38: 名前:赤闇 (AldickGl/2)☆04/27(火) 04:12:23
耐えかねたように涙を流すジャックにも、ソーマは何の情も持たない。持てない。
この男がどのような理由でデザイアの母親を犯したのかは知らないし、知る必要もないし、知りたくもない。
ただ、どんな理由があろうとも彼と母、親子が苦しんだのだけは事実だ。
そんな偽善的な事、自分が言えるような事でも考えられることでもないというのに、何を考えているのだろうとソーマは内心自嘲を漏らす。
今この場で一人の人間を残虐な方法で殺そうとしている自分の方が、余程そんな“道徳”とは無縁に思える。
それでも、止められなかった。というより、この状況で止めろという方が無理な話だ。
ソーマは足の切断面を切り刻んでいた鎌を引き抜くと、今度は腕が使い物にならなくなるまでジャックの両腕を切り裂き、突き刺した。
それが終わってから、今度はジャックの前髪を掴んで顔を上げさせる。
「……まだ生きているし意識はあるだろうが。……兵隊だというから痛みには慣れているとばかり思ったんだがな」
左脚と左腕を切り落とされて尚生きている双子の軍人も知っている。兵隊や軍人というのは皆一様に痛みという物に慣れていると思っていた。
そんな自分の中での常識が覆されたことに、ソーマは溜め息を吐いた。
39: 名前:灰人 (DesireLAOU)☆04/27(火) 04:27:35
「あ゛ぐあ゛ぁ゛ぁぁ゛」
足に刺さっていた切っ先が引き抜かれたかと思えば今度は両腕を容赦なく切りつけられる。
皮膚や神経に筋肉、血管、骨。
皮下組織までズタズタにされ、焼け付くような激痛にジャックは獣のような唸り声を上げた。
声を殺す事なんて出来る訳が無かった。喉から漏れるように声が溢れて止まらない。
髪を掴まれ顔を無理矢理上げさせられようがジャックの暗いブルーの瞳はその影を更に濃くさせるだけ。
脳に血液が回りにくくなった所為で脳機能に障害が生じてきたらしく、瞳に光が当たっても瞳孔が閉じない――瞳孔反射しない、瞳孔拡散が見られてきていた。
40: 名前:赤闇 (AldickGl/2)☆04/27(火) 04:36:20
彼の虚ろな瞳に光が宿ることはなく、更に影が濃くなっていく。
早くも死んでしまうのか、とソーマは不機嫌を隠すこともなく舌打ちする。
最初に足を切り落としたのが駄目だったのだろうか。だがあそこで逃がさない為には足を狙うしかなかったのだから仕方がない。
足を凍り付かせてしまえばよかった、とソーマは今更ながらに後悔した。
鼓膜を震わせるジャックの声に、彼は一度溜め息を吐くと鎌を血溜まりの中に放り投げる。
それから今まで通り、戦場で何度もやった通り、自分の手中に鋭利な氷柱を生成するとそれを握り、ジャックの腹部へと深々と突き刺した。
41: 名前:灰人 (DesireLAOU)☆04/27(火) 04:46:56
小さな血の海に放られても最早ジャックは声を上げる事さえ出来なかった。
鋭利な氷に腹部を貫かれジャックの身体がビクン、と一度大きく跳ねる。
ジャックの喉がひゅっ、と鳴ったが、ジャックの口から漏れたのは悲鳴でも呻き声でもなく赤黒い血の塊だった。
全身を痙攣させながら血溜まりの中に更に血痰混じりの血を吐いた。
42: 名前:赤闇 (AldickGl/2)☆04/27(火) 04:57:06
血を吐き出したジャックをソーマは醒めた眼で、明らかな軽蔑と侮蔑、様々な感情を込めて見下した。
それから再び全く同じような氷柱を生成し、それをもう一度手に掴む。
それを腹部に突き刺し、何度も何度も突き立てていく。抉るようにして何度も何度も腹を突き刺した。
何回振り下ろしたのかも解らなくなる頃、ソーマは先程血の海に投げ捨てた鎌を手に取る。血で滑って上手く握れないながらも、それをしっかりと掴んだ。
そしてもう一度ジャックに視線を注ぎ、ソーマは何も言わないままにその鎌を振り上げ、彼の首を切り落とそうと切っ先を向けた。
43: 名前:灰人 (DesireLAOU)☆04/27(火) 05:05:39
腹に二本目の氷が刺さり、その衝撃にジャックの身体がその場から動く。
床に血痰を更に撒き散らしたジャックは最早痛みすらも感じていなかった。
あれだけの苦痛と焼け付くような感覚が今では失われ、身体がどんどん冷えていくのをおぼろげながらに感じる。混濁した意識が徐々に暗闇に飲み込まれていくのに不思議と恐怖はなかった。
その代わり心残りだったのが国に残してきた妻とその妻との子供。
彼は自分を父とは認めないだろうがせめて血の半分繋がった兄弟の事を知って欲しかった。
そしてここまで立派になっていた“息子”に一言詫びたかった。だがそれすらも無理そうで。
言葉を発したくとも血痰が肺や気道に詰まってしまったらしく呼吸すらも出来ない。口が動いているのかも分からず、ジャックはただひたすら涙を流した。
『すまなかった』
許して貰おうだなんて事は思っていない。ただその一言が伝えられればジャックはそのまま死んでも良いと思えた。
ソーマが鎌を振り上げ、今にも自分の首を落とそうとしている姿さえジャックには分からない。
