41: 名前:ブラックスター☆12/19(日) 18:26:23
「えっと……、私も好きだよ?」
私は、少し間を
開けてから言った。
和生君は、この前のあの『笑顔』で、私に言った。
「ごめん、こんがらがった?
でも、本気だから、考えといて」
「……それって、恋愛って事?」
「今更カヨ!」
和生君は、片言になりながら突っ込んだ。
それにつられて、私は、笑ってしまった。
「ファはははは!
か、片言!?」
私は、笑いながら和生君を見ると、
和生君は、恥ずかしそうにカツ、嬉しそうに笑っていた。
「あのね、和生君との出合ったきっかけは……」
私は、日が暮れるまで和生君の部屋にいた。
正直、気を遣わせたんじゃないかと思う。
だって、嫌そうな顔見せず、ずっと私の話を聞いててくれた。
それは、私の為なんかじゃなくて、和生君が記憶を思い出すためかもしれない。
でも、信じたいんだ。
私は、1人病室で寝てた。
一応、個室を貰ってたり。
だって、他の人の病気が傷口から移転したら大変でしょ?
でも、つまんない。
何時も、教室でも1人だった。
でも、周りに人が居ると思うと、温かった。
1番最初の友達は、和生君だ。
そんな和生君を恋愛感情で観るのは、許され……
「ダイジョ―ブ!?」
勢い良く入ってきた人物。
今、良いとこでしたよ?
ちょっといらっとしながらその人を向く。
「香葉!?」
「優~。 心配したんだよ~」
香葉は、リンゴの入っている袋を見せつけながら、椅子に座った。
「はは。 リンゴって。 ただの怪我だし。
明日には、退院すんだよ?」
私が、笑いながら言うと、香葉は俯いた。
床に、涙がこぼれてる?
「あぁ! 笑ってゴメンね!
心配してくれたのに。
ホント、笑って……」
「そんなことじゃ、ないよぉ。
優が、元気だから。
安心したのぉ」
香葉は、大量の涙を流していた。
私、誤解してた。
友達って、こんなにも良い存在なんだ。
「私、正直友達なんていらないって思ってた。
でもね、今思ったの。
友達いると、心があったかいの」
42: 名前:ブラックスター☆12/21(火) 20:25:10
「な、なにゃいしょれー。
どんじゃけ、じんしぇー損してんのぉ?」
香葉は、泣きながら言った。
正直、あれはわざとでは?
と思った。
でも、すんごい号泣。
私は、ほほ笑んだ後、
『そうだね』
と、呟いた。
そして、少したつと、涙を拭い、リンゴの皮をむいてくれた。
「うぁ! やったー」
香葉は、向いている最中1人で喜んだ。
どうしたの? と聞くと、笑顔で言ってきた。
言われるまで気がつかなかったけど、リンゴの皮は、綺麗にむかれている。
1つに。
「ふふ。 そうだね。
香葉って、器用なんだー」
「んー、馬鹿だから。 それが取り柄かなー」
しばらくすると、香葉も塾があるからと帰った。
「ん」
小鳥の囁きは、聞こえない。
ただ、眩しい。
嗚呼、なんて温かい。
そう思って目をあける。
でも、そこは病院。
薬品臭い病院。
泣き声がする病院。
モノ寂しい病院。
看護師さんが来て、頭を見てくれた。
「うん、もう平気だね。
ちょっと赤くなってるけど。
害は無いよ。
明後日から学校行って大丈夫」
明後日は、水曜日。
「分かりました」
「じゃあ、ご両親来たら、退院して良いからね」
私は、朝食を食べた。
「……。 はぁ」
正直、美味しいなんて言えない。
栄養は、有るんだろーけど。
お母さんは、すぐ来てくれた。
……
「たっだいまー!」
私は、車いすを押しながら入った。
「……お母さん、もう劇行って?」
「ん? 大丈夫?」
私は、頷いた。
そうすると、お母さんはあわただしく出て行った。
片手で頑張った。
トイレ行く時は、まつばつえ使ったっり。
あっというまに、1日はすぎた。
43: 名前:ブラックスター☆12/22(水) 14:28:45
チュンチュン……、バサッ!
