「 俺だけのプリンセス 」 続き7

120: 名前:乃愛☆01/17(日) 17:00:54

 啓斗Side


 ………。


 「 ん 」

 自然と開いた瞼。
 少しの隙間があいたカーテン。
 そこから入ってくるのは朝を知らせる太陽の光。


 朝……か。

 俺は開いた瞼をパチパチと動かして、
 ゆっくりとベットから起き上がる。

 そして、驚くのはベットの周りに落ちている服。
 昨日、確かに服選びに手こずって最終的に眠くなって…。

 やべ。
 こんなに汚くなってるとは。

 渋々、落ちている服を1つ1つ拾い上げて
 俺は溜息を落としながら時計を見た。

 8:05……。

 結夏のとの駅での待ち合わせは10:30。
 よし……まだ大丈夫だ、ゆっくり準備できる。

 ゛コンコン゛

 丁度落ちていた服をすべて拾い上げ片付けていると、
 ドアをノックする音が聞こえ、俺は振り向きながら返事をした。

 入ってきたのはふりふりのレースとドピンクのハートがついているエプロンを着ている母さん。

 「 啓く―んッ!どぉしよう! 」

 何、このパターン。
 何で母さんが俺に泣いて抱きついてくるわけ?

 「 あのね、あのねッ!
   パパが出張先から今日の朝連絡してくるって
   言ってきたんだけどね、来ないのぉ! 」


 ガクッ。

 思わず体全体を支えていた手の力が抜けました。

 「 じゃ、母さんから電話すりゃいいだろ? 」

 俺は片手で髪をポリポリとかき、
 片手で母さんの肩を掴み離れようとする。

 「 だめだめッ!そんなしつこいことしたら
   パパに嫌われちゃうじゃない! 
   そんなの、恋の駆け引きよぉ! 」

 この歳になって゛恋の駆け引き゛って。



123: 名前:乃愛☆01/18(月) 19:34:14

 でぃあ*アヤノさま

 2回のコメd(・ω・*)☆スペシャルサンクス☆(*・ω・)b
 はい、また゛雑談スレ゛に行かせていただこうと思います*

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 「 じゃ、メールでさらっと書けよ 」

 「 …… 」

 ポカーンと口を開けて俺を見ている母さん。
 …と。俺なんか変なこと言ったか?

 ふと気になり首を少し傾げて母さんを見る。
 気づくと母さんの口元は緩んでいた。

 「 啓くん、頭良い…… 」

 目にはまだ涙が残っている。
 その目で俺を見て満面の笑みになる母さん。

 ……うげ。
 何だし、その顔。

 もういいや。
 顔でも洗ってこよう。

 「 もうすぐご飯ですよぉ~! 」

 はいはい…。

 俺は心の中で返事をしながら溜息をついた。
 そして、洗面所に向かった。

 バシャバシャと乱暴に顔を洗うと、
 やわらかいタオルで顔を拭いた。

 母さんに会うのが嫌なのかはよく分からないが、
 何故か…リビングに向かう俺の足取りが重い。

 リビングに向かうための廊下を歩き、
 扉を開くとそこには御伽話の世界―…。

 薄ピンクの長い食事用机の上には
 ピンクのハートが刺繍されている、
 レースの女の子が言う゛可愛らしい゛ランチョンマット。

 そして、椅子の背もたれには何故か兎の姿。
 しかも、その兎は耳にリボンをつけている。

 美味しそうな目玉焼きを乗せている皿は
 もちろん、白地にピンクと赤のチェック柄。

 そしてそして、俺の席の隣に座る……
 ドレスのようなワンピースのような、ケーキのような
 服を着た、双子の妹。

 ……いい加減に、

 いい加減に可愛い顔はやめろ―い!
 ロリコンって言われたってかまわない!
 俺は…俺はただ!可愛い妹を純粋に愛しているだけ…!

