young leaf

2: 名前:葵 (3e6wZ9rNfs)☆10/08(木) 16:44:54
ひとつ付け加え!
カラダ小説版ですが、ストーリー重視なのでとにかくいっぱい裏が読みたい!という方にはおすすめできないかもです…









young leaf








今日から、この学校に通うのか……。






私は橋場莉恵。
顔は、絶世の美女ではないが不細工でもない。要するに普通。
スタイルに至っても普通だが、残念ながら水着がよく映えるような体型ではない。
ここ、西南高校の2年生だ。
といっても、今日から通うことになるのだけれど。

私は中学2年から去年までの二年間、カナダのバンクーバーに住んでいたため編入ということになる。
まあ、それに関する説明は後々物語の中で!



「それにしても……何てでっかいの、この学校は」



私の目の前にどーんとそびえ立つ校舎。某ドラマのお嬢様学校を思い出させる。(何のドラマかって?それは御想像にお任せします)
あっちにいたときも、それなりに綺麗な学校ではあった。
けれど、大きさが全然違う。それに、校舎の建ち方もなんだか洒落ている。
普通、校舎って四角っぽい(?)形だけど、この学校は丸いというか。
「∞」のマークのように二つの丸い校舎が繋がっているといえばいいだろうか?



恐る恐る門を潜り、玄関から中に入り職員室を探す。



(き……緊張する)



昨日の夜もずっと心配で寝られなかったんだってば!
どうしよう、もしクラスにいかにもみんなのボス的な子がいたり、恐ろしい鬼のような形相のヤクザがいたらあああああ!!!



(……というか、)



いつまでたってもたどりつかないんですけど。職員室に。
さっき校内の地図見たのに!どうして着かないんですか!
この学校、建物が丸いから方向感覚失うんだよきっと……。
こ、このままじゃ間に合わない。編入して初日から遅刻とかいう大失態だけは免れなくては。

そのとき、ふと物音がした。そちらのほうに顔を向けると、そこには



『生徒会室』



ドアにはそう書かれている。


3: 名前:葵 (3e6wZ9rNfs)☆10/08(木) 16:56:12


(しめた!ここにいる人に聞こう)


普段の私なら、いきなり知らない学校(といっても今日からここは自分の学校)の生徒会室に入ることを躊躇うだろう、というか普通生徒会室なんかには近寄らない。
だけど編入初っ端の大ピンチに陥っている今、そんなことに構っている暇はない。



「……」



やっぱり、中から音がする。
私は一瞬そのドアを睨んで、ドアをノックした。



――コンコン



ドアが開く瞬間を今か今かと待つ。生徒会室ってことは、中にいるのは生徒だよね?多分。生徒会っていうのは、学校をまとめ様々な企画を提案し実行する、責任感の必要な組織ということで。私みたいな可哀そうな迷える子羊を見たら、助けてくれるに違いない!(自分が方向音痴なだけ)

……そう思っていたのだが、



「遅くない……?」



気づいてないのだろうか、誰も出てくる様子がない。
依然として中に誰かがいる気配はするのだが。
どうしよう、困った。早くしてくれないと……



コンコン!



さっきより大きくドアをノックしてみる。結構強く叩いたからもう気づいたかな……。

そう思いまたしばらく待ってみるも、


(駄目だ、やっぱり出てこない。埒が開かない!入っちゃえ)


元々短気な私の性格に加え、急がなければいけない状況だということが手伝って中に入ることにした。
だってどうすんだよ、いきなり遅刻したら。
明らかに中に誰かいんのに無視するからだぞこのやろう!





ガ チ ャ ッ





「あの、すみませっ……  !!!!!!!???」


4: 名前:葵 (3e6wZ9rNfs)☆10/08(木) 17:18:53
扉を開けた瞬間、言葉の通り私はフリーズした。
だって……だって


「ふっ……あ、ぁ、駄目だよぉ……」

「駄目だァ?こっちの口は素直なのによ」


くちゅっ  (いやああああああああ!!←莉恵の心の叫び)


「はぁぁっん……も、意地悪……」


(何これ何これ!!何がどうなってんの!?なんか男が女に被さってるし!!しかもなんで二人とも制服脱ぎ散らかしてんの、ていうかあんたらここ学校でしょうがーーーー!!!)

ピシャン!!