何かにとり憑かれたようにジャックは必死にデザイアに訴えようとしていた。
『たとえ、お前たちの罪が緋のようでも雪のように白くなることができる。たとえ、紅のようであっても羊の毛のようになることができる。お前たちが進んで従うなら大地の実りを食べることができる』
イザヤ書1章18~19節(新共同訳)
ふと聞こえたそれ。
不思議と混濁していた意識の中でもはっきりと理解出来た。デザイアの声だ。
ジャックの目が一瞬見開かれたような気がし、すぐにどこか救われたような表情へと変わる。
デザイアに自分の想いが伝わったのかは分からない。
『ありがとう』
声にこそならなかったが、唇が確かにそう象る。
眠るように、ジャックは事切れた。
44: 名前:赤闇 (AldickGl/2)☆04/27(火) 05:15:57
不意にデザイアの声が聞こえ、ソーマの動きが止まる。
恐らく聖書の一文、だろうか。その意味は解らないし解りたくもない。も自分にとっては興味のない物だった。
この状況で尚救われたような表情を見せて唇を動かすジャックに、ソーマは何の情もないかのように表情を歪める。
それは正に蔑み、侮蔑と表すのが的確な感情だった。
だがそんな侮蔑もすぐに消え、再び無表情へと戻る。それも表面上だけのもので、瞳は未だに様々な感情を映している。
既にジャックは生を手放していたが、それにすらソーマは気付いていない。というか、気付けなかった。
それは彼が冷静にそれを処理することも出来ない程に激怒しているという事の表れでもあったし、逆に言えば“デザイアに関係すること”でここまで感情を露わにしているとも言える。
手から再び鎌を滑り落とし、ソーマはその場に跪くとジャックの腹に刺さったままの氷柱を掴むと引き抜き、そのまま振り下ろした。
先程やったように、何度も突き刺しては抉り、ジャックの腹部が原形を留めなくなる程に破壊していく。
血溜まりに跪いた所為でスラックスもブーツもコートの裾も、身体を支える為についた左手も当然赤く染まっていた。
相手の肉片が飛び散ろうが頬に血飛沫が飛ぼうが関係ない。
氷が溶けることで流れる僅かながらの水とそれが混じっても色を薄めない赤で手を濡らしながら、ソーマはジャックの腹を抉り続けた。
45: 名前:灰人 (DesireLAOU)☆04/27(火) 05:29:51
ジャックが、血を分けた父親が、たった今目の前で逝った。
その事実がデザイアの胸の中にストン、と落ちてくる。
不思議と心は安らいでいた。
目の前の凄惨な光景とは裏腹にデザイアの周りを流れる時間だけがなだらかで、デザイア自身も今なら彼を『父さん』と呼べるような気さえしている。
だがその父はもう既にこの世には居ない。
デザイアはジャックの側を離れようとしないソーマに近付き、血に塗れたその身体を背後から自分の身体で包み込んだ。
「……ソーマ、もういい。死んだ」
静かな声で、まるで子供に言い聞かせる親の様な声色でそう口にする。
ソーマの身体に回した腕に力を込め、視線をソーマの背中へと落とした。
唇を噛み締め、自分が最後にした事は間違ってはいなかったんだろうかとデザイアは自問する。
先程引用したのは『悔い改めた罪人たちに対し例え重い罪を犯しても真に悔い改めるなら祝福が臨む』という聖句だ。
これが死を間近にし、どうにかして自分に許しを乞おうとしていたであろうジャックに言ってやれる精一杯だった。
これで自分は実の両親共に殺される場面を見た事になる。
「ソーマ……ごめんな」
デザイアはそっと自嘲的な笑みを漏らすと、ぽつりと小さな声で口にした。
46: 名前:赤闇 (AldickGl/2)☆04/27(火) 05:37:00
機械的に、何のことでもないようにソーマはただ氷柱を振り下ろし、ジャックの腹が原形を留めなくなる程に抉る。
まるで何かに取り憑かれたかのようにジャックを壊していたソーマの動きが、デザイアに抱き締められた事によって止まる。
そこでやっと自分の息が上がっている事、自分がしたことを理解する。
今まで何人殺してきたか知れない。だがこんな陰惨な殺し方は初めてだ。それでも何の嫌悪も感情も感じなかった。
背中から聞こえてきた謝罪に、ソーマは頬や前髪が返り血で染められた顔をデザイアに向ける。
「…………悪、かった」
彼の目の前で、余りに残虐な方法で人を殺した。それも身内を。彼は認めていないかも知れないが、父親を。
謝るのなら自分だ、とソーマは不思議な程に素直に思い、ぽつりと謝罪を口にした。
このままでは彼の白い神父服が汚れてしまう。デザイアを引き剥がしたいが、自分の手すら血で汚れているのだからそれもできない。
「……我慢できなかった」
自分の親の仇にすらここまでの感情は抱かなかった。逆にどうでもよかったとさえ思える。
それなのに、今回だけはどうしても耐えられなかった。
これはデザイアへの同情なのか、それともまた別の何かか。
決まっている。同情なんてものじゃない。これは自分の勝手な感情であり、自分の馬鹿げたエゴだ。
47: 名前:灰人 (DesireLAOU)☆04/27(火) 05:52:28
