21: 名前:ブラックスター☆12/07(火) 17:59:20
「よろしくね。 和生君」
―ズキっ
……今、胸がズキってした。
……痛かった……。
「お待たせしました。
ホットレモンティーのお客様」
「俺でーす!」
「ホットミルクティーのお客様」
「はーーい!」
「俺っす。 ども!」
「ホットココアのお客様」
「はい」
「ごゆっくり」
「あのね、和生君! 優は、演劇部入ってるんだけど、毎回レギュラーなの」
「へぇ! 今度観に行っていい?」
えっ!?
ヤダ。
でも……断るの悪いし。
……最低!
愛川先輩は、私の事を見てニヤニヤ笑っている。
「でも、私……。
悪役だよ?
絶対退くって」
「でも! いいよ!?
俺は……」
―ドキン ドキン ドキン
あれ?
なんで、胸の鼓動が、早い。
「じゃあ、特等席で観に来てよ!」
「じゃあ、私達の事も良く見てよ~?」
愛川先輩は、気づいているのか分かんないけど、
先輩は、不満そうにしていた。
その後、私達は、帰ることにした。
先輩は、愛川先輩を送って、
和生君は、私の事を送ってくれた。
23: 名前:ブラックスター☆12/07(火) 18:47:41
私は、和生君のいへんに気がついた。
「ねぇ、どうしたの!?」
和生君は、頬を赤くしていた。
でも……、手は冷たかった。
その時だった。
―バタンっ!
勢い良く倒れた。
そのせいか、手からはじわりと血がにじむ。
もしかしたら、頭を強く打ったかもしれない。
私は、急いで携帯から救急車を呼んだ。
私は、家に電話した。
『そう……。 終わったら迎えに行くわ』
と言ってくれた。
私は、廊下で待っていた。
先生が来た。
「えぇ、ご家族の方は?」
「つながりませんでした」
「そうですか。 後に、こちらから連絡します。
彼は、まず左足を打撲しています。
そして……」
24: 名前:ブラックスター☆12/08(水) 18:52:15
「……、彼は、たんなる貧血です」
「ふぅ」
私は、緊張の糸が切れた。
でも……、
「ただ、脳に傷がついています。
私は、担当医師では無いのですが、今手術中です」
は?
え……?
う、嘘でしょ?
私は、涙が出てきた。
目がしらが熱い。
「えぇ、担当医師の話では、右半身麻痺の症状が出るとのことです」
そう言って、頭をさげどこかへ行った。
私は、すぐ近くにあった椅子に腰かけた。
涙が……。
涙が。
右半身麻痺ってことは、歩けなくなるの?
そんなのヤダ!
私と、和生君は運命的な出会いだった。
それなのに。
「森岡さん?」
ふと優しい声がした。
女性の。
そこには、女の人と男の人が立っていた。
次は、男の人が喋った。
「留守電聞いたよ。
君が、和生の為に救急車を呼んでくれたんだって?」
私は、やっと理解した。
和生君の母親と父親だ。
「今、和生は!?」
「……手術室です」
私は、今の和生君の現状を話した。
和生君のお母さんは、涙を流し、
お父さんは、俯いていた。
当たり前か。
実の息子が手術なんだもん。
「あの。 私を送ったばかりに!」
「違うわ」
和生君のお母さんは、涙を拭いながら言った。
「貴方がいなければ、今まだ和生は独り倒れていたわ」
「あぁ。 君は和生の命恩人だ」
25: 名前:ブラックスター☆12/08(水) 20:39:18
「そうだ。 もう暗い。
帰った方が良いよ。
送ろうか?」
「あ! 両親が迎えに来ますので……、あの和生君の隣にいてあげてください」
「そうか、ご両親によろしく伝えといておくれ。
じゃぁ、また」
「はい。 失礼します」
私は、携帯でお母さんに連絡して迎えに来てもらった。
もう9時30。
お腹すいたなぁ。
「ねぇ、優。 和生君って子、どうなったの?」
車の中でお母さんの問いを聞いた時、和生君のご両親の前では我慢していた涙が勢いよくあふれ出した。
「……、ごめん。 悪い結果だったのね」
「グスっ! ……う…ん。
和生く……君、打撲と脳に傷を負って……。
そして……手術までした。
でもね! そこまでしても、右半身麻痺が残るかもしれないんだって。
怖いよ!
私、和生君の前では素直でいられた。
こうして、お母さん達や他の皆に心を開けたのは和生君のお陰だよ?
