283: 名前:葵 (3e6wZ9rNfs)☆01/14(木) 21:15:39
本当に忙しい中来てくれたのか、お父さんは座ろうともせずに立ったままだった。
多くは語らなくても、空気からして私とお母さんが何を話していたのか、悟ったのだろう。
そういえば、話すのもすっごく久しぶりだ。
「……莉恵。何か言いたいことはないか」
(言いたいこと……?)
「言いたいことなんて……」
たくさんありすぎて、言葉に出来ない。
「小さいころよく旅行のとき車でおとーさんの好きな曲聞いてて……みんなでそれ聞いて歌ったり、しりとりしたり、気持ち悪くて酔ったり、冗談言ったり……
お父さんはよく機嫌悪くなるし、私もお母さんにあたったりしてて……」
そして、いつからだろう。全てがおかしくなりだしたのは。
「すごく、悲しかった……何も言ってくれなくて」
震える声で言葉を何とか紡ぐ。
「だけど、久しぶりに家に帰ってきて……全部、二人がじっくり考えて出した結果なんだって聞かなくても分かった」
久しぶりに食べたお母さんの手料理からも、
忙しい中帰ってきてくれたお父さんの顔を一目見た瞬間。
全部分かったから。
そりゃあ、何の相談もなかったのは腹立ったし苦しかったけどさ。
私ってやっぱりお人好しなのかな。もう、二人の背中を押したいって思ってる。
「住むところが変わったって、父さんと母さんは、莉恵のこと大好きだし、ずっと味方だ」
「……!」
ずっと欲しかった言葉。
284: 名前:葵 (3e6wZ9rNfs)☆01/14(木) 21:21:40
ずっと不安に思っていた、二人に愛されているのかなって。怖かった。
だけど、たっぷり愛情を注いで育ててくれてたんだよね。我が儘ばっかりの私を、精一杯。
駄目だ、涙が止まらない。明日には寮に戻るのに。
私は二人に歩み寄って、小さい頃のように抱きついた。
「……もう怒ってたことは、許してあげる。
おとーさん、おかーさん、」
大好きだよ。
ぎゅっと抱きしめてくれた二人の腕の中は、本当に温かかった。
ありがとう。
頑張ろうね、私ももっと頑張るから。
私のたった一つの家族に、ありがとう。
285: 名前:葵 (3e6wZ9rNfs)☆01/14(木) 21:33:55
――――――翌日、朝。自分も、自分の周りのオーラもなんだかぼんやりしている気がする。
昨日はあんまり(いや、殆ど)眠れなかったからなー……。
「あー……帰って来た」
ここは、私のもう一つの家だ。
「ただいま……」
昨日の涙の名残か、頭がぼーっとする。開かない目を無理やりこじ開けて、ふらふらと部屋に向かう。
あ、自分の部屋に行く前に、報告しないといけない人がいるんだった。確か、今日の早くに帰るって言ってたからいると思うんだけど。
「うん、ここだったっけ……寝てるかな……?今日練習昼からだけど……」
コンコン
「起きてるー……?」
そう言う私のほうが、今にも眠ってしまいそうだ。
ガチャッ
すぐさまドアが開いた。思っていたよりも相手は目もばっちり開いていて、身だしなみも完璧。何よりこの人が醸し出している自身満々な空気。
「あぁ……莉恵か。おかえり」
「うん。……ただいま」
たった二日や三日前には会っていたはずなのに、ひどく安心する懐かしいその顔。そして、何より嬉しかった「おかえり」という言葉。
「っ!?お前……どうした」
ぎゅっ
これに似た温もり、知ってるよ。
あったかい自分の居場所。とっても安心する。
(……あれ)
だけど、なんだかここは
ドキドキして落ち着かない気もする―――
289: 名前:葵 (3e6wZ9rNfs)☆01/15(金) 21:33:03
―
――
―――
「……ん」
目が覚めた。何時の間に寝てたのだろう、ていうか今何時?
「起きたか」
「ふえっ!?