人生で一番くらいに焦って私は今まで生きていた中で一番の
速さでドアを閉めた。


「!!」


ドアを閉める瞬間、四つん這いに女の上に被さっていた男の顔がほんの少しこちらに目を向けた。
もっとも、私が気付いたと同時にドアを閉めてしまったのだけれど。

(め、目つき悪っ!!目で人殺せるんじゃないの!?嫌な奴)

心臓がドキドキ煩く鳴りやまない。
あまりにも刺激的すぎる光景を目の当たりにし、私はしばらく動けずにいた。

(……は、離れなきゃ。ここ)

やっとのことで立ち上がり、私はふらふらとその場を後にした。
どこをどう歩いたのか自分でもよく分からないが、私は無事職員室にたどり着いたらしい。『教員室』と書かれた部屋の前に立っていた。


「失礼します……」

さっきあんな場面の中に入っていったのだ、初めての職員室(この学校では教員室だっけ?)に入るなんてどうってことない。ああ、変な経験をした。

「あ、橋場さん?」

「ははははい!」

いきなり声をかけられ思わず変な返事をしてしまった。恥ずかしい。

「そう、あなたが橋場莉恵さんね。私は2年3組の担任、笹野由佳です、よろしくね」

「は、はい!あの、じゃあ私は3組ですか……?」

「ええそうよ。そろそろ時間だし、もう行きましょうか」

「はいっ。よろしくお願いします」


綺麗な先生だなあ。色白で小柄でほっそりしてて、少しウェーブがかった長い黒髪をひとつに束ねている。それに、優しそうな目。私、何とかやっていけそうな気がする。


「じゃあ、行きましょう。教室までの道、頑張って覚えてね」

「は、はい」

私は先生の後をついて廊下を歩いた。ふと横を見ると、クラブ活動の実績の賞状などがたくさん掲示されていた。
中でも……


「バスケ部、多いんですねー……」

「ええ、そうよ。うちの学校は全国制覇何回もしてるのよー」

「ぜ、全国制覇!?」

す、すごい……。すごいよそれって!

「キャプテンもまたすごい人なのよね……あ、ここよ三組」

「え!?」

み、道ちゃんと覚えてないんですけど。汗

「じゃあちょっとここで待っててね」

「はい……」


シーーン


私は一人廊下に取り残された。
これからこの教室に入るのだ、とはっと気付いた。
何せ朝からあんな……場面を見てしまったのだ、クラスの心配なんて頭から吹き飛んでしまっていた。

(お、思い出してしまった……)

自然と頬が熱くなってくる。ああもう!

私が一人百面相していると、先生が教室から顔を出した。

「さ、入って」


え、嘘、まだ心の準備出来てないんだけど!!


5: 名前:葵 (3e6wZ9rNfs)☆10/08(木) 17:38:44
こ……これってよくある、お決まりの転入生登場シーン!?
や、やだなあ期待されてそうで……仕方ないけどさ……。
ま、いいや。私はカナダで生活出来たんだもん、日本で生活出来ないわけがない!

がらがら……

情けない音を立てながらドアを開ける。
私は出来るだけ下を向かないように生徒たちの方を見て教室に入った。

(うわあ、好奇心旺盛な顔ばっかりだこと……
ん?一人寝てる奴いるじゃん。なんか、寝られるとそれはそれですごい腹立つなあ)



「橋場莉恵です。カナダに二年間住んでいました、これからよろしくお願いします!」



一気にここまで言った。噛まずに言えて良かった……と内心ほっとしている私。
パチパチパチ……と皆が拍手してくれる。やばい、これだけなのにすごい嬉しいよ。(それが社交辞令みたいなものでもね)

「じゃあ、橋場さん、あの角の席に座ってね」

指定された席まで歩く。そしてそのまますぐに授業が始まった。
すると、隣の席の女の子が勢い込んで話しかけてきた。

「ね、莉恵って呼んでもいい?」

茶色がかった髪に気の強そうな瞳。意志のはっきりしてそうな子だ。私はこういう子が嫌いじゃない、むしろ好きなほうだ。

「うん!全然いいよ」

「あたしは並河沙耶。普通に沙耶って呼んで!」

「ありがとう、よろしくね?」

「こちらこそー」

私は友達を作るのが苦手なタイプではないけど、さすがにちょっと不安だったから沙耶がこうして声をかけてきてくれたことはとても嬉しかった。
その後、私のカナダでの生活のことを色々と話したり、好きな音楽や芸能人など趣味の話もした。
初めての授業なのにあまりまじめに受けなかったけど、授業以上にとても大切な時間になったと思う。
初対面なのに、そう思えないほど打ち解けることが出来た。

(ありがとう、沙耶)