小鳥が……、多分雀が、どこかへ行く音がした。
……私は、その音で目が覚めたんだ。
私は、ひびが入っていない腕で、カーテンを開けた。
お母さんは、わたしを気遣って、下の部屋で寝るように言った。
だから……、リビングまで車いす。
「おはよぉ」
挨拶しても、返事は……無かった。
食卓の上をみると、綺麗な形をしたおにぎり2つに、湯気の出ている牛乳が置いてあった。
まだ、入れたて。
メモがあった。
――――――――――――――――――――
優へ
仕事に行きます。
学校には電話をしときました。
牛乳は、温めといてください。
(一応、温めた)
母より
――――――――――――――
そっか。
私は、1日中、パジャマで居ることにした。
「はっんむ」
大きい口を開いておにぎりを頬張った。
病院なんて、勝負もできない美味しさ。
中には、私の好きな鮭が入っていた。
「おっいっしー!」
遂、声に出してしまった。
でも、今人いないから良いよね。
そう思いつつ、どんどん頬張る。
2つ目を食べきったところで、牛乳を一気飲みした。
「ぷはぁ」
あ、オヤジ臭いとか言わないでよ?
私は、ふと思う。
その……、今まで、先輩に恋してから私、生活も性格も変わったと思う。
自分でも。
でもね、今じゃ、先輩の事好きなのかどころか、この感情を
『恋』と言うのか。
私は、しばらくして、
「あぁ! もういい! 私は、私!」
そう言って、健康な片手で頬を叩いた。
私は、けが人でも、元気はある!
今、家には誰も居ない。
ってことで、PCをやることにした。
PCは、片手でも操作できるけど。
「そうだー。 ま、無いと思うけど、林中の裏サイト行くぞ―」
そう言って、
林桜中学校 裏サイト
と検索した。
……!
なんとまぁ、ヒットしちゃいました。
「マジすか」
林中は、安全だと思っていたのに。
そう嘆きつつクリック。
そこには、色々な悪口が掲載されていた。
「……!?」
こんな書き込みがあった。
―――――――――――――――
ぶあいそでゆーめーの
森岡 優
あおさかちゅうのだんしとピー△×○
してた!
―――――――――――――――――
は、はぁ!?
44: 名前:ブラックスター☆12/23(木) 19:13:36
見なければよかった。
その後も、私の悪口は続いていた。
馬鹿だ。
なんで、サイトを繋げたんだろ。
嘘までかかれて。
しかも、これ学校休むずっと前。
その後、私は1人ボーっとしていた。
夜ごはんは、お父さんもいた。
何気ない話をして、笑った。
ピリリリリ
目覚まし時計の音が鳴り響く。
「うるせぇ」
呟く。
気持ちは、晴れない。
私は、車いすに乗って、朝食を食べた。
「行くわよ」
お母さんの声が聞こえて、私は玄関へ向かった。
向かったのは、香葉の家。
香葉が、一緒に行きたいって言ったんだ。
ピーンポーン
「あの、森岡ですが」
そう言うと返事は無かった。
ただ、広い家から『おはよー』という声が聞こえた。
お母さんが、香葉と私を学校まで送ってくれた。
お母さんは、1番上まで私を背負ってくれた。
「……」
恥ずかしかった。
香葉は、車いすを1番上まで持って行ってくれた。
階段を登りきると、お母さんは劇があるので帰った。
「大丈夫?」
香葉の気遣いが嬉しい。
「うん! 平気だよ!」
香葉の話によると、今日は転校生さんが来るらしい。
しかも、私の隣。
私は、香葉としょうがない話をして、盛り上がった。
「おはようございます。
今日は、転校生がきました」
そう言うと、教室に美男子が入ってきた。
マジ、女子みたいな瞳。
かわええ!