ソーマの言葉を頭で理解はするが返事をする事が出来なかった。
今口を開けばみっともない事を口にしてしまいそうで、唇が切れそうな程に噛み締める。
ソーマが自分を振り返ってくる気配がしてデザイアが顔を上げる。
涙こそは出ていなかったがその表情は悲痛に歪み、涙せずとも泣いているようだった。
「最低だろ? 幾ら憎んでたって言っても実の父親が死んだのに涙が出ないんだ。マリアが殺された時は丸一日泣いたのに」
それだけ言って再び唇を噛む。
ソーマを挟んだ向こうに居る変わり果てたジャックの姿を目に焼き付けるかのように見つめる横顔には、悲壮感がありありと浮かんでいた。
先程の穏やかな気持ちが今は影を潜め、今デザイアを満たしているのは自分への叱責。
もっと他に方法があったのではないか。やっぱり止めるべきだったのではないか。
勿論ソーマに罪はない。責める気もつもりも全く無いと断言してもいい。
ふとデザイアは立ち上がると、ジャックの亡骸を背にソーマを正面から抱き締める。
血が付こうが関係が無かった。
ジャックの、自分に半分流れている血だ。いっそこびり付いて取れなくなれば良い。
「ごめんな。嫌な事させて、ごめん――」
そんな謝罪をただただソーマに向かって口にした。
48: 名前:赤闇 (AldickGl/2)☆04/27(火) 06:01:50
別にデザイアを最低だとも思わない。憎むのは当然のことだし、自分がデザイアの立場だったらまず泣くこともしないだろう。
それどころか、何で自分に殺させなかったんだと口走るかもしれない。
だからといって、ソーマはデザイアにそれを言う事はなかった。言っても彼を逆に責め立てる事になってしまうかも知れない、と思うとどうしても無理だった。
デザイアに止められていれば、自分は恐らく彼も巻き込んでジャックを殺していたかもしれない。下手をすれば、デザイアも殺してしまったかも知れない。
そう考えれば、逆に止めてくれなかった方がよかったのかもしれない。そう思ってしまう。
正面から抱き締められ、ソーマの表情が明らかに驚愕で彩られる。
「……別に嫌じゃない」
別に嫌悪などない。今までも人間は殺してきたし、屍を踏み潰してきた。
ソーマはデザイアに抱き締められたまま、普段通りの無表情で言葉を紡いでいく。
「……これは俺のエゴだ。俺を罵りたいなら罵れ。殴りたいなら殴れ。殺したいなら、今ここで殺してくれて構わない」
自分勝手な理由で、デザイアの意見も言い分も何も聞かずに行動を起こしたのは自分だ。
彼には自分を罵る権利がある。殴る権利がある。そして殺す権利もある。
ソーマは表情を変えることもせず、一息にそうデザイアに言った。
49: 名前:灰人 (DesireLAOU)☆04/27(火) 06:10:06
こんな事をさせてしまったのは自分の方だと言うのに申し訳無さそうに目を伏せたソーマにデザイアは顔を歪める。
普段と変わらない無表情なのがデザイアにはまた痛々しく映った。
誰がこの少年を罵れるだろうか。殴れるだろうか。殺そうだなんて思えるだろうか。
そもそも自分にそんなつもりはないし、第一ソーマを怨むのは筋違いだ。
ソーマを止めようとしなかった自分にも、ジャックが命を失う事になった責がある。
だがそれを口にしたところでソーマは受け入れようとはしないだろう。
デザイアはソーマに対する言葉が見つからない代わりに抱く腕に力を込めた。
それが今の自分に出来る唯一の事だと思ったのだ。
50: 名前:赤闇 (AldickGl/2)☆04/27(火) 06:19:53
何も言わずに自分を抱く腕に力を込めてくるデザイアに、無意識にソーマは彼の背に手を回していた。
血で汚してしまう等と考えて彼に触れなかったのは自分なのに、と心の中で自嘲する。
「……貴様が気に病む必要はない。先程も言ったとおり、これは俺のエゴでしかない。俺が勝手にやった事だ」
デザイアが何故そこまで自責を感じるのかが理解できなかった。
別にこれは何度も言うように自分の独断、自分勝手な行動だ。罵る材料なんて十分すぎる程に揃っている。
ソーマは息を吐き、ゆっくりと身体の力を抜いた。
51: 名前:灰人 (DesireLAOU)☆04/27(火) 06:31:23
ソーマの腕が背中に回ってきて、デザイアの中で何かが弾ける。
その瞬間堰を切ったように今までどうしても出なかった涙が頬を伝った。
唇を噛んでいたお陰で嗚咽こそは漏れなかったが、デザイアはソーマにそれを気付かれないようにとソーマの頭を自分の胸に押し付ける。
「……悪い。暫く我慢してくれ」
嗚咽が漏れないようにそれだけ口にして再び唇を噛み締めただただ涙を流した。
ふと顔を上げれば壮麗なマリア像が自分達を見下ろしていて、象牙色のそれに赤が所々付着している。
穢れてしまったマリア像は自分の母の“マリア”が重なって見えた。
父親は自分が殺したようなものだ。
ジャックを心底憎んで、ほぼ毎日のように悪夢にうなされていたマリアがこの事を知ったらどう思うだろうか。
喜ぶか? 息子が父親を殺めたと嘆くか? 自分を産んだ事をまた後悔するか?
