66: 名前:マロン☆10/08(木) 20:58:30
「先生…私…頭が痛いので保健室行ってきます…」
嘘をついた…頭なんか本当は痛くはない…
本当に痛いのは…私の敬へと思いが詰まっているこの胸
私は、教室を出て保健室へと向かった
保健室の先生は今出張中で誰もいない
私は保健室のベットで泣いた
この苦しみを誰かに聞いてほしかったけど誰もいない
そう、今、気がついた
わ た し は 一 人 だ っ て こ と を
敬も誰も私を慰めてはくれない…
誰も私のことを理解してくれない
そう、思うと目からはたくさん涙が出てきた
悲しいという思いだけではない…
悔しい 憎い 切ない
でも、神様はこんなに壊れかけている私にとどめを刺してきたんだ
それは、瑞貴が引っ越してきて数日後のこと
クラスのみんながやけに騒いでいる
何…?教室に掲示してある手作り新聞を見た
その手作り新聞を見て私は愕然とした
スクープ!!転入生とあの人が!?
昨日、転入生の安藤瑞貴さんとクラスでの人気者の野島敬君が恋人になりました!!
どうやら、安藤さんのほうから告白すると何とあっさりOKだったらしいとのことです
また、出た…
安 藤 瑞 貴
「こんなもの…!!」私は、画鋲で止められている新聞を
勢いよく取った。取った新聞は、もちろん細かくちぎった
「うわァァァァッ!!なんで!?なんで私ばっかりこんな目にィィ!?」
私はただがむしゃらに叫んだ
「神様なんかいるものか!!神様なんかいるはずがないんだぁぁぁぁぁぁッ!!」
そう、神様はこの世にはいない
だって、神様はみんな公平にしてくれるのに私だけ不公平
「わぁぁぁぁッ!!」私は、近くの椅子を持って椅子を振り回した
私の周りにいたクラスメートたちは私のそばから離れていく
誰も、私を止めてはくれない…
親友だった美咲も…
私は、持っていた椅子で教室の窓ガラスを割った
バリーン!!
割れたガラスのかけらが私の体のところどころをすれていく
でも、こんなの敬をとられた痛みよりは痛くはなかった
「敬を返して…敬を返してよォォォ!!」
私は、椅子を投げ飛ばすと近くにあったガラスの破片を右手で握りしめた
そして、それを左手に突き刺す
血が飛んだ。そう、それは私の血
「うわぁぁぁぁぁぁ!!!!」
これもいたくない…敬をとられた痛みよりは
『ねぇ?やばいよ…アレ。止めないと出血多量で死んじゃうよ』
ざわめくクラスメートたち
は?何言ってんだよ…カスがッ!!!!本当は止める気なんてさらさらないくせによ
71: 名前:マロン☆10/09(金) 19:35:40
私は持っているガラスのかけらで何度は自分の左手を繰り返し繰り返しさす
もう、左手の感覚がないのかのように痛みが感じない…
いや、感じないんじゃなくて感じれないんだ
何回も左手をさしているせいか出血がすごい
嗚呼…私は死ぬんだ
敬にも告白できず、安藤瑞貴と言う女にとられたまま
私は死ぬんだ
どうせなら、敬が来る前に死んでおこう…
敬がいると胸が苦しくなって…悲しくなってたまらなくなるから
私は、とどめを刺そうと右手を上にあげたガラスのかけらのとがった部分は私に向けられている
いや、私が向けている。目を閉じたまま
さようなら…敬…愛しているよ
私がとどめを刺そうと胸の前まで振った瞬間だった
「由愛ッ!!お前何してんだよッ!!」
目を開けると目の前には愛しい人の顔があった
「お前馬鹿なことしてんじゃねーよッ!!」
と言って敬は私を抱きしめてくれた
付き合っているわけでもないのに優しけど強く抱きしめてくれた
その途端に左手に激痛が走る。そうだ…私は、左手をけがしていたんだ
私の左手はすでに血まみれと言うのにふさわしい状態
敬は私をおんぶして保健室まで連れて行ってくれた
やめてよ…こんなことされたら敬のことあきらめること出来ないじゃん…
死んだらあきらめようと思っていたのに…
敬の馬鹿……
でも、そんな考えとは裏に私の心の中はときめいていた
保健室に着き私は包帯を巻いてもらった
教室に帰る時敬が私を見て言った
「お前…もう、死ぬなんてこと考えんなよ?もし、また死のうと考えたなら俺がまた止めてやるけどな…」
敬…ありがとう…
私は、敬の腕を引っ張って私と敬の顔を近づけた
そして、私の唇と敬のを重ねた
「敬のファーストキス…取っちゃった♪」
そう、敬から聞いたことはまだ瑞貴とはキスもしていないって聞いてたから、私はチャンスと思い敬のファーストキスを奪った
敬は、不思議と抵抗しないでくれた
74: 名前:マロン☆10/10(土) 13:34:16
何思いだしてんだ!?私!!