 ……ってあれ?
 もしかして、俺………。

 変態扱いされちゃってる?
 え?ロリコンってところが無理だって?
 そんなこと!……あるよなぁ。


 と、色々と考えてしまう俺。
 そんなキモい(自覚)俺を見つめながらパジャマの裾を掴んでくる妹。

 この、くるくるの栗色の髪を赤で結んでいるのが麗菜。
 そっちの、同じ髪をしていて朝食を食べながらこっちを見ているのが愛菜。




125: 名前:乃愛☆01/21(木) 18:36:46


 でぃあ*彩菜さま

 雑談……ああッ!あの彩菜さんでしたか(●Ü●)
 来ていただけて嬉しいです(⋈¨●)♡
 面白いですか?照れるぅ(๑→‿ฺ←๑)
 了解∀ 頑張るぜv

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 結夏Side


 「 ……と、こうかな? 」

 あたしは今、珍しくメイクしてます!
 実は昨日、あの後にお姉ちゃんにメイクも教えてもらったの。


 『 あんたは色白だし、服が桜色なんだから
   メイクもピンク系で揃えるの、いい? 』


 そして、あたしは今に至る。
 アイラインって……難しい。

 プルプルと手が震える中やっと出来た、ちょっとゆがんだアイライン。

 ………。


 つ、次だよね、次ッ!
 あたしは強く意気込むとチークを手に取り
 ラメの入ったピンクのチークを少し頬につけた。

 そして、最後に。
 唇に立体感を出そうと、唇の中心に多くグロスを塗る。
 そして、のばすように優しく塗っていく。


 「 わ……あ…… 」

 鏡の中にいたのは明らかにいつもと違う自分。
 あたしは思わず声を出してしまった。

 メイクだけで……
 こんなに変わるんだ。

 あたしは鏡に優しく触れると、
 自分の顔を鏡に近づけた。

 喜びを抑えて、あたしはまた椅子に座った。
 次に、あたしは栗色の長い髪を触った。

 この髪も……たまにはいじってみようかな?
 あたしは引き出しからピンクのシュシュを用意した。

 そして、鏡の前に座るとヘアアイロンで髪をのばす。
 ある程度綺麗にのびたと思ったら、
 くしでトップだけを持ち上げて少し髪を残しつつお団子をつくる。

 そして、シュシュで綺麗に結うと、残った髪を
 軽くウェーブをかける。

 ヘアが終わると、あたしはお姉ちゃんから貰った
 桜色の淡いワンピースを着る。


 全身が見える鏡の中にいるのはお洒落をしたあたし。
 こんなあたし……生まれてはじめてみた。




126: 名前:乃愛☆01/24(日) 10:08:33

 啓斗Side


 「 おにぃちゃま~、麗菜と遊んで下さぁい! 」

 「 愛菜とも遊んで下さぁい! 」

 う゛……。

 朝食を食べ終わり、着替えていると
 部屋に入ってきたのは可愛い妹達。

 遊んでやりたいッ!

 ……だけど、今回だけは。

 「 ごめんな、今日お兄ちゃんは用事があるんだ。
   また今度、一緒に遊ぼう?な、麗菜。愛菜 」

 麗菜と愛菜の頭をポンポンと優しく撫でて
 目線を同じにして謝る。

 それでも納得していない様子の麗菜と愛菜。

 ゛コンコン゛

 「 あ、こんなところにいたのね~麗菜、愛菜 」

 部屋に入ってきたのは少し頼りない救世主母さん。
 俺は麗菜と愛菜に聞こえないように小声で母さんに助けを求める。

 「 お兄ちゃんは今日用事があるのよ?
   だから麗菜と愛菜はお買い物にママと行こうね 」

 無理やり麗菜と愛菜を部屋から出そうとする母さん。

 「 い~やぁ~!麗菜はおにいちゃまと遊ぶのぉ~! 」

 「 愛菜もおにいちゃまと遊ぶぅ~! 」

 泣きながら俺から離れないようにする妹達。
 か……可愛い。思わずニケやる俺。

 妹達と母さんがいなくなった部屋はやけに静かになった気がする。

 時計を見ると10:00。
 やべッ!もう時間じゃねぇかよ。


128: 名前:乃愛☆01/25(月) 19:02:37

 でぃあ*花恋さま

 どぉも★花恋ちゃんて呼ばせていただきます*
 隠れふぁん!?堂々とふぁんしてくださいよぅ((タヒ

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 結夏Side

 まだ10:05……。
 我慢できなくて早く家出ちゃった。

 駅前で待ち合わせだから、近くのカフェで
 お茶でも飲んで待ってようかな?