デザイアはマリア像に向かって心の中でそう問いかける。
だが“マリア”は答えない。当然だ。あれはただの物で、母は父親同様既にこの世にはいない。
「ッ…………」
デザイアはふっ、と自嘲的な笑みを浮かべると手の甲で涙を拭い、ソーマを腕の中から解放した。
52: 名前:赤闇 (AldickGl/2)☆04/27(火) 06:36:25
突然デザイアの胸へと押し付けられるも、ソーマは身動き一つしなかった。
何となく、デザイアが何をしているのか、何を考えているのか解ったような気もする。だが、それはただの憶測でしかないのだから言う気はない。
ソーマはふと、自分とデザイアの足下に視線を落とす。
まるで処刑場のように血の鉄臭く生臭い匂いが充満していて、足下には血溜まりが出来ている。
それには所々肉片も落ちていて、殊更生々しさを醸し出していた。
血溜まりが若干薄くなっているように見えるのは、恐らくジャックの腹に突き刺さったままの氷柱が溶け始めたのだろう。
また自分は血で汚れた。何て、今更過ぎる。本当に今更だ。
どれだけ人間を殺した。どれだけ血を浴びた。どれだけ自分は死体を踏み潰してきた。
不意に解放され、ソーマは何のことでもないようにデザイアを見上げる。
「……俺は結局、殺す以外に選択肢を見付けられない。……どこまでも、愚かだ」
53: 名前:灰人 (DesireLAOU)☆04/27(火) 06:53:00
自分を見遣り、自分が愚かだと口にしたソーマにデザイアは苦しげに顔を歪める。
「人間は皆愚かだ。だがそれを認めようとしない人間も居る。オマエはそうやって認められる」
それだけでも素晴らしい事だ、とデザイアは続け、一息吐くと再び話だした。
「選択肢だって探そうとする事も難しい。オマエは子供なんだ、誰かに教えを乞うてみろ。また違う発見があるかも知れないぞ」
それだけ口にしてデザイアは振り返る。
未だ腹部の辺りに氷が深々と刺さるジャックの姿に一瞬だけ眉を顰めると、普段通りの表情に戻りジャックの亡骸に近付いた。
亡骸の側に跪き、冷たくなった頬に触れる。
首から下は内臓が覗いていたりと酷い有様だったが、顔はとにかく穏やかで、ただ眠っているだけのようにも見える程だった。
「もしも死後の世界とやらが本当にあったら、マリア――母さんにも謝れよ。――――父さん」
“父さん”。誰かをこう呼ぶ事は一生ないだろう、と思っていたデザイアは少し言い難そうで。
静かな声色で言い終えたデザイアが胸の前で十字を切る。
胸の前で手を組み、祈りを捧げた。
54: 名前:赤闇 (AldickGl/2)☆04/27(火) 06:57:30
目の前で祈りを捧げるデザイアを、ソーマは普段と全く変わらない瞳で見つめる。
白かった神父服は血で赤く染まり、汚れてしまっている。神秘的で荘厳な筈の礼拝堂は陰惨な殺人現場へと変貌していた。
勿論これをやったのは自分で、自分が人を殺したのだという事実を突き付けられた気がした。
血溜まりに落ちていた真っ赤に染まった鎌を拾い上げ、ソーマはふとそれを見てみる。
まあ、そんな事はどうでもいいかとソーマは指向を打ち切る。それと同時に、瞬時に鎌は光の粒子へと変わり霧散した。
それにしても、自分はこんな血塗れの格好でどうすればいいのだろう。それにこの礼拝堂も。どうすればいい。
前髪にも血は染み込んでしまっていて、片方の視界が真っ赤に染まっていた。
55: 名前:灰人 (DesireLAOU)☆04/27(火) 07:10:08
祈りを捧げ、改めて自分の父親の亡骸を見つめる。
今は真っ赤に染まってしまったが自分と同じ色の髪。そして瞼の下には同じ色の瞳。
デザイアは自分が手厚く葬る事が、最初で最後の、母にも出来なかった親孝行だと思った。
亡骸から視線を外し、振り返る。
そこには自分の為に人を一人殺めてしまった血塗れの青年。
デザイアはソーマにあえて微笑んで見せた。
何時の間にやら昇っていた朝日が、教会の窓から向かい合う二人と、二人と見守るマリア像を照らした。
56: 名前:赤闇 (AldickGl/2)☆04/27(火) 15:27:40
朝日に照らされ、ソーマは眩しそうに眼を細める。
そして不意に、血で染まった自分の前髪へと触れた。かなりの量の血が染み込んでいるのか、毛先からはぽたぽたと赤い液体が滴り落ちている。
瞬きする程度の時間で、彼は先程光の粒子となって掻き消えたはずの鎌を再びその手に持つ。その鎌も、不思議なことに全く赤く濡れていなかった。
ソーマは鎌を短く持つと、躊躇うことなく前髪へと刃を滑らせる。
添えられていた右手に落ちてきた赤黒く染まった銀髪、それを彼はゆっくりと、割れ物でも扱うようにして握った。
いつからか前髪で自分の片方の視界を覆うようになった自分には、両目で見える確かな景色は眩しすぎる。
それでも、ソーマはこんな自分に微笑んでくれたデザイアをしっかりと見据えた。
57: 名前:灰人 (DesireLAOU)☆04/27(火) 18:49:22
何の躊躇いもなく鎌で前髪を切ったソーマにデザイアは瞠目した。
血がこびり付いていたようだったからその所為でなのだろうがそれにしてもこれはない。
「切りたかったらハサミを使え馬鹿」
ふっ、と苦笑を漏らす。
自分を見つめてくるソーマにゆっくりと近付き、デザイアはその手に握られている髪の束をそっと外した。
「――この髪、貰って良いか? 後でジャックの骨も貰うつもりだがこれも一応」