今頃あんなハズイ思い出してどうするんだよ
今は、ユキちゃんから逃げることに集中しよう
すると急に変な歌声が聞こえてきた
《二人目…初恋相手がコロサレテ
ナキナキ後ヲ追イカケル~
サクラノハナビラチルナカデ
姫ト王子ハキスヲスル》
何……?この歌…
気持ち悪くてしょうがないわ…
姫と王子がキスをする?
姫と王子なんてどこにいるのよ!?
「ばっかみたい!!」と私が声を上げた瞬間だった
《 ミ ツ ケ タ 》
私が横を見るとユキちゃんが立っていた
79: 名前:マロン☆10/11(日) 11:38:10
ユキちゃんの後ろに誰かがいる
目を凝らして見るとそれは私の初恋の人
そして、私がファーストキスを奪った相手
野 島 敬
だった。
「敬…?嘘でしょう?死んじゃったの?」
敬は返事を返してくれない
「敬ィィィッ!!寝ているなら起きてよォ」
そう、私が敬の死体に声をかけたところで笑っても泣いても動いてもくれないんだ
そう、それはまるで
人 形 の よ う に
話しても泣いても笑っても動いてくれない
私は、敬の髪の毛を掴んで引きずっていユキちゃんを睨んだ
敬をこんなに傷めつけやがって…!!
《ドウシタノォ?私ガコワイ?》
私はゆっくり顔を上げながらユキちゃんに言った
「はぁ?お前なんか怖くねーよ…このくそガキがッ!!
この血まみれ女がッ!!その汚い手で敬の髪の毛触るんじゃねーよ」
私の言葉を聞いたユキちゃんが私を睨んできた
《ソンナコノ敬ッテコノコト好キナノ?ダッタラアンタニアゲルヨッ!!ワタシダッテコンナキモチノワルイ死体イツマデモニギッイテイタクナカッタシ》
だったら、なんで…?なんで敬を殺したのよ
汚いんだったら殺さなければよかったじゃん
83: 名前:マロン☆10/12(月) 09:48:51
睨んだ私にユキちゃんは敬の死体を放り投げてきた
私は死体にもかかわらず敬を抱きしめて
「敬……うっく…敬ィ…ぇっく…」
ユキちゃんが投げてきた死体を抱きしめた私は涙を流しながら敬の名前を呼んだ
そう、これが夢じゃないかと私が目を覚ませば敬は生きているんじゃないかと
私は一回目を閉じる。ゆっくり目を開けるとそこには
やっぱり敬の死体しかいない
敬……好きだったよ…
今でも
愛 し て る
私は敬の死体を抱きしめたままユキちゃんの目の前から逃げた
そう、敬の分まで生き延びてこの鬼ごっこが終わった後に…
私の足はいつの間にか校庭のグラウンドの桜の木の下に向かっていた
私は、涙を流しながら微笑んで
「敬…さようなら…ゆっくり休んでね」
そして私はあの時と同じようにもう目の覚めない敬にキスをした
87: 名前:マロン☆10/12(月) 21:22:23
でも、あの時とは違う
だって敬はもう死んでいるから体が冷たくて
キスをしてもあの時と同じように敬のぬくもりは感じれなかったんだ…
私の頭の中に敬とのたくさんの思い出がよみがえる
敬の笑顔、敬のぬくもり、敬の優しさ、敬の……
敬の…言葉
ポタッと敬の頬に私の涙が落ちる
「敬ィ…起きてよォ…ゆっくり休んでって言ったけどやっぱり起きてよォ」
