死のゲーム 続き2

71: 名前:(㍊゚д゚㌫) (HackerOF.g)☆08/26(木) 22:26:39
「皆正解者とか、皆不正解者とかの場合ってこと?」
「はい。」
それだけ告げると、男は去って行った。

「お前。よく聞け。今回俺等は上手くいけば、戦わなくても済むかも知れない。」
意外な一言に、皆が振り向いた。
「どういうこと?」
聞いたのは、Dの女。今はナンバー2の女だ。
「さっき、答えが一致した場合、仕切り直しっつってたろ?だから、ずっと一致させておけばいいんだ。そうすれば、永遠に争わなくて済む。」


72: 名前:(㍊゚д゚㌫) (HackerOF.g)☆08/26(木) 22:40:07
Xは淡々と続ける。
「そしてそうやって仕切り直ししまくってるうちにここから脱出する方法を考える。」
真っ先にある男が抗議した。
「とか何とか言って、皆に一致させといて、自分だけ抜け駆けしようなんて考えてんだろ?」
おそらくDの影響だろう。Dは2人の人間を騙し、殺した。それで疑心暗鬼になっているのだろう。
「お前頭悪いな。俺が勝ち上がってどうするんだ?こんないつ死ぬかもわからないゲーム。はやく終わりたいに決まってるだろう?だからこんな提案してんだよ。」


73: 名前:(㍊゚д゚㌫) (HackerOF.g)☆08/26(木) 22:48:07
「そ、そっか、わりぃ。」
その男は、申し訳ないと言う気持ちを、頭を下げる動作で示した。
「俺はいいと思うよ」
「あたしも」
「このまま奴等の言いなりなのも何か癪だしな」
と、次々にその場の人間が賛成していった。




PM9:00部屋の時計はそう示していた。Aチームの部屋でのことだ。ナンバー4のXがこう言った。


77: 名前:(㍊щ゚д゚щ㌫) (HackerOF.g)☆08/27(金) 01:55:01
「このチームの8人全員、今この部屋にいるか?」
同じチームの2の女が返した。
「あんたを抜いて7人。全員いるわよ。」
Xは一通り部屋中を見回し、作戦を告げた。
「ここのチームは、他のチームを裏切ろう。」
「はぁ!?」
「何言ってんだよ!?」
「悪い冗談止めろって」
皆が口々に吐き出す不満を、「まあ聞けよ」の一通りで制した。
「お前等まさかホントに一致させといて脱出の策を練るつもりだったのか?」


78: 名前:(㍊щ゚д゚щ㌫) (HackerOF.g)☆08/27(金) 02:09:15
「当たり前だろ!!」
3の男が言った。その男は小太りで、目が細く、鼻が小さい。外見からはとても陰気な性格なのだろうと想像出来るが、
それとは裏腹に、思ったことをズバリ言うタイプの人間だ。よって大抵の人間は怯んでしまうが、Xは少しも動揺を見せないどころかとても鋭い目で睨み返している。
「どうせそんなこったろうと思った。」
2の女は興ざめしたような目をしながら言った。
「だってよく考えてみなさいよ。向こうは銃を持ってるのよ?それに、今回は誰も死なない。勝っても負けても、怖くも何ともないわ。」


79: 名前:(㍊щ゚д゚щ㌫) (HackerOF.g)☆08/27(金) 02:15:53
「そっか。無意味に人を殺すのは罪だもんな。」
「ええ。いくらあちらがああ言っても、あたし達は罪に問われるのよ。」
「わかったか?馬鹿子豚。」
「子豚………ッまあいいや。じゃあそういうことで俺はいいよ。」
他に、反対する人間はいなかった。



