萌えます。年下男子 続き2

58: 名前:HARU☆01/22(土) 17:48:29

午後の授業はやる気ゼロ

全部机に寝そべっては有りもしない想像を繰り広げて
勝手に落ち込んで励まして落ち込んで…のひたすら繰り返し



「くるみー、放課後ですよ。奏太くんのとこに行くんじゃないの?」
「……なんか、嫌だ」
「はあ?」



机にふて寝

ずっと妄想してて心はとってもブルーなんです

目も少し赤いし気分も乗らない



「会ったら泣きそうだもん…」
「奏太くん、待ってるんじゃないの?約束したんでしょ?」
「満里奈行ってきていーよ…」
「行かねーよ」



今日はついてない日だ

知らないところで奏太くんは告白されちゃうし
親しげな女の子もいてなんか馬鹿にされちゃうし


…あ、また泣けてきそう

私こんなに弱かったっけ…?



「…くるみ先輩」



すぐ傍で声がした

寝そべった状態のまま声のする方を見上げる



「か、なたくん…」
「約束、したでしょ?」



二年の教室に来てくれた

わざわざ…、いつもなら門で待ち合わせなのに



「か、奏太く…っ」
「えっ、な、なんで泣いて…っ、先輩っ?」
「ふぇ…っ、奏太くー…っ」
「泣かせときゃいーのよ」



奏太が焦って満里奈を見ると満里奈は冷めた様子で笑った

クラス中から注目をされるのでとりあえずくるみの鞄を持って
くるみの手を引き、満里奈にぺこっと頭を下げ、校内から足早に去る






59: 名前:HARU☆01/22(土) 18:16:41

先輩の手…、細いし身体も軽い…

奏太の頭はそんなことを過りながら生徒達の目の中、
くるみを引っ張ったまま人目の少ない所まで連れていく



「…はぁ、はぁ…っくるみ先輩?」
「…ぐすっ、……っ」
「…なんで泣いてるんですか?」



奏太は手を繋いだままくるみの目線まで顔を下げる



「先輩らしくないですよ?」
「嫌だぁ…っ」
「え?」
「かっ、奏太くんが告白されるのも親しい女の子がいるのも嫌だぁ…っ」



ごめんね、困らせるよね

そんなの仕方ないことだし仲の良い子なんていてもおかしくないのに



「こんなこと…嫌だって思ってる自分が嫌だよぉ…っ」



醜いよね



こんなの勝手な嫉妬、やきもち

朱美ちゃんの言う通りだ


私は子供なんだ



「…え」
「うわっ!ちょ、見ないで下さ…っ!」



奏太くんを見ると右手で口元を覆い顔は真っ赤になっていた

涙がひょこっと止まる



「顔…赤…、可愛い…」
「はいはい…」



奏太くんのこの顔好きだ

繋がれていない方の右手で奏太くんの頭を無造作に触る

可愛い…、わんこみたい



「全く…、素直というか直球というか…」
「?」
「…可愛いこと言わんで下さい」
「可愛いのは奏太くんだよ?」
「…はいはい」



奏太くんといると胸がきゅんってなる






60: 名前:HARU☆01/22(土) 20:02:00

「てゆうか、告白されたって…何で知ってるんですか」
「のりが見かけたって…。…こ、断った?」
「当然です。…もしかして疑いました?」
「…えへ。ちょっと、ね」



親指と人差し指でちょっと、の隙間を作る

奏太くんはふう、とため息をつき少し笑った

そして私の目に溜まってる涙を服の袖で拭ってくれる



「朱美…は、幼なじみみたいなもんです。
 口が悪いのは昔からで誰にでもああなんです」
「…好き、じゃないの?」
「あのねぇ…、くるみ先輩それ本気で言ってます?」



少しだけ、なんて言わないけど

もしかしたらって思ってしまう



「好きな人に別の人のこと好きかなんて聞かれたらへこみます」
「好きな人、…って」
「…先輩は言わせたがりなんですか」



また顔を赤くする

わかりやすい人だなあ…


奏太くんの頭を撫でながら「言って?」と言うと小さく



「…相沢くるみ」



と私の名前を呼んだ

…可愛すぎる、好きすぎる


奏太くんと目が合うと涙は止まって自然と笑っていた




63: 名前:HARU☆01/23(日) 11:31:00

奏太くんの頭をぐしゃぐしゃとひたすら触る



「えへへへへ」
「あの…、先輩?」
「可愛いわんこだあ」
「…こんなでかいのわんこって言わないでしょ…」



奏太くんは照れながら自分の頭にある私の手を握り
下ろしてた身体を起き上がらせ「帰りましょ」と笑って言った


肩に自分の鞄、その手に私の鞄

反対側の手には私の手


手…、初めてちゃんと繋ぐ…



「くるみ先輩?」
「手、繋ぐの…いいね」
「またそんなこと言う…」



照れた顔を歪ませる

奏太くんは周りをキョロキョロ見渡す



「くるみ先輩」
「ん?」



ちゅっ、

と軽く唇に触れた


何が起こったかわからず一瞬放心状態

