81: 名前:海☆08/10(火) 18:15:17
家に帰るなり、あたしは携帯を開いた。
優太君と、きちんと話したい。
誤解されたまま終わるなんて、
そんな悲しい終わりは嫌だ。
【優太君、今会いたい】
優太君に、そう送信した。
会いたいよ、優太君。
あたしから早く大地の過去を拭って。
あたしは、優太君からメールの返事が来るのを
ただ、ひたすら待った。
今、思う。
あんなに送るのが恥ずかしかったメールも
今なら、迷わず送れる。
でも、それって
やっぱり好きな人に誤解されるのを
どんな理由をつけてでも誤解を解くのと同じで、
誰よりも好きな人に、優太君に信じてもらいたいから。
82: 名前:海☆08/11(水) 11:22:56
カチカチカチ
時計の音が部屋に響く。
優太君にメールを送信したのは午後19時
今、現在は午後23時を回っていた。
「優太君……」
その日、優太君から返事がくることはなかった。
83: 名前:海☆08/11(水) 11:54:17
夏休みが、こくこくと近づいて
周りの雰囲気も夏休み気分になっていた。
あたしは乗り気じゃなかった。
優太君と気まずいまま、
1週間が過ぎ、もう夏休みにはいってしまう。
いつも、こう空回りして
上手く気持ちを伝えられない。
嫌われたくないって思っているのに…
「桃子~!今日、一緒に帰れるよ!!」
「あ…藍、」
嬉しそうな表情で、あたしに近づく藍。
「まだ、仲直りしてないの?」
「……ん」
もう何度も何度も携帯を手に取り
メールして電話して……
だけど、一度も優太君がでることはなかった。
84: 名前:海☆08/11(水) 12:06:31
「4組行って、佐野に会いに行こうよ!」
あたしの手をグッと掴み、
真剣な目で藍が言った。
「や…そんなことしたら、嫌がられるし……」
「桃子は、いつもそうだから駄目なんだよ」
藍が、さっきより鋭く言った。
「違う?メールの返事が来ないからって
あきらめちゃうの?
直接言わなきゃ……佐野には桃子の気持ち伝わんないよ」
ごもっともな正論を言った。
あたしは少し考えて、
「うん」
そう教室に残し
優太君の教室へ向かった。
85: 名前:海☆08/11(水) 13:25:22
1年4組
「あっあの…佐野優太君はいますか?」
ドアの前で話していた男の子二人に、聞いた。
「優太ー?まだ来てないぜ」
「え、もう3時間目ですよねっ…?」
聞いた話によると
優太君は、1週間前から学校を無断欠席しているらしい。
1週間前…あたしと優太君が喧嘩した日からだ。
優太君……
どうして会ってくれないの。
86: 名前:海☆08/11(水) 16:57:17
「桃子……」
「あ、あたしの事、あきちゃったのかな」
自分で言う言葉が自分の、
どこか奥に突き刺さる。
「辛い」とか「寂しい」て
自分の中で思いたくないんだ。
だから「辛い」と思っても誰にも言えなかった。
あたしの暗い心の隙間が
どんどん、えぐられていく。
88: 名前:海☆08/11(水) 17:18:27
――カーン
雲ひとつない青空が広がる今日の外
授業中眺めていた。
あ、
白いく小さなものが青空の中に飛び込んだ。
男子達が外で騒いでいる。
「おースゲぇ!」
優太君かな
『やりー!俺ホームランじゃね』……
優太君かな
「おい野球部さすがだなぁ!」
期待した名前は声は
聞こえようとはしなかった。
優太君。
どこへ行ってしまったの。
また、あたしは大切な人に置いていかれてしまうの。
優太君。
1週間、会えないだけで見れないだけで
あなたの声を忘れてしまいそう。
94: 名前:海☆08/12(木) 18:08:01
そして、
優太君が、学校に来ないまま。
連絡が取れないまま。
夏休みにはいった。
「暑ー……」
そうぼやく毎日。
夏休みといえど何もすることがないし、
何もしたくない、あたしは
毎日、家でゴロゴロしていた。
95: 名前:海☆08/12(木) 18:15:32
カチャリ携帯を開く。
――新着メールはありません
見慣れてしまった文字は、かすんで見えた。
そして今日も返って来ないと分かっているメールを
カチカチとうった。
【優太君 後少しで花火大会!一緒に行きたいなあ】
あ……そうえば後少しだな。
自分でうっといて「花火大会」の存在に今気づく。
行きたいな…優太君と二人で。
最終更新:2010年11月18日 17:25