そう尋ねたデザイアの瞳はどこか憂いを含んでいるようだったがすぐにそれも無くなる。
「まぁオマエが駄目だって言っても貰うけどな」
何時も通りに傲慢に言い放ったデザイアの表情は全てを吹っ切ったとは言えないまでも清々しかった。
58: 名前:赤闇 (AldickGl/2)☆04/27(火) 23:28:35
「……鋏等この場に無いだろうが」
普段通り、感情の読み取りづらい声でソーマは苦笑したデザイアに吐き捨てる。既にその手にあった筈の鎌はない。
右目に映る光がやはり眩しく、彼は思わず血で濡れた手で右目を覆ってしまう。
不意に聞こえたデザイアの言葉と行動に、ソーマは驚いたように彼を見た。
「……別に構わない」
別に自分には必要のない物だ。それにデザイアが自分がどう言おうがそれを貰うのは目に見えていた。
清々しいと言えるようなデザイアの表情を見て、ソーマも僅かに表情を緩ませた。
59: 名前:灰人 (DesireLAOU)☆04/27(火) 23:45:54
「だから後で切れば良かったろ」
呆れたような口調でソーマに言う。
髪の束は有り難く頂く事にして、デザイアは頬を緩めたソーマの頭に手を置くとデザイアはぐしゃぐしゃと撫で回した。
頬を緩めた姿は歳相応の面持ちだったが、ソーマの頬にべったりと付着しているそれを視界に留めデザイアは僅かにだか表情を曇らせる。
口には出さずに心の中で再度ごめんな、と謝罪をして、デザイアはソーマの頭から手を離した――――
60: 名前:灰人 (DesireLAOU)☆04/28(水) 01:11:08
エピローグ
「………… んっ……」
ふと暗闇の底にあった意識が浮上する。
ジャックは数度瞬きをすると未だぼんやりと靄がかった思考で辺りを見回した。
真っ暗な場所。どこからが地面で天井なのか、どのくらいの広さの場所で、外なのかどこかの建物の中なのかさえも分からない。
ジャックは立ち上がってからふと違和感に気づいた。
「足が……ある…………?」
徐々にだが思考力が戻ってくる。
そんな中で、自分の両足が“息子”の友人である青年に切り落とされた事やそれ以外の事を思い出した。
その場で軽く足踏みをしたり、軽く飛んでみるも特に異常はみられない。
第一自分は死んだ筈だ。それが何故“こういった”状況になってるのか分からない。
「何故だ……?」
ジャックはただただ首を傾げるばかりだった。
61: 名前:赤闇 (AldickGl/2)☆04/28(水) 01:18:43
天井なのか地面なのか、それどころか何も解らない程の暗闇の中にジャックの声とは違う音が入り込んでくる。
明らかに近付いているそれは足音で、それが数回ほど続いた後にゆっくりとその足音の主が姿を現した。
主は二十代前半と思われる男で闇に溶け込んでしまいそうな黒いマントを身に纏い、短く切られた黒髪を揺らしている。白い肌と赤い瞳だけが闇の中でぼんやりと浮かび上がっていた。
彼は左手に持った黒い表紙のファイルで肩をとんとんと叩くと、目の前にいるジャックに向けて口を開いた。
「――Welcome to the netherworld.」
低いながらも澄んだ声は僅かに反響して暗闇に掻き消える。
男は左手のファイルを下ろすと同時に、右手に持っていたそれを肩に担ぐ。
どこに光源があるかも解らない世界で、その大鎌は金属光沢を発していた。
62: 名前:灰人 (DesireLAOU)☆04/28(水) 01:27:00
きょろきょろと落ち着かない様子で辺りを見回していたジャックはふと聞こえてきた音に耳を澄ました。
「何の音だ――……、っ!?」
何の音かを探ろうとしたところで自分の背後から聞こえた声に驚く。
びくりと肩を震わせ、ジャックは恐る恐る振り返った。
そこには自分よりも頭一つ分程背の高い男が立っていて、不思議とその姿ははっきりと視認できる。
そしてジャックはその男の言葉と、持っていた“それ”に瞠目した。
「ここは……あの世、なのか……? それにその鎌は……死神、?」
とても信じられるような内容の話ではなかったが、何故だかすんなりと受け入れる事ができた。
ここが所謂“あの世”等と呼ばれる世界ならば自分がこうして二本の足で立っていて、この彼と会話をしている理由も分かる気がした。
63: 名前:赤闇 (AldickGl/2)☆04/28(水) 01:42:14
恐る恐るといったように振り返ってきたジャックに、男は満足そうに笑みを浮かべる。
「御名答! ここは冥府だ。てめェは死んだ。解るな? ――っつっても、ここはまだ現世と冥府の狭間、って所だがな」
まるで子供に言い聞かせるような口ぶりで彼は言い、笑みを浮かべていた。それもジャックの口から出た単語に一度怪訝そうな物へと変わる。
「呑み込みが早ェな。俺は死神。アーシラト=サラスヴァティーだ。良いな?」
自分の名前を言い聞かせ、アーシラトは手元にあったファイルをぱらぱらと捲り始めた。
様々な人間、悪魔、吸血鬼、堕天使達の情報が事細かに書かれているファイルの中から目当てのページを見付けたのか、彼はふと手を止める。
「――“ジャック・デイヴィス、享年四十代半ば。死因は殺人、内容は鎌と氷柱による大量出血が原因の失血死。生前の罪状は女性の暴漢もとい輪姦、戦争での殺人”。合ってるか?」
そこに書かれていたジャックの生前の情報を並べ立て、アーシラトは探るような視線で彼を見た。