 あたしは駅前にあったカフェテリアで時間を過ごすことにした。

 「 !?…あ、いッ…いらっしゃいませ 」

 あたしのことを見るなり頬を赤くして
 戸惑っている店員さん。

 ん……?

 少し首を傾げながら案内された席に座った。
 席につき、荷物を置くと゛ココア゛を頼んだ。

 子供っぽいと思われるかもしれないけど、
 あたしは正直、ココアが大好き。

 ココアが来るまで、どうしよう…?

 あたしは店内をキョロキョロと見渡した。
 するとお客さん達があたしを見ている。

 一体何なの?さっきから見てきて……。

 あたしは動揺を隠し切れずに足元を見て黙っていた。

 「 ねぇ 」

 ふと声をかけられて下を見ていた目を上に上げる。
 そこには知らない男の子4人。

 「 …な、何ですか? 」

 あたしは何故かその人達が怖くて
 おどおどした口調で尋ねた。

 「 戸惑ってるー! 」

 「 かぁわい! 」

 あたしを囲むようにしてジロジロと見てくる男の人達。
 大学生…って感じかな?

 「 ねー、1人? 」

 「 誰か待ってるの? 」

 「 あ、う…はい 」

 次々と尋ねられる羽目になり、
 あたしは゛はい゛か゛いいえ゛しか答えられない状態。

 「 友達っしょ? 」

 「 俺等も一緒に待ってるからさ、
   その友達も一緒に俺等と遊ばない? 」

 友達じゃないんだけどぉ……。

 「 いーね、それ! 」

 何か勝手に決まってるしぃ…。
 啓斗くん早く来てぇ!


131: 名前:乃愛☆01/27(水) 20:59:35

 でぃあ*こうさま

 ヾ(ゝω・`)oc<【。:+*ネ刀めまして*+:。】  
 え-と、乃愛と申します笑
 うちもPCですよ* PCの方が得意なんでス。
 了解です∀ 頑張ります♪

 でぃあ*ゆあさま

 うちの名前を間違ったときに言われる名前デス…!
 い-っつも、゛ゆあ゛って言われるんですけど、
 本当は゛ゆめ゛なんですょお←
 ドS好きなんですカ?
 んじゃ…ゆあさまはMですk((ry/


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 啓斗Side

 「 ハッ、ハッ、ハッ…… 」

 俺の耳には自分の吐く荒い息。
 つい、泣いている妹達が心配になって見に行ったのが間違いだった。
 あの後、妹達に゛抱っこ゛おんぶ゛と責められたのは言うまでもない。


 駅前に着くと、10:35。
 約束の時間が過ぎているが、結夏はいない。
 寝坊か…?…まさか!事故とか?

 俺は焦りを隠すように時計を見て
 心を落ち着かせてあたりをキョロキョロと見渡した。

 すると、俺の位置から見える結夏の姿。
 どうやらカフェテリアにいたようだ。

 俺はタタッと駆け足で店に入った。

 「 いらっしゃいませぇ 」

 甲高い女の声。
 店員か…、何かうざ。

 駅前から見えた結夏が座っていた場所を探す。
 店員が話しかけてくるのを無視して俺は店内を見渡す。

 いた!…何故か困った顔をしている結夏。
 近くにいたのは4人の男子。

 あ゛…?