おお、おはようございます……?」
なぜだかよく分からないけど、私は響の腕の中で丸まっていた。響はベッドに座って、壁にもたれている状態だ。
泣いたり眠ったりで、ひどい目をしているだろう。ごしごしとこすって少し身を引く。
「さっき、駿が帰って来た」
「え?……あ」
そういや、駅からここに来るまでの間に人ごみの中駿と逸れていたような気がする。どうやら置いてきてしまっていたらしい。(ごめん)
「あのね……響」
「?」
「ちゃんと、話せたよ……全部」
「ああ」
「もう、全部分かったから。大丈夫だよ。だけどね」
「……」
やっぱりね、本当はね、
「寂しい……な」
いい加減泣きすぎだ……。どうしよう、私。だけどこの人の前ではどうしても止められない、止まらない。それはきっと心の何処かで安心しているから。
290: 名前:葵 (3e6wZ9rNfs)☆01/15(金) 21:42:49
すると、その人は情けなく泣き崩れる私の頭に手をぽんぽんと置いて、
「頑張ったな」
一言そう言ってくれた。なんていうか、その一言だけでも充分温かくて。素直に嬉しかった。
「まだね、あんまり先のことは分かんないけど、多分……お父さんは相変わらず仕事だから、私はきっとお母さんと居ることのほうが多いと思う」
「ああ……」
「けどね、二人ともね……」
大好きだし、ずっとずっと味方。
「そう、言ってくれたから……っひっくっ……ぅ……」
抱き寄せて、ぎゅうときつく抱きしめてくれる。その中で私はひたすら涙を流し続けた。
「……だ」
「え?」
「ここにいる全員、お前の家族だ」
「……!
こ、これ以上……泣かせるなっ馬鹿……ひくっ……
けどっ……」
ありがとう、本当に
「……
馬鹿はお前だ、ばーか」
そう言ったあなたは、確かに笑っていた。
たとえどんな関係になろうと、これからも私の大切な人はずっとずっと永遠に変わらない
お父さんとお母さんが、たっぷり私を愛してくれて守ってくれた分
私も、大好きな周りの人達を愛し続けて守ってみせるよ
291: 名前:葵 (3e6wZ9rNfs)☆01/15(金) 22:32:24
*
恐らく次からのお話は後篇となる二学期編への序章みたいなものになります。
そこで、更新スピードの遅い私は物語を忘れてしまうので今全部読み返してきました…←
とりあえず、頭を整理するために
次から全員分のプロフィール書いて良いですか?
ていうか、書きます(おい)
主要キャラから一回しか名前出てない人まで書いちゃいますので……。
これで皆様の頭の中でも物語がすっきりと収まれば幸いです!
*
292: 名前:葵 (3e6wZ9rNfs)☆01/15(金) 22:43:32
◆橋場 莉恵(女/17)
- どちらかというと可愛い系だが、そんなに可愛いというわけでもない←
- 黒髪セミロング
- 専ら文系。数学や化学は苦手
- かなりしっかり者で頭も回るが短気なため時々後先を考えないことが
- 自分を隠してます(特に最初。最近はだいぶない)
- あんまり素直になれない
- 響曰く胸のサイズはCの上
- 家族みたいな温かさに何より安心
◆相川 響(男/17)
- 生徒会長兼バスケ部キャプテン
- ツンツンです。黒髪
- かなりの美形、人気
- 実は人のことをかなり思っている不器用さん
- けど超自己中俺様変態
- 莉恵の事というより、全体的に何事にもお見通し(冷静)
- 最近だいぶ柔らかくなってきた?
◆神谷 駿(男/17)
- バスケ部副キャプ
- お調子者、変態、チャラチャラ
- 茶髪、響よりツンツン
- 響とは幼馴染
- 馬鹿なようだが仲間思い
- けこうひどい扱い受けてるけど、バスケだってとっても強い
◆並河 沙耶(17/女)
- ロングのストレート、茶色
- 莉恵の初めての友達で、大の親友
- 派手な外見だが根は真っすぐ
- 年上の彼氏在り(ちなみに経験済み)
- 姉御肌、常に莉恵の背中を押すためとても頼られている
- ある意味最強
◆斎藤 大輝(男)
- 西南高校バスケ部監督
- グレていた響と駿の救世主
- お人好し、よく笑う、頼りになる
- 部員思いな大男
- ジョークを言ったりもするが、バスケ部をどんどん強くしたのはこの人
- 部員達が一番に尊敬している
297: 名前:葵 (3e6wZ9rNfs)☆01/18(月) 11:35:57
◆莉恵まま
- 元気で結構お気楽キャラだったりする
- だけど一人で悩んでいたところも←莉恵も一部譲り受けていたり
- 料理上手
◆莉恵ぱぱ
- 世界を股にかけ活躍中(笑)
- いわゆる多国籍企業というやつです
- かなりできる人。仕事人間、忙しすぎる
- 頑固に見えるけどとっても家族思いなお父さんなんです
◆北井遼(男/17)
- 覚えておいででしょうか?莉恵の短き恋の相手
- だけど、恋愛感情よりも……?