64: 名前:灰人 (DesireLAOU)☆04/28(水) 01:52:15
現世と冥府の狭間。
男――死神のアーシラトのその言葉にジャックは戸惑っていた。
狭間、というのは一体どういう事なのだろうか。自分が死んだのは理解出来る。
だが自分が死んだら行く先は地獄に決まっていると思っていたジャックは、こう言ってはなんだが微妙な場所に置かれ戸惑った。
ついついアーシラトを見つめる視線が訝しげなものになってしまう。
見た目だけなら自分よりも若いし、口調も最近の若い者を彷彿とさせる。見た目は人間ではないのだから自分の尺で測るのはどうかとも思ったが、その口調だけはどうにもしっくり来なかった。
しかしアーシラトに話しかけられた事で思考を強制的に終了させられた。
彼の真っ赤な瞳にどこか探るような視線で見遣られ、ジャックは萎縮してしまう。
「あ、あぁ……。間違い、ない……」
それでもアーシラトの問いに答え、ジャックは僅かに俯いた。
彼が自分の事を事細かに知っている理由に疑問はない。死神ならば、死んだ人間の事を知っていてもおかしくない。
「その……私は、これからどうなるのだろうか。地獄に、行けるのか……?」
どこか躊躇いがちにジャックはそう、アーシラトに尋ねた。
65: 名前:赤闇 (AldickGl/2)☆04/28(水) 01:55:13
「……オイ、まさか信じてねェのか? 何だ、スーツを着込んで黒縁眼鏡の公務員みてェな奴の方が良いか?」
アーシラトの頭に浮かんできたのは、冥府に居る自分と同じ死神の事だった。スーツといい眼鏡といい、彼の方が死神には見えない。
だが自分を疑われるとなると彼しか居ない。まさか全身を赤で固めた友人を連れてくるわけにもいかない。
確かに自分でも“らしくない”とは思っている。だがこれが自分なのだから仕方がない。直すつもりは皆無と言って良い。
「あァ、そこまで緊張しなくていいぜ。別に首刈り取ったりなんて真似はしねェから」
鎌を持つ手に器用にファイルも持つと、アーシラトは笑いながら左手でジャックの肩をぽんぽんと叩いた。
だがその笑みも、彼が呟いた“地獄に行けるのか”という言葉に対して訝しげな物へと変わる。
「……不思議な奴だな、普通地獄とかには行きたがらねェモンじゃねェのか? てめェみたいな奴は初めてだ。取り敢えず、全部はまずアッチに行ってからだ」
ジャックが地獄に行くのも死神支部の懺悔室に行くのもすぐに転生するのも、全ては冥府に行ってからという事になる。アーシラトは指で自分の背後を示してそれを告げた。
それにしても、彼は何故そんな口ぶりでいるのだろう。生前何かあったのだろうか、とアーシラトは何となく好奇心を持った。
生前の情報――例えば家族構成等は知っていても、その家族の名前までは知り得ない。普段ならばそれも伝えられるのだが、今回はそれがなかった。それもあり、更に好奇心が搔き立てられる。
「……もし良かったらだが、死ぬ間際に何があったか教えてくれねェか?」
ジャックのどこかで見たようなダークブルーの瞳を見据え、彼は躊躇うこともなく堂々と尋ねた。
66: 名前:灰人 (DesireLAOU)☆04/28(水) 02:19:19
アーシラトに言われジャックは滅相も無いと言わんばかりにジャックが首を振る。
むしろ公務員のようなのが来た時の方が信じられなかっただろう。
だが首を刈らない、と言うのならその鎌は一体何なんだろうか、とジャックは首を傾げる。
笑いながら肩を叩いてくるアーシラトはやはり自分の思っていた“死神”とは違った。黒い見目に身の丈程の大きな鎌、という出で立ちは別にして、それ以外がどうにも人間臭い。
とは言っても今は彼に任せるしかない、とジャックはアーシラトへの思惟をそこまでに留めた。
「――……俺は地獄に行くのが妥当なんだ」
彼に尋ねられ、ジャックはどこか困ったように微笑みながらそう答える。一人称が普段のものに戻ってしまったのに口に出してから気付いたが、ジャックはアーシラトがそんな事を気にするようなタイプには見えないのを良い事に話を続けた。
思い浮かぶのは“息子”の事。自分と同じ髪と瞳の色を持った可哀想な彼の事だ。
「死ぬ直前に息子に会ったんだ。存在すら知らなかった息子に」
自分の“罪”の犠牲者といっても良い彼は立派な青年だった。
「憎まれて当然の事をして、彼を苦しめた。とてもじゃないが赦される事じゃない。…… あ。俺を殺したのはその息子じゃないからな?」
念のために言っておく、とそう口にして、ジャックはぽりぽりと自分の頭を掻いて小さく笑った。
「息子だと言う事が分かった時に側に居た息子の友人に、怒られて俺は此処に居る」
67: 名前:赤闇 (AldickGl/2)☆04/28(水) 02:28:39
首を振って否定したジャックに、やっぱりかとアーシラトは満足そうに笑って頷いた。公務員な死神なんて流石に信じられないだろう。
ちなみにこの鎌は冥府に行きたがらない自縛霊や死んだことに気が付いていない霊を現世から引き剥がして連れて行く為のものだ。
受動的な「あ、じゃあ冥府行きます、よろしくお願いします」といったような霊に対して使うことはまずない。後あるとすれば、純粋に武器として使用する場合だろうか。
ジャックが案外簡単に話し出した事に若干驚いたが、何も言わずにアーシラトは話を聞いていく。
「……怒られてってレベルじゃねェだろ、これ……何したんだよ、てめェは」