なのに!」
隣で運転していたお母さんは涙目だった。
私は、家に着いたらお母さんが用意してくれていたご飯を無理矢理喉に送り付けた。
「優。 明日は、学校休みなさい。
心の整理を付けたら、明日中にでもお見舞い行きなさい」
私は、頷いた。
その後、死 ぬように眠りついた。
チュンチュン
可愛らしい小鳥の鳴き声で目を覚ました。
7時30分!
「ち、遅刻」
ベットから起き上がろうとした時、思い出した。
今日は、休むんだった。
私は、パジャマ姿のままリビングへ向かった。
机には、置手紙があった。
―――――――――
優へ
朝食は、ここに置いときます。
食べてくださいね。
私達も、今日貴方と一緒にお見舞いへ行きたいのですが、
今日は、公演日です。
自転車で向かってください。
あと、このお金で、昼食&お見舞いのお土産を買ってください
―――――――――――――――――
私は、5千円を財布に入れた。
行く用意をして、すぐ家を飛び出た。
ここから隣町まで自転車で行く。
1時間もかかるぐらい遠い。
予定だと、9時30分に着く予定。
私は、まず近所のスーパーで、お菓子と花束を買った。
そして、隣町へ。
26: 名前:ブラックスター☆12/09(木) 19:38:45
隣町へ行くには、急な坂を上り下りする。
息は、もうすでににあがっていた。
「はぁ、はぁ、もう、もう疲れた」
そう言って、自転車を押しながらあるった。
足は、パンパンだった。
その時、先輩の顔が頭に浮かんだ。
「あれ?」
私……、先輩と和生君……。
どっちが好きなんだろ?
……そう、私のココロは揺れていた。
27: 名前:ブラックスター☆12/09(木) 20:34:53
第06話 和生君
「えっと、昨日入院した門松 和生君のお見舞いに来たのですが……」
そう言うと、ナースの人が案内してくれた。
この先、この先に……いるんだ。
「優ちゃん!」
それは、泣いている和生君のお母さんと険しい表情のお父さんが居た。
「っ。 和生のお見舞いに来てくれたのね?」
「……はい」
なんとなく悪い予感がした。
……それは、的中だった。
「今、入っても悲しい思いをするよ?」
私は、静かにうなずいた。
2人は案内してくれた。
「悪いけど、私達は出るわね」
私は、また頷いた。
「和生君?」
そこには、静かに窓を見つめている少年影があった。
「……誰?」
その問いに、驚いた。
「お見舞いに来たんだよ?
ほら!
花に、お菓子!?」
冷や汗が垂れる。
怖い。
「……誰? あんた」
28: 名前:ブラックスター☆12/10(金) 19:25:32
「え……? 優だよ!?
森岡 優!」
……何これ。
なんの冗談。
「さっきから、知らない人ばっか……誰だよ!?」
「……和生……君? ッ和生君!?」
私は、何度も名前を読んだ。
でも、返事は来ない。
私は、病室を出た。
そこには、ご両親が待っていた。
涙は、永遠と出てくる。
このまま体内の水分全部吸い取られると思うほど。
29: 名前:ブラックスター☆12/11(土) 12:55:21
「ごめんね。 優ちゃん。
折角来てくれたのに……」
「あの……、私明日、気持ちを変えて出直します」
「そう。 じゃあまたね」
私は、ゆっくり、ゆっくり自転車を引きながら歩いた。
「あれー。 森岡さーん」
パッと方に手を置かれその手の主を見る。
「……、元原さん?」
同じクラスの元原 香葉(モトハラ カヨ)。
関連性は、同じクラスと言うだけで、あとは何もない。
「今日、まさかズル休みだったん?」
その問いに、私はちょっと心がいたんだ。
だって、和生君の事思い出しちゃう。
「まさか。 知り合いの人のお見舞いに行っただけ」
「ふーん。 何か悲しいことでもあったの?