 何で結夏の隣に座って話しかけてんだよ。
 俺の頭は真っ白になると同時に、
 一気に頭に血が上ってきた。

 「 結夏 」

 背後から名前を呼ぶ。
 振り返った結夏は戸惑いの顔。

 別にお前を責めてぇだけじゃねぇよ。
 俺がムカついているのは、こいつ等。

 「 誰ー? 」

 俺のことをジロジロと見て、結夏に触れようとする1人の男。

 「 触んな 」

 俺は男の腕をパシッと掴みグイッと引っ張る。
 男は一瞬眉間に皺を寄せて゛離せ゛と言わんばかりに睨んできた。

 「 なー、待ってたのってコイツ? 」

 ゛コイツ゛と言ってきて俺を指差したのは言うまでもない。
 おどおどとしている結夏。
 こうゆうのが一番苦手なんだよな、お前。

 「 お前、この子の何な訳ー? 」

 「 あ゛? 」

 男の問いかけに適当に即答する俺。
 ギロッと睨み、小さく舌打ちをする。

 「 つか、お前等俺の彼女に何な訳? 」

 俺の睨みを恐れているのかは分からないが、
 黙っている男達。
 そんな奴等に逆に問いかける。


 「 おッ、お前!年上に向かってその態度は何なんだ!? 」

 黙っていた男1人がおどおどしながら絡んできた。
 だが、その言葉には説得力が全くない。

 「 じゃあ、先輩とでも呼びましょうか?せーんぱい 」

 「 くっ…! 」

 怒りを隠せない男は下唇をかみ締めて拳を堅く握っている。

 「 特別に良いことを教えてあげます。先輩なんで 」

 「 …? 」

 首を傾げる男。

 「 俺はね、自分より年上でも考えていることが幼稚な奴等はただの道端にいる飛蝗としか思っていないんです 」

 「 は……? 」


 「 つまり。この場合、あんた等も底辺にいる人間。クズなんだよ 」

 いつもより低い声で話す俺。
 俺の瞳は冷えていた。

 「 てめぇ! 」

 「 あ?手ぇ出しちゃいます?
   俺は別にいいですよ、苦労するのは先輩達ですし 」

 クスクスと微笑み、相手をからかうように見つめる俺。
 さすがに何も出来ない男。

 俺は1人の顎を人差し指でクイッと上げて
 悪魔のような不気味な笑みを浮かべる俺。


 「 消え失せろ 」

 今までにないくらい低い声を出す。
 そして、一発頬を拳で殴る。

 「 す、す、す、すみませんッ! 」

 殴られた頬を押さえて、ペコペコとお辞儀をする男。
 後ろの男達も何故か頭を下げている。

 ふ……、と俺は未だに悪魔の笑みを浮かべる。

 「 それじゃあ、先輩 」

 俺は先輩に微笑みを見せた。
 だが、目は笑っていない。
 確実に、男達を睨みつけていた。


 俺は後ろを振り返らずに今まで黙っていた結夏の手を
 ぎゅっと握り締めて引っ張り歩き出した。







132: 名前:乃愛☆01/28(木) 19:09:04 p

 結夏Side


 啓斗くんの目が……怖かった。
 あの男の人達を見る目が、
 いつもの啓斗くんと違って、
 暗くて、冷たくて、深海にいるような瞳。

 今、あたしは黙って啓斗くんに手を引っ張られて
 駅前を通り過ぎた、小さな公園まで連れて行かれた。

 ぴたっと止まった啓斗くんの足。
 いきなり止まりあたしはつんのめって、
 啓斗くんの背中に顔面をぶつける。

 「 ぶっ 」

 ぶつけたと同時に出た変な声。
 ふと顔を上げると、そこには優しい笑みをした啓斗くん。

 「 あ…… 」

 さっきとは違ってとっても優しい顔。
 あたしはつられて微笑んでしまった。

 「 ……… 」


 長い沈黙。

 破る勇気はなかった。
 あたしは近くにあった子供用のブランコに座った。

 キイキイ…とブランコが揺れる音。
 あたしの心臓はその度ドキドキと鳴っていた。

 「 あのっ…… 」

 沈黙を破ったのはあたしだった。
 勇気が出せた、と言う訳じゃない。

 「 ごめんね…… 」

 そう。

 ただ謝りたかった。

 啓斗くんは首を傾げた。