私は心の中でそっと呟いた。


6: 名前:葵 (3e6wZ9rNfs)☆10/08(木) 17:55:23
翌日。

「おはよー莉恵ちゃん」

「おはよう」

朝休みから、結構色んな子が話しかけてくれた。
もう高校生だしね、みんな仲良いんだなー。


なんて、平和な日常を過ごすことになると思っていた私。
事の起こりは昼休みだった。


「あ、あたし教員室に呼び出し食らってたんだった!ちょっと行ってくるわー」

クラスの何人かの女の子達に混ぜてもらいお弁当を食べていると、沙耶がそういってその場を去った。
沙耶は、いわゆる問題児の一人だ。(笑)
決して悪い子じゃないんだよ?他の人よりちょっと髪が茶色かったり、スカートがミニだったりね。その辺の生徒指導を受けるんだろう。(本人いわく慣れてるらしいが)

「頑張ってねー」

「あ、橋場さーん」

「はい?」

教室のドアのところにいたのは担任の由佳先生。
普通教師のことは名字で呼ぶんだろうけど、みんな先生のことは「由佳先生」って呼ぶ。
私はお弁当をしまってそっちに行った。

「今時間大丈夫?あのね、ちょっと生徒会室に行ってほしいの……ていうか行ってもらわないといけないというか」

「せっっ生徒会室ですか!!!??」


頭の中に浮かんでくるのは昨日の朝の、生徒会室での(←これ重要)アレ。
あそこに行くのか……でも、どうして?


「実は……うちの学校の生徒会長は、教師と互角の権利を持つっていう決まりみたいなものがあってね。これから色々とお世話になると思うから、挨拶に」


ちょっと待てい!!何、その変な規則!?
第一、もう二度とあそこに行くのは避けたいと昨日思ったばっかりなんですが。


「い、行かないと駄目なんですか……?」

「んー……行かないときっと後々大変よ~?」

「い、行きます」

なんだか由佳先生が一瞬ブラックに見えました。
優しい人がああいう顔をすると怖い。

「あ、ちなみに生徒会長うちのクラスの人だからね」

そう言い捨てて先生はひらひらと手を振って行ってしまった。
へ!?そ、そうなの?早く言ってよ……なんか由佳先生も謎な人だ。
この学校、結構賢い学校なのに、変な規則もあるもんだなあ。

(仕方ない、行こう。
あれ、普通生徒会長って三年生じゃないのかな……)

ひとまず私は先生に教えてもらった通り、生徒会室の方に向かった。



これからどんな出来事が待ち構えているか何て、何も考えずに。


7: 名前:葵 (3e6wZ9rNfs)☆10/08(木) 18:25:01
(来てしまった)

私、さっきから生徒会室の前で迷っています。
だって、この前不意打ちであんな場面に出くわしてしまったんだよ。誰が好き好んで入りたいと思うだろう。
……でも、入らなきゃいけないんでしょ?
ブラックな笑顔の由佳先生が頭をよぎる。
全身に鳥肌が立った。もう、わかったよ!

こんこん
がちゃっ

「失礼しまーす……」

小さくなりながら入ったものの、誰もいない。
なんだ。あんだけ悩んだのに拍子抜けじゃないか。
先生、今なら会長いるはずって言ってたのに……。
これを良いことにもう逃げちゃおうか?

ふと目をやるとそこにはふかふかそうなソファーが一つ。

(豪華すぎるよ……生徒会室に)

絨毯まで敷いちゃってるよ。ちょ、おかしくない?
教師と互角の権限っていうわけのわからない制度のおかげか。
そう思いつつ何気なくソファーに腰掛けてみたとき。
隣にもうひとつドアがあることに気付いた。
生徒会室の中に、さらに奥につながるドアがあるってことね。

「あ……そこにいるのかも」


バタン!!


「ひっ!?」

何の前触れもなく、そのドアが開いた。
突然のことに驚き、私は反射的に身を縮めそちらに顔をやる。

(えーーっと……)

だ、誰だっけ……この人。
思わずその顔に見惚れてしまった。
いまどき死語かもしれないけど、かなりのイケメン。
も、もしかしてこの人が、生徒会長!?
それにしても、どっかのヤンキーみたいな目して……



(………あ、あああああああ!!)

お、思い出した!

「あ、あんたこの前のっ……」

私の口からそんな言葉が勝手にこぼれ出てきた。
あ、馬鹿私。

「あァ?」



……もう皆さんお察しでしょう。そう、こいつはこの前この場所でピーーーを行っていた……あの目つきの悪い男。
た、確かに生徒会室に居たけど……まさかあんなやつが生徒会長だったなんて。


「お前」

びくっ

「はいいい!」

私何度びくついているんだろう。
あ、初めて声聞いた。



「俺、入ってきても良いなんて一言も言った覚えないんだけど」


……え


8: 名前:葵 (3e6wZ9rNfs)☆10/08(木) 19:13:44
(な……)

声のトーンが低い。
ちょ、ちょっと……やばいんじゃないのこれは!?

