452: 名前:刹那☆04/18(日) 20:39:00
「うまそ~ッ」
いたって普通の、いや一般的な家庭で用いられる和風の朝食。
そう白いご飯に味噌汁。そして漬物。
久しぶりに見た。
最近、コンビ二で買って食べていたから。
「「いただきます」」
口をそろえて、右手に箸を持つ。
その箸でご飯を掴み、口に運んだ。
……おいしい。
やっぱり、久しぶりだった。
これが、「おふくろの味」というもの?
453: 名前:刹那☆04/18(日) 20:45:03
達也君はというと、ズズズッと下品な音を出しては味噌汁をすする。
続いてガツガツと達也君の口とご飯の入った茶碗の間を、すごいスピードで箸が駆け抜けた。
あっという間に完食。
「どう? お口にあったかしら」
猫かぶりしやがって。
「うまいッス! 最高ッス!」
と、泣きながらお母さんに答えていた。
「そう。それは良かったわぁ」
お母さんは食器を片付け始める。
カチャカチャ――……。
そんな音質がしばらく台所に響いていた。
457: 名前:刹那☆04/20(火) 20:41:32
「俺も手伝うッス!」
「あらそう? 助かるわぁ」
達也君は洗い場に駆けていった。
私は私は何も言わずに、自分の部屋へ。
何かいやか予感がする――……。
お母さんと何もなかったらいいんだけど。
「まぁいいわ」
そう呟いて、今夜の準備をする。
机の上に並べたのは……。
剣山にナイフ。それに硝酸。とうがらし。
とうがらしは一応。
台所から盗んできてやった。
まぁ、使わないと思うけど、一応……ね。
459: 名前:刹那☆04/22(木) 20:45:42
今夜、あいつを消せると思うと体中が痒くなる。
それは私の本能なのか、分からないが。
私にはお父さんがいない。
私は生まれて、少ししてから離婚したんだって。
それは私が‘‘あの言葉,,を教えられた後だ。
だから、心配する必要はない。
今は海外で働いているとしか、いいようがないんだもの。
「ックックック……」
口から笑い声が漏れる。
ふと鏡を見ると、私の顔がふやけた感じのような。
目は三日月に。口は耳まで裂ける。
私にあの言葉を教えてくれたのは親。
その親をあの言葉で消せるのよ?
460: 名前:刹那☆04/22(木) 20:52:47
この耳で、あいつの悲鳴が聞ける。
この目で、あいつの悲惨な姿が見れる。
この手で、あいつを……。
今夜は、最高の夜になりそうね。
机の上のナイフを手に取った。
私はその刃の先を指でなぞる。
そしてその指を見てみると、ツーッとなめらかに血が流れた。
「フフッ……フフフフッ……」
止められなかった。
血のことではない。
この時の私の気は、まさに絶頂に達した気分だった。
私は、もう一度笑みをこぼして、ぺ□リと、その血を舐めた。
465: 名前:刹那☆05/03(月) 23:12:17
「ひー、冷てェ」
両手に息をかけながら、そう発して、私の部屋に入ってくる。
そして堂々とベットにダイブした。
なれなれしい……。
やっぱり、泊めるんじゃなかったかしら。
「ん? 何だそれ」
達也君は、私の机の上を指指して言った。
ベットから降りて、私の隣に来て、そして机の上を確認する。
「うわッ、何だこれ! ぶっそうな物ばっかじゃん」
そう言って、目を泳がせた。
「そのぶっそうな物を持ってきたのは誰よ」
そんな達也君に私は反発した。
468: 名前:刹那☆05/06(木) 20:46:56
「これは……! か、香織……が」
そう達也君が言った時、私は剣山を手に取り、達也君の首に回した。
ギラリと光る針は、達也君のしっかりした首でも貫通しそうだった。
まぁ、そんなに長い針ではないけど。
「これを、持ってきたのは?」
私は達也君の耳にそう囁く。
「そ、それは……。香織が持って来いって……」
「でも達也君は、断らなかった」
「…………」
何も言えないみたい。
私は首に回していた手を、戻す。
安心したように、ハァ……とため息をつく達也君。
469: 名前:刹那☆05/09(日) 21:55:16
「いい? 犯行は深夜2時。ナイフと硝酸、剣山を持ってお母さんの部屋に、忍び込むわ」
「え?」
突然の私の言葉に驚いた達也君。
「何よ」
「唐辛子は、どうなんだよ」
そう聞いてきたので、私は手袋を右手にはめて唐辛子を持った。
そしてパキッと2つに割る。
「唐辛子が気になるの? それは――……」