わがままって思われてもいい…
だって、敬の前では女の子らしく居たいんだもん
普段は活発で元気で言葉遣いの悪い私で男の子からはただの男友達としか思われていないと思うけど
敬の前だけ…敬の前だけでは女の子らしく笑って涙を流したい
瑞貴みたいな可愛い女の子じゃないけど
敬の前では可愛い普通の女の子のように居たい
その瞬間私が死体を抱き上げてギュッと抱きしめた瞬間だった
敬のズボンのポケットから白い手紙らしきものと小さなダイヤの付いた私が前にお祭りでほしいって言った十字架のペンダントだった
どうしてここに…?
わたしは、まず手紙らしき紙を広げて読んでみた
―由愛へ―
今まで迷惑かけてごめんな?本当にごめん
由愛の気持にも気付いてもやれなくてずっと由愛を傷つけていたことも知らなかった
俺たちが今日するのは呪いの鬼ごっこ
死んだら終わりなゲームだけど絶対生きて帰ろうな!!
そしたら俺お前に言いたいことあるんだ…
もし、生きて帰れなかったらのことを考えて一応ここで言って置くな?
ずっと好きでした。生きて帰ってこれたら付き合ってください
瑞貴とは別れました。瑞貴のほうから別れよって言い出してきた
敬君の好きな人に告白しなよ、敬君の好きな人は私じゃないでしょう?って言われちまったよ
完全振られたけどでも、俺は、ずっと前からお前のことが好きだった
キスをされたあの日もすごくうれしくてファーストキスがお前で良かったって思うぜ
あと、このペンダントはお前が前一緒に祭りに行ったときに欲しがっていたやつ
お前が帰った後祭りにまた行ってお小遣い全部使い果たしてやっと手に入れたんだぞ?
大事にしろよ!!(笑)
―敬より―
「敬の馬鹿…私だってずっと前からあんたのこと好きだったよ!!!生きて帰ったら付き合うんでしょ!!?だから起きてよ!!ねぇッ!!敬!!」
神様…どうしてそんなに私に意地悪をするのですか?
90: 名前:マロン☆10/12(月) 23:23:23
その答えは神様は私が嫌いなだけ…
だからいろいろな意地悪をしてくるんですよね?
私は、敬から貰ったペンダントを首に付けた
「敬がくれたペンダント…付けてみたよ!似合っている?」
返事もするはずがない敬に話しかける
でも、その時だった。かすかだったけど聞こえた
『似合っているよ…由愛。似合いすぎてほれそうだぜ』
って敬の声が私は敬を見た。
死んでいる人がしゃべるはずがないよね?
敬…この鬼ごっこで私貴方の分までこの生き延びるね
だから、私を優しく温かく見守っていてね
私は、その場を後にした
桜の木のほうには振り返らず
振り返ったらまたあの優しい敬の声が聞こえちゃうから…
でも、ちゃんとお守り代わりの手紙とペンダントは持っているよ
敬が私のためにお小遣いを使い果たしてまで頑張って取ってくれたペンダント
敬…今度どこかでまた会えたら今度は私のほうから告白するね?
その時は、もっと可愛い女の子らしくなっているように頑張るから
敬は必死に頑張るその姿を温かい目で見守ってね
敬…
大 好 き
最終更新:2010年12月21日 17:24