「ごめんなさいっ」

とりあえず謝っておこう……何もしないよりは、うん、このほうがいい。

「で、お前は?」

こいつ……同じクラスなんじゃないの?なんで知らないわけ!?超失礼。よくこれで生徒会長なんて務まるな。
あ、もしやあのとき教室で寝てたのはこの男か。

「昨日この学校に来た……橋場莉恵です」

「……」

「……」

「……」

何この沈黙。
私すっごい見られちゃってるよ。こんなに(言うのも嫌だけど)美男子に見つめらるの、慣れてないから。
視線が痛い。

「わ、私もう帰っていいですか!?」

なんかこの人怖いし、危険そうだし。早々退散しよう!!

「いや。出ていけとも誰も言ってないはずだけど?」

そいつはにっと笑った。
わ、笑ってるし……は、腹立つ!!

「大体、人に名乗らせといて自分はっ……」

ぷつんと来た私の怒りの言葉は、ここで途切れてしまった。
男が近寄ってきたからだ。目が怖い!!怖いですってば!!

「あのさ、あんた誰に口聞いてるか分かってる?」

「……?」

「生徒会長の俺にそんな口聞いていいのかねー」

言いながら、ハッとそいつは小馬鹿にしたように笑いやがった。
そうか、この学校の生徒会はおかしいんだ。とか考えてる場合じゃなくて!

「ご、ごめんなさい……」

「まあ、お前女にしては度胸あるし見逃してやろっかなーとも思ったんだけどな」

はい?

「なんらかの形で責任とってくんねえ?」

「責任って……」

「体で責任とってもらおっかなー」

(はああああ!?何言っちゃってんの!?こんな俺様キャラ漫画にしか実在しないと思ってた)

「変な冗談やめてよね!だから、そっちも名前くらい名乗りなさいっての!変態!」

ここまで言ってから私は後悔した。
切羽詰まると、後先考えず先に言葉が出てきちゃうんだよね……私。(涙)


「相川響」

いきなりそいつが口を開いた。

「へ?」

「へ?じゃねえよ、この間抜け面が」

「間抜っ……!!!」

な、何が起こったのか分からない。
気づけば目の前にはこの男のドアップ。後ろには天井。背中にはやわらかいクッションの感触。
男のくせに睫毛長くてうらやましい……じゃなくて!!

「な、な、なにすんの!!」

「言ったろ。体で責任とってもらうって」

またしてもそいつがにやりと意地悪そうに笑った。
こいつめ……!!


9: 名前:葵 (3e6wZ9rNfs)☆10/08(木) 19:27:29
「……っ」

押し倒されて、さすがに身の危険を感じる。
怖い。
抑えつけられているから動くことさえ出来ない。力強すぎるよ……

「それじゃあ」

「!?」

動けなくなった私を良いことに、男…相川響が私の制服に手をかけた。
やっやばい!このままじゃ私本当に……
とっさに私は口を開いた。

「お、お願いします!!なんか他のことしますから!!これだけは……」

最後の方は消え入りそうな声になったが、何とかそう言った。
とっさの言い訳には、これが精一杯だ。
すると、相川の手が意外にもあっさりと止まり、私はほっとする。

(良かった……)

そう思ったのもつかの間。


「言ったな?」


ぐいっ
相川がさらに身を乗り出してきた。
ちょ、ちょっと!!顔、近すぎるってば!!

「~~っ//」

「顔赤くなってるし」

「違っ……」

「惚れた?」

「なっ……誰があんたなんかに!この自意識過剰男!とにかく離れっ…んんっ!」

それ以上離せなくなった。
口が、塞がれていたから。

「んーっ!!」

いきなり舌が入ってきた。苦しい。息が出来ない。

「はっ……あ」

口内を隈なく舐めまわされ、吸われ、めちゃくちゃに犯される。
い、嫌だ……なのに、油断しているとこいつの波に吸いこまれてしまいそうになる。経験が多くはない私にだってわかる、こいつ、キスむちゃくちゃ上手いんじゃないだろうか。

「―-っはぁ!!!」

どれくらい時間が経ったのか分からないが、ようやく解放された。


10: 名前:葵 (3e6wZ9rNfs)☆10/08(木) 19:28:03
「……っ」

押し倒されて、さすがに身の危険を感じる。
怖い。
抑えつけられているから動くことさえ出来ない。力強すぎるよ……

「それじゃあ」

「!?」

動けなくなった私を良いことに、男…相川響が私の制服に手をかけた。
やっやばい!このままじゃ私本当に……
とっさに私は口を開いた。

「お、お願いします!!なんか他のことしますから!!これだけは……」

最後の方は消え入りそうな声になったが、何とかそう言った。
とっさの言い訳には、これが精一杯だ。
すると、相川の手が意外にもあっさりと止まり、私はほっとする。

(良かった……)

そう思ったのもつかの間。


「言ったな?」


ぐいっ
相川がさらに身を乗り出してきた。
ちょ、ちょっと!!顔、近すぎるってば!!