ふわふわのショートボブがお似合いで。
「えっと、参階 蛍です」
うわー、甘い声~。
「えぇー、蛍ちゃん!?」
クラスの何人かが声を、あげた。
「蛍ちゃん、可愛い~!
意外なんですけど!」
え?
だれ?
45: 名前:ブラックスター☆12/24(金) 13:04:30
あれ?
ちゃん?
ちゃん=女子
斜め後ろの香葉まできゃーきゃー騒いでる。
「んー。 隣は、ほら、窓側の開いてる席ね」
「はい」
今思うと、この甘い声は……女子の者だ。
男の子みたい。
しかも、甘いにおいする。
「今日は、1時間目自習です」
先生が去ると、全員私の所……ではなく、参階さんの元へ。
私は、それにまぎれて香葉の元へ。
「ねぇ、参階さんって誰?」
「え? 知らない?」
私は、静かにうなずいた。
「人気雑誌、ポぺラに毎回出てくるの。
ただ、お勧めコーデとか何かのコメにしか出て来なくて。
顔が乗らないの。
だから、隠れ美人で有名だよ?
中には、それをひがんで、
『不細工』
とか、ネットで、噂ながす馬鹿も居るんだよ」
マジで?
そんな人気なん?
確かに可愛いわ。
私は、席に着いた。
そして、読書をすることにした。
その本は、あるカップルの物語。
初デートの日、女の子は不慮の事故で、死 亡。
男の子は、それを悲しみ……。
までしか読んでないから分かんないけど。
泣けるらしい。
「ねぇ、蛍ちゃんって呼んで良い!?」
「……あ、は。 はい」
「彼氏いんの?」
「い、居ません」
……っち。
五月蝿い。
「狙っちゃおうかなー」
勝手にすれば。
だから、黙れ。
「ねぇ、なんで雑誌に顔出さなかったの?」
「えっと。 それは……営業系の秘密です」
「えー。 クラスメイトなんだし、教えてー」
「で。 でも」
あー、もう五月蝿いな!
「ちょっと、静かにしてくんないかな!?
こっち読書してんの!
見て分かるでしょ!
んな、質問なんてあとで、他の場所でやって!
それに、参階さんも!
答えたくないなら、はっきり断るの!」
私は、大きな声で言った。
皆、ポカンとしている。
あ~、マジムカつく!
「ねぇ。 そんな言い方ないじゃん。
第一、アンタが他の場所行けば?」
「はぁ?
ここは、私の席なの。
じゃぁ、聞くけどアンタ参階さんと仲良くなって、なにか利益あるわけ?」
「……は?」
「もう、十分ダチいんじゃん。
あ、それとも何?
有名人だから、仲良くなれば雑誌にのれたり、有名人にでも会えると?」
女子は、顔を紅くした。
男子は、気がついたら席に着いていた。
「もういこ!」
そうして下さい。
また、読書に戻ろうとした時、何かの視線を感じた。
「あの……、お名前は?」
「森岡 優だけど?」
冷たく言い離しても視線を感じる。
「あの! 感動しました。
私の為に言ってくれて」
あい?
カンチガイシテイマセンカ?
46: 名前:ブラックスター☆12/24(金) 13:28:50
第09話 後悔 ~その1~
「はぁ? 参階さんの為じゃないですけど!?」
「あ、そうですよね。
……あのぉ。
お友達になっていただけませんか?」
「……勝手にすれば?」
私は、また『読書』という世界に戻った。
……
今日は、部活に参加できないわけであり、病院へ行くという嘘をつき家へ帰ることにした。
公衆電話でお母さんに迎えに来てもらった。
「じゃあ、また仕事行くわね」
47: 名前:ブラックスター☆12/24(金) 17:15:11
お母さんは、また仕事に出かけた。
正直、行き来させて悪いと思う。
でも、素直になれず、
「有り難う」
が言えない。
言えたとしたら、
「ゴメンね、迷惑かけて」
償いの言葉は出るのに、感謝の言葉が出てこない。
きっと、私
「好きです!」
なんて一生言えない。
分からないけど……今のままでは。
私は、なんとなく和生君のメールを送ることにした。
―――本文―――
和生君!