奏太くんを見ると少し怒ったような顔で



「…可愛いこと言うから、です」



と軽く舌を出しながらそう言った



「…も、」
「萌えるとか言うんでしょ…、もうわかりま「もう一回」



少し呆れ顔で話してた奏太くんの動きがピタリと止まった






64: 名前:HARU☆01/23(日) 11:51:07

びっくりした、嬉しかった

あの日以来キスはしてなかったから

超萌えた、うん、萌え


でもそれより先に違う言葉が出た



「もう一回…」
「…せ、先輩?」
「駄目…?」



くるみも奏太と同じくらい顔を赤らめながら言う

奏太は口が半開きのままぱくぱくしている



「は、ずかし…っ」
「あっ、だ、駄目ならいいよっ」
「や、そうじゃなくて…、面と向かって率直に言われると…っ」



奏太くんが顔を伏せるとなんだか私も恥ずかしくなった

そもそも人気の少ないこの場所にいったいいつまで滞在してるんだろ


涙はすっかり引っ込んだけど…、奏太くんともっと一緒にいたい



「だ、駄目とかじゃないですけ、ど…」
「けど?」
「俺、男…ですよ?」



あ、と気付く

普段は可愛い奏太くんでも急に男の人になった時があったと


…それでも今は



「もう一回…して欲しい、な」
「…可愛すぎでしょ」



それは奏太くんだって、

と言うのと同時に唇で言葉を塞がれた




67: 名前:HARU☆01/23(日) 19:56:11

前にキスされた時も思ったこと


私が150センチしかないから身長差のせいで
奏太くんはいつも上から唇を被せる状態になる


それが妙にドキドキして胸がきゅうってなる

少しだけエロいとか思ってるのは内緒ね



「ふ…、あ」



さっきみたいに触れるだけのキスじゃない

熱くて絡めとるような…、濃厚なキス

前みたいな乱暴なものでもない


触れる手が身体が唇が

奏太くんを男の人だと意識させる


…うん、てか

頭がパンクしそう!



「え、わっ、くるみ先輩っ?」



私の身体の力が抜け、くて、と奏太くんに倒れこむ

身体が熱くて死にそうだよお…



「…奏太くん、急に男の子になる」
「…もー、…させてんのは先輩でしょ…」



奏太は顔を赤くしながら自分にもたれかかっているくるみを起こす



「もう爆弾発言はしないで下さいね」
「爆弾…だった?」
「…本当、いつかどうなっても知りませんからね」



奏太くんはそう言うと「ん」と私に手を差し出した

私はその手を躊躇うことなく嬉しそうに握った






68: 名前:HARU☆01/24(月) 20:19:03

奏太くんが私を好きって再確認できた

それだけで前よりもっと幸せになれるの



「相沢くるみ」



普通に登校して渡り廊下を歩いているとそう呼ばれた

昨日と変わらずの見下した様子の



「…あ、朱美ちゃん」
「何?馴れ馴れしいんだけど。てか私あんたに名前名乗った?」



腕組みして馬鹿にしたように鼻を鳴らす

自然と私の顔も力強くなって構えてしまう



「奏太くんが呼んでたもん」
「奏太くん…ねぇ。たかだか知り合って2ヶ月でしょ。
 前から知ってましたー、仲よしです、みたいな彼女面やめなよ」
「彼女面じゃないもん!彼女だもん!」



そう言うと朱美ちゃんの眉がピクッと動く

…昨日も思ったけど、もしかして



「奏太くんのこと…、好きなの…?」

「幼なじみ」



見逃さなかった

一瞬朱美ちゃんの目が見開いたのを


そして質問に対しての朱美ちゃんの返事は
まるで自分にそう言い聞かせているように聞こえた



「…じゃあなんで私につっかかかるの?
 奏太くんのこと好きじゃないなら「不釣り合いだから」



そうきっぱりと私の言葉を遮って言った

ねぇ、…本当は違うよね?






69: 名前:HARU☆01/24(月) 22:27:15

奏太くんのこと、ただの幼なじみなんて思ってるなら



「気に食わないだけで私につっかかったりしないよね?」
「…腹立つ。何、その上から目線」



むっ、となる

別に上から目線でもなんでもないのにい~!



「嘘は自分の首締めるだけだよーだ!」
「はぁ!?」



朱美ちゃんにべーっ、と舌を出して走ってその場を去る


なんだよ!せっかく親切に忠告してあげたのに!

……って、これが上から目線なのかなあ…


走っていた足がだんだんゆっくりになる

もしかして私、嫌な子?



「奏太くんの幼なじみだもんね…」



朱美、って呼んでるくらいだもん

少なからず他の女の子よりは大切な子かも…



あぁぁあぁ~っ!
そう考えたらもやもやしてきたあ~!

やっ、いいんだよっ?
彼女は私なんだし、朱美ちゃんは幼なじみだし!