「~~っ//」

「顔赤くなってるし」

「違っ……」

「惚れた?」

「なっ……誰があんたなんかに!この自意識過剰男!とにかく離れっ…んんっ!」

それ以上離せなくなった。
口が、塞がれていたから。

「んーっ!!」

いきなり舌が入ってきた。苦しい。息が出来ない。

「はっ……あ」

口内を隈なく舐めまわされ、吸われ、めちゃくちゃに犯される。
い、嫌だ……なのに、油断しているとこいつの波に吸いこまれてしまいそうになる。経験が多くはない私にだってわかる、こいつ、キスむちゃくちゃ上手いんじゃないだろうか。

「―-っはぁ!!!」

どれくらい時間が経ったのか分からないが、ようやく解放された。


12: 名前:葵 (3e6wZ9rNfs)☆10/08(木) 19:52:40
「こんなことすんの初めてだったか?つーかお前こそ、人がナニしてるときに盗み見してるんだ、変態には変わりねーだろ」

な、ナニって……。もしやこいつあのときのことを!

「最低!!あんなことをこの場所でしてる方が悪いんでしょ!てか、見てないから!!」

何から何まで失礼な。ほんとになんて男!!

「ん?あんなことって何だよ」

「っ、それは、」

「ククっ……」

喉の奥で笑われる。私は羞恥やら怒りやらで顔を真っ赤にさせた。もう、すべてに突っ込むのも疲れたよ。


「……で?あんた、体で責任とるかわりに何してくれるわけ」

え……キスでチャラじゃなかったんですか。泣
自分が言ったことだけど、いまさらながら後悔する。
嫌だよ、こんな男に何しろってんだ……。
私が何も言えずに黙っていると、

「バスケ部のマネージャー」

相川が不意に口を開いた。

「え?それって」

「だから。お前明日からバスケ部のマネージャーな。なんか文句あるか」

……そんな目で言われたら文句なんて言えませんよ。
まあ、どうせ今から入る部活なんて考えてなかったし……別にいっか。
結構怒らせてしまった気がするんだけど、こんなことで良いんだ。

「じゃあ明日の昼部室まで来いよ。色々説明すっから」

ん……?てことは

「バスケ部なの?……会長は」

面と向かって何と呼んだら良いか分からず、会長なんて呼んでしまった。
我ながら、明らかに不自然すぎる。

「なんだその堅い呼び名は。響でいい」

相川、じゃない響がしかめっ面をしてそう言った。
うっ……やっぱり。
ていうか、名前で呼ぶのって……ちょっと恥ずかしいじゃん。心の中でしか呼んでやんないから、絶対。

「俺はキャプテンだ。バスケ部のな」

う…嘘!こいつ、2年の分際で生徒会長兼キャプテン!?何してこの地位(?)を手に入れたんだろう。聞いてみたいが怖い。

「あ、あと生徒会長と同じくキャプテンに逆らったらどうなるか分かってるよな?」

響が有無を言わせない黒い笑顔で私を見た。

「っ……ハ、ハイ」

「ふん。じゃあな、莉恵」

言いたいことだけ言って響は部屋を出て行った。

(気安く名前で呼びやがって……)



橋場莉恵、16歳、高校2年生。
これからの生活、先が見えません……泣


13: 名前:葵 (3e6wZ9rNfs)☆10/08(木) 22:20:44
――昼休みが終わり、午後の授業もすべて終わった。
全員が帰り支度を始める。
ほんとだ、響の奴居るんじゃん。なんで私気付かなかったんだろう。


(……あ、今こっち見た)


目が合ったから私は思いっきり目逸らし攻撃をしてやった。
その後で盗み見ると、あの小馬鹿にしたような笑みを薄らと浮かべているのが分かった。何だか悔しい。ああ、私あいつのこと嫌い。


「莉恵ー!あたしが教員室いたときどこ行ってたんだー?
探したのに」

ぼーっと考えていたら沙耶に声をかけられた。
……これ、説明しなきゃ駄目?すごく言いづらいんですけど……。

「あ、えーと……」

何か認めたくないなあ……

「せ、生徒会室?みたいな?」

みたいな?って、私はどこのヤンキー女子高生だ。
自分で言ってて悲しくなってきた。どこまでも私を振り回すあいつのせいだ、何もかも。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・マジで!?」