皆が寝静まったのを確認し、2の女は部屋を出て、Bチームの扉の前に立っていた。


80: 名前:(㍊゚д゚㌫) (HackerOF.g)☆08/27(金) 02:28:11






翌日。
居間に集まった24人は、2択のうちどちらに入れるかを決め、どうやって脱出するかを話し合っていた。しかしその内容は、誰かが囮になっているうちに皆が逃げる、物を投げまくるなど、ろくなものではなかった。
あれこれ話しているうちに、例の男が現れた。
「それではこれより、質問を開始します。まず最初の質問」

道端に財布が落ちてました。さて、どうする?
A、交番に届ける。
B、拾って持ち帰る。「念の為申し上げますが、自分なら実際はどうするか、など無意味です。このゲームで大切なのは、いかに少数派になるか、です。」


81: 名前:(㍊゚д゚㌫) (HackerOF.g)☆08/27(金) 02:39:43
「よし、じゃあここは皆でAを入れよう。」
そういってXは、投票室へと向かった。
投票室へ入ると、すぐ目の前に大きなテーブルがあり、その上には大きなケースが2つおいてあった。
Xは投票を済ませ、投票室から出た。
その後に2、3、4、の順番に投票を済ませた。


82: 名前:(㍊゚д゚㌫) (HackerOF.g)☆08/27(金) 03:32:18
そして、全員の投票が終わった時だった。
「皆入れたー?」
2の女だった。
「じゃあそろそろ種明かし!」
その言葉に違和感を覚え、どういうことだ?と2を問い詰めた。
「あたしね、今まで手品してたの。だからその種明かし!」
手品(だま)してた、ということだろう。
Xは、2を睨みながら口にした。
「まさか…お前………。」
「もしかして今更気付いた?あんたも意外と鈍感?アハハハ」
Xの拳に力がこもった。拳に力をこめながら、口をパクパクさせていた。
「なぁーにぃー。全然きこえないよ~!!」


83: 名前:(㍊゚д゚㌫) (HackerOF.g)☆08/27(金) 03:44:13
「テェェェェェェメェェェェェェェェ!!!!」
いきなりXがAに殴りかかった。その拳は顔面へ向かったが、首をひねって軽やかにかわし、AはXの鳩尾に強烈な膝蹴りをぶち込んだ。
「ガッ………ハ………。」
その場に手をついて悶絶したが、すかさず顔面に膝蹴りを入れられた。その勢いで仰向けに倒れたXの鼻からは、大量の血が飛び散っていた。
「ゲッ、きたねッ、血ィついたんだけどマジ最悪」
女子高生風にそう言ってから、仰向けに倒れてるXの鳩尾を右足で思い切り踏んづけた。
「カハッ、グ…ぞぉ………。」


84: 名前:(㍊゚д゚㌫) (HackerOF.g)☆08/27(金) 16:51:40
どんどんXの顔が真っ青になっていった。
「ぐっあぁぁあぁあ」
悲痛な呻き声をあげた。
そのまま体重をかける2。
「わかった?あんたみたいなのはそんなド低能だから騙されんだよ。あたしは昨日、あんたから裏切ろうって話が出た時、咄嗟に思いついた。もっと確実に勝てるプランをね!!」
Aは一度Xを踏んでいた足を持ち上げ、また思い切り踏んづけた。
その動作を繰り返しながら、手品(だまし)の種明かしをした。「あなたが言った裏切りの話を、他のチームッ!に持ちかければ!いいのよ!!」


85: 名前:(㍊゚д゚㌫) (HackerOF.g)☆08/27(金) 16:59:47
「Aに入れようと言う話が出れば、皆Bに入れる。その時、あたしだけAに入れればいい話!そうすれば、あたしだけが勝てる!!このゲームはあたしの勝ちよ!!そして皆をゲームから辞退させる選択はしない!
あたし以外皆、ここで死ぬのよ!!」
皆の目が、2を睨む。「やっぱり………、そ………だったか」
「さあ、さっさと結果を発表して」
2は、息が上がってハアハア言っていた。
汗が額から頬を伝い、床へ落ちた。
「それでは、結果を発表します。」