体調は、大丈夫ですか?
あ、無理に返信はしなくていいです。
つらかったら寝ててください。
私は、和生君がもっと遠い存在になったら、辛すぎます
でも、和生君のあの……返事、まだできそうにありません。
わがままですが、もう少し待って下さい。
今、考え中です。
和生君、今……
笑っていますか?
―――END―――
和生君、会いたい。
和生君、私に向かって……笑って?
和生君、手を繋いで?
和生君、今回はお互い無理だから次回の劇に……観に来て?
和生君、私に好きって言ってくれて有り難う。
和生君、私の話真剣に聞いてくれて有り難う。
和生君、記憶は無いよね?
和生君、今までの事、思いだせない?
和生君、右半身の感覚は、全くありませんか?
和生君、辛く無いですか―……?
私は、目がしらが熱くなった。
鼻が、ツーンってするの。
涙が……出てくるの。
私……自分で、分かってるはず。
―和生君の事が、好きだ……―
素直になれない、こんな自分。
捨てたい。
でも、捨てられない。
48: 名前:ブラックスター☆12/24(金) 17:30:13
「うっ、うぅわぁ。 うぅあ!
ひっく!
う、わぁ。 はぁ、はぁ。
うぅ!」
正直、大きな声で泣いて、だらしないと思う?
かっこ悪いって思う?
でも、泣かずにはいられない。
「和生君っ! 好きだよ!
好きなの!
お願い、今までのこと、おもいだしてよぉ!」
もしかして、思いだしたら嫌いになる?
でも、お願い。
それでも、良い。
思いだして。
脳が傷ついたんだもん。
無理だってことくらい、分かる。
「でも!」
ピーンポーン
……誰?
こんな面じゃ、会えない。
だから、居留守をすることにした。
でも、
ピーンポーン。
私は、仕方なく、まだ落ち着いていない様子ででた。
「あい」
中途半端な返事。
でも、それで良い。
「あ、もしかして、森岡ちゃん!?
今、入るよ!」
え!
せせせせせせ。
先輩!
嘘、何故!?
「お邪魔しまーす」
私は、先輩に背中を向けていた。
「どぉしたんですか?」
「……」
「あれ? 先パ……」
……ギュッ
私は、先輩の方をたまたま向いただけ。
なのに、なんで?
なんで先輩の……温かい、温もりが伝わるの?
先輩は、膝立ちをしていた。
私が、車いすに乗っているから。
「先輩!」
突き放そうにも、片手は使えない。
先輩の力は、強くなっていく一方だ。
「……じゃん?」
「え?」
「駄目じゃん、男を簡単に入れちゃ」
「せ、先輩!?」
「俺、前からお前の事、好きだった。
今日、丁度……、凛香からふられた。
ま、丁度いいけど」
「は、離して下さい」
「っヤダ」
49: 名前:ブラックスター☆12/24(金) 18:49:01
その時の先輩は、ダダをこねる餓鬼の用だった。
「先輩? どうしたんですか?」
「……和生の事、好き?」
……答えて良いのかな?
先輩、傷つかないかな?
でも、嘘つきとおすのも疲れるの。
「……」
「そうなんだ」
先輩は、私に抱きついたまま言う。
体制を変える気配は、0。
「私も、さっき気付きました。
ううん。
もっと前から……好きだったんだと思います。
でも、自分にも、周りにも嘘つきとおしてた。
付き合い始めたら、中々別れられないと思う。
だから、悩むんです」
先輩は、そう言った瞬間顔を上げた。
やっぱり思う。
先輩は、かっこよすぎる。
先輩の笑顔は、また和生君と違う幼さだった。
無邪気で、自由な笑顔。
この笑顔を見ると、
胸が痛い。
「な! いい事思いついた」
顔からして分かるけど、一応『どんなの?』と聞いた。
「お前のこの怪我が治るまで、義理で良いから付き合って。
頼む! それで……、もし良かったらそのまま付き合ってくれ。
嫌だったら、潔く別れるから!」
……どうしよ。
和生君に……、勘違いされるよね?
