの声が2階まで聞こえてきた。
「は~い!」
と、適当に返事をしてまたノートに向かう。
何だかトイレに行きたくなった。
「香織~? 何してるの~?」
短気なお母さん…とつぶやいてからトイレに向かった。
「はぁ…ご飯ご飯っと!」
私はトイレを済ませ、食卓に向かう。
だが途中で私の部屋のドアがいきなり開いた。
「ひ……!」
このドアは外から引く仕組みになっているのに……。
私は一切ノブには触れていない。
おそるおそる前を見てみるとそこにはお母さんが立っていた。
「おかあ……さん?」
293: 名前:刹那☆12/29(火) 21:37:21
「お母さん…こんなとこで何……してるの?」
何でお母さんが……。
まさか!
私は自分の机の上を見た。
ない……。
ノートが……ない。
「何を気にしているの?」
お母さんが二コリと笑って問う。
「もしかして、これを探しているのかしら?」
そう言ったお母さんの右手にはノートがあった。
「それは……!」
294: 名前:刹那☆12/29(火) 21:41:42
私は必死にお母さんの手からノートを取り返そうとする。
でもお母さんはヒョイッと避ける。
もう少し私に、身長があったら……!
つくづく自分の背の低さに腹が立った。
「香織がなかなか来ないと思って、見にきたら……」
お母さんはあのページを開けた。
「親に内緒でこんなことやってたのね」
さっきまでの笑顔が失われた。
今の私に向けられるのは……冷たく遠い眼差し。
昔と変わらない。
あの眼差しに私は怯えてきた。
何年も耐えてきた。
295: 名前:刹那☆12/29(火) 21:47:01
でも……私は負けない。
「悪い子ね。私、そんな子に育てた覚えがないんだけど」
お母さんはそう言ってフッと笑った。
「……私の計画を邪魔するワケ?」
恐い者なんて何もない。
「邪魔スルヤツハ消シテシマエバイイ」
片言で私は言う。
「それは……!」
「覚えてる? お母さんが私に教えた言葉だよ」
覚えてる?
覚えてるワケないわよね。
こんな母親が。
自分勝手で自己中な母親が。
296: 名前:刹那☆12/30(水) 21:59:38
「最高だよね。この計画」
私はお母さんからノートを取り戻す。
「この計画を邪魔する? それはたとえ私の親でも許さない」
だからね? お母さん。
「あんたも消える?」
私は薄い笑みを浮かべて言った。
「な……ッ!」
お母さんの顔が赤くなった。
「この子は……!親に向かってなんてこと言うのッ!!」
パァンッ――!!
次の瞬間私の頬に何かが当たった。
痛い……。
頬にわずかな鈍い痛みが走る。
私を……ぶった……?
297: 名前:刹那☆12/31(木) 21:52:01
「な……ぶったの? この……私を?」
私は頬を手で押さえて言った。
赤く、お母さんの手の平の跡がついた頬。
まだわずかに痛みが残る。
「この私? 何あんた。いつからそんなに偉そうになったの?」
手の平が宙に舞った。
もう一度ぶたれたのだ。
でも痛みはそれほど感じなくなっていた。
「もういいわ。今夜は夕飯抜きよ」
そう吐き捨てて去った母親。
「全く……いつからそんな子になったのかしら」
お母さんの言葉が心に染みる。
298: 名前:刹那☆12/31(木) 21:59:15
憎い……。
恨めしい……。
色々な感情が頭の中を駆け巡る。
ビリッッ……!!
私はノートの1ページを破った。
更にそのページも破る。
ビリビリ……。
もう文字も分からないほどに破る。
「フッ……木端微塵ね」
もうあんな計画はどうでもいい。
それより……
「花咲真里」
私も母親。
でもあんなの母親ではない。
偽りの母親。
お前を……
「殺してあげる!!」
299: 名前:刹那☆12/31(木) 22:12:35
充血した目。
裂ける程開いた口。
私は興奮していた。
そしてあのノートを開く。
「花咲真里……徹底的に追い詰めてやる」
別に一日くらい、食べなくても生きていける。
それとも……血でも飲もうかしら?
私の血でもなくて、程々に熟した方がおいしいわよね。
「どうやって殺害しようかしら?」
楽しい楽しい時間。
家族とご飯を食べるよりもこうしている方がずっといい。
そもそも、私に家族なんていないけどね。
あんなの……家族じゃない。
「首を絞める……電気コード……感電……殺害」
……だめ。
あの人はそんなことで殺せない。
もっと……徹底的に考えないと。
302: 名前:刹那☆01/01(金) 21:44:25
301!←何??
☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*☆
私は悔しいけど母親似。
好きなものも嫌いなものも同じ。
悪いけどそれを利用させてもらうわ。
「私の嫌いなもの……」
思い浮かべてみる。
そうしたら虫が思い浮かんできた。
かばんの中にヘビとか?
味噌汁に芋虫とかどうかしら?
フフッ……驚いた顔が目に浮かぶわ。
でもどうやってつかまえようかしら……。
私も芋虫もヘビも嫌いだし……。
……そうだ!