それを達也君の目、いや、まぶたにくっつけた。
「こうするの」
私は笑って、言った。
「ちょ、何すんだよ!」
そう発して、私から距離をとる。
クスクスと笑い続ける私に
「何笑ってんだよ! うわ、何だこれ……」
達也君は右手で目をおさえる。
470: 名前:刹那☆05/13(木) 22:08:54
「辛い! 香織何したんだよ!」
そう言って、目を閉じたり開いたり。
かいたり、たたいたり。
でもちょっと日本語間違ってると思うの。
「痛い……じゃない?」
私がそう言ったら、すぐに達也君は反応した。
「痛い、痛い! だからはやく何とかしろ!」
「むり。せいぜい一時間くらい頑張りなさい」
私はそういい捨てて、再度机に向かった。
「ああ、忘れていた」
私は右手にはめていた、ゴム手袋を見た。
それを器用に取って、ぐしゃぐしゃと丸める。
そして最後にはゴミ箱へポイ。
471: 名前:刹那☆05/13(木) 22:14:43
その様子を見ていたのか、達也が口を開く。
「香織、それ……捨てるのか?」
ゴミ箱を指差して言った。
私はハァ、とため息をついて返す。
「捨てるわよ。それが当たり前でしょ?」
「でも、まだ使えるだろ」
私の言葉にムッと言い返す。
「使えない物はいらない。だから捨てる」
私は回転イスでくるくる回りながら言った。
「それに他にも駒はあるってこと」
そろそろ酔ってきそうだから、私はキュッと物音を立てて止まった。
「それとも」
右手に持ったシャープペンシルの先を達也君に向けて言った。
472: 名前:刹那☆05/13(木) 22:21:19
達也君は何のことなのかさっぱり分からないようだった。
だから私も少しの間、何も言わなかった。
シャープペンシルにつけたキーホルダーがゆれる。
でもその少しの間の沈黙が、私を逆に苛立たせる。
キーホルダーがコンッと床に落ちたとき、私はそれを合図に言った。
「アンタモイラナイモノニナル?」
「…………?」
口をパカッとあけた達也君は、まだまだ理解が出来ていないみたい。
でもその数秒後、やっと理解したみたいで、顔色を悪くした。
「あ……‘‘イラナイモノ,,……?」
私はその言葉を聞いて、二ィッと笑った。
また少しの沈黙が流れた。
473: 名前:刹那☆05/13(木) 22:26:41
達也君はその場に立った。
行動が読めなかったから、しばらくそのままの体勢でいた。
そしたら、私の目の前まできて止まる。
「香織……」
急に私の目の前まで、達也君の右手が迫ってきた。
その手は私の頬に移動し、優しく包み込む。
達也君を見てみると、しっかりと私を見据えている。
そのゆるぎない、力強い瞳は、今だけは吸い込まれそうな勢いで。
いつもなら何よ、って言い返す私が言い返せなかった。
何も言えなかった。
達也君だって何だよ、って私から目を逸らすはずなのに……。
今は、まっすぐに私の目を見ている。
474: 名前:刹那☆05/13(木) 22:33:34
達也君の目は……その瞳の光は、ゆらゆらゆらいでいた。
その瞳の中は私が映っていて。
まゆを少し下げて、悲しそうに微笑んだ。
何よ……、その目は……。
その瞳は、私を哀れんでいるの?
私は今すぐにでも達也君の手を振り払いたかったけど、それも出来ない。
何故ならその時だけ、金縛りにあったように、体が動かなかった。
そう、ただ、達也君の目を見ることしか。
達也君は、右手を離して、その場にしゃがんだ。
さっき落ちたキーホルダーを取ったのだ。
そして私の手からシャープペンシルを取った。
不器用ながらも、キーホルダーをはめて、私に渡してくれる。
「香織……」
こんな達也君をみたのは初めてだった。
475: 名前:刹那☆05/13(木) 22:38:35
「香織。この世にいらない人間いや、いらない生物なんていないんだよ」
そしてこう続けた。
「無論、俺もな」
決まったー! みたいな感じで達也君は心の中でガッツポーズをしただろう。
顔には出さなかったが。
ちょっとかっこいい言い方しちゃってるけど、それは通用しないよ。
ましてや日本語がなってない達也君に言われても、説得力がない。
達也君はそれだけ言って、
「寝る」
と一言。
そうしてこれまた人のベットに潜り込んでグーグーと鼾を立てる。
何よ、いいこぶって……。
私は拳を握り締めた。
最終更新:2010年08月10日 00:56