 そして、あたしに段々と近づいてきた。

 「 迷惑かけて…… 」

 啓斗くんは゛ああ゛と納得したような声を出し、
 あたしの背後にまわり後ろから抱きしめてきた。

 「 本当だよ…… 」

 優しい声だけど、今のあたしの
 心臓には結構突き刺さる言葉。

 「 結夏が俺に迷惑かける度に、 
   俺の伽羅が崩れていくんだけど…… 」

 何とも言えない。
 その通り、って感じだし。

 あたしはしゅん、と小さく丸々と
 小声で何度も゛ごめんなさい゛と謝った。

 「 嘘 」

 自分の耳を疑うような啓斗くんの発言。
 意味が分からなくてあたしはブランコに乗ったまま
 啓斗くんの方に首だけを動かした。

 ちゅっ…

 唇に触れるぷにっとした優しい感触。
 目の前には悪魔の笑みを浮かべた啓斗くん。

 「 え…? 」

 今のって。

 「 ちゅーしてみた 」

 思考回路が停止したあたしに向かって、
 にんまりと子供のような笑みを浮かべる啓斗くん。

 「 今の全部嘘 」

 「 え…? 」

 啓斗くんはいきなり真剣な顔つきになり、
 あたしの手を優しく握る。

 「 結夏が俺に迷惑かける度……
   俺は何故か幸せに思える 」

 どうゆう…意味?

 「 俺は、結夏だけの騎士爵(ナイト)でいたいから 」

 「 騎士爵……? 」

 首を傾げるあたしに向かって゛そう゛と頷く啓斗くん。
 そして、握っていたあたしの手を、啓斗くんは自分の口元に近づけてちゅっとキスをした。

 「 だから、結夏は俺にたくさん迷惑かけて 」

 迷惑を……たくさんかけていいの?
 そんなの……最大級の迷惑じゃん。

 そんなの……嫌われるの覚悟の人じゃないと、
 出来ないよ…。そんなの、あたしには出来ないよ。


133: 名前:乃愛☆01/29(金) 20:26:02

 啓斗Side

 俺、馬鹿だな。
 結夏が困るようなことばっかり言って…。

 今だって、何と答えれば良いのかって…
 結夏は困っている。

 でも、本当のことだ。

 どうしようもないくらい、結夏が好きだ。

 気を取り直して、俺は結夏の手を引き
 ゛行こう゛とにっこりと微笑んだ。

 結夏は黙って頷いた。


 数分後……。


 「 なぁ、まだー? 」

 俺はぐだぐだとゆっくりと道を歩く。
 そんな俺とは正反対。結夏は素早く歩く。

 「 もうちょっと! 」

 この言葉を聞いたのは何回目?
 俺は心の中で呟いた。
 口には出さないけどな。
 出したら何か言われそうだし。


 「 ここ! 」

 あたりをキョロキョロと見渡していた結夏の瞳が
 ある一点でピタッと止まった。

 俺はその方向へと目を向ける。
 〈 GIRL’S LOVE 〉
 看板にはそう描かれていた。
 いかにも女の子が好きそうな……。


 ゛入ろう!゛とでも言うかのように
 繋いでいた手を結夏はくいくいと引っ張ってくる。

 「 入るか 」


 俺はそんな結夏の仕草に微笑みながら、
 店の中へと入っていった。


135: 名前:乃愛☆02/02(火) 20:25:15

 でぃあ*人間さま

 え?花男って……花より男子、でしたよね?
 乃愛あんまり詳しくないんですけど。
 もし、そう思われるのなら否定はしません。
 乃愛は知らぬうちに著作権をしていたんですね。
 本当に申し訳ありませんでした。
 ですが、すべてがすべて著作権ではないと思いますので、
 小説は続けさせていただきます。

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 結夏Side

 店の中は女でたくさん。
 まぁ、女の服屋だし当然か。
 …でも、この香水っぽいのが無理だわ。

 俺はふぅと溜息をして、その場にあった椅子に腰掛けた。
 俺が休憩している間も結夏はきょろきょろと店内を見渡し、
 気に入った服を取り、鏡であわせたりしている。
 そして、たまに1人で笑みを浮かべる。