あいつがいたわ……。
304: 名前:刹那☆01/01(金) 21:54:07
☆達哉SIDE☆
「達哉~? ガールフレンドが来てくれたわよぉッ!」
「んぁ?」
下の階から姉貴のけたたましい声が聞こえてくる。
うっせ~なぁ。
今、やっとまぶたが重くなってきたとこなのによぉ~……。
しぶしぶ俺は階段を下りていく。
「このぉ、やるじゃない達哉ッ! いつからあんな可愛い子、手につけたのよぉッ」
姉貴がひじで俺をつついてくる……。
くそッ!
年下だからってからかいやがって……。
いつか絶対、仕返ししてやる……!
にしても、誰なんだ?
俺にガールフレンドなんて……。
305: 名前:刹那☆01/01(金) 22:00:36
「た~つや君ッ!」
「は…花咲……ッ!?」
何でこんな時間に?
「てか香織でいい。何かくすぐったいからその花咲っていうのはやめてね?」
いきなり面を食らってしまった。
ほんと……
「昔っから変わってないよなぁ」
「ん? 何か言った?」
そういって首をかしげる香織。
あり?
声に出てたらしい……。
「……で? 俺に何か用でもあんの?」
「うん、あのね? お願いがあるんだ」
珍しいな。
香織がこの俺に頼みごとをするなんて……。
「宿題か? 俺バカだからやんね~」
「そうじゃなくて……」
「じゃあ何だよ……」
勉強以外の頼みごとか?
俺に出来ることならやるけどさ。
306: 名前:刹那☆01/01(金) 22:07:07
「達哉君って小さい頃、虫取り大好きだったじゃない?」
虫取り……?
何でいきなり虫なんだ……?
「だからね? 捕まえてほしいの」
捕まえる?
虫? 虫をか?
「虫取りは得意だけど……何捕まえるんだよ?」
大体香織って虫、大嫌いだったはずじゃ……。
香織はにっこりと笑って、両腕を組んだ。
「芋虫とヘビ」
い……芋虫と……へ、ヘビ?
「な……何でだよ! そんな気持ち悪ィもん捕まえらんね~よッ!」
「宿題見せてあげるから」
「うぐ……」
香織のやつ、俺の弱点ついてきやがる。
でも虫取りと勉強だったら、断然虫取りをとる。
てかこいつ……。
完全に俺のこと忘れてんな?
昔あんなに仲良かったのに……。
毎日遊んだくらいなのに……。
俺が「幼馴染」だってこと……完全に忘れてやがる。
315: 名前:刹那☆01/08(金) 21:13:18
☆香織SIDE☆
「ほ…ホントに大丈夫なの?」
「大丈夫だって! 俺ンちの畑だかんな!」
そう言って達哉は土を掘り始めた。
こんな夜なんですけど……いるの?
あたりに飛び散る土。
風は真冬なだけに、手が凍えそうなくらい。
「いたぜ! 芋虫だ!」
その時、達哉が叫んだ。
芋虫をつかんで、私の目の前で見せる。
「い……やぁぁぁ!!」
私は達哉の手を振り払った。
そして5メートル先まで走って逃げる。
「そ、それ以上近づいて来ないでよね! もし来たら……」
ハァハァと息が漏れた。
やっぱり……虫は苦手だわ……。
「ちぇッ! おもしろかったのにな」
316: 名前:刹那☆01/09(土) 20:58:01
達哉は私が見守る中で、次々と虫を捕まえていく。
「おっし、出来た!」
ふ~ん……。
やれば出来るのね。
「ちょっとだけ……見直したかな」
私はそう呟いて、達哉に近づく。
「ほれ」
達哉は私に虫の入ったビンを渡した。
芋虫の緑でいっぱいのビンを。
でも蓋は、今にも取れそうになってる。
「あんたね……限度っていうのを知らないの?」
気持ち悪いから、私は手袋を取り出し、はめる。
「限度……うまいのそれ」
……バカは何を言ってもダメね。
ため息が出る。
それは白く染まり、やがて空に消えていった。
317: 名前:刹那☆01/09(土) 21:05:56
「今日はココら辺でやめとくか」
「そうね、帰りましょう」
なぜか達哉の前では猫をかぶらない私。
かぶれない……。
まぁ、達哉も気付かないんだけど。
「親にも怒られ……」
そこまで言いかけてやめた。
「ん? 親がどうしたんだよ」
達哉が不思議そうに問いかけてくる。
「何で芋虫なんかとる必要があるんだ?」
次々と質問攻めされる。
達哉はバカなハズなのに……。
なぜか鋭い。
……そこも透君の真似かしら?
「……そうね。親は虫が嫌いだから」
私は静かにそう言った。
320: 名前:刹那☆01/10(日) 21:21:40
「正確には……親が嫌いだから…かな」
一つの風が吹いた。
「……親? おまえ…親に何したんだ?」
何もしてない……。
でも……
「ぶたれた。しかも2回」
「は? 仕返しか?」
仕返し……か。
どうせ達哉のことだから、簡単な仕返しと思ってるんでしょうね。
「おっし!」
突然、達哉が叫んだ。
よこでガッツポーズをとる達哉。
「な……何?」
「俺もその仕返し手伝う!」
達哉はいたずらっこな笑みを浮かべた。
は…ああ!?
最終更新:2010年07月25日 21:14