他にも大切な子がいたって全然!

もう全然…!



「…全然、…全然平気だもん」



ぎゅっ、と小さく拳を握り締める




72: 名前:HARU☆01/25(火) 19:10:53

「朱美!」



一年五組の朝の教室

教室に入ってきた朱美を既に登校していた奏太が呼ぶ

朱美は誰にでも同じしかめっ面で奏太のいる窓際まで行く



「あのさ、昨日なんだけど」
「何、あの先輩のこと」
「…そう嫌そうな顔すんなって。まあ昨日も言ったけど、
 くるみ先輩に会ったらちゃんと謝って礼儀正しくしろよ?」
「やなこった」



奏太は困ったようにため息をつく



「…頼むよ。朱美から見たら子供っぽい人かもしれないけど
 …優しい人だし、…本当は傷つきやすい、泣き虫な人だから」



朱美はその言葉を流すかのように聞く

奏太がくるみを想って出す発言は朱美には毒だ



「随分あの子のこと知ってるような口振りだよね。
 泣き虫とか興味ないし、弱さを盾にしてる奴って大嫌い」
「…俺は朱美のことも知ってるよ」



朱美の言葉が止まる



「たぶん、くるみ先輩より知ってる。
 小一からずっと幼なじみやってきたんだから。

 不器用だけど朱美も先輩と同じくらい優しい子だって知ってる」



奏太が朱美に言葉をかける

そこに嘘や同情はない


そんなこと朱美もわかっていた



「……っうざ」



朱美は背を向けて奏太の前から去る



「…素直じゃないなあ」



朱美の耳が赤くなっているのを見逃さなかった

奏太は「ははっ」と笑う


小さい頃からすぐ耳が赤くなるのは照れているか嬉しい時の朱美の証拠






73: 名前:HARU☆01/25(火) 21:10:56

「恋のライバルだね」



っがーん!…や、やっぱり?


朱美ちゃんについての全ての経緯を話すと満里奈が即答

のりも続けて「だな」と言う


そりゃ…、たぶんそういうことだろうなとは思ってたけど

周りにもそう言われて現実味のある言葉になると…



「一気に不安になるよお~っ」
「泣くなら奏太くんの所で慰めてもらいな」
「満里奈冷たー…、ぐすっ」



いざとなったら奏太くんは朱美ちゃんの手をとる気が…



「な、ないないない!そんなことしないよねっ」
「…一人で何言ってんの」



一人で妄想して突っ込んでるくるみを満里奈が痛い目で見る


大丈夫だよっ、うん!
奏太くんの彼女は私だもん!

信じてれば…、大丈夫




76: 名前:HARU☆01/26(水) 18:38:30

予期していなかった事柄は突然起こる

本当は予期できていたことかもしれないのに





「なんか外騒がしくない?」



休憩時間、窓際にいた女の子がそう言った

確かに騒ついている

気になって他のみんなと同じように窓に近づき外を覗く

どの学年の教室からも窓からは花壇が見える



「…朱美ちゃん?」



見えた光景は一年生三人

…内二人が一人を突飛ばした

その一人が間違いなく朱美ちゃんだった



「何、喧嘩?」
「喧嘩ってゆうより虐めみたいじゃない?」
「あの子超睨んでる…、やばくない?」
「余計刺激しそー…」



クラス内が騒つく


ど、どうしたらいいんだろ…

見た感じ突飛ばされたのは朱美ちゃんだけど
相手の態度からして先に何かあったっぽいし…


と、とにかくなんとかしなきゃ!






77: 名前:HARU☆01/26(水) 18:55:19

窓をガラッと勢いよく開ける



「こっらぁー!そこの一年生!喧嘩はやめなさい!」

「く、くるみっ?」
「相沢さんっ?」



クラスメイトが唖然としている

くるみは窓の縁に手をかけ身を乗り出す

下にいた一年生はびっくりしたように二階のくるみを見上げる



「よくわかんないけど暴力反対です!」

「な、何あの人。先輩っ?」
「意味わかんないんだけど…、い、行こっ!」



一年生の二人組は焦ったようにパタパタと走って行った

朱美ちゃんは泥をはらいながら突飛ばされた身体を起こす



「あ、朱美ちゃん大丈夫ーっ?」



ひぃぃっ!
が、がん飛ばされた…!


ギロリ、という効果音がぴったりなくらいに睨まれた



「……っ!」
「あ、朱美ちゃんっ?」



痛そうに左腕を抑えた

もしかしたら倒れた時に肘とか痛めたのかも…!



「待ってて!今行くか「っ来るな!」



その声にビクッとなってしまった

な、なによう!
そんなに私が嫌いなわけ!?

も、もう知らな「朱美!」



下の方から朱美ちゃんを呼ぶ声がした

私が聞き慣れた、大好きな人の声



「…か、なたくん…?」



朱美ちゃんのもとへと走ってくる


ズキン…、

あ…、胸が痛い……



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最終更新:2011年05月04日 05:44
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