 「 …ね 」

 「 ん…… 」

 「 ねえッ! 」

 「 うぉい! 」

 耳元で大きな声は心臓に悪いっつぅの。 
 つか、心臓っつぅかまず耳か。

 …やべ。

 気づいたら寝ていたようだ。
 結夏の顔を見ると……膨れっ面。

 「 ゆ、結夏……? 」

 ツーンとそっぽを向かれてしゅんとする俺。
 これは……俺自身のせいだな。

 「 …もうしない? 」

 しゅんとしている俺を見て気分が晴れたのか、
 結夏は満面の笑みで俺を見下ろしてくる。

 俺は黙って頷く。
 ゛宜しい゛そう言うように口角を吊り上げて微笑む結夏。

 俺はまだ覚めない頭を動かすように
 立ち上がり、店内を見渡した。

 目に入ったものは黒地の生地にピンクのドットが入っている短いワンピース。

 「 結夏、これ…… 」

 俺はそのワンピースから目を離さずに、
 向こう側にいた結夏を手招きして呼んだ。

 「 これ着て! 」

 俺の元へとやってきた結夏の手に無理やり、
 ブーツとジャンバーとそのワンピースを持たせて
 試着室へと背中を押して連れて行った。

 結夏は何も言わずに試着室に入った。


 何だろう……。
 何故だか、あの服が目に入った。

 数分後。

 俺の前には予想していた通りの姿。
 めっちゃくちゃ可愛い……。

 これが俺の素直な反応。

 目の前の結夏はさっき会っていたときより 
 何倍も可愛くなっていた。



139: 名前:乃愛☆02/06(土) 08:24:54

 でぃあ*乃愛☆さま

 あ!あの、乃愛☆さまですかぁ♪
 うまいですか?
 感─☆*:;。(○`・∀´・)ゞ★*:;。─謝 デス!

 啓「 俺に惚れると体もたねぇぞ 」

 …ホラ。啓斗の奴、あんなこと言いやがって。
 だから、乃愛☆さまは惚れちゃいけません笑

 でぃあ*みきさま

 最高ですか?アリ(●´・ω・)(●´_ _)ガト♪


140: 名前:乃愛☆02/06(土) 14:37:54

 結夏Side


 啓斗くんに言われて着た服は、
 あたしに似合うの?って思うくらい、
 可愛くて可愛くて……。

 その服を着てから鏡を見ると、 
 そこには別人みたいなあたしがいて。

 啓斗くんにその格好を見せると、
 少し頬を赤らめて大きく頷いてくれた。

 ゛似合ってる゛…
 そう受け止めて良いんだよね?

 あたしは啓斗くんに着替えるね、と言って
 また試着室に入った。

 うわぁ…、顔がにやけてる。

 大好きな人に褒められるって、
 こんなに嬉しいものなんだ…。

 試着した服を持ってあたしは試着室のカーテンを少し開けた。
 カーテンの隙間から啓斗くんの姿。

 …1人じゃない?
 誰かと話してる…。

 あたしはもう少しカーテンを開けて覗き込んだ。
 そこには店員さんと見られる綺麗な女の人。

 黒髪でパーマが入っているやわらかそうな髪。
 大きな瞳に、長いまつげ。
 手足はすらっと細長く、胸やお尻などの
 出なければならないところもしっかりと出ている。


 笑ってる―…。

 何でそんなに笑ってるの?
 店員さんと話すことなんてあるの?

 頭の中で、黒いものがぐるぐるとまわっている。 

 「 あ、結夏 」

 まだ笑みが残っている顔で啓斗くんはあたしに気づく。
 店員さんもあたしのことをチラッと見る。

 「 …彼女さん? 」

 「 うん、そう 」

 ゛うん゛?
 敬語は使わないの?
 そんな関係だったの?
 あたしが試着している間に何があったの?


 「 へぇ―… 」

 啓斗くんを見つめているあたしを見る鋭い目線。
 見られているような方を見ると、そこには
 啓斗くんには可愛らしい笑みを浮かべていた
 ここのお店の店員さん。

 睨むような鋭い目つき。

 「 とっても可愛い子ね! 」

 さっきとは違う目。
 女性らしさが見える優しい瞳。

 何なの……?

 「 さんきゅ 」

 店員さんに優しい笑みを浮かべる啓斗くん。

 「 あ、結夏。それ気に入った? 」

 「 え、あ…うん 」

 急に話を振られて戸惑うあたし。

 「 そか。じゃあ…買ってやるよ 」

 何でそんなに優しいの?
 綺麗な人の前だから?
 格好つけたいから?