怒られてなんてレベルじゃない。アーシラトは呆れたように溜め息を吐き、肩を竦めた。
「――話を聞いてこっちで勝手に照らし合わせただけの憶測だが、“過去に暴漢した女性の子供に会って、傍にいたそいつの友人とやらに殺された”って事……か?」
自分が知っているジャックの過去と照らし合わせ、彼はぽつりと呟いて首を傾げた。
68: 名前:灰人 (DesireLAOU)☆04/28(水) 02:45:29
アーシラトの憶測にジャックはただただ困ったように笑うだけだった。
無言の肯定。
彼なら言わずとも意思を汲み取ってくれるだろう、とジャックは敢えて口には出さなかった。
「息子は立派になっていた。どうやら子供が育つのに父親は必要ないらしい」
どこか自嘲的に口にして、ジャックはふと自分の視界が歪んでいるのに気付く。慌てて手の甲で目を擦り溢れそうになっていた涙を押し留めた。
自分が泣く権利はない。
そう自分に言い聞かせ、ジャックは改めてアーシラトを見遣った。
「それで、これからどうすれば良いんだ?」
69: 名前:赤闇 (AldickGl/2)☆04/28(水) 02:51:35
ジャックは困ったように笑っているだけで、首を振ることも違うと言うこともしない。
肯定なのか否定なのか解らなかったが、不思議なことにそれが肯定に感じられてしまった。
「……父親、か」
自分に父親なんて居ないものだと思っているアーシラトに取っては無縁とも思われる言葉。いや、実質的には居る。それを彼が認めていないだけだ。
「…… 別に何もしなくて良いぜ? ただ俺に付いてくればそれでいい」
涙を拭ったジャックに僅かに顔を曇らせると、アーシラトはジャックに問われて答えた。
70: 名前:灰人 (DesireLAOU)☆04/28(水) 02:58:59
呟いたアーシラトに、ジャックはそういえば死神にはそういった“家族”という概念はあるのだろうか、と思う。
だが質問しようとは思わず、自分に付いてこい、と口にしたアーシラトに頷いた。
自分がこれからどうなるかは分からなかったが、死んでしまった自分がどうなろうとジャックは一向に構わなかった。
彼によれば地獄はどうやら実際にあるらしく、地獄に行ければそれに越した事はないが、どうなった所で変わりはないだろう。
ジャックは一つ息を吐くと「宜しく頼む」とアーシラトを真っ直ぐ見遣った。
71: 名前:赤闇 (AldickGl/2)☆04/28(水) 03:08:34
死神にも一応家族というものは存在する。途中で外見的成長が完全に停止する、そして不死という点を除けばあとは人間や悪魔と変わらない種族だ。
尤も、自分はそのような死神達とは全く違うのだからよく解らないが。
再び真っ直ぐに自分を見て言ってきたジャックに、アーシラトは何も言わずに笑っただけで彼に背を向ける。
「ホラ、来いよ。冥府への御案内だ」
ふざけたように言い、肩越しにジャックを振り返ると彼は口角を吊り上げた。
72: 名前:灰人 (DesireLAOU)☆04/28(水) 03:11:37
「あぁ。分かった」
自分を振り返り口角を吊り上げたアーシラトにジャックは子供みたいだな、と思いつつ頷く。
彼に付いて行こうと一歩を踏み出した所で何となく振り返ってみる。
相変わらず真っ暗で、どこかどこだか分からない。
ジャックは僅かに顔を歪めると、それまで一度として呼んでやれなかった“息子”の名前を小さく呟いた。
「済まなかった。――……デザイア」
73: 名前:赤闇 (AldickGl/2)☆04/28(水) 03:22:40
背後から聞こえてきた名前に、アーシラトがぴたりと足を止めてジャックを振り返る。
「…………デザイア? デザイア、って言ったよな?」
まさか自分の知っているデザイアなのか、とアーシラトは明らかな狼狽を表情に浮かべると彼を見据える。
金髪碧眼、確かに自分の知っているデザイアのものだ。どこかで見たことがあると思っていたが、そんな事だったとは思いもしていなかった。
となると、鎌での殺害というのは恐らく彼の事だろう。少し想像はしていたが、それまで当たっているとは。
74: 名前:灰人 (DesireLAOU)☆04/28(水) 03:39:31
まさか食いつかれると思っていなかったジャックはアーシラトに問われジャックはきょとんとした顔で見つめた。
「言ったが……それがどうかしたか?」
まさか彼にも“デザイア”と言う名の知り合いでも居るのだろうか。
それともまさか自分の言うデザイアと知り合い? いやまさか。
神父と死神が知り合いなど笑い話にもならない。
「…… 君の言うデザイアは……デザイア・ヘスターか?」
気になったジャックはどこか躊躇いがちに口にした。
75: 名前:赤闇 (AldickGl/2)☆04/28(水) 04:15:56
「あァ、そいつだ。……まさかてめェがアイツの親父なんてな」
フルネームでデザイアの名を言われ、アーシラトは若干落ち着いてはいるもののジャックに焦ったように答えた。
ジャックがデザイアの父親だったなんて予想もしていなかった。金髪碧眼なんて探せばたくさんいるし、単なる偶然だろうとばかり思っていたのだ。
だからといって彼に何か言うつもりもない。自分はいうなれば“傍観者”という立ち位置なのかも知れないから。
「……まァ、その話はアッチに行ってからゆっくりするとしようぜ。…… 行くぞ」
アーシラトは無理にそこで会話を打ち切り、再び歩き出した。
FIN.