でも、このまま先輩を突き放すのも悪い。
「……はい」
……勝手に、口が動いた。
「おっしゃぁ!」
先輩は、すんごく喜んでいた。
そんな先輩を見てると、わらっちゃう。
「なぁ、腹減ったぁ」
「え?」
先輩は、ションボリシテいた。
プルルルルル
電話だ。
「はい。 森岡ですけど」
『あ、優。 お母さんとお父さん今日、帰るの2時ごろになるの。
舞台道具壊れて、直さなきゃいけないの。
夜ごはんは、あるので作ってネ』
「うん!」
ぷーぷー
「先輩、今からクッキー作りませんか!?」
「……、いいの?」
私は、元気よく頷いた。
「あ、1度に入れず、ふるいにかけて2かいに分けて……」
51: 名前:ブラックスター☆12/24(金) 19:39:08
「うわ、うまー」
先輩は、作ったクッキーを一気に3つ程、頬張っていた。
私は、ただそれを見つめていた。
「うま!」
「ふふ、先輩それずっと言ってるよ?」
先輩は、赤面になっていた。
「も―、お前も食え!」
そういうと、イキナリ私の口の中に入れてきた。
52: 名前:ブラックスター☆12/25(土) 12:32:42
先輩は、受験生と言う事もあり、しばらくしたら家に帰って勉強しなきゃ行けなかった。
先輩が帰ったのは、5時30ぐらい。
先輩が、帰ってから外を見ると、『雪』が降っていた。
「うぁ。 すごい」
もう1月な訳だから初雪ではない。
正直、まだ心残りがある。
和生君に、誤解されないかな?
先輩と、義理で付き合う事になっても……、和生君の事、好きだ。
ピロロロロン
誰だろ?
先輩かな?
―――本文―――
和生ですっ!
メール届いてからずっと返事書いていたんだけど、やっぱ俺
無理だわ。
もう、生きている意味有るのかな?
ってちょくちょく思うんだ。
攻めて、記憶があれば。
……
会いたい
お前と
もっと
思いでをつくりてぇ
―――END―――
和生君ずっと返事を打ってくれてたの?
会いたい。
私だって。
会いたいよ?
ねぇ、和生君、会いに行って良いですか?
でもね、和生君。
会いに行けないの。
1人じゃ。
歩けないの。
私も。
早くこんな怪我治ってよ。
なんで、先輩の意見にOKだしたんだろ。
馬鹿じゃん。
私、気づいてた。
OKしちゃ駄目だって。
でも、和生君と付き合うのが怖かった。
私との記憶が無い、和生君と付き合って……、私まで辛い思いしないかなって。
プルルルルル
「もしもし! 和生君!」
『……、優なの?』
和生君の声が聞きたくて仕方なかった。
それで……、電話をかけた。
なんでか、和生君の声は、生命が無いって言うか、枯れていた。
「和生君、会いたいのぉ。
でも、私、怪我してるから、会えないよ!」
涙が留めなく出てくる。
「和生君っ! 和生君っ!」
『何? ゆ……う?』
どうして?
なんで、こんなにぐったりしてるの?
「和生……くん?」
『なんだかね……、身体が言う事聞かないんだ』
「和生君? ねぇ! どうしたの!?」
私は、電話越しに叫んだ。
「和生君! 和生君! 和生君!
声を聞かせてよ!
ねぇ、和生君!」
『……ゴメン……。
俺もう、今生きてるのか分かんない。
体が……左側も動かないんだ』
いやだ。
53: 名前:ブラックスター☆12/25(土) 12:58:14
第10話 後悔 ~その2~
「そんなこと、言わないでよぉ!
ねぇ、和生君!」
『……』
「和生君?」
『……、大丈夫。
死 なないよ?
ただ、眠るだけ』
「和生君っ! ねぇ、寝るって必ず起きるよね!?」
『……』
「和生君っ!」
私は、大きい声で叫んだ。
ピーンポーン
私は、そんなのに出てるヒマは無かった。
ガチャッ
「お邪魔しまーす」
聞きなれた声が聞こえた。
「ねぇ、優。
どうしたの?