 あたしの手からあのワンピースがとられる。
 そして、店員さんと話しながら何処かへ行ってしまった。

 あたしは慌てるように2人を追いかける。
 お会計している間も、あたしはずっと店員さんを見ていた。

 たまに、こっちを見そうな店員さんの目も
 すぐに啓斗くんに向けられてしまった。

 「 じゃ、メールするから 」

 帰り際に、店員さんに言った啓斗くんの言葉。

 …メール?
 どうゆうこと?

 もう…そんな関係になったの?

 「 うん、待ってる 」

 啓斗くんに向かって可愛らしい笑みを浮かべる店員さん。
 そして、何故かその目はあたしに向けられた。

 店員さんの足は何故かあたしに近づいて、とうとう目の前まで。

 「 啓斗はあたしのものよ 」

 ボソッと耳元で言われた言葉。
 鳥肌が一気にたつ。
 女の声とは思えない低い声。

 「 じゃ、また来てねぇ! 」

 さっきの声とは違って、明るく高い
 女性らしい声。

 この人……何なの?



142: 名前:乃愛☆02/06(土) 21:07:33

 でぃあ*りぃさま

 本当に何なんでしょうねー。
 書いている乃愛自身も、ウザッて思っちゃいましたww

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 啓斗Side


 さっきから結夏の様子がおかしい。
 何度か結夏と目が合うがすぐに逸らされてしまう。

 俺……何かしたか?

 自分の今までの行動を頭の中で整理する。
 …特に、何もしてねぇよな?


 「 ねぇ 」

 無言だった結夏が自ら話しかけてきてくれた。
 ちょっと感動した俺は声のトーンをあげた。

 「 何!? 」

 あ…やべ。裏返った。
 超、恥ずかしいんですけどっ。

 「 裏返ってる… 」

 くすくすと微笑む結夏。
 だけどその笑みは何処か寂しげ。

 何故だか俺まで悲しくなってくる。


 「 …んで、何? 」

 気を取り直すように、話を元に戻した俺。
 結夏は寂しげな笑みを止めて、
 真面目、というか無表情になった。

 「 さっきの人… 」

 「 え? 」

 ボソッと結夏は呟く。

 「 さっきのお店の店員さん… 」

 「 あぁ、それがどうした? 」

 やっと聞こえた言葉の塊。
 俺は首を傾げて結夏の顔を覗き込む。

 「 …知り合い? 」

 震えている声。
 潤んだ瞳。

 結夏……?

 「 おま、どうした? 」

 明らかに動揺している俺。

 「 質問に答えて 」

 やけに低い声。
 これは……馬路ですか?

 動揺を隠して、俺は咳をする。

 「 別に…そんなわけじゃ… 」

 うあー!!
 まだ動揺してるような口調じゃん!

 「 本当? 」

 あ~、そんな可愛い顔で俺を見るなぁ!
 もう、理性ギリギリ。
 今すぐ脱がして抱きしめてぇ!

 俺は顔を赤くして何度も頷いた。
 ほっとした表情を浮かべた結夏を見て、
 俺もつられて安心した表情を見せる。

 「 じゃ、帰ろう? 」

 離れていた手を結夏は自分から繋いできた。

 珍しい…よな?
 結夏が自分から繋いでくるなんて。

 「 おう 」

 俺は疑問を抱きながら
 結夏との帰り道を楽しんだ。


 ―


 「 じゃあね 」

 俺に向かって手を振る結夏。
 そんな姿に思わず俺は何故かドキッときて
 唇を重ねてしまった。

 「 ん…… 」

 結夏の口から出る可愛く甘い声。
 俺と結夏のキスは深くケーキより甘いキス。

 やっと離れたのは2・3分後。

 慣れてきたのか結夏は最近、キスの後
 肩で息をしなくなってきている。

 これは……成長したっつぅのか?
 つか、もし成長したなら。
 キスの親は俺か?

 うはぁ、やべぇ…にやけるわぁ。

 「 啓斗くん?顔気持ち悪いよ? 」

 「 えッ?そう?…って気持ち悪いって! 」

 いきなり結夏に声をかけられ現実に引き戻される俺。
 気持ち悪い…、ちょっとショックなんだけど。



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最終更新:2010年12月12日 13:06
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