358: 名前:刹那☆01/25(月) 21:20:19
「
一人で喋る達也は放っておいて……。
あの親は虫じゃダメ。
じゃあ…どうやって殺る?
一応ナイフと……。
私はポケットの中に手をつっこむ。
よし、ちゃんとあるわ。
あとは……。
剣山……。
剣山なんてどうかしら。
「だから、おはようなんだよ!」
「ねぇ、達也君。今すぐ剣山を用意して」
「は?」
「剣山を用意して」
早く、私の体がいうことをきかない。
カクカクと小刻みに震える私の身体は、
『殺リタイ』
と、語っているようだった。
359: 名前:刹那☆01/25(月) 21:26:34
「達也君のお姉さん、華道やってたでしょ? 持ってきて」
「いいけど…どうすんだ? そんなの」
何て想像力がないの。
「当たり前でしょ? 刺す」
私の瞳に闇がやどった。
達也は一瞬、とまどった顔をみせたけど、
「……分かった」
と、頷いてくれる。
「あとは、硝酸は私が用意するわ」
「しゅ~まい?」
達也のよだれがポタッと、地面に落ちる。
360: 名前:刹那☆01/25(月) 21:32:30
達也SIDE☆
「あ、あと!」
家に戻ろうとした俺を、香織が呼び止める。
「扇風機も用意してね~!」
扇風機……?
「アザッス!」
「意味ないかもしれないけど~!」
意味がない……?
扇風機なんて、何に使うんだ……?
香織はしゅ~まいを用意するって言ってたけど……。
何でだ? 食べんのか?
香織ってお腹、すいてんのかな……。
よし!
「お菓子持ってこ!」
363: 名前:刹那☆01/28(木) 21:37:38
達也SIDE☆
「え~と、剣山…剣山…」
姉貴に見つからないように、俺は押入れの中の探る。
しかも、真っ暗だから手探り。
あんなチクチクしてるもの、当たったら痛いに決まってる。
指先に神経を集中させた。
「ぐが~……」
このやろう。
姉貴のいびきのせいで、集中できない!
その時、俺の頭に何か当たった。
「痛ててて……何だよッ!」
俺は「それ」を拾い上げた。
け……剣山……。
あっぶね~、怪我でもしたらどうしてくれんだよ。
俺の額から、冷や汗が流れた。
366: 名前:刹那☆01/30(土) 21:51:03
でも、剣山は見つかったことだし!
危なかったけど……。
俺はお菓子を取りに、棚へ向かう。
「ぎゃあッ!!」
んで、何かにつまづく。
ズデーンと、前にすべった。
「うがぁ!! 何でだよ!!」
ムグッと、倒れた体から顔だけをあげる。
何で今日はこんなについてないんだぁ~……?
と、気がついたら目の前にドーナツがあった。
367: 名前:刹那☆01/30(土) 21:55:01
封はもう、切ってある。
横に寝てる、姉貴を見た。
わずかだが、口の周りに食べかすが残っている。
「……太るぞ」
てか、もう太ってるし~!
てゆ~か、このドーナツ何だよ!
隣町にある、有名なドーナツ屋じゃね~か!
パッケージの裏を見ると、
「伝説のできるドーナツ屋、うさみん」
と、記されてある。
店長……どんなネーミングセンスしてんだよ!
まぁ、いいか。
これをもっていこう!
香織、喜ぶだろ~なぁ……。
373: 名前:刹那☆02/10(水) 21:17:55
香織SADE☆
「お~い、香織ィ!」
向こうから、達也が走ってくる。
何かいろいろ腕に抱えて。
「香織! ドーナツもってきたぞ、隣町の超有名な店のやつ!」
と、一気に喋って息を荒らす。
何でドーナツ……?
「ありがとう」
達也の顔がパッと明るくなる。
「でも……食べかけはいらないわ」
それを聞いた瞬間に、青ざめる達也。
「俺のじゃないよ、姉貴のだよ」
「いらないわ」
「せっかく持ってきたのに~……」
ぷく~と、ふぐのように頬を膨らませた。
374: 名前:刹那☆02/10(水) 21:22:25
「あ、ねぇ達也君!」
「あ?」
不機嫌そうに私をみる。
「あのね、今度そのお姉さんに、生け花教えてねって言っといて」
「何で?」
即答された。
「後になったら分かる」
ちゃ~んと、計画はしてある。
実行するのが、楽しみでしょうがないわ。
「あ、そだ! 香織しゅうまいは?」
「は?」
何でそんなこと言うの?
「しゅうまい持ってくるって言ってたじゃん」
アンタは……もう……。
「私は硝酸って言ったのよ! 硝酸!」
375: 名前:刹那☆02/10(水) 21:28:02
「小3? お前って兄弟いたっけ?」
さすが、落ちこぼれね。
笑えてくるかも。
「あのさ、髪の毛一本ちょうだい」
言ってからすぐに達也の頭に手を伸ばす。
そして、プチッと一本ちぎる。
「痛ッ」
「いい? 見ててよ」
私は地面に、髪の毛を落とし、硝酸の入ったビンの蓋を慎重に開ける。
そして一滴、髪の毛に落とした。
静かに溶ける髪の毛。
その光景に達也は、声をあげる。
「俺の髪の毛! 溶けた!」
そう言ってはしゃぐ、達也は幼稚園の子供みたいだった。
「で、どうすんだ? これ」
378: 名前:刹那☆02/19(金) 21:14:26
「これは……決まってるじゃない。親の目にかけるわ」
「え! そんなコトしたら目ェ溶けるぞ……?」
「それが狙いなのよ!」
ホント、脳内幼稚園児。
それくらい理解してよね。
「ついでに失明の可能性もあり。ナイス、私!」
寝込みを襲おうかしら……?
達也はあまり使えないからいらない。
使える時だけ利用させてもらいましょ。
「てゆ~か、もう一時なんだけど……」
私は公園の時計を指差す。
まだ辺りは真っ暗で、静けさが更に増す。
385: 名前:刹那☆03/06(土) 21:20:10
「……作戦実行は、明日にしましょ」
そう達也に言っておいた。
「明日? 早すぎるんじゃねぇ?」
だって私にとっては、早い方がいいんだもん。
それに……
「あんた忘れっぽいし。早い方がいいでしょ」
「なッ、何ィ~!?」
達也の右手が顔面めがけて、飛んできた。
私はそれをサッとよけて、逃げる。
当然、達也も追いかけてきた。
「それ以上、近づくと酸かけるわよ!」
と、ビンを見せた。
「ぐ……」
達也の足が止まる。
……単純なヤツ。
386: 名前:刹那☆03/06(土) 21:31:08
「そんなことしたら、親を殺せなくなるぞ……」
「あ、あんたね……」
達也も考えるときは考えるらしい。
「ああ、明日は寝込みを襲うから」
「え……」
達也が唖然とした顔で、私を見た。
「何その目。言っとくけど殺るんだからね? アンタはついてこなくていいから」
「それじゃ俺、この企画に協力した意味ねーじゃねーか」
と、達也はすねてしまう。
私は言った。
「あら。アンタでもちゃんと役に立ってるわよ」
私はポケットに手を突っ込んだ。
「どこが……あ!」
私の手には剣山が握られていた。
達也は「あれ? どこいった?」と言いながら、ポケットの中を探しまくる。
「ちゃ~んともらったわよ」
私は得意げな顔で笑った。
最終更新:2010年08月10日 00:47