76: 名前:赤闇 (AldickGl/2)☆04/28(水) 05:09:57
後書き
俺が「ソーマがデザイア様の父親を残虐な方法で殺す話とか書きてぇな」って言ったのが最初だった…気がします。(発言はうろ覚え
久々にああいう描写をしたので本体はウハウハしてます。ですがしょっちゅう泣いてその思いを叫んでいました。
そんなきめぇ赤闇です。後書き書くのなんて殆どやったことないから勝手が解らな(ry
実際に何回か泣きました。デザイア様的な意味で。
書いてて萌え…じゃなくて燃えました、凄く。
ソーマの懺悔室の下りとか、懺悔室とか、懺悔室とか。
滅茶苦茶ネタバレですね\(^o^)/特に師匠発言が。
これで俺が完結させた小説は…なんだろう、コラボも入れれば4作品目になるんですかね。
関係ないですが余談を。
今回の作業用BGMは主にリグレットメッセージやシリアス系の物を聞いていましたが、時々沈むので「エビはシャコに似ている(君は僕に似ている替え歌」や「魂のソフラン(魂のルフラン替え歌」などのネタ曲も聞いていました。
それでは、有り難う御座いました。
77: 名前:灰人 (DesireLAOU)☆04/28(水) 06:11:56
後書き
こんにちは。初めましての方は初めまして。
赤闇の後書きにもあるようにまぁ始まりはそんな調子だったんですよね。
雑談スレでフリーダムなのを良い事に「―Desire―」のネタバレをしたら赤闇に「デザイア様の父親嫌い」だの言われたり、そんな中で私が「デザイア様のパパ名前考えるの面倒だしなんかもうジャックで良いや」とか言ってたのが懐かしいです。
ジャックの名前は本気で適当に付けました。ジャックごめん(。・ω<。)=☆←
まぁ最終的には私も赤闇もジャックの事嫌いじゃなくなったので良かったかな、と。……ですよね!?
赤闇さん!?←
というかそのジャック、殺されましたね。ソーマさんに。(あれ。これ後書きから読んでる人とか居ませんよね?もしコッチから読んでる人が居たらネタバレしちゃったよ)
まぁジャックも辛い思いはしましたが、最後に息子(デザイア)に赦しを貰えた、って言うのは神に告解するのよりも救われたと思います。
デザイアも父親に一目会えて良かったんじゃないでしょうかね。それによってのこの先にまたあるであろう、葛藤等は置いておいて。
私も書きながら実際少し泣きました。色んな意味で。
ジャックが息絶えるシーンやデザイアがジャックやマリアの事で葛藤する部分は特に感情移入しましたね。
あとジャックが殺されるシーン。ああいった描写を今回初めてしたので自分の拙さにも涙。
本編の方はまだまだ始まったばかりで今回ネタバレした部分も全然先だったりします(ネタバレと言っても色々伏せて書きましたが)。
しかも本編、ジャック出てきません。←
デザイアは勿論出てきますよ。主人公です。
もしも本編を知らずに先にコッチを読んだ、と言う方で少しでも興味を持ってくださった方がいらっしゃいましたら是非とも本編の方も宜しくお願いします。
勿論赤闇のリレイズの方も。ソーマにあーくん(アーシラト)私大好きです。
因みにタイトルと1レス目の
「
神よ彼らをお許しください。彼らは何をしているのか分からずにいるのです。」
「Father, forgive them; for they know not what they do.」
というは旧約聖書に載っている言葉だそうで。
では長くなりましたがこの辺で最後のお礼をさせて頂きたいと思います。
赤闇。色々迷惑かけたけど最後まで付き合ってくれて有り難う。か な り 楽しかった。
そして最後になりましたが読んでくださった皆様。こんな自己満足の塊を読んでくださり有り難う御座いました。
良ければ一言でも感想を頂けると二人して舞い上がります。
ではでは本当に長くなりましたのでこの辺で。
2010.04.28 灰人
最終更新:2010年04月29日 03:48