泣き後あるよ」
私は服の袖で目の辺りを擦った。
「……分かるよ。
大切な人、病気とか……怪我する辛さ」
「え?」
その元原さんの顔を真剣そうで、悲しそうだった。
「実は、私のお姉ちゃん昔川で溺れて。
すっごく頭打って……。
手術してた。
で、そのショックで声でなくなったの。
今も……。
その度リスト カットしてて……。
でも、死ねないみたい。
あれ。
で、ずっと前鬱病って診断されて……」
30: 名前:ブラックスター☆12/11(土) 13:16:37
「……」
「あぁ! ごっめんねー。
暗い話してぇ!」
何時もの明るい元原さん。
……、でも瞳を見れば分かる。
「なんで、我慢するの?」
その問いを聞いた元原さんは涙を静かに流した。
「うぅ、怖いよぉ。
最近、怖いの。
睨んできたり、唇とかにピアスしてぇ」
32: 名前:ブラックスター☆12/12(日) 12:07:33
「あっ。 じゃあ、私ここだから」
元原さんの家は、とっても大きかった。
「すごいね」
「……ねぇ。
友達になろ」
その問いを聞いた時、嬉しかった。
「……ホント?」
「うん! だから、香葉って呼んで?」
「うん! じゃあ、優って呼んでよ?」
「オッケー」
今日は、悲しいことと嬉しいことが重なる日だった。
33: 名前:ブラックスター☆12/12(日) 13:28:34
家へ着くと、お母さんがリビングに居た。
最近、仲の良い会話を増え、良い感じ。
「たっだいまー」
「お帰り。 ほら、おやつ」
やった、ドーナッツだ!
私は、手を洗ったらドーナッツを頬張った。
「うまっ!」
その様子を見てお母さんは、にこっと笑った。
それをみて、私も笑った。
「あ、お母さん、今度の土曜日開いてる?」
「……うーん。 お父さんは、仕事だよ」
「……そっか。 その日劇の発表なんだよねー」
お母さんは、驚いた顔をしていた。
「観に行っていいの?」
「有ったり前じゃーん」
お母さんは、立ちあがり来週の土曜の所に、
『優の発表会』
と書き足してくれた。
「そういえば……」
お母さんは、真剣な顔をしてこっちを見つめた。
「和生君。 どうだった?」
「……」
さっきまで我慢していた涙が、静かに。
でも大量に出てきた。
「キオ……く、記憶喪失だった……。
私、グスっ。
私の事、誰って言ってた。
怖いよぉ。
あんなの和生君じゃないよぉ」
34: 名前:ブラックスター☆12/12(日) 16:35:03
第07話 劇
私は、お母さんにその事を言った。
するとお母さんは、黙って泣いている私の背中をさすってくれた。
私は、夕食を食べた後、すぐお風呂に入った。
シャー……
髪を洗っている時ふと鏡を見た。
泣き後がすごく残っている。
今思えば最近……泣きっぱなしジャン……。
「弱いなぁ」
その後、あがると部屋で直行。
ピロロロロン
―――本文―――
秋です。 今日、何で休んだの?
もしかして、昨日あの後事故った?
……森岡ちゃんの担任から聞いたけど、病院行ったんでしょ?
総合の。
あ……、もしかして知り合いのお見舞い?
END―――
―――本文―――
えぇ
知り合いが、事故りまして。
でも、月曜には行きます。
あ、ちゃんと劇にも参加します
END―――
「っ! 劇!?」
和生君……、来てくれるのかな?
だって、記憶がないんだよ?
今……、今思えば、先輩より和生君の方が……『好き』かも。
けど、これが『好き』っていう感情なの?
「はぁぁ」
チュンチュン―……
ピロロロロン
可愛らしい小鳥のさえずりが聞こえる。
それに加え、五月蝿いメロディー。
静かにしてよと言いたい。
私は、そっと重い瞼を開けた。
でも、また閉じる。
「今ぁ、何時だよ」
そう思い、バイブに設定していう携帯を握る。
「ん? 9時……?」
なんだ、まだこんな時間かぁ。
チュンチュンっ
小鳥は、今どこにいるのか。
そんな問いよりも……眠気が勝つ。
カーテンの隙間から零れる日光が、私の顔に丁度直面。
「眩しいなぁ」
自分でも思う。
寝起き悪いわ。
さっき、一端静かになった携帯がまた五月蝿くなった。
勿論、2件溜まってた。
1件目
―――本文――― (9:02)
秋だけど、起きてる?
今日、朝練だよ?
マジ、今日は来て。
色々来週に向けて……しなきゃいけないことたまってる。
END―――
2件目
―――本文――― (9時7分)
あの、起きてたら電話おくれ
END――――――
「えぇ!」
私は、大きい声で叫んだ。
朝食は、食べずジャージに着替えて走った。
「はぁ、はぁ、はぁ」
息はあがる。
けど、止まれない。
遅刻なんて、はじめてだもん!
35: 名前:ブラックスター☆12/12(日) 17:46:34
後、私は走りながら電話をかけた。
家から学校まで2㎞。
プルルルルル
あぁ、早く出て。
「はぁ、はぁ」
1kmに丁度あるコンビニが見えた。
あと、もう1km?
あぁ、筋肉が痛い。
喉が、ヒューヒュー言う。
プルルルルル
『もしもし!?』
「んはぁ、はぁ。 先輩、朝……はぁ、はぁ。
練忘れてた!