86: 名前:(㍊゚д゚㌫) (HackerOF.g)☆08/27(金) 17:04:14
「Aの投票数………、23票。
Bの投票数………1票。よって勝者は……………………。」


87: 名前:(㍊゚д゚㌫) (HackerOF.g)☆08/27(金) 17:17:08
「プレートナンバー5番の方です。」
それを聞いた途端、2の女は目をひんむいた。
「え、嘘。何でぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」
プレートナンバー5番、それは、Xのことだ。Xはゆっくりと起き上がった。
「ククク、クククククク………アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!アハハ!!ハハ!!アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」
「何なの………、ねぇ、どういうこと!?」
2はX、いや、5の男の胸ぐらに掴みかかったが、顔面に思い切りパンチを入れられた。
「もっとズタズタにしてやりたいが、後にとっとくか。さて、お待ちかね。お前の大好きな………
た・ね・あ・か・し!!」


88: 名前:(㍊゚д゚㌫) (HackerOF.g)☆08/27(金) 17:30:57
「投票室に入っていいですか?」
「どうぞ」
そう言ってXはツカツカと投票室へ向かった。何やらBの箱を探っている。扉が開いていたので、それは皆からも確認出来た。「ああ、あったあった。」
そう言って何かを取り出し、それを2の方向へと投げた。それは、2の足下へと落ちた。
(2が裏切りを企てている。皆Aに入れろ。俺が勝って、お前等を辞退させる。)
神には、そう書かれてあった。


89: 名前:(㍊゚д゚㌫) (HackerOF.g)☆08/27(金) 17:39:42
そして予想的中者、5のみ。
「何で気付いたの?あなたがたはあの後寝た。なのに何で?」
「あの後?ああ、昨日か。実は起きてたんだ。お前が出て行って、トイレにでも行ったかと思ったら帰って来るのが遅い。そして定期的に聞こえるドアの開閉音。不自然だったからな。 お前が餌に食いついたとはっきりわかった。」


90: 名前:(㍊゚д゚㌫) (HackerOF.g)☆08/28(土) 00:33:32
「餌?」
「何故俺が票を一致させといて脱出の策を考えようなんて言ったと思う?皆死なずに済む方法を取りたいなら自分が一人だけ勝つ方法を考えた方が早くないか?
なのに何故そんなことを言ったか。それは唯一の穴であり、それが餌だ。お前に他のチームを説得させる為の餌だってことだよ。お前はそんなことを知る由もなく、餌に食いついた。それにチームの部屋で俺がチームに裏切りの話をもちかけたのも餌だ。」


91: 名前:(㍊゚д゚㌫) (HackerOF.g)☆08/28(土) 00:37:59
「何故ならそんな話持ち出さない方が、俺にとって得だからな。
さっき俺をド低能だと言ったな?そっくりそのまま返すよ。唯一の救いは、お前がド低能で、あの程度の手品で騙した気になって舞い上がるアホだったことだな。ド低能さん♪」


92: 名前:(㍊゚д゚㌫) (HackerOF.g)☆08/28(土) 21:46:49
そして5は、淡々と続ける。「まあさっきの脱出の会議で手応えがあまり感じられなかったのも証拠の一つ。」


93: 名前:(㍊゚д゚㌫) (HackerOF.g)☆08/31(火) 19:18:47
「だってその策を行うつもりでいるなら、もっと真剣に意見を出し合ったりするはず。皆、下らないと言わんばかりの目つきをしながら話してた。」


103: 名前:(㍊゚д゚㌫) (HackerOF.g)☆09/08(水) 15:46:07
一通り5が種明かしを終えると、今まで待ちくたびれていたかのように、仮面の男が話し出した。
「最終勝者はナンバープレート5番様となりました。おめでとうございます。
さあ、あなたは、敗者である皆様に対して、最初にも説明致しました通り、3つの選択肢がございます
1.そのまま次のゲームに進ませる
2.脱落者として殺害させる
3.このゲームから殺害せず辞退させる
さあ、お好きな選択肢をお選びください」
仮面の男が言い終えると、5は小さく溜息を吐き、続けた。