沙耶、口がぽかんと空いちゃってます。

「そっそうだけど……」

「何で!?理由は!?」

沙耶の勢いに飲まれて、私は一通り説明した。
あのわけのわからない規則のことを強調して、詳細は伏せておいた。(詳細がどういう内容かは分かるよね)
別に沙耶に言うのが嫌なんじゃなくて、私の中で整理がしたいだけだから!まだ人に言えるほど私も事実を受け入れられてないんだ!ごめんよ、沙耶。

あ、けどこれは一応言っておくか。

「あと、私バスケ部のマネージャーになっちゃったんだよね」


「「「えええ!!???」」」

ガタ、と机から立ち上がる子、茫然として荷物をぼとぼとと落とす子、ただただどこか遠いところを見ている子。
沙耶はというと、さっきより口の開き具合が大きくなっていた。
あんたら全員盗み聞きかい!
それはともかく、この子達驚きすぎじゃないだろうか。だ、大丈夫かなこの子達?


14: 名前:葵 (3e6wZ9rNfs)☆10/09(金) 21:37:36
教室からどんどん人が居なくなって、残っているのは私たち女子数名だけになっていた。

「なっ何、みんなちょっとオーバーだって……」

「りり莉恵ちゃん、それって本当なの!?」

私の声をかき消して、今まで話したことのない女の子がすごい形相で聞いてきた。

「う、うん……。そうだけど」

「すごいよそれって。あの人が認めるなんて……」

みんな響のことを「あの人」って呼んでるけど、彼は一応同い年の同じクラスだよね?すっごいお偉いさんみたいになってるじゃん……。

「沙耶、どういうこと?」

「えっと、要するにまあ簡単に言うと、相川くんって生徒会長じゃん?その会長が気に入った子じゃないと、マネージャーは入れないって前から宣言してたの。
今までも何人かマネージャー志望の子達が居たんだけど、みんな駄目で。最近はほとんどの子が諦めてたみたいね。
何がすごいかっていうと、あの自己中な会長があんたを選んだってこと。あんたにその要素があるっていうことがね」

沙耶が一息でここまで言った。頭が追いつかない。とりあえず、相川響はやはり自己中だったということが分かった。

「しかも、莉恵ちゃん!大変なのはここからだよ、相川くんってすごいかっこいいでしょ。きっと莉恵ちゃん、みんなに妬まれると思うよ。ライバル多し!」

さっきに話しかけてきた、栗色のふわふわしたショートヘアの女の子だ。(お人形さんみたい、目くりくりだ)

「ラ、ライバルって私はそんな」

「莉恵。あんたはそうでも周りは違うの!そんだけバスケ部のマネさんってのは神聖なのよ」

神聖って……!ここの学校、どこまで私に突っ込みをさせる気だ。呆れた……。

「いくらなんでも大げさでしょ。マネージャーでしょ?」

「それが違うんだよぉ!!莉恵ちゃん、これからバスケ部と一緒に寮生活することになるんだよ?まあそれだけ命かけて練習してるクラブなんだから、当然のことだけどね」


……私、今すごいこと聞いちゃったような気がする。
何て?寮?寮生活?同じ屋根の下で生活しろと……?あいつと?


「ま、まじですか……」

「まじです!大まじです!莉恵、とにかくこれからは周りの女子の目と、自分の仕事を気にしないとね」

「は、はあ」

何だか想像以上に大変だ。


15: 名前:葵 (3e6wZ9rNfs)☆10/09(金) 21:54:20
「ただいまー」

ガラガラ、と今時少なくなってきたスライド式のドアを開く。
私はひとまずどさっと荷物を自室に置き、母が居るであろう台所へと向かった。

「あ、おかえり莉恵。どうだった?今日の学校は」

「……………………楽しかった。うん」

「……何よ今の間は。
あ、そういえば莉恵部活とか入るの?」

い……いきなり聞かれちゃったよ!私の悩みの根元をいきなりぐわしとつかむなんて。母親って恐ろしい。

「あー、バスケ部のマネージャーをすることに」

「バスケ部?あら、西南高校ってものすごく強いんじゃない?」

「え。お母さん知ってたの?」

「知ってるわよもちろん。有名じゃない」

そうなんだ。私が知らなかっただけなのか。
と、そうじゃない。言わなければいけない本題は、

「それがね、うちのクラブ全員寮「あー、そういや西南のバスケ部は寮って決まってるんだったかしらねー。荷造り出来た?」

「……はい?」

え、お母さんどんだけ情報持ってんの。
しかも、反論なし!?もう寮に入る前提じゃないの!