今、走って……はァはぁ。
じゃぁ。 後で」
プツン
先輩には悪いけど、一方的に切った。
「んはぁ。 はぁ、はぁ」
もう、汗だく。
足が重い。
段々……スピードが遅くなる。
荷物が無い分、まだイケる。
「もう。 もう無理!」
そこは、学校の屋根だけが見える場所だった。
「まだここぉ」
泣き目になりつつ、早歩き。
筋肉痛い!
ジャージ着てきて良かった。
私は、念のため首に巻いてたタオルで汗を拭った。
学校に着いた時……。
あれ?
カラダが、ふらふらする。
視点が合わないうえ、ぼやけてる。
バタンっ
眠気に襲われたかのような強い感覚がした。
……?
「あれ?」
37: 名前:ブラックスター☆12/13(月) 20:02:11
気づいたら、見慣れない天井。
学校じゃない。
第一、私倒れたよね!?
保健室じゃないっぽいし……。
「っ!」
少し動こうとしたら身体中に激痛が走る。
「あ!? 起きた!?」
懐かしい声がする。
「先……輩ですか?」
「そうだよーん」
明るいに声に安心する。
「ここ、隣町の総合病院」
そっか……、やっぱ倒れたんだ。
「あ、動くなよ!?」
「へ?」
「お前、右手亀裂骨折、左足骨折。
と、頭に少し切れた」
え?
そんな重症なの?
「ん、なんか。
勢い良く靴箱の角に頭打って~。
そんで、勢い良く変な曲がり方をさせたみたい~」
「マジで……?」
通りで……。
「……仕方ないけど、劇は、代役を取るから」
……?
どういう……こと?
「え!? 嫌です!?」
「悪い」
その言葉を残し、先輩は、去った。
「嫌! 嫌!?」
折角、お母さんが観に来るのに!?
「ふふ~。 ざまーみろ」
声がした。
冷たい心にとげをさすかのような。
「愛川先輩」
「なーに、その瞳は?
一応先輩だよ?
ま、いいや~。
てゆうか、これで劇は私が目立つ。
あんた、無駄に上手いしまじムカついてたんだよ?
ま、良い気味だよね?
第一、秋に手を出そうとしたから、神様から罰せられたんじゃない?」
……。
私は、言い返せなかった。
いいや、めんどくさかった。
『否定』することが。
もう……、私の周りは、和生君からどんどん崩れていく。
今、私の生きる力になることは?
何も思いつかない。
38: 名前:ブラックスター☆12/14(火) 20:52:05
第08話 『運命』 心の中
それから、何時間かたつとお父さんとお母さんが来た。
「大丈夫!?」
お母さんが、勢い良く入ってきた。
その後に、お父さんは顔を曇らせて入ってきた。
そして、先生と看護婦さんが来た。
「えぇ、右手を亀裂骨折して、左足は、骨折をしました。
そして、頭に軽傷ですが、傷ができました。
菌が入る可能性もあるので、今日だけ入院をしてください」
お母さん達は、静かにうなずいていた。
病院の敷地内なら動き回って良いとのこと。
私は、お母さんに車いすに乗せてもらい、和生君の病室へ向かった。
お母さんには、出て行ってもらった。
「覚えてる? 和生君」
「昨日の……」
私は、決めた。
和生君が、思い出せるようにする!
「ハハっ。 ダサいっしょ?」
40: 名前:ブラックスター☆12/18(土) 10:21:22
「……何しに来たの?」
「……え?
会いに来たの。
つまんないから。
和生君が居ないと」
和生君は、下を俯いていた。
布団をぎゅと掴んでいた。
布団に、シミができていた。
ぽた
ぽた
「なんで……?
俺、どの人が、親とかダチとかわかんねー」
和生君は、開いている左手で涙を拭った。
私の車いすは、電動で、片手操作。
だから、骨折していない手で操作した。
「和生君は、分からなくても、私達が分かるんだよ?
だから、分かる人の事を信じて、その人を親、友達って思えばいいの!
ついでに、私は、と・も・だ・ち」
和生君は、私ににこっと笑ってくれた。
「よぉし! 私もガンバロー」
「……名前は?」
ふいに聞かれた問い。
嬉しかった。
「森岡 優! 優って呼んでよ~?」
「優。 俺、お前の事好きかも」
は?
え?
ちょっ?
あれ?
私は、意味が分からなくなった。
きっと、顔赤いよ~。
「えっと。 それは、どんな御用件で?」
最終更新:2011年01月16日 14:08