104: 名前:(㍊゚д゚㌫) (HackerOF.g)☆09/08(水) 16:30:36
「俺の答えはもう決まってる。ここにいる俺を除く全員をゲームから辞退させる。俺はこのまま次のゲームへ進む」
その台詞を聞いた一同は、ゲームから辞退出来る喜びもあったが、それよりも驚きの方が大きかった。
「お前、自分が何言ってるかわかってんのか!?」
「こんな危険なゲーム何でまだ続ける必要がある?」
「何言ってんだよ考え直せって!」
口々に質問が飛んで来る中、5は冷静な表情を崩さず、それを「まあ聞きな」の一言で制し、続けた。
「2回戦が終了した時、(何故こんなゲームをする?)という質問に対し、返って来たのは(娯楽だから)。こいつらが娯楽を楽しんでいるなら、こっちだって同じ。命を賭けた娯楽ゲームだよ」


105: 名前:(㍊゚д゚㌫) (HackerOF.g)☆09/08(水) 21:10:24
まるで水を打ったかのように、場は静まり返った。
「娯……… 楽……?」「命を………賭けた?」何を言ってるんだ……というのは口に出さずとも、全員の反応がそう物語っていた。しかし、5は皆の言い分を聞こうともせず、仮面の男を睨みつけた。「さっさと次のゲームとやらを始めようぜ。で?どうやってやんの?ここには俺以外脱落者しかいないぜ?」
「このゲームが行われているのは、ここだけではありません。日本全国でやっております。あなたの敵は、腐る程いるんですよ。」


106: 名前:(㍊゚д゚㌫) (HackerOF.g)☆09/09(木) 17:34:07
腐る程いる。5は、その言葉を聞いた途端、 ニヤリと不気味な笑顔を見せた。
「面白い。敵はいればいる程、より楽しめるからなぁ。」
「では只今より、次のゲームのステージへご案内させていただきます。」
そう言い残して、仮面の男は去って行く。仮面の男の歩いた道をなぞるようについて行く5を、皆は必死に呼び止める。しかし、そんなものに興味のかけらもない5は、ジーンズのポケットから画面をタッチして操作する型のウォークマンを取り出し、イヤホンを耳に嵌めた。


107: 名前:(㍊゚д゚㌫) (HackerOF.g)☆09/09(木) 18:03:28
5が部屋からさった後。残された23人は、ただ黙っていることしか出来なかった。
「ふ、フン!! 知るか!! 死にたきゃ勝手に死ね!!」9の男が言った。恐らくサラリーマンか何かであろうことは、スーツ姿から想像出来た。「待てよ、ここから抜け出せるのはアイツのおかげだろ!? そんな言い方ないんじゃないのか!!」
「アイツだって抜け出せたんだ!! それを娯楽を理由に続けるんだぞ? そんなやつ知るか!!」「んだと------――――」そんな具合に、口論が始まった。


108: 名前:(㍊゚д゚㌫) (HackerOF.g)☆09/09(木) 18:16:48
しかしそれは直ぐにおさめられる。
「あーうっさい!! ギャーギャー騒ぐな子供じゃないんだから!!」眉間にシワを寄せ、頭を掻きながらそう言ったのは2の女だった。「ねえ、賭けない?アイツが最終勝者になるか、ならないか」皆の視線が、2へ向かった。
サラリーマン風の男が、疑うような目つきで2を睨んだ。「お前、まだ何か企んでるんじゃないだろうな?」「企んでないわよ。あたしは信じる。アイツが勝つって。あたしね、頭の良さには自信があんの。そんなあたしを騙したんだから、勝ってくれなきゃ、あたしはただの自惚れだっただけじゃない。」


タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2010年10月07日 17:36
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。