あ。
お母さんが、おかず持って行ってやれって」
「……あの、優さん?」
「ねぇ、何できたの!?」
「え……? 私の家に車」
私は、急いで病院に連れてってもらえるように頼んだ。
そして、病院まで3人で行った。
時刻は、6時。
でも、2人は親に承諾を得て、私に着いてきてもらった。
和生君の部屋の前まで来ると正直、怖くなった。
だって、そうでしょ?
また、涙が出てきた。
―ガラッ
「和生君ッ!」
私は、和生君の元へ駆け寄った。
「優さん! 点滴、切れてます!」
「優、ナースコール押して!」
私は、ナースコールを連打した。
「和生君、起きて!
和生君、起きて!」
和生君に、初めて会った2人も涙を流してくれていた。
「和生っくん」
「どうしましたか!?」
「点滴、切れてるんです!
後、目、覚ましてくれないんです」
看護婦さんは、急いで点滴の変えを持ってきてくれた。
先生が、急いで診察をしていた。
何分かすると和生君は、呼吸マスクを付けられていた。
部屋では、ずっと
『ピッピッピッ』
と心臓の動きを伝えている音が聞こえる。
先生の話によると、和生君は今意識が無いらしい。
「あ、和生君のっ!」
54: 名前:ブラックスター☆12/25(土) 16:26:57
私は、大声でさけんでしまった。
和生君のお母さんが来た。
「あ、お父さんは?」
私は、ふと聞いたが……、和生君のお母さんはつらそうにした。
先生は、和生君のお母さんに説明をしていた。
戻ってくるなり、和生君の手をギュッと握り締めた。
「和生ィ、目ぇ、覚めて?
お父さんも、和生も居なくなるの?」
「え……?
お父さんも?」
私は、聞き返した。
「お父さんと、離婚したの。
前から、考えていたわ。
あっちが」
「……そんな?」
「えぇ、もう子育てに疲れたとか、
愛人出来たとか」
「っ! なんで、私……こんなに、こんなに無力なの?」
私は、また涙が出てきた。
私は、ギブスを付けていない片手で、ドンドンっと太ももを叩いた。
痛みなんて、無いよ。
ある訳がないもん。
こんなの、和生君や、和生君のお母さんの『心の痛み』と比べたら。
「ねぇ、劇観に来てくれるんじゃなかったっけ?
嘘つき!
和生君の嘘つき!」
わんわん泣き叫ぶ私の背中を香葉が撫でてくれた。
参階さんは、ただただ涙をハンカチ拭っていた。
和生君、どうしてそんなに意地悪するの?
和生君、お願いだから。
―死 んだりはしないでね?―
―私を置いていかないよね?―
55: 名前:ブラックスター☆12/25(土) 16:37:10
なんで、人を愛することは、苦しいの。
なんで、辛いの。
もう、恋愛なんてしなければ良かった!
そして、私達は和生君のお母さんに言われてかえることにした。
「有り難うございました」
私は、礼を言うと家の中へ入った。
―どうにかして、人生をリセットできないかな?―
―どうにかして、この世界から消えられないかな?―
「あ……」
ふと、包丁が目に入った。
知ってるよ、リストカットじゃ、死ねないってこと。
でも、苦痛を感じたい。
和生君の気持ちを味わいたい。
―シュッ
「痛いだけか」
血が、どんどん出てくる。
死にたいなぁ。
56: 名前:ブラックスター☆12/25(土) 20:26:56
―はっ!
「や、わ、わた、私、何やってんだろ!」
血は、どんどん出てくる。
私は、仕方なく絆創膏で、止めた。
その上に、包帯を何重かにした。
「はぁ。 頭、狂ってんなぁ」
これで、両腕怪我したわ。
「はぁ」
また、重い溜息をついた。
時刻は、午後7時過ぎ。
最終更新:2011年01月16日 14:20