「けっけどいきなり寮なんて」

「大丈夫大丈夫。あんたが勉強を頑張ったおかげで学費は半額免除だし、寮はそんなに高くないのよ」

そう、私は勉強には自信がある。カナダに行ってから、日本に帰って来たときに周りと差がついたら嫌だったから必死で勉強した。

「いいの……?」

「もちろん。全国レベルの部活に参加出来るなんて、そうそうないわよ。もちろんすごく良い経験になるだろうし」

私が言ってるのはそういう意味じゃない。バスケ部は「男子バスケ部」だということを分かっているのでしょうか。
まぁ、どっちにしろ入らないといけないんだし。変に反対されるよりはこのほうがいいか。

「ありがとう。

それで、お父さんには……」

私がそう言うと、お母さんは一瞬黙りこんで、

「……お母さんから言っておくわ。心配しないで」

「そう……」

どうせお父さん、ウチにいないしね。

「じゃあ莉恵、どーんと行ってきなさい!ほら、荷造り荷造り!」

「わわっ」

一瞬前の重い雰囲気はどこへいってしまったのやら、私は台所を放り出された。
んもう、分かってるよ……。


16: 名前:葵 (3e6wZ9rNfs)☆10/09(金) 22:06:11
――翌日、昼休み。

(来ちゃったよ、この時間が)

只今私、「バスケ部」と書かれた部屋の前に立っております。
あれ?前にも似たようなことなかったか?確かあのときもノックをしようかと躊躇っていて、

「失礼しま「バ ン!!」い″っ…!?」

……今までと違い、すぐにドアが開いてくれた。いきなり目の前のドアがこちら側に開き、私の頭にドアが見事に突っ込んだのだ。いいいいい痛い!!一瞬頭が真っ白になったような気がする。私は力なくへなへなとそこに座りこんだ。

「や、やっべ……わ、悪ぃ!だ、大丈夫か?」

そのドアを開けた張本人らしき人物が焦って私の顔を覗き込む。

「……大丈夫なわけないでしょうがぁ!!」

「うおっ!?」

いきなり切れた私に若干驚いた様子の男。もう、フェイントすぎるでしょ。最悪だ。

「……ん、あんたもしかしてあれか?マネージャーになったっていう」

「……そうですけど」

「まじでか!とりあえず入れよ」

ぐいっ

「うわっ」

私は部室に引き込まれた。と同時に思った第一印象、それは



「うっ……臭っ!!!!」←



何これ、掃除してんの!?床にはゴミというゴミやら教科書やらタオルやらが散乱している。この部屋絶対元は綺麗でしょ。何をどう間違ってこうなってしまったのだろう。
この匂いの原因は壁にかけられた練習着だろうか……。

「遅い」

ふと前を見ると、そこには響がいた。
悪かったねっ……。
そんなことを思いながらあたりを見渡すと、そこに居るのは20人ほどの部員達。


17: 名前:葵 (3e6wZ9rNfs)☆10/09(金) 22:16:15
「おい、響!マネージャーだよな?」

「あぁ。……ほら、自己紹介しろ」

相変わらずこの態度。
相手が生徒会長だということも忘れて、私はキッと響を睨んでやった。

「……(笑)」←響です

何笑ってんのよ……!

「二年三組の橋場莉恵です。これから頑張るんでよろしくお願いします」

私はそう言って軽く頭を下げた。

「よろしくなー莉恵ちゃん!あ、莉恵って呼んで良い?」

そう軽々しく声をかけてきたのはさっき私のおでこにドアをぶつけ、部室に引き入れてきた男子。痛かったんだからねさっきのあれ……。ちっとも気にしていないらしい。

「俺は神谷駿。2年5組、よろしくな!」

「よ、よろしく」

他の部員も口ぐちに言ってきた。

「よろしくーっ」

「頑張ってくれよ、てかマネとかかなり久々だな」

「あとさ、莉恵」

駿が話しかけてきた。

「俺、これでも副キャプだから。分かんねえことあったら俺に聞いてもいいからな?」

「……うん!ありがとう」

なかなか親切だ。うん、さっきの恨みは大目に見てやろう。

「そういえば、なんでキャプテンも副キャプも二年なの?」

「三年生の先輩は、ほとんどもう学校外のチームに所属して練習してるんです」

一年生らしき子が教えてくれる。なるほど、そうだったんだ……。ひとつ謎が解けた。


こうして、私は西南高校バスケ部の一員になった。


18: 名前:葵 (3e6wZ9rNfs)☆10/10(土) 21:23:19


「橋場!これもまた洗っといてくんねえ?」

「あ、飲み物も持って来て。減って来た」

「おい、俺ずっと順番待ちしてたんですけど」

「お前は優先順位っていう言葉を知らんのかぁ!!」


……さながら戦場です。


私は来週から正式に入寮することになった。もうそろそろ荷造りも終わるし、準備は着々と進んでいる。
とりあえず、今は普通に自宅から学校に通い、バスケ部のマネージャーとして働いている。とはいっても、雑用の量がはんぱないので私から言わせると奴隷のようだ。