- 野球部
- 笑顔がさわやか優しくて、響とは対照的な感じの人
- 他校の彼女は中学時代から二年続いている人。一途。
◆シン(慎太郎)
- 響と駿の亡き親友
- 真っ直ぐ、思いやりがある
- 響は冷静、駿はお調子者だがシンも割と子供らしい一面もあった
- そこそこ賢かった(ちなみに響>シン>駿)
◆柏木凛(女/17)
- 現在北星高校バスケ部マネージャー
- とんでもないチャラ女だった?
- 響と駿の一生許すことの出来ない相手
- 親が水商売
- だからそうなるのもうなずける話←
- だけど根は良い子なのかも?
298: 名前:葵 (3e6wZ9rNfs)☆01/18(月) 11:44:35
◆桐生徹(男/18)
- 日高高校バスケ部キャプテン
- 響と同じくらい有名
- だけど卑怯な手を使った一面が
- せっかく上手なのだから、正々堂々勝負してほしいというのが響の密かな願い
◆水嶋信(男/17)
- 莉恵の元彼(莉恵がカナダに行く時に振った相手)
- 気遣い出来る男前
- 莉恵に振られたときも本心じゃないことを悟っていた
- 離れても好きだった一途さん
- 意外と大胆な一面アリ
◆清水美菜(女)
- 合宿で莉恵達が泊まっていたホテルで働いていた人
- 昔マネージャー経験あり
- テキパキしている頼れるお姉さん
◆村上瞳(17/女)
- 合宿で莉恵が唯一友達になった女の子
- 関西
- たった一度だったけど、莉恵が一緒にいて楽しく感じることの出来た子です
◆林原(17/男)
- バスケ部員
- 時々名無しで出る部員のセリフは彼が多い……のかもしれない
◆西野くん(16/男)
- 一年生の補欠
- 莉恵と一緒に試合観戦したりと結構仲が良い
- レギュラーになるため頑張ってます!
◆桂(17/男)
- ジャンプボール担当
- ボールをとられることが珍しいほど
あ、一番大事なこと忘れてた。
響の項目に「プライドが高い」加えて下さい(笑)
これからのお話では新キャラ出てきます(´ω`)
どうぞこの後もお楽しみください!
299: 名前:葵 (3e6wZ9rNfs)☆01/18(月) 12:03:02
夏休みも残り後10日程になったある日。いつものように練習を終え、ヘトヘトになって私は自分の部屋に辿り着いた。
もちろんみんなのほうがもっとヘトヘトなんだけど、運ぶ飲み物は案外重いし、(絶対筋肉ついた)サウナみたいな体育館は熱気が伝わってきて自然と汗が湧きでてくるし。タイム計ったりまあ色々とあるわけで、結構疲れるものなんです。
~♪
「ん?メール……」
携帯を開くと、画面には【並河沙耶】の文字が。
明日って部活午後?
明日は……スケジュール帳を見てチェックすると、部活は午前とのこと。それを打つと、すぐに返事が来て、
じゃあ、夕方からお祭り行かない!?
「お祭り……?そういや日本に帰ってから行ってないなー」
元々お祭り大好きな子だったし、断る理由はない。
行く行く!
あ、けど私浴衣とか今持ってないよー
そう返事すると、今度は電話がかかって来た。
「もしもし?」
『もしもし?浴衣ないんだったら、あたしの家にあるから貸してあげる!3時くらいにウチ来てよ』
「え、い、いいの!?」
『もちろん。じゃーまた明日ね』
プツッ
「切るの相変わらず早いなあ」
そう苦笑しつつ、久しぶりのお祭りに胸を高鳴らせる。
すると、何やら廊下が何やら騒がしいことに気付き、ドアを開けて顔を覗かせてみる。
「お、橋場!何、お前も行くか?」
「へ、何が?」
同い年の林原が楽しそうに笑いながら言ってきた。
「明日の祭りに決まってんだろー。普通高いだろ、食べ物とか。けど明日のは安いし、近いし」
「へぇー……そうなの」
「おう。で、お前は?」
「あー、もう違う人と約束した」
「まじ?早ぇな、男?」
「いやいや、沙耶ですー!」
「そうかよ~。じゃあもしかしたら会うかもな」
そっか、みんな行くんだなー……。
響とか、行くんだろうか?みんなでワイワイ騒ぐようなキャラには見えないんだけど。一緒に回ったら案外楽しそうだけど。
(て、何私は響中心に考えてるんだ!!も、戻ろ)
最終更新:2010年08月11日 00:10