男どもがなにやら言ってるけど、私はというとやっぱり壁際にかかっている練習着のユニフォームが気になる。(あの臭い)

「……あの」

「何」

とりあえず、一番近くに居た響に声をかけてみるも、
……やっぱりまだ怖い。(泣)

「ユ、ユニフォーム!壁際の。あれ、洗わなくていいの?ていうか洗っていい?」

「あー。そういえば一カ月くらい前からあの状態だった気がする」

いっ一カ月……
恐ろしい日数が私の頭の中をぐるぐると回る。

「あ、あれ着て練習するんでしょ!?いいの!?」

「着れりゃーいいんだよ」

そう言ってるわりには、みんなあれとは別に練習着用意してるよね。
私は今日の練習が終わったらそれを一番に洗うことにした。

「あ、あと」

「はい?」

「お前、寮に入ってからの仕事とか、何があるか分かってんのか?」

「えーっと……」

「はいはいっ俺がまとめて説明してやるよ!」

駿が割り込んできた。テンション高いですね……。


19: 名前:葵 (3e6wZ9rNfs)☆10/10(土) 21:40:52
「まあ、土日の練習とかは基本いつもと一緒だけど。変わることといえば、試合前の朝練参加とかだな」

「朝練?」

「おう。寝坊すんなよ、寝坊したら襲いにいって「目覚まし大音量でかけるから!」

まったく、このチャラ男&変態め!
だけど、見たところ軽そうに見えるこの駿だけど、本人がどれだけ真剣にバスケに取り組んでいるのかは、彼を見ていれば一目瞭然。
彼だけじゃない。他の部員も、このバスケ部の全員がそう。みんな、このクラブに所属していることを誇りに思っているんだなあって思う。それくらい皆仲が良くて、本当に頼もしい。
もちろん、あの響もね。

「あと」

響が口を開いた。

「俺が忙しいとき、身の回りの世話よろしくな」

そう言って、にやりと笑った。

「へっ?なんで私がそんなこと」

「気に入ったから」

「気に入った?」

「おう。それにお前あのとき俺に対して失礼言ってたからな」

あのとき……って、生徒会室での云々のことですか。
まだ根に持ってたの、この男!しつこい男は嫌われるんだよ、知ってる?

「あのときは散々謝ったでしょ!しかもマネになったらチャラだとか言って」

「あー、そんなに言うなら無理やりにでも最後までヤっちまえば「わあああああ!!」

ほ、他の部員の前でそんなことを簡単に口走ってもらっちゃあ困る!
か、顔熱くなってきた。

「何なに?」

さっそく駿が突っ込んできた。突っ込まなくていいから!

「な、何でもない!わ、私飲み物汲んでくるから!」

赤くなった頬を隠すように押さえながら、私はそう言ってバタバタとその場を離れた。




「何?お、お前まさかもう莉恵に手ェ出したわけ?」

「いや、出してねえよ。つーか俺はそんなに軽い男じゃねえ」

「(……さっきあんなこと口走って、よく言うよこの男)」


駿くんにはすべてお見通しの響くん


20: 名前:葵 (3e6wZ9rNfs)☆10/10(土) 21:48:59
「よいっしょっと……。これで全部!」

部活が終わって、私は家から寮にすべての荷物を運び終えた。
これで今からでも、すぐに生活が始められる。入寮は来週からになってるけど、今日から入ってしまっても大丈夫ならしい。

「橋場ー!」

「はーい!」

私を呼んだのは、バスケ部顧問かつコーチのベテランの斎藤大輝先生。
ベテランっていっても、おじさんというわけじゃない。だけど、我が校のバスケ部がここまで強くなったのはこの人のおかげだと言っても過言ではないらしい。

「えーっと、部屋はB棟の201室な。鍵がこれ。で、これ地図だから渡しとくな。頑張ってくれよ」

「はい、ありがとうございます!」

ここはロビーなので部屋に荷物を移動させなければいけない。
私は地図を広げた。
ちなみに、この学校にはもちろん一般生徒用の寮もある。一般生徒は基本A棟で生活している。B棟は、バスケ部+一般生徒少数という感じだ。

(201……と。て、あれ?周りバスケ部ばっかりじゃん)

当然と言えば当然のことだが……男女分けとかしてないの!?
り、リアルに襲われたらどうすんの……とか思ってみたり。
ぶつぶつ言いながら歩いていると、「201」と書かれた部屋に到着。


がちゃっ


「おー、結構広いんだ……しかも綺麗」

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2010年08月10日 01:19
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。